あんな話 こんな話  127
 
白澤卓二著  PHP新書
『ボケたくなければ、これを食べなさい』
より その3
 
 
第2章 ネバネバヌルヌル食品
――内臓の負担が軽くなる
 
 
● 『ネバネバヌルヌル』の成分が、高血糖になるのを防ぐ
 
本章のはじめに、ネバネバヌルヌル食品を語る上で欠かすことのできないインスリンについて触れておきましょう。
インスリンとは、私たちの体内――膵臓から分泌される重要なホルモンのことです。
 
糖質は脳と体のエネルギーになるのですが、その糖が体で処理できないくらいの量になると、健康長寿には大敵の肥満や糖尿病の症状が出てきます。
この糖質の処理を行っているのが、実はインスリンなのです。
糖質は体の中に入ると、最終的にブドウ糖に分解されて吸収されます。
そして血液中に吸収されたブドウ糖は、細胞にエネルギーとして取り込まれるのですが、この働きをしているホルモンもまたインスリンなわけです。
 
すなわち、インスリンの分泌が足りない、あるいは効き目が薄いとブドウ糖がエネルギーに変えられず血液中に残ってしまい、「高血糖」と呼ばれる状態になります。
この高血糖の状態が、やがて健康長寿の大敵である糖尿病へとつながっていくのです。
 
糖尿病が重くなると、血液中の糖分の影響で細かな血管が破壊され、目や腎臓などに大きなダメージを与えます。
しかし、そうしたインスリンの分泌を手助けし、消化器系の負担を減らしてくれる働きを持つのが、本章で取り上げるネバネバヌルヌル食品なのです。
 
ネバネバヌルヌル食品を食事に一品入れるだけで、一緒に摂った炭水化物などの糖質をネバネバヌルヌル成分がコーティングし、インスリンが分泌するまでの時間稼ぎをしてくれます。
糖質を小腸まで分解されることなくコーテングするため、インスリンの分泌が悪い人には大きなアドバンテージになるのです。
 
つまりネバネバヌルヌル食品は、発酵食品と同様に体の負担を軽くしてくれる働きを持っているということなのです。
 
 
● カロリーよりも、「糖分の摂りすぎ」が肥満をもたらす
 
健康長寿を実現するためにはとても大切なことなので、もう少しインスリンと体の関係について触れておきたいと思います。
 
冒頭で述べたように、食品(ブドウ糖)をエネルギーに変える媒介をしているのがインスリンです。
インスリンの分泌により、血液中のブドウ糖がエネルギーとして各細胞に取り込まれるほか、エネルギーに変えられなかったブドウ糖は脂肪細胞に蓄えられます。
蓄えられるブドウ糖が増えると、脂肪細胞が太っていきます。
これが糖質の多い食生活が肥満をもたらすメカニズムです。
 
このように肥満を引き起こすのは、カロリーよりも糖質の量なのです。
そして脂肪細胞が太ると健康長寿を実現できなくなってしまうのは、皆さんもおわかりでしょう。
体内に入った糖質の量は、皆さんも聞き覚えのある「血糖値」という値で表します。
血糖値とはつまり、血液中のブドウ糖に値ということです。
 
 
● すい臓を酷使すると、インスリンの分泌が衰える
 
よく「血糖値が上がる」といいますが、これは急激にしかも大量に、血液中にブドウ糖が入ってくるような状態です。
血糖値の上昇は万病のもとですから、血糖値を下げる必要があります。
 
それにはブドウ糖を、エネルギーとして各細胞に届けるなり、脂肪細胞に蓄えるなり、血液中からどんどん出さなくてはいけません。
このとき必要になるのが、大量のブドウ糖を処理できるぐらい多くのインスリンなのです。
 
もしブドウ糖が血液中に大量に入ってきても、それを処理できるだけのインスリンが十分に分泌されていれば、高血糖値の状態にはなりません。
しかしこうした状況が続くと、インスリンを分泌するすい臓が「フル稼働」の状態に耐え切れなくなるのです。
すい臓がフル稼働する状況が続くと、いずれは疲弊し、インスリンを分泌する機能が低下してしまいます。
 
 
● 血糖値の急上昇、急降下を繰り返す食生活は言語道断
 
インスリンは老化に伴い、分泌量が減ってきます。
特に65歳を超えると著しく減少します。
普段からインスリンの分泌が活発であるのに越したことはありませんが、分泌が少なくて済むような食生活が、体やすい臓へのダメージを和らげ、健康長寿につながるわけです。
 
インスリンの分泌は有限ですから、私たちは日ごろから大量にインスリンが必要になる――すい臓がフル稼働するような事態を避けなければなりません。
 
すなわち血糖値が急激に上がりやすい食事の仕方は、インスリンの過剰分泌を招き、それによる血糖値の急降下→空腹感→また甘いものを食べたくなる→血糖値の急上昇を繰り返すことから、肥満になりやすく言語道断というわけです。
 
健康長寿に関しては、インスリンの分泌を活発にさせるというよりも、いかにインスリンの分泌を少ない状態に保つかという観点が大事なのです。
いつも血糖値が上がりやすい食事をしていると、年を取ってインスリンの分泌が減ったときに、体が耐えられなくなります。
 
要するに若いころと同じような食事をしていると、量が少なくなったインスリンでは対応し切れず、高血糖、糖尿病になる可能性が高まるのです。
 
逆に血液中のインスリンの濃度が低い状態は、言い換えれば、インスリンの効果が高く、分泌量が少なくて済んでいるわけです。
これは糖尿病にはかかりにくい状態です。
 
インスリンがうまく分泌されない状態には2つあります。
1つは血液中にブドウ糖が入ってきているのに、なかなかインスリンが出てこず、量が少ないケースです。
もい1つは、出てきているのにブドウ糖が血液中から移動しない、つまりインスリンの効きが悪い状態です。
 
効きが悪いと、脳から「インスリンをもっと出せ」という指令が出て、インスリンを分泌しているすい臓にさらに大きな負担がかかります。
いずれのケースも糖尿病になる危険性が高いといえるでしょう。
 
こうした状況をブロックしてくれるのが、本章のネバネバヌルヌル食品なのです。
 
 
● 血糖値の上がりやすい食品、上がりにくい食品
 
私たちは血糖値を上げないために、上がりやすい食品とそうでない食品を区別しておく必要があります。
その際に便利な指標となるのが、食品の「血糖値の上昇率」を表した指標であるGI値(グリセミック・インデックス)です。
 
同じ量の糖質を含んでいても、食品によっては血糖値の上がり方が違うことにも注意しておかねばなりません。
 
■ GI値が高い食品
精白米、餅、うどん、食パン、菓子パン、煎餅、クロワッサン、白砂糖、みりん、
にんじん、ブドウ、ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、パイナップル、バナナ、
スイカ、果物ジュース、ホワイトチョコレートなど
 
■GI値が低い食品
玄米、全粒粉のパン、ライ麦パン、そば、サツマイモ、リンゴ、トマト、イチゴ、
ごぼう、ホウレンソウ、レタス、きのこ類、アボガド、牛乳、ヨーグルト、ココア、
ゼリー、オリーブオイル、酢、ブラックチョコレートなど
 
穀物類では、やはり精製されているもの、脂質が加えられているものはGI値が高くなっています。
野菜・果物では、以外にも健康長寿に抜群の効果があるにんじんやブドウがGI値の高い食品となります。
 
総じてGI値が高いとされている菓子類の中でも、ブラックチョコレートやココア、ゼリーが上がりにくいというのは、お菓子を食べたくなったときに思い出すと良いでしょう。
 
日常の食べ方の工夫としては基本的には低GI値の食品を組み合わせて食事をすることです。
高GI地の食品を食べたいときは、意識して量を減らす、夜よりも朝に摂るなど順番を考えるのが効果的です。
 
朝食には糖質が不可欠ですが、やはり高GI値の食品は避けたほうが良いでしょう。
そうすれば、自ずとごはんなら白米、パン食ならクロワッサンなどは避けたほうが健康長寿に効くことがおわかりになるはずです。
 
玄米ではなく白米を食べたいなら、インスリン分泌の時間稼ぎをしてくれる(糖質の吸収を遅らせる)ネバネバヌルヌル書k品を添えることをお勧めします。
 
それでは前置きが長くなりましたが、個別の食品を見ながらネバネバヌルヌル食品のパワーについて解説していきましょう。
 
 
● オクラ――
ぬめり成分の食物繊維がもたらす強力な『解毒パワー』
 
もしあなたがお腹が痛くなったらオクラの出番です。
現在、腹痛の主流は急性の虫垂炎ではなく、大腸憩室炎とされています。
 
オクラのヌルヌル(ぬめり)成分である水溶性食物繊維のペクチンは腸の働きを活発にし、腸の憩室(くぼみ)にたまった添加物など、残存している有毒物質を排泄してくれるのです。
 
強いデトックス(解毒)パワーで、有害物質が体内に吸収されないようにしてくれているペクチン。
ペクチンが持つこの作用は、薬の残存成分や重金属類、そして放射性物質にも効くといわれ、たとえ放射性物質に汚染された食べ物を食べてしまった場合も、このペクチンが尿や便へと解毒し、内部被爆を避ける効果が期待されています。
 
オクラを大量に食べる必要はありませんが、食べるほどに食物繊維の量は増えますから、その解毒作用は高まるといえるでしょう。
 
その他、オクラの色素成分ゼアキサンチンは、ルチンと同じ働きをもっています。
人体では目の網膜に多く含まれ、紫外線などによる酸化から網膜を守っていることから、老化による目の病気――白内障の予防など、目の健康に役立ってくれます。
 
またオクラには血液を作り、細胞の再生に効果を発揮する葉酸が含まれていることにも要注目です。葉酸はビタミンの一種であり、妊娠初期には欠かせない栄養だといわれています。
 
オクラの水溶液には、脂質の酸化やガン細胞を抑制する働きが認められており、抗ガン剤など医薬品への転用にも期待が集まっています。
おひたしにしたときなどの煮汁は、この水溶液と考えましょう。
栄養素が溶け出している大切なものなので、取りこぼすことのないように。
 
 
● モロヘイヤ――肝臓での脂肪燃焼を助けるダイエット効果
 
別名「エジプトほうれん草」と呼ばれるモロヘイヤのぬめり成分は、次項で述べる長いもと同じくムチンです。
これにはインスリンの急上昇を防いでくれ、消化器官の粘膜を保護してくれる働きもあります。
 
モロヘイヤで特に注目すべき点として、抗肥満(ダイエット)効果が上げられます。
モロヘイヤの色素であるポリフェノールの一種ケルセチンには、肝臓での脂肪燃焼を助ける働きがあります。
 
普段から食事をとって運動しないと脂肪細胞が大きくなっていきますが、脂肪細胞の肥大は体内で炎症を起こすだけでなく心臓にも負担をかけ、さらに活性酸素を発生させてストレスをもたらします。
 
しかしケルセチンにはこれをブロックし、炎症を治める効能があるのです(抗酸化作用・抗炎症作用)。
ドイツではその優れた抗炎症作用から、抗ヒスタミン薬として医薬品に用いられているほどです。
 
ちなみに、高脂血症でぶくぶくに太ったネズミにモロヘイヤを与えた実験では、中性脂肪が減り、体内の脂肪細胞が小さくなり、体重が減ったという結果が出ています。
変化の幅が大きかったことから、脂肪細胞の肥大を防いだだけでなく、体が脂肪を燃焼しやすい体質に改善された可能性も考えられます。
 
モロヘイヤはこれだけでなく、非常に多種類の栄養素を持つのが特徴です。
特にビタミン類がビタミンB2、B5、B6、E、Kと豊富です。
その効能は風邪予防、血液をサラサラにする、肝機能の改善、高血圧予防、胃腸病に対する働きと書ききれないほどです。
 
モロヘイヤの語源はアラビア語で「王様の野菜」であり、古代エジプトの王様の病気がモロヘイヤのスープで治ったという逸話もあります。
 
サラダとしても、とろみ食材として利用できるモロヘイヤは、過熱すると独特のとろみが出てきます。
また乾燥させてお茶にしても、ほとんど効能が失われないことがうれしい特徴です。
 
ただ水に溶け出す栄養素が多いため、なるべく調理時間を短くする、あるいは先ほど挙げたスープに使うといった工夫も必要でしょう。
 
 
● 長いも――消化酵素やヌルヌル成分のムチンが、
消化器系のはたらきをサポート
 
長いもは、もともと中国原産で日本に渡来した野菜です。
よく間違えられる自然薯は日本原産ですが、親戚のような関係でアジア圏で多く食べられています。
中国では漢方薬に用いられているナガイモですが、特有のヌルヌル成分はムチンという水溶性に食物繊維です。
 
このムチンが食べ物を包み、消化器系にたまった有害物質を排泄物として体に外に出してくれます。
消化器系の粘膜保護にも役立っているのが、このぬめり成分です。
 
その他、長いもにはミネラルやビタミンが豊富なだけでなく、亜鉛の含有量が多いのが特徴で、若者の間で今増えている味覚障害の症状を改善する働きがあります。
亜鉛が不足すると体の抵抗力が弱まり、あらゆるところに発疹が出ます。
また食品添加物は、亜鉛の吸収を妨げる場合があるので要注意です。
 
加えて長いもには、アミラーゼ(糖質分解酵素)やジアスターゼ(でんぷんを分解する酵素)、カタラーゼ(酸化還元酵素)といった多種類の消化酵素が含まれており、消化を促進し、代謝を高めてくれます。
 
つまり胃腸にやさしく、消化器系の負担を軽くしてくれるのです。
「胃腸が重い」という風に感じたら、長いもがその症状をやわらげてくれるはずです。
 
また麦とろ飯が「スタミナ食」と呼ばれる理由は、こうした消化酵素の働きで麦飯のでんぷんをすばやく分解してエネルギーに変えてくれる他、長いも(とろろ)に含まれる非加熱のでんぷんが、酵素の働きでゆっくり消化・吸収されるため腹持ちが良くなるからです。
すなわち、エネルギーが長持ちするというわけですね。
 
消化の促進作用、新陳代謝の促進、肌荒れ改善、ダイエット効果、疲労効果、便秘改善など、ネバネバヌルヌル食品特有の効能が長いもにもあることは言うまでもありませんが、なるべく皮が白くて変色していない新鮮なものを選ぶのがポイントです。
すりおろせば、冷凍保存も可能です。
 
 
● 海藻――
がん細胞を死滅させる『ナチュラルキラー細胞』を活性化
 
そもそもヌルヌル成分とは、それぞれの食品が持つ自然治癒力と乾燥を防ぐための機能ユニットで、生物の生きる力そのものといえるでしょう。
 
ワカメ、コンブのぬめり成分は、水溶性の食物繊維であるフコイダンです。
これは消化器系の排泄作用だけでなく、胃の粘膜を修復する働きがあり、さらに胃の中のピロリ菌を取り込んで除去してくれる働きもあります。
また、インスリンの急激な上昇を押さえてくれるのは、納豆などたのネバネバヌルヌル食品と同様です。
 
加えて、がん細胞を死滅させるナチュラルキラー細胞を活性化する働きも認められているのが特筆されるでしょう。
 
ワカメに含まれるβカロテンの一種であるフコキサンチンは、海藻類に含まれる褐色の色素成分であり、ワカメやコンブなどに豊富に含まれるヨウ素との相乗効果で、特に乳ガンの予防に効果が認められています。
 
近年になって乳がんの増加が報告されているのも、海藻のようなガン予防効果の高い食品をあまり摂らなくなったことが原因の1つに挙げられているのです。
 
また昆布の香りや味のもとであるグルタミン酸は、エネルギー代謝に関わる成分で、脳を活性化させ、筋肉を強化し、肥満をブロックする働きがあります。
さらに先ほど挙げたヨウ素は基礎代謝を活発にし、肥満を予防、精神を安定させるだけではなく、序章でも触れたように、放射性物質などの有害物質を体から除去する効能があるとされています。
 
メカブは、ワカメの根元にあるひだひだの「胞子のう」の部分を指し、フコイダンを多く含むなど、ワカメの中でも特に栄養価が高いとされています。
 
またコンブはそのまま食べなくても、ダシ(だし汁)で栄養素を摂ることができるのも、大きな利点でしょう。
 
 
 
● サプリメントは健康長寿に役立つか?
――バラバラの栄養素
 
ビタミン、ミネラル、また海藻で述べたフコイダンに限りませんが、現在は本書で紹介しているような「健康長寿に効く」とされる、さまざまな栄養素がサプリメントで販売されています。
 
「それでは、わざわざ食品で栄養を摂らなくても、サプリメントでいいのでは?」と誰もがお思いになるでしょう。
では、これらの栄養素をすべてサプリメントでとって、健康長寿に役立つのかといえば、決してそうではありません。
 
一義的には、食品から摂らないと効果を発揮しない栄養素があるからです。
その代表がアーモンド、煎茶の茶葉、トウガラシ、サンフラワー油などに多く含まれるビタミンEです。
ビタミンEは、老化を防ぐ抗酸化力が強いだけでなく、アルツハイマー病の予防にも効果があることが数々の実験で明らかになっています。
 
ところがビタミンEはサプリメントでとっても、抗酸化力とアルツハイマー病の予防効果は期待できません。
野菜や果物から直接とらないと、これらは発揮されないことが数々の研究で明らかになっています
 
くわしは次章で触れますが、「機能ユニット」をいただくという食の考え方があります。
私たちは食べ物を食べるとき、そこに含まれる栄養素はもちろんですが、その食物が生きていくための機能ユニットをいただいています。
実はそこにこそ健康長寿のもとが詰まっているのです。
 
ですから個別の栄養素を取り出してバラバラにとっても、その効果は食品で摂るよりも薄れてしまいます。
私たちは食物を食べるとき、「食物の生きる力をいただいているのだ」という意識をもっと強くもつべきでしょう。
 
最初に述べたように、サプリメントは効率よく栄養が摂れると一見思いがちですが、実はその逆で、効率よく栄養を摂ろうとするなら、何より食物を丸ごと食べるのがいちばん効果的なのです。
 
2011年8月に、国立がん研究センターが米専門誌「パブリックセルフ」に発表した実証実験を見てみましょう。
これは1990年から2006年まで、40歳から69歳までの男女約6万3000人を対象に行われたアンケート調査です。
 
これによると週1回以上、最短1年間、ビタミンに関するサプリメントを摂取した女性はまったく摂取がない女性に比べて、ガンになるリスクが17%も高かったという結果が出ています。
 
サプリメントとガンの関係は明らかにされていませんが、もともと喫煙や肥満、不安定な食生活などを抱えているガンの発症リスクが高い人が、その代わりとしてサプリメントに頼りやすい傾向はあるようです。
 
 
● 簡単・手軽なサプリメントがもたらす『栄養の過剰摂取』
 
またサプリメントの注意点について、摂取量にも言及しておきましょう。
ほとんどのサプリメントには、1日の目安量が記されています。
ところが医薬品ではないため、人体への影響を鑑みて明確にその限度量が表示されているわけではありません。
 
摂取量の根拠がないことに加えて、健康に不安を感じているほど、より高い効能を求めてついついサプリメントを多く摂りがちになります。
さらに一般の食品地違って満腹感もないため、これも過剰摂取を引き起こす原因になっています。
 
この過剰摂取によって、どんな問題が起こるのでしょうか。
多くのサプリメントを服用することは、食品では起こりえない栄養の過剰摂取による体への悪影響を及ぼす可能性があります。
 
たとえば、鉄分です。
鉄分は不足すれば貧血などの症状を引き起こしますが、肝臓を悪くしている人が過剰摂取すると、さらに症状を悪化させてしまいます。
 
栄養素は、分量によっては毒にもなるのです。
一般的な食品を食べる分には、この点を注意する必要はほとんどありません。
なぜなら、ここで問題になるような量の栄養素をとるには、野菜にせよその他の食品にせよ、相当なボリュームの量を食べなくてはならないからです。
ところがサプリメントでは、体に悪影響を及ぼすような大量の栄養素も、お腹を膨らませずに簡単に取ることができてしまいます。
 
サプリメントは、手軽で簡単に必要な栄養素をとることができると人気ですが、この簡単さが体や健康にとっては仇になっている側面があることも認識しておきましょう。
 
またサプリメントは、厚生労働省が定める「特定保健用食品」(いわゆるトクホ)ではなく、成分表示に審査があるわけではない製造者の自己認証食品なのです。
 
特に痩身(ダイエット)効果を謳った輸入サプリメントでは、死亡事故も報告されていますので、安易にサプリメントに頼るのは「百害あって一利なし」と考えるべきでしょう。
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001