あんな話 こんな話 (69)
 
森下敬一 『食べもの健康法』 より その10
 
 
● なす
 
「一富士、二鷹、三なすび」とは、吉兆を意味する夢占いだが、数ある食品群の中ら、あえてなすびを選びとったとは、この語録の作成者は、よほどのなす愛好家だったのであろう。
 
確かにわれわれのまわりにも、なすに目がない人は少なからずいる。
それも無理からぬ話である。
まさしく”日本の味””おふくろの味”を代表する料理である焼きナス、しぎ焼きなどがあるのだから。
そして、てんぷらや汁の実、漬物など、どれも美味しい。
 
お隣の中国人のなす好きは、日本人以上のようだ。
美味にして、餅肌のようになめらかで、濡れたカラスの羽のように輝く美しさは、他に比べるものとてない・・・・・・という讃辞「甜而糯」が、なすに対して贈られているという。
 
なすの薬効をズバリ一言でいうと、血の気の多い人の心身を沈静化させることである。体を冷やす作用が著しいのだ。
肉食過多のために、頑固な便秘症になり、血液中に老廃物がどっさり入って血圧が高くなっている人、毛細血管に動脈硬化が起こって破裂しやすくなっている人、毛細血管に動脈硬化がおこって破裂しやすくなっている人、また実際に破裂して喀血や吐血をおこしている人には、なすの常食は卓効をあらわす。
 
その清涼食としての特性に、ナスに含まれていつ微量有効成分が加勢しているのだ。
つまり、毛細血管を強化するビタミンPやC、代謝を促進するビタミンB1、B2、血液正常を健全にするカルシウムなのだ。
 
肉食の中国人がなすをめでるのも、生理的要求がその根源になっている、とみてよかろう。
同様に、雑穀や野性味の強い植物、それにときに野生の鳥や獣を食べていた昔の日本人が、なすを珍重したのも、まったく合理的なことであった。
 
病気といえば、高熱を発し、七転八倒するような痛みが起こる急性熱性病をおこすのが常だった、陽性体質の先輩たち。
そんな彼らには、体質を陰性化することのよって、健全な中庸体質に調整してくれるなすは、何より貴重な薬効食品だったのだ。
 
だから、これまで人一倍肉食を多くしてきた人で、のぼせ症や高血圧症の人は、積極的になすを取るとよい。
 
なすがインド原産の夏野菜であることは、暑い季節に体の過熱を防ぎ、涼しく快適にすごすのに役立つわけで、まったく天の配剤とはこのことだ。
なお、食品の色も、食品の基本的性格をあらわしていて、紫色といのは、一番陰性で、冷却作用の強いものである。
 
このような大自然の原理を素直に受け止めて身を処していくのが、健康長寿のキメ手となるのである。
ビタミンPが含まれているから老年病に最適・・・・・・などと、食品分析学的な単純な考え方をしてはだめだ。
 
体質が陰性化している人が、冬に、温室栽培のナスを食べる、などというのは自殺行為の何ものでもない。
 
幸い、なすは植物油と大変に相性のよい食べものである。
よく炒めるか、焼くかしてから、じっくり煮込み、味噌、諸油で味を調えると、ずいぶんと陽性化される。
 
しかも、なすの組織はスポンジ状になっていて、加熱しながら油を作用させると、よく吸収される。
そんな状態の油は、消化管内では徐々に外に出て行って消化される。それゆえ、脂っこくなく、おなかの弱い人でも、効果的に脂肪酸(リノール酸)の補給ができる。
 
なお、焼きなすは皮を真っ黒に焦がすほど焼くから、やはり陽性化される。
醤油、おろししょうがで食べると、さらに陽性になる。
へた付きのまま軽くたたき、全体を柔らかくしてからじっくり焼き上げるのがコツである。
 
 
■ ナスのオーブン焼き
材料(4人分)
・なす・・・4個  ・あさり(むき身)・・・200g  ・玉ねぎ・・・1個  ・ピーマン・・・2個
・しいたけ・・・4枚  ・トマトピューレ・・・2/3カップ  ・にんにく・・・1片
・パン粉・・・大さじ3  ・ごま油・・・大さじ3  ・自然塩・・・少々  ・自然酒・・・少々
作り方
@あさりは塩水で洗い、ザルに上げて酒少々をふりかけておきます。
Aなすは薄切りにし、玉ねぎはみじん切り、ピーマン、しいたけは千切りにします。
Bフライパンにごま油大さじ2杯を熱して、なす、あさりを炒めて取り出し、あとにごま油大さじ1杯をたして、たまねぎ、しいたけ、ピーマンを炒めます。
C、Bにトマトピューレ、塩、にんにくのすりおろしを加えて調味し、なす、あさりを混ぜます。
D耐熱皿にマーガリンを塗ってCを入れ、パン粉をふって200度のオーブンで5〜6分焼きます。
 
 
■ ナスの中華風酢のもの
作り方
中なすを、赤とうがらし、米酢、みりん、ごま油のタレで和え、みじん切りにした玉ねぎを散らします。
 
 
 
● くるみ
 
現代人が健康管理を行う際に考慮しなければならない重要事項の一つは、抗公害性を高めること。
そのために大いに活用したいのは松の実、くるみ、栗、カシューナッツ、ピスターチオ、アカダミアナッツなどのいわゆる「ナッツ」類だ。
 
これらはいずれも、基礎体力を増強するとともに、細胞の防水性を高めることによって、抗公害性をうんと高めてくれるのである。
ここでは入手しやすいくるみを取り上げるが、薬効は他のナッツ類も大同小異だから、いろいろな味を楽しみながら公害に強くなろう。
 
さて、基礎体力を増強するのは、くるみに粗蛋白、ビタミンB1が豊富に含まれているため。
粗蛋白は、肉、卵、牛乳の動物蛋白と異なって、体蛋白の自家生合成にスムーズに組み込まれるから、内臓や筋肉を丈夫にして、その働きを強めスタミナをつける。
B1は代謝を高め、疲れを早く直す。
 
昔に比べて運動量は激減しているのに、現代人がやたらに疲れやすくなっているのは、精神的ストレスに加えて、白米・白パン主食によって引き起こされる深刻なB1不足のため。
疲れが蓄積すると、体の抵抗性は低下する。
 
細胞の防水性が高められると、細胞にとっての不要な水分ははじき飛ばされるから、公害物質も細胞を侵しにくくなる。
われわれの体内では、すべての物質は水に溶かされた形で動き、そして代謝されている。
 
余計な水分が細胞内に入り込めば、それだけ不要な物質も浸入して、細胞活動は混乱させられてしまう。その典型的な例は肥満だ。
それで肥満体はスタミナがなく、いろいろな病気にかかりやすい。
公害にも弱くなっているはず。
過食をやめてくるみを常食することは、非常に有効な肥満防止法である。
 
胡桃が細胞の防水性を高めるのは、リノール酸などの不飽和脂肪酸を豊富に含むため。
このリノール酸は、余分なコレステロールを洗い流す働きもあるから、くるみは動脈硬化、高血圧、腎臓病の予防に役立つ。
 
また、クルミにはビタミンEも多い。
Eは体組織での酸素の利用をよくする働きをする。
代謝が鈍って老廃物が停滞すると、組織は酸欠状態となる。
だが、そこにEが作用すると組織の活動は活発になり、本来の機能がよみがえる。
髪の毛が薄くなってきたとき、白くなりかかったときにくるみを食べると黒くつやのよい毛になってくるのもそのため。
 
髪だけでなく、くるみは著しい健康効果を表す。
脳は体のどの組織よりも大量の酸素を必要とする器官なのだ。
Eは血液循環をよくする作用もあって、息切れを治し心臓の負担を軽くする。
さらに不飽和脂肪酸は便通を整え、腸の過敏性をなくして、自律神経を安定化させる。
 
 
■ くるみ和え
材料(5人分)
・白菜・・・300g  ・さやえんどう・・・30g  ・くるみ・・・30g
・白みそ・・・大さじ1  ・ミネラル水・・・大さじ1  ・しょうゆ・・・大さじ1/2
・自然塩・・・少々
作り方
@白菜は、一口大にそぎ切りし、さやえんどうは塩ゆでして水切りしておきます。
Aくるみをすり鉢でよくすり、白みそ、しょうゆ、塩、水を加えてすり混ぜ、@を和えます。召し上がる直前に和えてください。
 
 
■ くるみせんべい
材料
・くるみ・・・30g  ・地粉・・・1カップ  ・胚芽粉・・・1カップ  ・自然塩・・・小さじ1
・植物性バター・・・大さじ1  ・ミネラル水・・・1と1/2カップ  ・ごま油・・・少々
作り方
@くるみを粗みじんに切っておき、材料全部を混ぜ合わせ、よく溶きます。
A天火の皿に油を塗り、小さじ1杯ずつ薄くのばし、180度で10分ぐらい焼きます。
Bフライ返しで、はがすようにとります。
 
 
 
● ぎんなん
 
ぎんなんはイチョウの実である。この胃腸という植物は、「生きた化石」といわれるように、太古の姿のままで今日も生き続けている。
大変な生命力をもった植物なのだ。
 
火事などで木が焼けてしまっても、すぐ根元から芽が出てくるし、千年も経った木でもぎんなんをどんどん実らせる。
種には、その植物の生命力が凝縮されている。
 
昔の人たちがぎんなんを珍重したのは、その驚異的な生命力にあやかろうとしたのであろう。実際、ぎんなんを常食していると、体に力がみなぎってくる。
すぐれたスタミナ食品なのだ。そして、生理的若返り効果も表す。
食物の薬効の本質を知るには、食品分析表に頼るよりも、このような自然哲学的な考え方をしたほうが、よほど確かなのである。
 
それはともかく、ぎんなんを多食すると鼻血が出る。
それは燐脂質の作用によるもので、強壮・強精効果をもたらす本体もこれだと思われる。強い精力剤であるから食べ過ぎてはいけない。
 
中国の古い文献には「白果(ぎんなん)を食うこと千個に実つれば死す」と書かれているそうだ。1000個などとんでもないことで、150粒くらい一度に食べると嘔吐や呼吸困難をおこす。
 
過ぎたるは及ばざるが如し、という言葉があるけれど、ぎんなんだけでなく食生活に関する限りは、過剰は不足よりはるかに有害だ。
というより、「よい食物」を「少々不足気味」にとることがバイタリティを最高度に高める秘訣。
 
全身の組織機能が、その不足分を補うために懸命に働くからだ。
ぎんなんを常食する場合は、1日に大人5〜6粒、子供2〜3粒が適当である。
 
そのぎんなんを焼いて、あるいは炒って食べると、セキやタンがとれ、肺の働きが強められる。
これには微量に含まれる青酸配糖体の作用が関係している。
加えて、保温作用もあるので、夜尿症、頻尿にも卓効をあらわす。
夜尿症の場合は寝る3時間ほど前に食べさせるとよい。
 
ナマのぎんなんは、加熱したものとは逆に、著しい利尿作用があり、淋病やこしけに特効的効果を表す。
新鮮なナマのぎんなん15粒を、水200ccとともにミキサーにかける。
はちみつで味を調えて、空腹時に飲むと、1時間ほどで大量の尿が出る。
 
銀杏はすぐれた外用薬にもなる。
すりつぶしたものを塗ると、はれ物、皮膚病、ヒビ、アカギレに効く。
これはぎんなんに含まれる蛋白分解酵素の作用によるもの。
 
ぎんなんの油付けを用いる民間療法が肺結核に効くのも、その酵素作用と大いに関係がある。蛋白質性の老廃物が体内に停滞していることが、肺結核の主要原因の一つだからだ。
ぎんなんの油付けは、ぎんなんを100日ほどごま油に漬けこんでつくる。
これを適量、毎日食べ続けるのである。
 
 
■ ぎんなんのオリーブ油漬蒸し
材料
・ぎんなん  ・オリーブ油  ・自然塩
作り方
@ぎんなんの薄皮をとり、オリーブ油漬けにしておきます。
Aアルミ箔を広げてオリーブ油漬けのぎんなんに塩をふって包み、蒸します。
 
 
■ こんにゃくとぎんなんの串ざし
材料
・こんにゃく  ・ぎんなん  ・しょう油  ・自然酒  ・自然塩  ・ごま油
作り方
@こんにゃくはゆでて1.5cmのサイコロに切り、ぎんなんは塩を入れてゆで皮をむきます。
Aこんにゃくは油で炒め、濃いめのしょう油にからめておきます。
Bぎんなんは油で炒め、自然酒、塩で煎りつけておきます。
Cこんにゃくとぎんなんを好みの組み合わせで妻楊枝にさします。
*こんにゃくもぎんなんも味は濃いめにつけたほうが美味しく出来上がります。
 
 
 
● いちじく
 
昔は、無花果と書いていちじくと読ませた。花が咲かないで実になる・・・・・・と思われていたからである。
だが、実際には、花がないどころか、いっぱいつく。
ただ、そのつき方は、植物学的には隠頭花序と呼ばれる方式で、たくさんの花が包み込まれた姿になる。
 
つまり、食べたときにプツリプツリする粒の一つ一つがれっきとした果実である。それらを包み込んで、全体を一つの実のように見せているそよ側の肉質のものは、花托なのだ。
 
いちじくは、便秘と痔の特効食品である。
緩下効果は相当なもので、かつては薬として使われていたほどだ。
かなり頑固な便秘症でも、ナマで3〜4個食べることを毎日続けていると、快通が得られる。
はちみつを少量加えてシロップ状に煮たものを、寝るときに飲んでも有効である。
 
これは、いちじくに含まれているコロイド状のブドウ糖や脂肪が、緩下作用をもたらしてくれる要因ではないかと見られる。
ということは逆に、おなかがゆるみがちな人は、少量にとどめておいたほうが無難といえよう。
 
 
■ いちじくのヨーグルト
材料
・いちじく・・・6個  ・豆乳・・・2カップ  ・ブルガリア菌・・・小さじ1/2
・液体酵素・・・大さじ5
作り方
@いちじくは皮をむき、1cmぐらいの角切りにします。
A豆乳を火にかけて沸かし、50度〜40度に温度を下げてから、ブルガリア菌、酵素、いちじくを入れます(温度を下げとき必ず50度を守ります)。
B、Aをよくかき混ぜたら、温度が下がらないように毛布にくるむか、ジャーの中に入れて3〜4時間おきます。
それ以上おくと酸味が強くなるので、冷蔵庫に入れます。
 
■ いちじくのコンポート
材料
・いちじく・・・10個  ・ミネラル水・・・少々  ・はちみつ・・・半カップ
・レモン・・・1個  ・自然塩・・・少々
作り方
@いちじくは水洗いして厚手鍋に並べ、レモンを塩でこすり洗いして水で流し、薄切りして加え、水少々を注いで火にかけます。
A軟らかくなったら蜂蜜を加え、じっくりと形をくずさないように煮て、冷まします。
 
 
 
● きんかん
 
一番なじみの深い果物といえば、日本においては文句なく「みかん」があげられるだろう。
日本の気候風土は、柑橘類の成長にことのほか適している。
生産・消費量もダントツだ。
 
世界中ということになると、ぶどうがトップだが、まさしくフルーティな芳香の代表といえば、やはりみかん類ということになろう。
かんきつ類には種類が多い。
みかん、きんかん、夏みかん、だいだい、ゆず、かぼす、レモン、グレープフルーツ、ポンカン、ネーブルなどなど。
 
いずれにしても共通しているのは、皮にビタミンCと、エネルギー発生をスムーズにするクエン酸をたっぷり含んでいることである。
クエン酸はまた、細胞の新陳代謝を盛んにして、内蔵機能を高め、体内に停滞している疲労系の排泄を促す。
ビタミンCの作用と相まって、気分をリフレッシュさせ、同時に疲労回復の速攻をあらわしてくれる。
 
そんなみかんの仲間の中でも、キンカンは特異な存在だ。
ひときわ可憐な小型だし、全体を丸ごと食べる。
むしろ、どちらかというと、皮を食べることのほうが主目的だ。
 
皮といえば、漢方用薬になっているのはみかんの皮・陳皮である。
中国ではスタミナ増強、美容食として盛んに用いられているが、きんかんもそれに勝るとも劣りはしない。
 
みかん類は、ほぼ共通した薬効を持っていると考えていいけれども、姿そのままに小粒なきんかんには、それが濃縮されている、というわけだ。
昔からみかんの皮はせき止め、カゼ薬として利用されてきた。
なかでもきんかんはカゼの特効薬であった・・・・・・という具合に。
 
きんかんは、丸ごと煎じて飲んでもいいが、甘煮にした方が不思議と薬効が高まる。
せき、たん、のどの痛みと、カゼ一般に有効である。
加えて、消化機能を高める作用が優れており、カゼ防止食としては万全となる。
 
なぜなら、カゼという病気は、実は「腸の病気」だからだ。
腸内細菌の症状が混乱したときに、真っ先に抵抗性が弱るのが上気道(鼻やのど)の粘膜なのだ。
 
過食したときカゼを引きやすいのは、そのせいである。
逆に、引きはじめの時期に、丸一日くらい絶食をして、寝る前にきんかんを食べ、温かくしてぐっすり眠れば、じきに治ってしまう。
 
当然、胃腸病全般に有益で、胸焼け、食欲不振、悪酔いからくるむかつきの解消に効果絶大。口臭も消してくれる。
皮に含まれている精油成分とヘスペリジンという苦味成分による健胃作用によるものだ。ストレスからくる胃痛にも卓効をあらわす。
 
さらに、マーマレードにして常食すれば、優れた美声食となる。
丸ごとよく噛んで食べると、繊維が便通をスムーズにし、余計なコレステロールや中性脂肪を除去するから、肥満防止、美肌食だ。
 
 
■ きんかんの丸焼き
材料(4人分)
・きんかん・・・16個  ・みそ・・・50g  ・はちみつ・・・小さじ4
・しょうが汁・・・大さじ1  ・熱湯・・・4カップ
作り方
@洗って水切りしたきんかんを網の上で丸焼きし、お椀に4個ずつ入れ、みそ大さじ1杯弱、はちみつ小さじ1杯を加えて、熱湯を注ぎます。
Aしょうが汁を、@に少々落とし、スプーンで混ぜ、きんかんをくずしながら全体を混ぜて食べます。
 
■ きんかんの甘煮
材料
・きんかん・・・400g  ・はちみつ・・・大さじ4(または黒砂糖)
・ミネラル水・・・適量
作り方
@きんかんを水洗いし、ヘタをとります。
Aたっぷり湯を沸かして@を入れて、サッとゆでます。
B鍋にAを入れ、ひたひたに水を加えて火にかけ、柔らかく煮て、はちみつを加えてさらに煮含めます。
C火を止めて、そのまま煮汁につけて冷まします。
完全に冷めたら、清潔なビンに入れて保存します。
 
 
 
● プルーン
 
長寿村の食生活を比べてみると、いくつかの共通点があることがわかる。
それもそのはずで、人間の体の自然性を保つ原理はただ一つだから、その自然性を左右する最大の要素である食生活は、本質的には同じものになるわけだ。
 
その共通点の一つとして興味深いのは、世界有数の長寿村であるコーカサス(ソ連)とフンザ(パキスタン)で、プラムが盛んに食べられていることだ。
それも、健康で長寿なのはこのプラムのおかげ、という意識を持って愛用されている。私の訪れたコーカサスでは、プラムを「命に果実」と呼んでいた。
 
このプラムを乾燥させたのがプルーンである。
プルーンは、アメリカではミラクル・フルーツ(魔法の果実)と呼ばれて、大いに珍重されている。
その第一の理由は、すぐれた便通効果を表すためだ。
肉食には便秘がつきもので、そこから重大な慢性病も引きおこされるから、プルーンの存在は貴重なわけだ。
 
プルーンがめざましい緩下作用をあらわすのは、ほどよく含まれている自然の糖分と、豊富な酵素成分の働きによるものと考えられる。
 
このためプルーンは緩下食であるだけでなく、同時に速攻のある疲労回復食ともなる。
 
肉食とは切り離しても、プルーンはなかなか有益な食品だ。
最大の特徴は、カルシウム、リン、鉄、カリウム、ナトリウム、カリウムなどのミネラルが大変に多く含まれること。
そのため、貧血や生理不順の解消、高血圧の防止、肝臓・腎臓の機能強化をはかる、といった幅広い薬効をあらわす。
 
ビタミンAをはじめB1、B2、D、ニコチン酸なども豊富なので、美容効果も著しい。
吹き出ものやシミを治し、肌にうるおいを生むのだ。
プルーンが果物らしからぬ薬効を生み出すのは、乾燥させることによっていっそうすぐれた成分組成となるプラムの特性にある。
 
プルーンの故郷はコーカサスで、2000年も前から食用とされていたらしい。
そこからヨーロッパ全域に広がっていって、「西洋の梅干し」ともいえる存在となっていく。
それがゴールドラッシュ時代に、アメリカのカリフォルニアに持ち込まれ、そこの気功・風土が奇跡的に適合したため、今日では、世界の生産量の70%をカリフォルニア・プルーンが占めている。
 
今日本で市販されているのもそれだ。
一般に出回っているプルーン製品には、原型のプルーン、プルーン・ジュース、プルーン・エキスがある。
プルーンはそのまま食べるほか、適当に水を加えて20分ほど煮て汁ごと冷やして食べるのもオツ。
プルーン・エキスはそのままなめたり、パンにつけて食べるなど、いろいろな使い方がある。
 
 
■ プルーンようかん
材料
・粒プルーンの種を取った物・・・60g  ・寒天・・・1本
・ミネラル水・・・2と1/2  自然塩・・・少々
作り方
@寒天は水洗いして細かくちぎり、1と1/2カップの水につけておきます。
Aプルーンは、熱湯を通し、1カップのミネラル水で、ひと煮立ちさせます。
B、Aをミキサーにかけ、ペースト状にします。
C、@の寒天を煮溶かし、Bと混ぜ、塩少々を加えて溶かし、好みの型に流して冷やし固めます。
 
■ ロシア風薬草茶
材料(5人分)
・はぶ茶・・・小さじ2  ・くこ茶・・・小さじ1  ・プルーン・エキス・・・大さじ2
・ミネラル水・・・3カップ
作り方
はぶ、くこを分量のミネラル水で煮て、5分したらこしてプルーン・エキスを溶かします。
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001