■ 山菜の話 その1
ふきのとう(蕗の薹)
 
●春の香りとほろ苦さを楽しむ
雪解けを待たずに顔を出す春の使者、「ふきのとう」は、フキの蕾(つぼみ)で、一番早くでてくる山菜です。
冬眠から目覚めた熊が、まず最初に食べるものが、「天然ふきのとう」だそうです。
春先になると、人々も、太古の昔からふきのとうを食して来たそうで、独特の香りとほろ苦さが春の息吹を感じさせてくれます。
 
冬の間にたまった余分な脂肪等をを洗い流し、特有の風味が、体の健康維持に新しい目覚めと活力を与えれくれます。
 
天然ふきのとうには、独特の苦味があり、最初は抵抗感がありますが、一度食べ始めると、ついついお口に運んでしまうと言われる不思議さを持っています。
 
ふきのとうの旬は場所によって違いますが、平地では2月から3月、山地では3月から4月です。
 
一般に流通しているふきのとうは、栽培品です。
 
●ふきのとうの栄養・効能
ふきのとうは、ふきより栄養価が高く、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、カリウム、リン、鉄、銅、食物繊維などを多く含みます。
昔から、春の山菜には冬の間に体に貯まった老廃物を排出する働きがあると言われているように、ふきのとうはビタミンやミネラルを多く含んでいるからです。
 
βカロチンやビタミンB群、C、E、Kなど、ほとんどのビタミンがふきの数倍から十倍以上含まれており、また、カリウムやカルシウム、マグネシウムやリンといったミネラルも豊富に含まれているといいます。
 
更に、ふきやふきのとう特有のにがみや香りにもそれぞれ働きがあ、にがみはクロロゲン酸というポリフェノールの一種の成分です。
クロロゲン酸は抗酸化作用のある成分で、老化やガンにたいして予防するといった働きがあります。
 
また、香りには咳止めや喉の炎症を抑えるといった効果や食欲増進といったがあるとされています。
 
ふきのとうを料理する際にはまず、ふきのとうの外側の皮を一枚はがし、根本などの黒くなっている部分を取り除きます。
アクが出ますので、水などにつけながら作業するとよいでしょう。
その後は天ぷらにしたり、油炒めや、刻んでふき味噌にしたりと、春の風味を色々な料理で楽しんでください。
 
 
●ふきのとうの食べ方
 
◆ まず、ふきのとうの下処理をします
山から採った「天然ふきのとう」には、土やゴミが付いたままになっています。
また、表の葉の一部が枯れたように黒く、根本もネバネバで黒く変色していますが、これは空気に触れた部分が酸化し黒くなる為であって、良質な天然物の証拠であり、鮮度が悪いわけではありません。
お料理の前に、黒く変色した部分を取り去る下処理を行いましょう。
 
まず、大きめの器にたっぷりの水をはって、ふきのとうを浸します。
づきのとうの黒ずんだ根元から軽く包丁を入れ、表皮を一皮はぎとります。
隣に同じように水をはった別の器を置いて、処理がすんだものから綺麗な水に浸していきます。
 
 
◆ ふきのとうの天ぷら
きれいに下処理の済んだ、天然ふきのとうの天ぷらは最高!
天ぷらは、アク抜きをしなくとも大丈夫です。
 
まな板の上で、少し平たく潰します。こうすると油の通りがよくなります。
 
天ぷら粉と水を、あわせます。
天ぷらの衣はあまり厚く付けず、薄めのほうがいいでしょう。
油の温度は170℃〜180℃ぐらいがよいでしょう。
あまり低い温度だと、仕上がりがカラッとなりませんので、注意しましょう。
目安としては、天ぷらの衣を油に落としたとき、鍋の底まで沈んだかと思うと、すぐに浮いてくる感じです。
あまり一度に多くの量を入れてしまうと油の温度が下がってしまいますので、一気に入れすぎないように注意しましょう。
 
油から揚げる目安は、泡のツブツブがなくなるまで、じっくりと揚げましょう。
箸で触っって、 カラカラとした軽い感じがしてきたら、揚げ頃です。
苦みに弱い方は少し長めに揚げて下さい。
天つゆでもいいですが、塩でもなかなかです。
 
 
◆ ふきのとう味噌の作り方
ふきのとう味噌は春を感じさせる食べ物の一つで、生命力あふれる春の香ばしい苦みがなんとも美味しい。
どんどんご飯がすすみます。お酒の供にも喜ばれます。
 
【作り方】
材料としてはふきのとう10個に対して、みそを大さじ5〜6、酒を大さじ1〜2、砂糖を大さじ5〜6、みりんを大さじ1、醤油小さじ1、ごま油かサラダ油を適量といったところです。
まず、ふきのとうは外側の葉っぱ(正確にはガクの部分)を1枚はがし、固い芯の部分も落としたあと、水で丁寧に洗い、鍋に沸騰させたお湯に入れてゆでます。
さて、ゆでてアクが出ると、お湯が茶色っぽくなってきますのでザルにあけて湯を切りよく水洗いしてアクを流しきります。
水気を切ったら細かくみじん切りにします。
フライパンに油をしき、熱したあと、先ほどのふきのとうを入れて炒め、酒、砂糖、味噌、みりん、醤油を加えて味を調えればふきのとう味噌の出来上がりです。
 
 
* 一般的には花が咲いた状態のふきのとうを食べる事は避けられますが、細かく刻んで油味噌に絡める「ふきのとう味噌」などには利用可能です。
伸びたフキノトウも葉や花を取り除き、茎の部分を軽く灰汁抜きしたものを肉や刻んだ油揚げ糸コンニャクなどと一緒に煮付けても美味しいです。
 
* フキ(蕗)は、キク科フキ属の多年草。日本原産の山菜・野菜です。
北海道本州四国九州及び沖縄県に分布し、北は樺太から朝鮮半島中国大陸でも見られます。
 
* 山では沢や斜面、河川の中洲や川岸、林の際などで多く見られます。
郊外でも河川の土手や用水路の周辺に見られ、水が豊富で風があまり強くない土地を好み繁殖します。
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001