あんな話 こんな話  129
 
白澤卓二著  PHP新書
『ボケたくなければ、これを食べなさい』
より その5
 
 
第4章 『3つの食品』の他にも
健康長寿食はこんなにある  の1
 
 
● 『いろいろな食品を獲る』ことが健康長寿の基本
 
これまで「発酵食品」「ネバネバヌルヌル食品」「雑穀類」の3つの食品の重要性について紹介してきました。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、この3つの食品だけを食べていても健康長寿は実現できないということです。
 
健康長寿の考え方の基本は、なるべく多くの種類の食品を摂ること。
この3つの食品は、いろいろな食品を摂る中での大前提、つまり優先して入れておくと非常に効果的なものという意味です。
私たちが目指す健康長寿食は、やはり習慣としてつづ得ることが大事ですし、何より食事は楽しんでとるものなのです。
 
3つの食品ばかりでは楽しくないでしょうし、毎回考え込んで食事するなどストレスがたまって、健康長寿にはかえって悪影響になります。
100歳を過ぎても健康な方の共通点は総じて「楽天家」――何ごとも楽しむ姿勢をもっているのが特徴です。
 
 
● 食卓も『色の種類』が多いほど健康的・・・レインボーフーズ
 
では「いろいろな食品を摂る」の「いろいろ」は、どう選んだらいいのでしょうか。
この基本となるのが、「レインボーフーズ」と言う考え方です。
 
第3章の雑穀類の話で同じようなことを述べましたが、食卓についても「色の種類」が多いほど健康的です。
そこで、レインボーフーズーー「7色の虹」のようにバランスよく食品をそろえる工夫をおすすめしたいと思います。
 
くわしくは後ほど説明しますが、食べ物の色素はサケのアスタキサンチン、トマトのリコピンなどのように、食品そのものの栄養素を形作っていることが多いのです。
食品の色素はポリフェノールと呼ばれる成分ですが、すなわち「食品の色は栄養素の表れ」と考えるべきなのです。
 
ですからトータルで多くの種類の色の食品をいただけば、それだけ多種類の栄養素を摂ったことになるわけです。
これを実践するのが、まさしくレインボーフーズという考え方です。
食卓に必要なのは「彩り」であり、理想はこれから紹介していく「赤」「緑」「黄」「白」「紫」「茶」「黒」の七色がそろっていることです。
これこそ、健康長寿を実現する栄養のバランスといえるでしょう。
 
ただ実際問題、家庭で厳密に色分けするのは不可能でしょうから、見た目の印象での区別でかまいません。
本当に重要なのは色の区分ではなく、あくまで多くの色の食品を食べることなのです。
 
 
● 野菜、果物、魚・・・色が濃いほど食材の『生きる力』が強い
 
ここから具体的に色の区分をし、個別の食品がもつ力について紹介していきます。
これらの食品に関しては、なるべく色の濃いものを選ぶことをおすすめします。
 
たとえば、野菜が濃い色をしている1つの理由は、強い紫外線から身を守るためであり、この場合、色素は有害物質から身を守るための成分なのです。
ですから色が赤ければ赤いほど、黄色ければ黄色いほど、野菜や果物の生きる力が強く反映されているというわけです。
 
野菜や果物以外の食品の色素も、サケなどの項目を呼んでいただければ分かるとおり、生き物の生きる力そのもの。
これも「機能ユニット」と考えていいでしょう。
つまり、食材は総じて「色が濃ければ濃いほど健康長寿に効く」ことを認識していただくのが基本です。
 
こうしたレインボーフーズ、まずは赤から見ていきましょう。
 
 
 サケ・・・赤の色素に強力な抗酸化作用
 
サケは、抗加齢にもっとも力を発揮する魚です。
サケの赤い色素成分であるカロテノイドの1種アスタキサンチンは、強力な抗酸化作用を持っており、老化防止に大きく役立ってくれます。
 
その力強さは、ビタミンEの実に500倍です。
もともと海藻の色素であるアスタキサンチンは、熱を加えると赤くなるカニやエビの色素でもあります。
サケが急流を遡上する光景を思い浮かべてください。
激しい運動による体へのダメージを軽減しているのが、アスタキサンチンなのです。
つまり、運動による活性酸素の発生を抑え込んでいるわけです。
 
またアスタキサンチンには、脳の炎症を抑える抗炎症作用も強く、傷ついた脳細胞を修復する働きがあります。
脳の活性酸素も除去してくれるので、アルツハイマー病の予防にも効果が期待できます。
 
サケには、生活習慣病を予防するビタミン類やDHA、EPAなども豊富です。
火を通しても、ほとんど栄養価が損なわれることがないのも大きなメリットです。
 
 
 トウガラシ・・・体を温めて中性脂肪を燃焼
 
トウガラシの辛味成分は、カプサイシンといいます。
カプサイシンは、体内に入ると血液を介して脳に運ばれ、人間の行動を活発にする交感神経に働きかけます。
これにより交感神経からアドレナリンが分泌され、体が温まり汗が出てきます。
この過程で中性脂肪が燃焼されるので、肥満が解消されるというわけです。
 
肥満の問題は「美容」「ダイエット」の観点から語られがちですが、人間の老化を促進させる典型的な症状です。
太っていてはアンチエイイジングは実現できません。
 
カプサイシンには体を温める効果がありますが、インドやメキシコでは意外なことに「暑さ対策食品」として親しまれています。
これは発汗を促し、体の熱を外に出すことで体温を下げてくれるからです。
寒い季節には体を温め、暑い季節には涼しくしてくれる、トウガラシは実に機能性の高い食品なのです。
 
だからといって激辛などの辛味を過剰摂取した場合は、胃に負担がかかってしまい、胃ガンの原因になってしまう可能性もあるので、ピリ辛程度の辛さにとどめておくのが健康長寿にはいいでしょう。
 
 
 トマト・・・老化の原因の活性酸素を除去する力
 
トマトの赤い色素はリコピンと呼ばれるものです。
トマトは熟す過程でリコピンが発生して赤くなります。
本章の冒頭で述べたように、赤ければ赤いほどリコピンが多く含まれています。
 
抗酸化作用があるカロテノイドの中でも目立って効果が高いリコピンは、老化の原因となる活性酸素を除去する力において、ビタミンEの100倍といわれています。
また最近の研究ではリコピンに、がん細胞の成長を抑える効果があることも分かってきました。
 
リコピンは熱に強く、火を通しても効能が失われないので、トマトはどんな料理で食べても、リコピンパワーを余すことなくいただくことができる優れものです。
他にもトマトはビタミン類が豊富ですが、肌の老化を防止するビタミンH、毛細血管を強化するビタミンPといった、一般にはあまり聞き慣れない栄養素も含んでいるのが特徴です。
 
 
 にんじん・・・1日分のビタミンAを手軽に摂取
 
にんじんの色素であるβ‐カロテンは、体内に入ると必要な分だけビタミンAに変化してくれる便利な栄養素です。
ビタミンAは皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫力を高め細菌感染や風邪を予防します。
また抗酸化作用があり、高脂血症や動脈硬化の改善に有効なだけでなく、ガンなど悪性腫瘍の発生を抑える働きも確認されています。
 
ただ、ビタミンAには脂溶性という特徴があり、体の中の脂肪に解けてなかなか排出されにくい欠点があります。
すべてのビタミン類についてもそうですが、やはり、過剰摂取は禁物なのです。
 
この点、β‐カロテンは体が必要としている分だけしか、ビタミンAにならない特性があるので、にんじんを食べ過ぎたからといって、ビタミンAの過剰摂取にはならないという大きな長所があるのです。
量の目安は1日2分の1本です。
これで体が1日に必要とするビタミンAが摂れます。
 
またカルシウムも豊富なため、骨や歯を丈夫にし、更年期障害の症状をやわらげてくれる働きもあります。
にんじんには、リンゴなど他の食品と同様に皮の下に栄養が詰まっているので、皮ごと料理するのがおすすめです。
 
 
 リンゴ・・・カリウムが血圧安定や疲労回復に効果
 
リンゴの有効成分は数多くありますが、まずはミネラルの1種、カリウムに注目です。
カリウムは血液を安定させ、体内の老廃物の排泄を助けて、疲労回復の効果もあります。
逆にカリウムが不足すると疲れやすくなり、めまいや筋肉痛、不整脈といった症状が出てきます。
 
カリウムは血圧を安定させ、体内の老廃物の排泄を助けて、疲労回復の効果もあり、不足すると疲れやすくなり、めまいや筋肉痛、不整脈といった症状が出てきます。
カリウムは加熱すると効能が失われやすいので、リンゴはなるべく調理しないことがすべての栄養素を摂るためのコツです。
 
厚生労働省が健康増進のために提唱している「健康日本21」。
ここで推奨されているのが1日に200gの果物ですが、リンゴは中くらいの大きさのものでも200g以上はありますから、1日1個で必要な量は摂れます。
 
リンゴには複数のポリフェノールが含まれていますが、中でも脂肪の蓄積を抑制しガン細胞を死滅させる働きもある、プロシアニジン類が豊富に含まれています。
 
その他、食物繊維のペクチンには、腸内で消化物を包み込んで排泄をスムーズにしてくれる働きや、腸内の乳酸菌を増やして悪玉菌を減らす働きがあります。
これにより便秘の改善や血圧を下げる効果がもたらされます。
 
 
 赤ワイン・・・アルツハイマー病の予防に大きな期待
 
ポリフェノールとは植物の色素や苦味成分のことで、植物の生成や活性化を担っています。
ポリフェノールだけで実に300種類以上あるといわれますが、一般的に知名度が高いのが緑茶のカテキンやブルーベリーのアントシアニン、ウコンのクルクミン、大豆のイソフラボンなどでしょう。
 
赤ワインで注目すべきポリフェノールが、レスベラトロールと呼ばれるものです。
レスベラトロールは多くのポリフェノールがそうであるように、抗酸化力、抗炎症作用に優れた働きがあります。
 
またそれだけでなく、長寿遺伝子の活性を高めて寿命を延ばすという研究結果も出されています。
世界的に見て高脂肪・高カロリーの食事をしているフランス人が、なぜ長寿なのか。
これは、彼らが世界一の消費量を誇る赤ワインのおかげなのでしょう。
 
赤ワインには、このレスベラトロールの他に、ブドウの渋み成分であるタンニン、色素成分であるアントシアニン、フラボノイドなどの多種類のポリフェノールが含まれています。
 
どのポリフェノーrが作用しているかは研究段階ですが、赤ワインがアルツハイマー病を予防する働きにも注目が集まっています。
これらに多糖類のポリフェノールは、ブトウの果皮や種に含まれているものなので、ぶどうは皮ごと食べるのをおすすめします。
 
また、赤ワインは、発酵食品であることも認識しておきましょう。
「酒は百薬の長」といいますが、健康長寿を考えるなら赤ワインがおすすめです。
適量は1日にワイングラス1杯から1杯半。
もちろん、飲みすぎると心臓や血管にダメージを与える場合があります。
 
赤の食品では、他にスイカやマグロ、いくらやイチゴが考えられます。
 
 
 緑茶・・・カテキンが悪玉コレステロールを減らす
 
緑茶の老化防止のシンボルは、先ほども紹介したポリフェノールの一種で渋み成分を持つカテキンです。
効能はこう酸化作用が代表的ですが、それだけでなく体内のコレステロールを減らし、血栓ができるのを防ぐ働きもあります。
 
緑茶については、ガン予防に関してさまざまな報告がされています。
有数のお茶の産地である静岡県川根本町の男性は、胃ガンでなくなる確率が全国平均に比べて5分の1という低さです。
これこそカテキンの恵みでしょう。
 
また、アルツハイマー病のマウスを使った実験では、カテキンの投与によりマウスの脳の老人班が半分に減ったという研究結果も出されており、緑茶は脳の老化防止にも役立つことが次第に明らかになっています。
カテキンパワーを十分にいただくには、1日に500ml飲むのが目安です。
煎茶、番茶、玉露茶・・・・・・種類は問いません。
ほっと一息、1日5杯のお御茶を意識しましょう。
 
それ以外にも緑茶には、血管を強くするフラボノイド、脳・神経機能の有効成分であるテアニンなどが含まれています。
ウーロン茶や紅茶と比べても栄養分が多く、アンチエイジングには緑茶がピッタリなのです。
 
 
 ブロッコリー・・・老化防止効果における「野菜の王様」
 
ブロッコリーのシンボルは、200種類以上あるファイトケミカルです。
ブロッコリーほど、ファイトケミカルを含んでいる野菜はありません。
 
ファイトケミカルとは植物に含まれる化学物質で、植物が暑さ寒さ、乾燥、強い紫外線などの厳しい環境から身を守るために作り出した成分です。
老化の大敵である体の酸化を防ぐ抗酸化作用が強力なだけでなく、発ガン物質の活性化を防ぐ抗腫瘍作用の働きもあります。
 
ブロッコリーの栄養価は、ファイトケミカルだけにとどまりません。
それ以外にも抗酸化ビタミンのビタミンC、胃潰瘍を防ぐビタミンU、インスリンの働きを助けるクロム、動脈硬化や便甥予防に効く食物繊維のほか、ファイトケミカルと同じようにガン細胞の発生をブロックしてくれる、体内でビタミンAに変わるカロテンなどといった豊富な栄養素をもっています。
 
まさにブロッコリーは、老化防止において「野菜の王様」と呼べるでしょう。
こうした効能を余すことなくいただくには、房だけでなく茎も残さず食べることが重要です。これらの栄養素は、茎にもたくさん含まれているからです。
 
 
 かいわれ大根・・・『新芽の力』に含まれる大量の栄養素
 
食卓では、あまり目立たない存在のかいわれ大根ですが、ミネラルやビタミン類が豊富に含まれる健康食材です。
 
中でも注目すべきはかいわれ大根を含め新芽類にしかない栄養素のスルフォラファンです。
スルフォラファンはファイトケミカルの一種で、先にも述べたように抗酸化作用が強いだけでなく解毒作用、強力なコウガン作用があるといわれています。
 
他に新芽類といえば、もやしやたけのこなどがありますが、植物が新芽を出す際にはさまざまな栄養素が大量につくられます。
その際に生み出されるビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどを含んでいる新芽類はいわば栄養の宝庫であり、一般に強い抗酸化作用を持っています。
 
かいわれ大根の力は、この「新芽の力」にほかなりません。
また辛味成分のイソチオシアネートにも抗ガン作用があるので、かいわれ大根は強力な抗ガン食品といってもいいでしょう。
 
緑の食品は他に小松菜、ピーマン、キャベツ、枝豆、キウイフルーツ、オクラ、春菊、ほうれん草などが考えられるでしょう。
 
 
 グレープフルーツ・・・クエン酸に疲労回復、諸局増進の効果
 
次は「黄色」のしょくひんを挙げてみます。
グレープフルーツの独特の苦味は、ポリフェノールの一種であるナリンギンという成分にあります。
 
この成分は中性脂肪を分解する働きがあり、こう酸化作用も認められています。
また豊富に含まれるクエン酸はグレープフルーツの酸味成分で、疲労回復や食欲増進に効果があるだけでなく、通風の医薬品にも用いられている有効成分です。
 
グレープフルーツだけでなく、ミカン、オレンジなどの柑橘類の含まれるフラボノイドは活性酸素の発生を抑え、細胞の老化を遅らせる働きがあります。
ちなみに「ルビー」と呼ばれる赤い果肉のグレープフルーツには、トマト同様、リコピンやカロテンが含まれており、「ホワイト」と呼ばれる黄色い果肉のものより栄養価の面で優れています。
 
グレープフルーツを選ぶときのポイントは形が整っていて、ズッシリと重荷があることです。
果皮のシミは、中身には関係がないので気にする必要はありません。
 
注意点を一つ述べると、降圧剤を服用している人は、グレープフルーツを食べると血圧が下がりすぎてしまう恐れがありますので、控えたほうがいいでしょう。
 
 
 バナナ・・・長時間の『エネルギー食』として最適
 
オイゲノールというファイトケミカルは、バナナの香り成分です。
オイゲノールには、白血球の一部である好中球(こうちゅうきゅう)を活性化する働きがあり、この効力がバナナを食べた後に48時間も持続するのです。
その結果、免疫力が高まり、風邪や傷の治りを早めてくれます。
またオイゲノールには殺菌作用や抗酸化作用があるため、防腐剤、医薬品にも用いられています。
 
バナナに含まれる糖質はブドウ糖、ショ糖、果糖、でんぷんなど多種類に分類できますが、それぞれ体内に吸収される速度が違うので、バナナは「長時間のエネルギー源」として活用することができるのです。
ちなみに、選挙事務所にバナナが積んであるのを見たことがある方もいるでしょう。
市民マラソンのコースでも、途中の栄養補給に良くバナナが用意されています。これは長期戦には、やはりバナナがぴったりだからです。
 
さらにバナナに豊富なビタミンB群は、糖質やたんぱく質の代謝を促し、エネルギーに変える働きを促進してくれます。
ビタミンB群も『エネルギー食』としてのバナナの重要な栄養素なのです。
 
 
 オリーブオイル・・・大切な必須脂肪酸を効率よく補える
 
オレオカンタールとは「エキストラバージン・オリーブオイル」から抽出される物質で、オリーブオイルのピリッとする味のもとです。
この物質には抗酸化作用と抗炎症作用があり、抗炎症薬物のイブプロフェんと同様の効能をもっていることが研究で明らかになっています。
 
オリーブオイルはオレオカンタール以外にも、そこに含まれているビタミンEやポリフェノールが老化防止に効果を発揮しますが、注目はやはり必須脂肪酸です。
必須脂肪酸は脳、皮膚、血液になくてはならない有効成分ですが、体内ではほとんどつくれないので、私たちは食事からとらなければなりません。
実はこれを効率よく補ってくれるのが、オリーブオイルなのです。
 
オリーブの産地である地中海沿岸のお年よりは、皆さんお肌がツルツルです。
これこそオリーブオイルの効能の賜物でしょう。
 
他に黄色の食品ではレモン、パイナップル、カボチャ、マンゴー、びわ、卵の黄身などが考えられます
 
次は「白」の食品を見てきましょう。
 
 
 牛乳・・・精神の安定をもたらす『癒しのホルモン』
 
牛乳の効能が最大限に発揮されるのが、夜寝る前にホットにしていただく方法です。牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンは、「癒しのホルモン』と呼ばれるセロトニンの減量となり、精神の安定をもたらして快眠へといざなってくれます。牛乳は寝つきが悪い日と、眠りが浅井人、ストレスを感じている人にピッタリの商品といえるでしょう。
ちなみに、私たちの精神状態を左右する脳内ホルモンには、興奮状態に導くドーバミンやアドレナリンのほか、先ほど説明した精神の安定をもたらすセロトニンがあります。このセロトニンの分泌が十分でないと、精神がバランスを失い、うつ病の原因になったりするので注意が必要です。
トリプトファンは人間の体ではつくれませんが、牛乳のほかに卵、チーズ、よー靴と、納豆、大豆製品といった食品にも含まれています。日常のストレス対策のためにも、こういった食品を豆にとるようにしたいものです。
 
 
 タマネギ・・・辛味成分に血管の老化を防ぐ働き
 
タマネギは野菜の中でも糖質が多く、エネルギーのもとになってくれます。
また高脂肪食を摂った場合、コレステロール値を下げる働きも確認されています。
 
タマネギ特有の催涙性の辛味成分である硫化アリルには、血栓をできにくくして血流をスムーズにし、血管の老化を防ぐ働きがあります。
硫化アリルにはその他、ビタミンB1の吸収を促進する働きがあり、食欲増進、精神安定、疲労回復にも役立ってくれます。
ですからお肉を食べるときには、ビタミンB1を多く含んでいる豚ヒレ肉といっしょにタマネギを摂ると、2つの食品のいいとこ取りができるでしょう。
 
そしてもう一つ健康長寿を強力に後押しする栄養素が、タマネギだけでなくリンゴにも多く含まれるポリフェノールの一種ケルセチンです。
ケルセチンにはビタミンEよりも強力な項酸化作用があり、硫化アリルと同様に動脈硬化や高血圧を予防し、血栓を防いでくれる働きがあります。
 
タマネギの栄養素を余すことなく摂るには、やはり生食でオニオンスライスなどがおすすめです。
またいつも捨ててしまう皮には、ケルセチンが多く含まれているので、煮出すなどして皮も有効活用したいところです。
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001