あんな話 こんな話  74
 
森下敬一 『食べもの健康法』 より その15
 
 
● ひじき
 
いまや、ひじきの煮つけは「おふくろの味」として大好評である。大いに結構なこと。
だが、料理店のメニューとして人気があるというのは、ちょっと引っかかる。
 
ひじき料理は家庭で作って、みんなで食べたいものだからだ。
こんなに安いスタミナ・健脳・美容食品は、ちょっと類がない。
もどしたり、ゴミを取り除いたり、という作業も必要だが、やりつければ特別にめんどうなものではない。
 
カルシウムをはじめとして、ヨード、リンなどのミネラルが豊富なため、生理機能全体を正常化させる効果が著しい。
 
日本は火山列島。そのため土壌中にはカルシウムが少ない。
しかも、モンスーン地帯で雨量が多く、土壌中のミネラルはどんどん洗い流されてしまう。
日本人がミネラル不足におちいりやすいのも、このため。
 
だが幸い、海に流れこんだミネラルを海藻が受け止めている。
海藻を十分に取れば、ミネラル不足は防止できる。
実際、日本の長寿村・短命村を調査してみると、海藻を常食する習慣のある地域は例外なく長寿村になっている。
 
海藻のなかでも、ひじきはとくにカルシウム分が多いから、それだけ利用価値は大きい。
カルシウムの補給というと、牛乳で間に合っていると思う人もいるかもしれない。
だが、牛乳中のカルシウムは、人体が必要としているカルシウムとは異質のもの。
したがって、牛乳を多くとっていると、かえって生理的なカルシウム代謝は混乱してしまう。
 
カルシウム代謝が乱されると病気に対する抵抗力は弱まり、カゼを引きやすくなる。
また、自律神経も失調しやすく、イライラしたり、おこりっぽくなる。
 
ひじきがスタミナ・健脳・美容に偉力を発揮するのは、ミネラル補給に加えて便秘解消作用が著しいためである。
ひじきは腸の働きを活発にして、腸内の老廃物をすみやかに排泄する。
腸内がきれいになると、腸内細菌の性状がよくなって、腸壁の働きも活発化する。
きれいな血液がつくられるようになるわけだ。
 
体の細胞は、心臓も肝臓も、皮膚も、そして脳も、すべて血液によって養われている。
血液がきれいになれば、すべての臓器の機能は健全化する。
全身の組織が若返る証拠として、ひじきは頭髪のツヤをよくし、白髪を防止する。
 
便秘を招く最大の原因は、白砂糖および肉、卵だ。
白砂糖は腸壁をたるませ、肉、卵には繊維がないからだ。
だから、これらの食品はできるだけ避けなければいけない。
それと同時に便通効果が著しく、浄血作用の強力なひじきを積極的に食べたいものだ。
 
 
■ ひじきれんこん
材料(4人分)
・ひじき(もどした物)・・・100g  ・れんこん・・・50g  ・にんじん・・・20g
・ごま油・・・大さじ2  ・しょう油・・・大さじ3  ・だし汁・・・大さじ5
作り方
@人参は細切り、れんこんは半月切りまたはいちょう切りにします。
A鍋にごま油を熱し、れんこん、にんじんを炒め、ひじきを炒めてだし汁を加えてフタをします。
B火が通ったらしょう油で味つけし、汁がなくなるまで煮含めます。
 
■ ひじきの精進揚げ
材料
・ひじき ・にんじん ・地粉 ・ごま油 ・しょう油 ・自然塩 ・揚げ油 ・にんにく
作り方
@にんじんはひたひた程度の水に塩を入れてさっとゆでておきます。
Aひじきは油でにんにくと炒め、水を入れてもどし煮てからしょう油で下味をつけます。
B地粉を水で溶き、2を加え(汁気がある場合はふきんでとる)、かき揚げにします。
 
 
 
● のり
 
江戸時代に日本に来た外人は「日本人は紙の家に住んで、黒い紙を食べている」といって驚いたという。
住まいに使われている紙とは障子やフスマのことで、食べている黒い紙とは乾燥のりのことだ。
 
このペラペラして磯の香の漂う食物は、ステーキやケチャップになじんだ舌にはなかなか受け入れがたいものらしい。
それだけ日本食独特の風味をもった食品なのだ。
 
乾燥のりを食べる習慣は、世界のなかでも日本と韓国、北朝鮮だけ。
この点でも、わが国とこれらの国とは浅からぬ縁で結ばれているわけ。
ともかく、日本人ほどのり好きな国民はいない。
のりが、日本人の健康に欠かせない食物であることを、体で知ってきたためであろう。
 
のりは、他の海藻と比べると、粗蛋白、ビタミンA、B2が多いのが特徴。
晩秋から翌春までの寒期に生育するため、のり自体の抵抗性を強めるために、これらの有効成分を確保する必要があったのであろう。
それがそっくり、われわれの健康に役立つのだ。
すなわち、腸機能を整え、スタミナを増強し、肌や髪を美しくする。
 
このほか、鉄、カルシウム、リンも多く、造血・浄血作用をもち、とくに生理機能全体の調整に偉力をあらわす。
このため、のりを常食していると、のぼせ、息切れ、めまいなどが解消される。
また、血管の硬化を防ぐので、高血圧、脳卒中の防止にも有効だ。
 
田井洋子著『魚と貝の四季」には、次のような話が紹介されている。
大島(東京都)のある宿の主人はいう。
「自分は若いころ、胸を病んで、栃木の山の中からここ大島に転地療養に来た。
医者にもかからず、ただ毎日海を見て暮らし、のりや小魚を食べていただけであったが、いつの間にか病気は治ってしまって、ここで宿を始めた」と。
 
海辺の空気には、体によい陰イオンがいっぱい含まれている。
すがすがしい空気の中でせっせと散歩もしたであろう。
心の平安を得たということもあったに違いない。
いずれも浄血を促す条件だけれど、やはり、のりや小魚などの浄血食を食べていたことが、健康回復の決め手となったといえよう。
 
あぶると香ばしくなるのは、ジメチルサルファイドが芳香を発するためで、この物質は硫黄分を含むしょう油の香気と同系統のもの。
いずれも日本食らしさを生み出してくれる代表的な食品であることを考えると、この香りは日本人の感覚によほどマッチするものらしい。
 
のりには、生のり、素干し、焼きのりほかに、味つけのりや佃煮もあるが、これには白砂糖、化学調味料、保存料などの加えられているものが多いから要注意だ。
 
 
■ のり澄まし汁
材料(4人分)
・のり・・・1/2枚  ・こんぶだし汁・・・4カップ  ・干ししいたけ・・・2枚
・根三つ葉・・・50g  ・自然塩・・・適量  ・しょう油・・・適量
作り方
@干ししいたけはだし汁のなかでもどし千切りにし、根三つ葉は根もきれいに水洗いし、長さ2cmに切ります。
Aしいたけを加えてだし汁を煮立て、調味し、火からおろし際に三つ葉を加えて、椀に盛ってからのりを散らします。
 
■ のりの包み揚げ
材料(6人分)
・のり・・・2枚  ・青のり粉・・・少々  ・そば粉・・・80g  ・玉ねぎ・・・150g
・グルテンバーガー・・・40g  ・ミネラル水・・・少々  ・自然塩・・・小さじ1/3
・しょう油・・・大さじ1弱  ・ごま油
作り方
@玉ねぎをみじん切りして大さじ1杯の油で透きとおるまで炒め、グルテンバーガーを加えます。
A、@にそば粉、水、塩、しょう油を混ぜ、よく練り、天ぷらの衣よりも固めにします。
Bのりを6等分してAをスプーンですくってのせ、青のりをふり四隅をしぼって包み、油で揚げます。
 
 
 
● みそ
 
みそは、栄養分析には現れない効果、すなわち「プラスアルファの効用」のきわめて大きい食品である。
みそには生きた微生物がたくさん繁殖しており、それが腸内に入ってからめざましい活動を開始するからだ。
味噌の薬効のほとんどは、この微生物によってもたらされるもの。
 
だから、良質の微生物がたくさん繁殖していなければ、みそとしての価値はほとんどない、といえる。
いかに基準量以下とはいえ食品添加物(化学薬品)が加えられているものは感心しない。
昔ながらの方法で、じっくりと時間をかけてこしらえた本物のみそを用いることが重要である。
 
みその主原料は、いうまでもなく大豆。
大豆は「畑の肉」といわれるほどで、粗蛋白、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの成分組成は申し分ない。
 
その大豆にコウジを働かせ、発酵させて、みそと呼ばれる食品に変身させると、消化されにくいという大豆の難点が除かれるとともに、繁殖した微生物による数々の効用が加わる。
 
まず、第一に挙げなければならないことは、動物性アミノ酸がたっぷりと含まれていることだ。
植物性食品を摂りながら、動物性アミノ酸が豊富に補給できるわけで、肉食と違って血液を酸毒化する心配もないから、みそを常食していると、スタミナは大いに増強される。
 
みそに含まれるメチオニンは強肝物質といわれるもので、たばこのニコチンや、アルコールの代謝産物であるアルデヒドなどの毒素を、すみやかに解毒する作用をもっている。
酒やタバコをたしなむ人には、みそは必需食品である。
 
同時に、ジピコリン酸も含まれているので、みそには、放射性物質を吸着して、そっと体外に排泄させる働きもある。
 
また、みそにはリノール酸やレシチンがあるから、動脈硬化、高血圧、脳卒中、心臓病の防止に大いに役立つ。
一般には、みそは多量の塩分を含んでいるから、高血圧には有害だといわれているが、自然塩なら大丈夫。
それに十分に熟成させてあるみそであれば、それに含まれる塩分は、食塩とは全く違った姿になっていて、何の心配もいらない。
 
すぐれた整腸作用をもっていて、炎症を解消する効果の大きいみそは、アレルギーの追放にも、断然力を発揮する。
 
みそ料理の代表といえば、なんといってもみそ汁で、日本の長寿村では、例外なくみそ汁が愛好されている。
みそと健康長命が密接な関係のあることは、以上に述べた事柄からも十分に納得できよう。
 
加えて、美肌づくりにも大いに貢献する。
皮膚は内から外へと細胞を押し出して新陳代謝をしているから、みその浄血効果で内側の皮膚細胞が健全化すれば、自然に美しい肌に変わっていくはずである。
 
 
■ しぐれみそ
材料
・豆みそ・・・300g  ・玉ねぎ・・・200g  ・れんこん・・・70g  ・にんじん・・・50g
・しょうが・・・10g  ・ごぼう・・・60g  ・にんにく・・・10g  ・ゆずの皮・・・5g
・ごま油・・・大さじ8  ・だし汁・・・1カップ
作り方
@野菜は全部みじん切りにします。
Aごま油を熱し、にんにく、玉ねぎを炒め、色がついてきましたら、ごぼうを炒め、れんこん、にんじんを加え、みそをだし汁で溶いて加えて、よく練り、一煮立ちしましたら、しょうが、ゆずの皮を加えてフタをして、弱火で煮つめます。
*多くの根菜類が、きざみ込まれていますから、体を温め、病気の方に是非おすすめしたいみそです。
*お湯でといていただければ、即席のみそ汁ができます。
 
 
 
● しょうゆ
 
日本的な味のパターンのもとになっているのは、しょうゆである。
日本人にとっては、一日として欠かすことのできない調味料だ。
外国に住む日本人では、材料は何であれ、しょうゆで煮つけたり、しょうゆをつけて食べたりすることで、日本料理への切ない郷愁をなんとかなだめられる、ということだ。
 
この日本食を代表する味が、いまや世界の味になろうとしている。
しょう油はソイソースと呼ばれ、人気急上昇中なのだ、とはいえ、しょうゆが海外流出するのはいまにはじまったことではない。
フランスのルイ14世 (1638〜1751年)は、宮廷料理の花といって珍重した、という記録もある。
 
しょう油の本質は、塩分18%を含む塩味料である。
けれど、発酵・熟成によって、その塩分はすっかりカドが取れた刺激性の少ないものとなっている上に、実に多彩な有効成分が含まれているのである。
 
まず、うま味成分としてグルタミン酸、アルギニン、リジンなどの各種アミノ酸が含まれる。
原料である大豆、小麦からきたものだ。
わずかに酸味があるのは、発酵によって生じた乳酸が含まれるためで、これがしょうゆに独特の重みのある味をつけている。
 
しょうゆの味を引き締めているのは苦味成分で、食塩のなかのマグネシウム塩や、原料のタンパク質の分解産物であるペプチドなどによるものである。
それから、ブドウ糖、グリセリン、アミノ酸が、まろやかな甘みを添えている。
しょうゆ独特の色は、熟成中に生まれるソヤメラニン酸による。
 
香気成分がまた大変なもので、発酵によって生じたアルコール成分に加えて、コーヒー、パイナップル、バラ、アーモンドなどの香気成分までもが含まれる。
 
これらの複雑な成分が総合されて、しょうゆは、塩分補給という本来の目的のほかに、うま味・香りをつけ、生くささを消し、ダシの味を強め、素材の風味を引き立てる・・・・・・といった働きをする。
 
日本の風土が生んだこの最高級の調味料は、総体的に淡白な味の穀菜魚食をおいしく頂けるようにするための、大自然の恵みなのである。
だから、しょうゆに親しむことは、日本的な味覚を守り、日本の伝統的食事パターンを持続することにつながっていく。
そうなれば、必然的に日本人の健康は守られるわけだ。
 
味覚の混乱・無国籍化は不自然食品をはんらんさせ、健康の失墜を招く。
ケチャップ、マヨネーズ、その他得体の知れないソース、ドレッシング類は極力避けて、しょうゆを活用するよう心がけたい。
 
もちろん、昔ながらの方法で作った本物のしょうゆでなければ意味はない。
脱脂大豆を用いたもの、アミノ酸で化学合成されたもの、合成保存料を加えたものなどは失格だ。
 
 
■ れんこんのしょうゆ漬け
材料
・れんこん・・・400g  ・米酢・・・1/4カップ  ・にんじん・・・5cm
・白ごま・・・大さじ2  ・しょうが・・・1かけ  ・みりん・・・大さじ3
・しょうゆ・・・1/2カップ  ・ミネラル水・・・1/2カップ
作り方
@れんこんは暑さ5mmに切り、ざるの上で、米酢を加えた熱湯を通し、日陰干しにしておきます。
Aにんじんは細い千切りにし、熱湯をかけてざるに上げ、水切りしておきます。
B白ごまは香ばしく炒って粗ずりし、しょうがは薄切りにします。
C鍋にしょうゆ、みりん、ミネラル水、しょうがを入れて煮立て、10%に詰まったら、そのまま冷まします。
D容器に材料を入れ、重石をして冷暗所に一晩起きます。
 
 
 
● 黒砂糖
 
黒砂糖をせっけん代わりに使うと、アクが汚れた皮脂を取り除き、粘質が毛穴の奥の取れにくい汚れをおびき出し、さらに、色素の沈着を防いで色黒、シミ、ソバカスを治すので、心からアカ抜ける。
 
だが、黒砂糖は、このように化粧品としてだけ使うのは、本当はちょっともったいない。
上手に食べれば、もっとすばらしい美容効果と健康増進効果が得られるからだ。
 
黒砂糖のひとかけらを含むと、独特の風味が口いっぱいに広がる。
それは、粗蛋白、ビタミンB群、ミネラルなどの有効成分が混然一体となってかもし出されるもの。
 
いうまでもなく、黒砂糖の主体は糖分。
だが、その糖を代謝するのに必要な物資をすべて含んでいるので、白砂糖のような害はない。
すなわち、肥満、胃腸機能の減退、カルシウム欠乏、催奇形性(奇形児を生む危険性)などの実作用は全く表れない。
それどころか、黒砂糖には数々の薬効がある。
 
まず、黒砂糖は消化が早く、すみやかにエネルギー化されるので、消化不良気味の人、病気上がりの人、風邪を引きやすい人などの体力補強食品となる。
太平洋戦争のとき、空軍は、黒砂糖の粉末を非常食用として携帯していたくらいだ。
 
またカルシウム、鉄、ナトリウムなどがたっぷり含まれたミネラル食品だ。
最大の特徴はカルシウム含有量が甘味食品ではズバ抜けて多いこと。
100g中に293mgも含まれている。
白砂糖はせいぜい15〜20mgにすぎない。
だから、黒砂糖を1日15gずつぐらい摂っていると、45mgのカルシウム補給が維持できる。
これは、大変に効率のよいカルシウム源といえる。
カルシウムをしっかり摂っていると、大脳による感情のコントロールがうまく行われるようになり、イライラやヒステリーも治る。
 
ビタミンB群は、糖代謝を正常化するから、胃腸粘膜の抵抗性を強め、自律神経の失調を治し、肥満を解消する。
ジアスターゼなどの酵素も、黒砂糖には含まれる。
このため、消化を促進するとともに、便秘を防ぐ。
白砂糖が腸の働きを減退させて便秘を起こしやすいのとはえらい違い。
同じ甘味食品でも、自然性を持つ食品とそうでないものとでは、このように、われわれの生理に及ぼす影響はまるで違ってしまう。
 
いま、一般に売られているものには、フィリピン産、台湾産、沖縄産などがあるけれど、成分組成がよく薬効の最もすぐれているのは、沖縄産の黒砂糖だ。
ただし、黒砂糖も多食すると、代謝のバランスを崩すことになるから、1日30g程度にとどめたい。
 
 
■ 凍み豆腐のあべ川
材料(4人分)
・凍み豆腐(高野豆腐)・・・4枚  ・くず粉・・・大さじ1  ・ごま油・・・1カップ
・水・・・1カップ  ・黒砂糖・・・大さじ1  ・自然塩・・・少々
・小麦胚芽・・・大さじ4  ・麦こがしまたはきな粉・・・大さじ2
作り方
@凍み豆腐は熱湯に浸し、十分にもどしてしぼっておきます。
A凍み豆腐にくず粉をまぶし、揚げ油でカリッと揚げます。
B水、黒砂糖、塩を煮立ててAを入れ、落としブタをして煮含めます。
C小麦胚芽、麦こがし、塩をよく混ぜ合わせ、Bを冷まして、まわりにまぶします。
 
■ チンピン
材料
・小麦粉・・・1と1/2カップ  ・きな粉・・・1/3カップ  ・黒砂糖・・・大さじ1
・自然塩・・・少々  ・ミネラル水・・・1と1/2カップ  ・ジャム・・・適宜
・植物油・・・少々
作り方
@小麦粉、きな粉、黒砂糖、塩と水を合わせて、溶いておきます。
A圧手のフライパンを熱し、油を敷いて、@を流し、両面を焼き、ジャムを芯にして巻きます。
 
 
 
● 梅干し
 
梅干しはわが日本国の特産食品と考えてもよさそうだ。
梅も梅干しも、本当は中国が本家らしいが、梅干しは中国では姿を消してしまっているし、欧米では梅のことを「日本のアンズ」といった呼び方をしている。
加えて、梅の学名は「ムメ」。
 
いずれにしても、日本人の生理と梅干しはがっしりと結びついてしまっている。
病気で何も食べたくないときでも、上手に炊いたお粥に梅干が添えられれば、スッキリと腹に収まってしまう。
梅干しに含まれているクエン酸その他の有機酸は、唾液の分泌を増すとともに、弱っている胃を助けて胃液の分泌を促すからだ。
特に唾液の分泌促進作用は、炭水化物の代謝を正常化して、肥満や肌荒れを防止する。
 
また、梅干し中の有機酸は、腸の中でめざましい抗菌・滅菌作用をあらわす。
各種の食中毒菌はもちろんのこと、赤痢菌やコレラ菌の作用をも阻止する。
それゆえ、食中毒の季節といわれる梅雨から夏にかけては、大いに梅干しを活用するとよい。
 
最も現代は、一年中が食中毒の季節だ。
肉、卵、牛乳を常食しているから、腸内で異常発酵がおこって、きわめて毒性の強い毒素が大量に発生している。
つまり自家生産の毒による中毒なのだ。
 
梅干しには、消化管粘膜の炎症を治し、蠕動を促進する著しい整腸作用もあって、下痢も、その逆の便秘も治す。
だから、梅干しはこの点からも異常発酵の防止に大いに役立つ。
 
もし、腸内の異常発酵を放置すると、発生した毒素は血液中に入り、血液を汚す。
血液が汚れると、組織に炎症がおこりやすくなる。
炎症こそ、アレルギー疾患、腎臓病、ガン、その他すべての病変の本体なのである。
めざましい殺菌・整腸作用を持つ梅干しの効用は、いかに高く評価しても、し過ぎということはないのである。
 
梅干しのストレス解消効果も見逃せない。
梅干しを食べることによって、カルシウムのもつ鎮静効果が大いに高められるからだ。
それに加えて、梅干は血液中の酸化物質の分解処理を促し、血液を健康な弱アルカリ性にする。
また、ストロンチウム90などの放射性物質を体外に排泄させる作用ももつ抗公害食品である。
 
梅干しは、自然塩を用い、しそで色づけし、昔ながらの方法でじっくりと時間をかけてこしらえた本物の梅干しを用いること。
本物の梅干なら、塩分は、塩そのものとは違った性質となり、細胞への影響も穏やかなものになっているので、高血圧や腎臓病の人でも、間違いなく薬効が得られる。
梅干しに熱い番茶を注ぎ、自然のしょうゆを2、3滴落とした梅醤番茶は、胃腸をスッキリさせ、イライラを鎮め、カゼを治す、というようなすぐれた即効性をあらわす。
 
 
■ のし梅
材料
・こした梅干し・・・20g  ・黒砂糖・・・50g  ・寒天・・・1/2本
・ミネラル水・・・1カップ  ・米飴・・・大さじ2  ・ブランディ・・・大さじ1
作り方
@寒天は洗って水をしぼり、細かくちぎって1カップの水に漬けて、30分おきます。
Aこし梅と黒砂糖はよく混ぜておきます。
B寒天を煮溶かし、Aを加えてブランディを混ぜ、流し箱に5mmの厚さに流し固めます。
C好みに切り分け、竹の皮にのせます。
 
■ 梅肉和え
材料(4人分)
・梅干し・・・3個  ・けずり節・・・少々  ・しょうゆ・・・小さじ1
・根菜・・・120g  ・ごま油
作り方
@梅干しは種をとり、みじん切りにし、けずり節、しょうゆと混ぜて、根菜の油炒めしたものと和えます。
 
 
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001