帯津良一・幕内秀夫 著   三笠書房
「なぜ「粗食」が体にいいのか」  より その5
 
 
● 買い物では「調味料・水・素材の順」
でこだわってください!
 
さて、大切なものの順位が9番目だということを納得していただいたうえで、買い物の話を進めます。
 
現在の食生活には、あまりにも農薬や食品添加物や化学物質が多すぎます。
だから、買い物の際、ある程度注意していただいたほうがいいのは事実です。
ただ、これは財布と相談のうえということになりますね。
 
買い物をするとき気をつけるべきものの順番は、「調味料>水>石鹸>加工品>素材」となります。
上にあるものほど優先順位が高いということです。
 
ここで確認しておきますが、「調味料」というのは味噌、しょうゆ、油、砂糖、塩のことです。「水・石鹸」というのはそのままです。
練り製品、大豆製品、缶詰などが「加工品」です。
「素材」というのは、米、野菜、魚などです。
 
この中で、体に一番大事なのは間違いなく水です。
ただ、現実的な優先順位では、調味料のほうが上だと思います。
 
体に大切な順ではなくて、現実的な優先順位というのは、下に行けば行くほど、買い物の回数が増えるからなんです。
買い物の回数が増えると、それだけ実行するのが難しくなるんですよ。
野菜や魚などと違い、味噌、しょうゆを2日に1回買いに行く人はいませんからね。
つきに1回程度でしょう。
ところが、野菜などになると、2日に1回ということになるので、手間の問題も出てくるんです。
ですから、まず調味料を見直すことをお勧めします。
でも、それさえ難しい人は、せめて、ご飯、味噌汁、漬物の3本柱くらいはよくしたいですから、味噌くらいはスーパーではなく、自然食品点で買うほうがいいと思います。
 
もっとも、自然食品店で売っているものが全部自然かどうかなんて、私にだってわかりません。ただ、スーパーでは話にならないから、ベストではなく、ベターだと思えばいいんです。
 
3割や4割はだまされているなと思って、「ちょっと高いけれど、まあいいか」というくらいに思っていただければいいんです。
私は、自分で味噌もしょうゆも作る気がありませんから、だまされたら自分が悪いと思っています。だから、そう思って味噌はある程度高いものを買うべきです。
 
スーパーにも無添加味噌なんてありますよ。
だけれど、どれだけ寝かせているかわかりませんからね。
いくら無添加だって、3週間で作ったものは発酵していないんですから、味噌とは呼べないんですよ。
そういう意味で、できたら、いわゆる自然食品店で買ったほうがいいですね。
 
 
● 「豆腐がたくさんあるか」・・・・・・
いい食品店はここで見分ける!
 
ところで、自然食品店といわれる店の良し悪しを見分けるのは簡単なんです。
商品を見分けるのは難しいんですが、いい店かどうかはすぐにわかります。
野菜、豆腐、納豆、パンといった一般食品がたくさんおいてあるところは、いい店だと思って間違いありません。
 
逆に、何千円、何万円もするローヤルゼリーなどのいわゆる健康食品がいっぱいあるような店は、あてにならないと思って間違いなさそうです。
 
だって、考えても見てください、防腐剤の入っていない豆腐なんて、売れ残ったらすぐにだめになってしまいます。
しかも、定価が200円やそこらなんですから、1個あたりの儲けは知れています。
儲けることしか考えていないような店には、こんなばかばかしい商品はありません。
 
それよりは錠剤を売っていたほうが儲かります。プロポリスだのローヤルゼリーなどがたくさんある店のしょう油や味噌は、見せかけだと思えば間違いないと思います。
 
よい自然食品店を選んで、調味料をまず見直していただきたいですね。
 
どうしても、経済的にも、買い物の時間という点でも難しいという人は、買い物についてすべてやらなくてもいいです。順番から言えば9番目ですから。
でも、できれば、味噌くらいは、ちゃんと味噌になっている良いものを使って欲しいですね。
 
 
● 「水道水」「浄水器」
最低限ここだけは変えなさい!
 
次に水についてなんですが、まず言っておきたいのが、こういう健康不安時代ですから、わけのわからない水が山ほどあるということです。
 
「○○水」というもののことですね。「何とかイオン水」とか「パー何とかウォーター」とか、「波動水」とかいった「魔法の水」の類は全部うそだと思っていいです。
病気が治る水などあるわけがないんです。
 
こうしたものは論外として、今私たちが考えなければならないのは、誰がどうみても、今の水道水は安全だといいがたいということです。
 
たとえば、水道水でつくったウイスキーの水割りを飲んでもおいしくないということは事実なんです。
水道水は私たちの健康に取ってマイナス80点なんですね。
それでも、世界の中では、日本の水道水が一番飲めるものなんですけれどね。
 
そのまま飲めば、マイナス80点の水ですから、浄水器を使うことで少しでもましにすることを考えるわけです。プラスになりませんよ。
どんなに高い機械を使ったってマンションの水がどこかの名清水なんかに化けるわけがありません。
 
少しでも悪いものを除去するという考え方ですね。
性能については、浄水器メーカーがそれぞれ言い合っていますが、どれもだいたい変わりません。
結論を言うと一人暮らしの人は、蛇口につけるものでいいですね。
5000円、6000円から1万円ぐらいのどこのメーカーのものでもいいです。
 
ただ、マルチ商法だけは避けたほうがいいでしょう。
というのは、浄水器というのは、ほとんどがカートリッジ交換方式ですから、マルチ商法で買った人は、その会社がなくなってしまえば交換できなくなって、もう使えなくなってしまうからです。
 
蛇口形でも、使わないよりよほど水がおいしくなり、健康にもよくなります。
でも繰り返しになりますが、プラスにはなりません。
 
次に、家族の人には設置型を勧めます。
これについても、どこのメーカーも大差はありません。
いいものを選ぶ基準としては、5万円以下のものが妥当でしょう。
5万も10万も中身は変わりません。みんな活性炭と中糸膜というやつです。
 
お金があれば、水を買うのもいいと思います。
今、宅配便で送ってくれるものがります。
でも、私のうちではとうていそんな余裕はないですね。
浄水気をつけるのが現実的だと思います。
 
一般的には、ここまでのことをお勧めします。
この先の、豆腐、納豆、練り製品という加工品や野菜などの素材については、おカネと手間を考えて、できるところまで実行するようにしてください。
 
病院で患者さんに食事の指導をする場合にも、私のほうからは、まずこれ以上は勧めません。聞かれたら答えるだけです。
こちらから、無農薬の野菜、無農薬の米にしなさいとはいいません。そうすると、実行できなくなりますから。
 
ここまでなら、まずほとんどの人が実行できますね。
味噌なんかは値段的に3倍、4倍もしますが、たかが知れています。
そして、経済的に余裕があったら、加工品にもお金をかけていいものを選ぶ、もっと余裕があるなら、無農薬の米、無農薬の野菜、いい魚といった素材も購入する、というのが順番だと思います。
まず、調味料を見直すというのがスタートだと思うんですね。
ここまでが9番目の話です。
 
さて、次からは話の順番を戻して、食生活を具体的に改善する方法を大切な順に、1番から行きます。
 
 
● 「粗食」を実践すれば
「あなたの体」は確実に変わります!
 
食生活の改善で一番大切なことは、とにかくご飯をきちんと食べることです。
 
今まで私は何冊か本を書いているんですが、「本を読んだけれど、全部は実行できない。でも、ご飯だけはたくさん食べるようにしたら、体が変わった」という内容の手紙が何通も来ています。
 
ご飯をきちんと食べるだけで、そのぐらい変わるんです。
 
先日も、病院でアトピーの女の子とそのお母さんと話ししたんですが、一目見ただけで、見違えるほど症状が変わっていました。
その子の食事指導は2回目だったんですが、私の提案した食事がお母さんにとって負担になっていないかを確認しました。
食事の改善は家族ぐるみで生活を変化させることになりますから、私はいつも患者さんの家族に様子を尋ねることにしているんです。
 
それで返ってきた答が、「食事をつくるのに、本当に楽になった」ということでした。
それはそうでしょう。
私が勧めたのは、「ご飯を山ほど食べろ」ということだけですからね。
 
娘さんは12歳なんですが、1回目の食事指導に来たころは、一日のご飯を茶碗に1,2杯しか食べていなかったんですよ。
おなかがすいてしかたがないはずの12歳の年頃でご飯をそれだけしか食べなかったということは、余計なものを山ほど食べていたわけです。
 
今は1日に6杯から7杯食べています。おやつも全部おにぎりです。
これだけで、添加物は格段に減ってきます。
なぜなら、米に防腐剤なんか入っていませんし、着色料も普通は入っていません。
まずご飯をきちんと食べるというのは、最大の効果をもたらすんです。
 
なぜご飯を食べることが、そんなに重要かという理由を確認します。
 
ヒトという動物の基本的栄養素というのは、水とでんぷんです。
でんぷんのとり方としては、こめ、小麦、イモ、トウモロコシなどがあるわけです。
この中で、一番加工しないで食べられて、しかも、1億2000万人の人が1年間続けて毎日食べられるのが米なんですよ。
 
サツマイモも、主食の条件がほとんどそろっていて、いいんです。
けれど、飽きてしまって、とても毎日は食べられないのです。
主食の条件の一つは、飽きないということですね。
飽きてしまったら主食にならないわけです。
 
その点、水と米がなぜいいかというと、味や匂いが強くないからなんです。
水の場合、匂いや味がるようでは、うまくないです。
米も、甘みがあるといえばありますが、サツマイモほど甘くはありません。
味が強くないから、毎日食べることができるんです。
 
沖縄の人が昔サツマイモを主食にしていたときも、甘味の強いベニアズマなどの品種を食べていたわけではありませんでした。
ベニアズマはおやつとしてはいいけれど、主食には向かないわけです。
 
トウモロコシも、1億2000万の人が主食にできないですね。
トウモロコシというのは、水に弱いですからね。
本州以南のように雨の多いところでは育ちにくいんです。
 
反対に、サツマイモは北海道ではできません、
寒さに弱いという欠点があるんですね。
そうすると、米が一番無難という結論になるんです。
 
しかも添加物の心配は要りません。
農薬の話は別ですが、米に限らずトウモロコシもサツマイモもどれもが農業の問題は同じように関係がありますから、この件では結局大差がないことになります。
 
つまり、ご飯ほど大切なものはないということですね。
 
ここで勘違いしないでください。
一番目の提案は、玄米や三分づき米や胚芽米を食べろということではありません。
まずは、コンビニやスーパーの白米でもいいから、ご飯をきちんと食べることがもっとも大切なことなんです。
 
 
● パンにバター・・・・・「カタカナ食」を食べると
油がほしくなる!
 
パンは、日曜日の朝のように、手を抜きたいときだけに食べて欲しいと思います。
ご飯のほかのものとしては、そば、うどん、もちといった「ひらがな食」はまだいいんです。
 
パン、ラーメン、スパゲティという「カタカナ」食はあまり食べるべきではありません。
ダメだとは言いませんが、常食すべきではないということです。
私も、出張でホテルに泊まったときしかバターロールなんか食べないので、そのときはうまいなと思いますね。
でも、あれは主食にするべきではないんですよ。
 
なぜなら、カタカナ食は油がよくあうからなんです。
カタカナの食事は、カタカナの食品を余分です。
パンを食べるとき、一緒に何を食べるか考えてみてください。
ハムエッグ、コーヒー、サラダ、ドレッシング・・・・・・カタカナの食品しか出てこないんです。
 
ラーメンも肉の加工品(チャーシュー)とかラードなどのカタカナが合うんです。
スパゲティもそうですね。オリーブ油、チーズなどがつきものになっています。
 
その点、そばを食べるのにハムをのせる人はほとんどいないですね。
そういうものです。土台となる主食が上にのる食品を決めてしまうんです。
だから、パン、ラーメン、スパゲティをゼロにしろとはいいませんが、控えめにしたほうがいいんです。
 
 
● サラダは体に悪い?
「野菜」ではなく「ドレッシング」を食べているのです!
 
パンについて、もう少し詳しく話します。
パンの正体は簡単です。
朝は食べられても夜は食べられないもの、それがパンの正体です。
なぜ夜には食べられないものを、朝には食べられるかというと、寝ぼけているからです。
冗談ではなく本当にそうなんです。おなかがすいていないから食べられるんです。
 
また、こうもいえるでしょう。
朝食にパンが増えた原因は、夕食がなくなったことです。
夕食というのは、5時か6時にとる食事のことであって、9時、10時に食べるのは、夕食ではなく夜食です。
夜遅く食事をするから、朝起きたときおなかがすいていません。
ご飯では重くて食べられないから、ふわふわのパンを食べるようになるんです。
 
ただし、パンというときには、大きさの9割が小麦粉でできている固いパンと、小麦粉が少ししか含まれていないふわふわの食パンとに、分けて考えなければいけません。
食パンをぎゅっと握れば、ピンポンだまほどの大きさにしかなりません。
だから、体を使って仕事をしている人、たとえば農業をやっている人などは、朝にはパンなんか食べていません。
 
でも、サラリーマンなどで、夜にお酒と一緒に遅い食事を食べている人などは、朝はご飯では重いでしょうね。
そういう人は、パンにしないでお粥にすべきなのです。
または抜いてしまうことです。そのほうが、まだいいくらいです。
 
ふわふわのパンというのは砂糖と油の入ったお菓子のようなものです。ケーキほど甘くはないでしょうが、それでもそうとう甘いですから、3回続けて食べられません。
しかもパンはぱさついていますから、その上にジャム、マーガリン、バターなどの油や砂糖をまた塗るんです。それを総称して、「恥の上塗り」といいます。
味噌を塗る人はいませんからね。要するにさらに砂糖を食べるわけです。
 
また、パン食の人は、寒くなってもサラダを食べます。
それで、レタス、キュウリ、トマトが高いと文句を言うことになります。
夏の野菜を秋や冬に食べるんですから、高いのは当たり前ですね。
 
そんな高いものを買ってまで、なぜパン食の人はサラダを食べたがるのかというと、ドレッシングやマヨネーズをかけたいからなんです。
 
つまり、油でおなかをいっぱいにしているんです。
しかも、パン食でもう一品作る人は、全員フライパンを使います。
目玉焼きやオムレツを作るためにね。
 
飲み物にもパン食の特徴が出ます。
ご飯を食べる人の飲み物は味噌汁かお茶です。
ところがパン食の場合は、おなかがいっぱいになっていないから、牛乳やジュース、またはコーヒーに砂糖をたっぷり入れて飲むんです。
それもこれも、ふわふわのパンは、小麦粉が少ししか使われていないので、おなかがいっぱいにならないせいです。
 
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001