あんな話 こんな話  120
 
ドクター帯津良一の
『ときめき養生食』
海竜社刊
より その6
 
 
第6章 ”ちょいメタ“が生涯健康の秘訣
 
 
● 元気人はみんな“ちょいメタ”だった
 
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が盛んにいわれています。
メタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲(へその周り)が、男性は85cm以上、女性は95cm以上、さらに、血圧、中性脂肪、空腹時血糖値のうち基準値を超えたものが、一つあれば予備軍、2つ以上だとメタボリックシンドロームということです。
 
これは、そもそも糖尿病、高血圧症、高脂血症の合併症が危険であるということなのです。
その原因には過食、運動不足、遺伝的体質、肥満などがありますが、太っていても健康な人はたくさんいます。
 
先ごろ、文芸春秋主催の「メタボリックなんかこわくない」という座談会に引っ張り出されました。
出席者は森永卓郎さん(経済アナリスト・毒今日大学教授)と矢野誠一さん(演劇評論家)、芝田山康さん(62代横綱大乃国、現・芝田山部屋親方)と私の4人でしたが、皆それぞれに立派な太鼓腹でした。
 
森永卓郎さんの腹囲は105cm、身長167cm、体重は90kgで、睡眠時間2時間半で働いているので、1日5食くらい食べているとのことです。
 
矢野誠一さんは、腹囲が106cm、身長170cm、体重72kg。
仕事柄芝居を見に毎日外出しているので、家で食べるのは朝だけで、昼と夜は外食が多いということです。
 
芝田山康さんは、腹囲が138cm、身長187cm、体重163kg。
現役の頃は昼食と夕食の2食で、ちゃんこ鍋が中心。
肉好きだったのが、最近は野菜と魚を中心に、サラダはボウル1杯分くらい食べているそうす。
 
私はといえば、腹囲100cm、身長160cm、体重73kgの”ちょいメタ”です。
 
私を含めて座談会に出席した4人とも、特定検診の判定に照らすと、メタボリックシンドロームになってしまいますが、”ちょいメタ”の基準値を用いれば、もっとも長生きするグループに入っているので、メタボリックシンドロームを心配するより、のびのびと生きたほうが体にも心にもよい、という結論に達しました。
なによりも4人とも超健康でバリバリ仕事をしています。
 
人間は体と心と生命から成り立っていますから、健康を数字では表せないと思っています。
数字ではない、もっと大きくて、目には見えない「生命場」のエネルギーのようなところに、本当の健康はあるのだと思います。
 
 
 
● 「メタボ検診)で病人が多くなる!
 
平成20年4月から厚生労働省が特定検診を義務化しましたが、これはメタボリックの人を特定するための検診なので、「メタボ検診」といわれています。
ところがとんでもない数値が設定されているのです。
 
保健指導判定値が血圧130/85mmHg、中性脂肪150mg/d?以上。HDL(善玉コレステロール)39mg/d?以下。空腹時血糖値100mg/d?以上、HbAic(グリコヘモグロビン)5.2%以上です。
 
さらに治療を受けなさいと勧める受診勧奨判定値は、血圧140/90、中性脂肪300以上、HDL34以下、空腹時血糖値126以上、HbAic6.1以上とされています。
 
受診勧奨判定値は日本の各臨床学会が定める基準値に基づいていますが、保健指導判定値は科学的根拠はないといわれています。
これを見ると、かなりの人が病人にされてしまうことは明らかです。
健康で、はつらつとしている人を病人の枠に入れるのはおかしいと思います。
 
実際、この判定地より少し上の、いわゆる”ちょいメタ”のグループがいちばん長生きするといわれています。
例えば、BMI(ボディ・マス・インデックス、肥満度チェック)が25〜29、最高血圧が140〜160、中性脂肪が150〜300。
そうすると判定値とは何かを疑って考えなくてはなりません。
 
そして、メタボリックの問題は、正常値がコロコロ変わることです。
たとえば、血圧なども正常値が下がってしまいましたから、正常だった方が病人の中に入れられ、降圧剤を飲まされるようになります。
そのため高血圧で脳出血で死ぬ人よりも、薬のために脳梗塞で倒れる人のほうが多くなってきました。
脳梗塞の場合は、脳出血よりも寝たきりになる可能性が高い。
寝たきりが増える世の中を作ってしまったわけです。
 
総コレステロールの値も、少し前までは250まででしたが、220に設定されました。
しかし、根拠が理解できません。
総コレステロール値が低ければ低いほどよいとされるのは間違いで、低いほど死亡率が高いというデータがあります。
240〜250くらいが一番死亡率が低いのです。
 
体の中には電磁場、重力場など、さまざまな生命に直結した物理量が存在して、場を作っています。
これらをひとまとめにして、私は「生命場」と呼んでいますが、この生命場のエネルギーこそ、まさに生命で、このエネルギーが高いほど健康ということになります。
生命場のエネルギーは、今の科学ではそくていできません。
ですから、やたらに数字を振りまわすのはよくないのです。
 
 
 
● “ちょいメタ”の私の元気な1日
 
朝は4時40分に、目覚まし代わりにNHKの「ラジオ深夜便」で目覚め、5時からのニュースが終わる5時12分くらいにふとんを出ます。5時45分くらいに迎えに来た車にノリ、30分ほどでびょ位雲に尽きます。6時20分に病院に入って仕事の準備をしたり現行の手直しをして、7時30分に病院の同情に行き、「気工」を患者さんと一緒にして、8時ころ食堂に顔を出すと、朝食の用意ができています。
朝食は、しらす干し、いくらのしょうゆ漬けとか、尾信仰など、サッパリしたおかずで少しご飯を食べます。また、前の日の夕食ののこりのポテトフライは、翌日、ちょっとあぶってウスターソースをかけるとおいしいので、電子レンジではなくアミで焼きます。カキフライやメンチカツもゝ。夕食を食べるときに、これは明日の朝やベルからといって残して沖、朝食に出してもらうのです。
朝食を済ませて、8時15分から9時ごろまでの間に患者さんとの面談が入ります。面談が終わって9時から日常の仕事に入りますが、外来のある日は9時からでは間に合わないので、8時30分に入ります。
昼食で私がすきなのは、一皿で済んでしまうオムライスとか、カレーライス、らーめんなど、軽いものです。午後は夕方5時ごろまで仕事をして、夕方の気功をします。
 
 
 
● 運動はやりすぎ厳禁、おすすめは気功、八段錦
 
脂肪には大きく分けると「内臓脂肪」と「皮下脂肪」がありますが、メタボリックシンドロームで問題になるのは、内臓の中に脂肪がたまる肥満のことで、お腹がぽっこりとでます。
 
そこで、やせるためには運動をしなくてはと、張り切る人がいて、1日に3〜4キロ歩き、さらに自転車をこぐ運動をしたら、足と腰を痛めて歩けなくなった・・・・・・などということもあります。
無理をしてはいけませんね。
 
そこでおすすめしたいのが、私もやっている太極拳や気功です。
これは無理な動きがなく、呼吸と合わせてよっくりと効く高齢者にもやりやすい運動です。
太極拳のうち、一段錦、二段錦、三段錦、四段錦をなさってみてください。
 
太極拳の用手(スッアイシォウ)は、八段錦、太極拳を始める前と終わった後の整理運動として行うものですが、全身に気をめぐらすので大変よい運動です。
 
両手を腰の辺りまで上げ、腰の回転に合わせて左へまわします。このときの両手は力を抜いてぽいと投げるようにふります。反対側にも回します。
普通は左右で3、40回位すればよいのですが、50回でも100回でも、自分が気持ちがよい程度にします。
 
森光子さんはスクワットをしていて元気とか、運動の情報はいろいろありますが、膝の痛い人にはスクワットには向きませんから、ご自分の体調に合わせた運動をします。
 
私は自然にやせるのはよいけれど、意識的にやせる必要はないと思います。
年を取ると、新陳代謝が弱まり、若い時のようにやせなくなりますから無理はしないことです。
 
 
 
● 転ばない・つまづかない、
重心のとり方・気の持ち方
 
年配になると転びやすくなりますね。
作家の宇野千代さんは、
「頭の中と行動が伴わなくなる。若い頃のつもりで、さっさと歩くつもりで歩く。
年を取ると転ぶ原因は、歩くつもりが歩けないからである。
私は意識して転ばないようにゆっくり歩く。そう心がける。
人に迷惑をかけたくないからだ」
とおっしゃっていたそうです。
さすがに達人ですね。
どんなに元気でも、老いを受け入れなければならないときがくるのです。
 
太極拳の楊名時先生は歩く時や、階段を下りる時は、
「足の裏にも目があるつもりで、足の裏の目で確かめながら歩きなさい」
といっていました。
 
転ばないためには、とにかく、足腰を衰えさせないことです。
足腰を衰えさせないためには、注意して歩くことはもちろんですが、自分が歩ける範囲で、毎日歩く習慣をつけることが大切です。
 
また、歩く時は、鼻と膝と足の親指が一直線になるように立ち、状態を安定させて、右半身、左半身に重心を移動させます。
太極拳ではこれを「三尖相照」といいます。
 
片側に重心をしっかりとかけると、片足を遊ばせても大丈夫なのです。
私は、これを暇があると、鏡を見てやります。
転びそうになっても片足で重心が取れるのです。

メタボリックシンドロームは気にしなくてよい。
意識的にやせる、食
事制限は無意味。

“ちょいメタ”くらいが元気で長生きする。
 
 
 
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001