あんな話 こんな話  85
 
食品添加物のトップセールスマンが明かす
食品製造の舞台裏
知れば怖くて食べられない!
安部司著
『食品の裏側』
より その10
 
 
6章 未来をどう生きるか
 
◆「毒性」よりも怖い食品添加物の問題
 
これまでの章では、食品添加物について、私しか知りようのない食品業界の「裏側」も交えながらお話しして来ました。
最終章では、このような現状を踏まえたうれで、では私たちはこれからどうすればいいのかについて考えていきたいと思います。
 
添加物の問題というと、多くの人がまず最初に思い浮かべるのが「毒性」でしょう。
誰もが「添加物は怖い」「体に毒だ」という意識を持っています。
もちろん、添加物の「毒性」は、それはそれで大きな問題ではあります。
 
前にも述べましたように、厚生労働省ではネズミなどの動物を使ってさまざまな毒性テストを行い、使用量や使用対象の食品を厳しく定めています。
しかし、そもそもネズミと人間の消化能力は違うはずです。
それでも人体実験ができない以上、動物実験の一つの「目安」にするしかなく、その結果をもとに「これは毒性が少ないからOK」などとやっているのです。
 
それに(これも前に述べましたが)、AとBという2つの添加物を同時にとった場合、あるいは30種類前後の添加物を同時にとった場合、いったい人間の体にどんな影響があるのか――そんな「複合摂取」の問題は完全に盲点になっています。
 
残念ながら、そんなデータもない。
しかし実際には、これまで見てきたように、一つの添加物を単品でとるということはまずありません。
「複合摂取」が当然なはずなのに、その「毒性」は誰も明らかにしていないのです。
 
つまり、認可されているすべての添加物の安全が完全に確認されているとは、とてもではないが言えないのが現状です。
昔から使われていて安全性が高いと実証されているものもありますが、その一方で「毒性」が疑問視されるものも、まだまだ少なくありません。
 
たとえば、よく添加物の本に「これはとくに危険だ!」と載っている添加物に、
「ソルビン酸カリウム」「「パラオキシン安息香酸プチル」「合成着色料」「ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)」といった添加物が数十種類ありますが、これらは化学的に合成された天然に存在しない物質で、とくに厳しく国が管理しているものです。
 
使用してもいい食品とその量を厳密に定めているのですが、それは逆にいえば、毒性・危険性があまりに高いので、むやみやたらに使ってはいけませんよ、ということなのではないでしょうか。
国が認可しているからといって、絶対に安全だとは必ずしも言い切れないのが、食品添加物の世界なのです。
 
にもかかわらず――とここが大切なのですが――これほど食品添加物が蔓延しているこの世の中では、私たちの食生活から添加物を「ゼロ」にするのは、現実問題として不可能です。
 
私たちの食生活において、添加物を使ってつくられる加工食品への依存度は、近年ますます高くなる一方なのは誰も否定できない事実でしょう。
だから、もし添加物がいやなら、それこそ無人島にでも行って自給自足するしかありません。
 
「添加物は危険だからやめろ!」「あれは、食べてはいけない!」
たしかにそういうのは簡単ですが、それでは何も変わらない。
あれが毒だこれも毒だ、添加物をやめて無添加にせよと、告発するだけでは、前へはちっとも進まないのです。
 
ですから、「毒性」は避けて通れない問題であるけれども、その危険性だけを扇動して騒ぎ立ててもしかたがない。
それよりも、もっと広い視野で添加物の問題を考えていかなければならないと私は思うのです。
 
日本では年間約8000人が交通事故で死亡していますが、だからといって車を追放せよという話にはならない――それと同じなのではないでしょうか。
 
 
◆忘れちゃいけない食品添加物のメリット
 
これも繰り返しになりますが、私たちは「食品添加物のメリット」という「光」の部分も忘れてはいけないと思うのです。
 
先日、私は講演のために仙台に出張しました。
朝5時に福岡の自宅を出て、7時の飛行機に乗ったのですが、朝食をとる時間がなかったため、搭乗前に空港でミックスサンドとコーヒーを買いました。
機内で食べながら数えてみると、そのサンドイッチに使われていた添加物は30種類ほどありました。
私は朝から30種類の添加物を摂取したわけです。
 
昼もまた移動中の新幹線で食べることに。
栄養をつけなければと、ご飯よりおかずの多い幕の内弁当を選びました。
これも数えてみると40種類近くの添加物が入っていました。
朝のサンドイッチと重複するものもありますが、朝と昼だけで、私は述べ70種類の添加物を取ったことになるのです。
 
しかし、その一方で、私は「便利さ」という大きなメリットを得たことも、また事実です。
妻は朝の4時から起きて弁当を作らずに済み、私も飛行機に間に合った。
空腹のまま講演先に駆けつけなければならないという事態も免れ、仕事もつつがなく終えることができた。
それほど高くない値段で、手軽に食事を済ませることができたのです。
 
戦後、これだけ食生活が豊かになり、いつでもどこでも食べたいものが手に入るという「便利さ」が享受できるようになったのは、加工食品の発達があったからこそ。
そして、その加工食品を支えているもの、それは食品添加物に他ならないのです。
もちろん「使いすぎ」は問題ですが、「食品添加物=害悪」と一刀両断するだけでは、何も問題は解決しないもです。
 
 
◆食品添加物は「敵」か?
 
それによく考えてみると、私たちははるか昔から添加物と付き合っているのです。
たとえば、日本が世界に誇る健康食品、豆腐。
 
豆腐は大豆を搾った豆乳を「にがり(塩化マグネシウム)」で固めてつくりますが、この「にがり」は添加物そのものです。
添加物はだめだからといって「にがり」を使わないのなら、豆腐も食べられない。
投入を飲むだけになってしまいます。
 
また、日本人には古来より結婚式で来客に「紅白まんじゅう」を配る習慣がありますが、この紅白まんじゅうの赤のほうは「食紅」で染められてきました。
食紅を使いたくないというなら、紅白まんじゅうだって食べられなかったわけです。
それ以外にも、まんじゅうのふくらし粉として使われる「重曹」だって添加物です。
 
こんにゃくを固めるための「水酸カルシウム」もそう。
添加物がだめだというのなら、私たちは「まんじゅう」も「こんにゃく」も食べられないのです。
 
大事な点なので繰り返しますが、食品添加物にはメリットもあるのです。
本書を通じて述べてきた「安さ」「手軽さ」「便利さ」といったメリットから、いま紹介した豆腐や紅白まんじゅうを私たちが食べられるのも、それは添加物のおかげです。
 
そのメリットや受けている「恩恵」について知らんふりをしておいて、「あれが悪い」「これが危険」「食べてはいけない」「買ってはいけない」
そう脅しても、何の意味もないのです。
 
添加物を単純に目の敵にし、拒否するのではなく、どう付き合うか、どう向かい合うか。どこまで自分は許せるか。それこそが大切なのです。
 
 
◆食品添加物の物質名なんかわからなくていい
 
講演に出向くと、集まった方からよくこんな質問をされます。
「表示を見て買えといいますが、添加物の知識がないから、何がなんだかわかりません」
添加物の物質名を暗記し、ある程度専門的に勉強しなければいけないと思い込んでいる人が非常に多いのです。
 
しかし、そんな必要は全くありません。
細かい添加物名を暗記しようと思っても長続きしませんし、そもそもそんな必要はないと私は思っています。
 
前にも少し触れ、次に詳しく書きますが、「台所にないもの=添加物」という図式のもと、「裏」を見て、なるべく「台所にないもの」が入っていない食品を選ぶだけで、随分、添加物の少ない食品を選ぶことができるのです。
 
ただ、そうはいっても、添加物についての最低限の基礎知識さえも教えてくれる場所が現在ではない――それはそれで大きな問題だと思います。
 
毎日口にするものでありながら、私たちは「裏側」を何も知らない。
添加物については学校で全く教えてくれませんし、それ以外にも最低限のことさえ知る機会もなかなかありません。
私は添加物について、中学校の家庭科で教えるべきだと思っています。
 
添加物とは何かということさえわかれば、それでもう十分。
それ以上のこと(化学的性質)を勉強する必要はないと思います。
添加物の、あの長くて難解な化学物質名や、5つ星のミシュランのような「危険度表」もわざわざ覚える必要はありません。
 
もちろん、興味のある人は覚えればいいのですが、物質名を知らなくても添加物を上手に避けて、うまく付き合うことは十分に可能です。
 
 
◆食品添加物とは、台所にないもの
 
先ほども述べましたが、食品添加物とは「台所にないもの」です。
食品添加物とは何か。
科学者であれば「食品の製造過程において、または加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤そのほかの方法によって使用するものを言い、その役割は・・・・・・」などと説明を始めるところかもしれません。
 
しかし、私の答えは、「食品添加物とは台所にないもの」というきわめてシンプルなものです。
これなら、誰にとってもわかりやすいのではないでしょうか。
 
台所にはさまざまな調味料があります。
まず、「「しょうゆ」「味噌」砂糖」「塩」「酢」などの基本調味料はあるでしょう。
「化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)」はあるかもしれませんが、そのほかに添加物らしきものを探すと、「重曹」「ベーキングパウダー」ぐらい。
漬物を付ける人ならば、たくあんに色をつける「クチナシ」もあるかもしれません。
 
でも、家庭で漬物を漬けるとき、保存料の「ソルビンサン」を使う人はいないでしょう。
「安息香酸」も「キサンタンガム」もない。
「コチニール」も「亜硝酸ナトリウム」も「ポリリン酸」もない。
台所にないもの、およそ想像がつかないもの――それが食品添加物なのです。
 
 
◆「台所のないもの」から「裏」を見る
 
では、これを前提に食品の裏側をもてください。加工食品には、原材料を表示したラベルが貼られています。そのラベルには原材料のほか、使用されている添加物が表記してあります。

名称:幕の内弁当

原材料名:ご飯(白飯)、塩鮭、煮物(ごぼう、れんこん、厚揚げ)、卵
焼き、煮豆、ウインナー、かまぼこ、スパゲティサラダ、きゅうり、しば
漬け、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、グリシン、酸味料、香料、着色
料(カラメル、カロチノイド、クチナシ、赤102、赤3、赤106、黄4、青1)、
漂白剤(亜硝酸塩)、リン酸塩(Na)、保存料(ソルビン酸カリウム)、
増粘多糖類、ポリリジン、凝固剤
 
これは、ある幕の内弁当の原材料表示です。
「裏」を見て、こんな原材料表示があったとします。
「難しそうなカタカナがいっぱい並んでいるな・・・・・・」
「どれが毒性があるのか見当もつかない・・・・・・」
そんなふうに嘆く必要はありません。
 
今説明したように「食品添加物=台所にないもの」という公式を頭において、ひとつひとつ確認していけばいいのです。
 
「ご飯」「塩鮭」・・・・・・その他のおかずは台所にあるものでしょう。
「調味料(アミノ酸等)」は「化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)」ですから添加物とわかります。
pH調整剤」は台所にはない。「グリシン」もない・・・・・・。
こうやって一つ一つ見ていくのです。
 
こうすれば、どれが添加物で、その食品に添加物がどれだけ使われているか――それが簡単にわかります。
 
ひとつひとつ、前から「これは台所にある」「これは台所にない」と順番に見て、なるべく「台所にないもの」がたくさん入っているものは避けることです。
そうすれば、おのずと添加物の少ない食品を選ぶことができるはずです。
 
 
◆食品添加物と上手に付き合う5つのポイント
 
では、食品添加物と上手に付き合うために、いま私たちができること、するべきことを挙げていきましょう
 
@「裏」の表示をよく見て買うーーまずは手首の練習から
スーパーなどで食品を買うとき、どれほどの人が「裏」の表示を見ているでしょうか。
値段と外見、それにせいぜい賞味期限を見るぐらいで、簡単にカゴに放り込んではいないでしょうか。
 
とにかくひっくり返してみてください。
「まずは手首の練習から」よく私はそんな冗談を言いますが、食品を買うときには、必ずひっくり返して、「裏」を見る習慣をつけてほしいと思います。
 
そして、「台所にないもの=食品添加物」という公式を頭の片隅に置きながら、なるべく「台所にないもの」が少ない食品を買うことです。
台所にないカタカナがぞろぞろ書いてあるようなものは避けましょう。
 
もちろん「台所にないもの」が全く入っていない食品を探すのはなかなか困難です。
ゼロでするのは無理といっていい。
だけど、「台所にないもの」の数が少ない食品をなるべく選ぶというのなら出るはずです。
 
たとえば、野菜の水にパック。
原材料表示のところに野菜の名前だけしか書いてないものもあれば、
「漂白剤」「pH調整剤」「酸化防止剤」といった添加物を使っているものもあります。
「裏」を見て買うのと見ないで買うのとでは大違いです。
 
裏の表示を見比べて、できるだけ「台所にないもの」が少ないものを選ぶ。
こうすれば添加物のひとつひとつの毒性の知識などなくても、おのずから安全性の高い食品を選ぶことができるのです。
 
A加工度の低いものを選ぶーー手間をとるか、添加物をとるか
食品を購入するときには、なるべく「加工度」の低いものを選ぶことも大切です。
例えが、ご飯。
全く加工されていない状態が「生米」。
加工度が高いものが、スーパー、コンビニで売られている「冷凍ピラフ」や「おにぎり」だとします。
 
お米を買ってきて、自宅の炊飯器で炊けば添加物はゼロです。
これが、冷凍ピラフやおにぎりに加工されると、「調味料(アミノ酸等)」や「グリシン」などの添加物が入り込んできてしまうのです。
でも時間がなくて、自分で炊いていられないというときもあるでしょう。
そんなときでも、最終形(冷凍ピラフやおにぎり)に安直に頼るのではなく、その途中の段階であるパック入りのご飯にするとか、そういう工夫をしてほしいのです。
 
野菜も同じこと。
野菜をそのまま買えば添加物は入っていませんが、カット野菜やパックサラダになると、「次亜鉛酸ソーダ」で殺菌されていたりします。
もっと加工どの高い「中華どんぶりの素」などはどうか。
こうなると、「化学調味料」や「たんぱく加水分解物」「増粘多糖類」「着色料」「酸味料」など、さらに添加物は多くなります。
 
「加工どの高いものは絶対に使うな」ということではありません。
忙しいときなど、たまには楽をしたくなるでしょう。
その気持ちはよくわかりますし、たまにはそんなときがあってもいいと思います。
ただ、あまり頻繁に使うのはお勧めできません。
普段はなるべくカットしていない野菜を買ってきて手づくりを心がけ、どうしてもというときだけ使うというようにしてはどうでしょうか。
 
手間をとるか添加物をとるか――それを心に留めておいてほしいのです。
加工度が高くなればなるほど、添加物は多くなります。
「光」が強ければ強いほど、「影」も深いのだということを、くれぐれも忘れないで下さい。
 
B「知って」食べるーー1週間というスパンで考える
「@「裏」の表示をよく見て買う」で述べたことにもつながりますが、自分の食べるもの、あるいは家族に食べさせるものに、どんな添加物が入っているかを、「知って」食べてほしいのです。
 
たとえば、今日はどうしても忙しくて、レトルトのマーボ豆腐の素を使って料理をし、出来合いのポテトサラダを付け合せにしてしまったとします。
表示を見れば、それだけで何種類かの添加物をとってしまうことがわかります。
その事実をきちんと「知る」だけでも、全然違うのです。
 
「ごめんね。お母さん、今日は忙しくてこういうのを使っちゃった。お母さんも見たことのないカタカナの入ったものを、あなたたちに食べさせてしまった」
何を食べたかを「知る」ことによって、そういう「反省」の気持ちが生まれるはずです。
 
「反省」の気持ちにも3つあります。
ひとつは「手抜きをしてごめんなさい」という気持ち、もうひとつは「添加物を食べさせてしまってごめんね」という気持ち、そして「食べ物の尊さに触れさせなくてごめんね」という気持ち――その3つです。
 
そんな3つの「ごめんなさい」の気持ちがあれば、つぎは「手作りのものを食べさせよう」という気持ちになるのではないでしょうか。
 
「すべて手作りなんて、とてもできません」
「時間がなくてとても無理です」
添加物の話をすると、よくそういった声を耳にします。
このご時世に、加工食品に一切頼らず、すべて手づくりにするのはたしかに困難でしょう。
時々はそういうものを使うのは仕方のないことだと思います。
私だってたまにはそういうものを口にしますし、そんなときは「便利でありがたいな」と思います。
 
ですから、極論すれば、2日、コンビニのお弁当が続いてもいい、週に3日、加工食品の日があってもいい。
それでも、もし自分が何を食べているかを「知って」いれば、そこからきっと家族や自分自身に対する「ごめんなさい」の気持ちが生まれるはずです。
 
こまかい毒性や危険性まで知らなくても、ただ、今日家族に出した、今日自分が口にした加工食品には添加物が入っていることを「知って」いれば、必ず「手づくり」の反動が来るのではないでしょうか。
 
今週は3日も加工食品に頼ってしまったから、残りは手づくりにしよう――そうなるのではないでしょうか。
だから「すべてを手作りなんて無理」といわず、1週間というスパンで考えてほしいと思うのです。
そのためにも、まず自分が何を食べているのかを、「知って」食べてほしいのです。
 
C安いものだけに飛びつかないーー安いものには理由がある
調味料のところでも話しましたが、買い物をするときに値段だけを見て、安いもの、特売のものだけを買っていませんか?
 
他の食品と比べて値段の安いもの、便利だなと思うものには、必ず理由があります。
そしてその答えは、繰り返しになりますが「裏」にちゃんと書いてあります。
 
大手スーパーは「価格破壊」を打ち出しています。
直取引をすることで問屋の中間マージンをなくしたと主張していますが、それで値段が2割も3割も安くなるはずがありません。
「価格破壊」の「裏側」には、私のような添加物屋や加工食品業者の暗躍があったのです。
 
昨日まで398円だったソーセージを298円で売りたいといわれれば、利益は変わらず、298円のものをつくる――それがプロの仕事です。
要は材料の質を落とし、その分添加物を駆使して、「それなりのもの」をつくりあげるのです。
 
しかし、そんな「それなりのもの」でも、消費者は値段だけを見て、「これは安い、ラッキー」と買っていってくれるのです。
 
水だって層です。
今は水ブームで、スーパーではさまざまなミネラルウォーターが売られています。
海洋深層水、活性水素水、還元水、イオン交換水、電気分解水・・・・・・。
普通の消費者には、あまりに複雑でどれを選べばいいのかわからないほどです。
 
しかし、注意していただきたいのは、スーパーで売られる安い「それなりの水」は、単に機械で水道水を浄化し、ミネラルを強引に加えただけのものだということです。
もちろん、水道水を浄化して売るのが悪いというわけではありません。
 
ただ、あたかも「自然のミネラルウォーターだ」と誤解させてしまうところはやはり問題ですし、そもそも私個人としては、そうやって強引にミネラルを加えたものよりは、「シンプル・イズ・ベスト」で自然の水を非加熱処理をしたものを飲みたい。
 
たとえば「富士の脇水」のように、江戸時代に富士山に降った雪が溶け出してゆっくり地下を流れてきた水には、人工的にはとてもつくれないような、それはそれは貴重なミネラルが含まれているのです。
「どうして、2リットル100円の水から、1000円以上する水まであるのだろう」
 
ここでも、そんな「素朴な疑問」を持ってほしいのです。
「安いものには理由がある」
それだけはくれぐれも肝に銘じておいてください。
 
D「素朴な疑問」を持つことーー添加物と付き合う最初の第一歩
繰り返しになりますが、まずは「素朴な疑問」を持つこと――これが、添加物と付き合う、加工食品を選ぶ、最初に第一歩になります。
 
「なぜこの明太子は、こんなにきれいな色をしているのだろう?」
「なぜこのハンバーグは、こんなに安いのだろう?」
「なぜこのパックサラダは、いつまでもしなびないのだろう?」
「なぜコーヒーフレッシュは、安い店でも使い放題なのだろう?」
「みりん風調味料の「風」ってなんだろう?純米みりんとどう違うのだろう?」
「米だけで作ったお酒って、今飲んでるお酒は、米だけでつくられていないの?」
こうした「素朴な疑問」を持つことがすべての始まりなのです。
 
話がそれるので詳しく書きませんが、農薬の問題だって、それは同じことです。
スーパーで売られている3本入りが1袋100円のにんじん。
「どうして自然に育った野菜が均一にそろっているのだろう?」
そんな素朴な疑問を持つ人が、いったいどれだけいるでしょうか。
 
大きさも形も色も3本揃って、重さもほとんど同じ――そんな「ロウ見本」のようなにんじんを作るには、やはり多くの農薬と化学肥料が「裏側」で使われているのです。
 
いずれにせよ、「素朴な疑問」を持つことが最初の第一歩です。
そしてそんな「素朴な疑問」を持ったら、加工食品の場合は、ぜひひっくり返して「裏」のラベルを見てください。
その答えはおのずと出るはずです。
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001