あなたのご家庭で作りましょう
余計なものが入らず
干し大根と糠と粗塩で
昔ながらの安心で美味しい
手づくりたくあん漬けを!
日本海の寒風で干された
金沢産
干し大根
 
金沢伝統・加賀野菜「五郎島金時芋」の産地、金沢近郊の五郎島地区で収穫されています。
さつま芋の収穫後に定植されます。
17、8人の生産者が作っています。
 
以前は干し大根用に「青首宮重大根」が栽培されていましたが、その後品種改良の研究が重ねられ、たくあん専用の「加賀たくあん」が登場してきました。
 
「加賀たくあん」は、白くほっそりとした長さで、全体的に太さが均一的で美しい大根です。
干し上がりもよく、一般家庭でも漬けやすく、全体がバランスよく美味しく付け上がります。
 
五郎島地区では、日本海からの寒風が吹き、その中で天日干しされた干し大根ですから、甘みと風味がが凝縮されています。
是非あなたも、ご家庭で添加物などの入らない安心で美味しいたくあん漬けを!
 
 
● 一押し たくあんの漬け方
【材料】
・容器は30リットルをご用意ください
・干し大根 20kg (L寸は約20本、M寸は約60本になります)
*甘塩の場合 (1〜3月が食べ時です)
・塩 900g(5合)  ・糠 1.3kg(約2升6合)
*中塩の場合 (4〜5月頃まで食べられます)
・塩 1400g(7.8合)  ・糠 950g(約2升)
【作り方】
1、塩と糠をよく混ぜておきます。
2、容器の底に1の調味糠を敷き、大根を隙間なく並べます。
その上に調味糠を振りかけます。そこに、トウガラシの輪切り、干し柿の千切ったもの(渋柿の皮の干したものでもよい)や、ナスの皮の干したものを入れると一層風味がよくなります。
3、この作業を順次繰り返し、漬け込んでいきます。
4、最後に大根の干し葉を2cmくらいの暑さで隙間なくしっかりかぶせ、押し蓋をして、重石40kgを乗せます。
5、4〜5日して、汁が上がってきたら、口直しをして重石を30kgにします。
 
 
● たくあんの漬け方 その2
【材料】
・葉付の干し大根…10kg  ・米ぬか…干し大根の重量の15%(1.5kg)
・塩…干し大根の重量の6%(600g)  ・重石…漬ける大根の2〜3倍の重さ
・ざらめ糖…適量(大さじ5)  ・唐辛子…適量(3本)
・昆布…(15〜20cm)  ・色づけ料…適量(ウコンなど)
【作り方】
1、干し大根を清潔なタオルで拭き、重さを軽量します。
この大根の重さの15%のぬかと、6%の塩を用意します。
2、葉がバラバラにならないように葉の根元の大根側で葉を切り離します。
(切り落とした葉は糠床の一番上に置いておくと大根と一緒に漬かり、美味しく食べられます。)
3、まな板の上で手のひらで押すように大根を転がし、硬い部分がなくなるようにしんなりさせて水分を平均化します。
4、大きめの容器にぬか、塩、<お好みでざらめ糖、細かく刻んだ昆布、唐辛子>を混ぜ込みます。
5、漬物容器の底に塩ぬかを振りかけておき、大根を隙間がなくなるように、1段だけ詰め、さらに上から塩ぬかを振りかけます。
隙間ができるようなら大根の葉を詰め込んでいきます。
6、5の作業を繰り返し、漬け込んでいきます。
7、大根をひと通り漬け込み終えたら、表面に大根の葉でふたをするように並べ、体重をかけてしっかりと押さえます。
分量外の塩を表面がうっすらと白くなる程度に振りかけておきます。
(滅菌するため)
8、落し蓋をかぶせ、大根の2〜3倍の重さの重石を載せ、新聞紙でふたをしてほこりが入らないように、ビニールをかぶせておきます。
*早くて4日ほど、遅くても3週間ほどで水が上がってきますので、重い石を半分ほどに軽くします。
水が上がってこない場合は、40%濃度の塩水を少量だけ足します。
9、漬け込んで、冬で1ヶ月目くらいすると漬けあがりです。
 
● たくあんの漬け方 その3
【材料】
・ 大根(葉っぱのついたもの)・・・干したもので約10kg
・ 粗塩・・・干した大根の重さの6%(きちんと量って計算する)
・ ザラメ砂糖:1/2〜1カップくらい(好みで加減してください)
・ 米ぬか(生ぬか)・・・約1kg(お米屋さんで手に入ると思います)
・ 干した果物(柿・りんご・みかん)の皮(それぞれ風味が違う)
・・・適量(3〜5個分ほど)
・ クチナシの実
・・・4〜5個(黄色く色づけするため。なくても可。ウコンでも代用できる)
・ 赤唐辛子(鷹の爪)・・・10〜15本(これもお好みで)
・ 昆布(干物)40〜50cm、または炒った大豆100グラムくらい(旨味がでます)
【道具】
・ 漬物桶・・・ポリ製のものがあります。
中蓋や漬物袋なども一緒に用意してください。
・ 重石・・・漬物用の重石も売っています。自然の石でもいいです。
何個を合わせて30キログラムくらい用意します。
【大根を漬け込む】
1、米ぬかと粗塩、ザラメを混ぜ合わせ、ちぎった果物の皮、細かく切った昆布(大豆)、細かく割ったクチナシの実、赤唐辛子を加えて混ぜる。
2、漬け物桶に漬け物袋を敷いて、底に(1)で混ぜたぬかをふたつかみ程敷く。
干した大根を桶の形に沿って隙間なくきっちりと詰めていく。
すきまは作らないほうがいいが、できてしまう場合は葉っぱを詰め込む。
その上に、またぬかを入れる。
3、これをくりかえし、3段くらいにつける。
ぬかは、上に行くほど多くなるように。
最上段は、残りのぬかの半量をのせ、その上に葉っぱを敷く。
もう半分のぬかを最後にのせて、たいらにならす。
4、中蓋をして、大根の重さの2〜3倍の重石を乗せる。
重石が軽いと、水が上がって来ないことがあるので、なかなか水があがってこないときは、すぐに重石を足す。
4、数週間後、重石が沈んで中蓋の上まで水が上がってきたら、中蓋の上に水が上がっている状態を保てれば良いので、重石を減らす。
5、1ヶ月後くらいからたべられます。
3ヶ月たつと急にすっぱくなるので、なるべく2ヶ月以内にたべたほうがいいです。
【注意点】
においがでます。容器にビニールの袋(ゴミ袋など)をかぶせ、口をしっかりしめると外に漏れにくいです。
容器を置く場所にも注意が必要で、暖かい場所に置くと、すぐにすっぱくなります。できるだけ寒いところに置いてください。
 
 
● たくあんの漬け方 その4
漬物といえばたくあんというくらい昔から親しまれているお馴染みの保存漬け。
意外に簡単なので市販の物ではなく自分で漬けてみませんか?
これぞオフクロの味です!
【材料】
・干し大根・・・10キロ ・塩・・・500〜800g(大根の5〜8%) ・ぬか・・・1.3キロ
・昆布・・・20p ・赤ザラメ・・・カップ1/2 ・赤唐辛子・・・4〜5本
【作り方】
1、干し大根は2〜3日追加干しします。
目安は両端を持ってグニューと半輪に曲がるくらいです。
2、葉はつけ根の硬い部分で切り落とす。後で使うので捨てないでください。
3、まな板の上で大根をゴロゴロ転がし平均に柔らかくします。
4、ボウルに塩、ぬか、赤ザラメを入れて赤唐辛子は小口切りにして加えよく混ぜ合わせます。
5、容器(樽)の底に4をむらなく敷きます。
6、大根は長くて太いものを外側に細いものは内側にしながら樽のカーブに合わせるように詰め込み、隅間には葉を詰めます。
7、一段詰めたら4をむらなく振り込み刻んだ昆布を散らします。
8、二段目からも6〜7を繰り返し最後は4を多めにかけます。
9、一番上に葉を隙間なくかぶせて押さえ。押しぶたを乗せ大根の2〜3倍の重石をかけます。
10、4〜5日たって水があがってきたら重石を半分に減らしビニール袋などで覆い冷暗所に置きます。
*2ヶ月くらいで漬け上がります。
 
 
● その他
◆ 長く保存したい場合は?
長期保存したい場合は、干した大根の重量の9〜10%の塩を使いましょう。
大根を干す期間も、「の」の字になるくらい干します(約3週間)。
水の上がり方も時間がかかります。
 
◆ 果物の皮の効果
柿やりんご、みかんの皮は、ほのかな甘みと風味づけになります。
特に柿の皮が効果的ですが、3月頃までに食べきってしまう場合に限ります。
それ以上置くと酸味が出てきます。
 
◆ 昆布の効果は
昆布は旨みを出します。
 
◆ 赤唐辛子の効果
赤唐辛子はちょっとピリッとした味のアクセントになります。
 
◆ 葉っぱをつけたまま干す
葉っぱを付けたまま干すと、大根の栄養分が葉の成長に吸い取られるという理由で、葉っぱを切り落とすこともあります。
大根の中心に短い芯葉がありますが、これから大きくなろうとしている成長点です。そのため大根の栄養をどんどん葉の成長に使ってしまい、大根の味が落ちます。
この芯葉を取り除いてから干しましょう。
 
◆ 水の上がりが悪いときは
重石が軽いか、塩が足りないかが考えられます。
重石を重くするか、40%濃度の塩水を少量足す。
 
◆ 材料の目安は?
糠…干した大根の重量の15%
塩…干した大根の重量の6%
ざらめ糖…お好みで2%〜6%
重石…漬ける大根の3倍
 
◆ たくあんはどうして黄色いのか
乳酸発酵と大根の辛味成分が反応して、β-カルボリン化合物とアスコルビン酸という2種類の黄色色素ができることによります。
β-カルボリン化合物は抗酸化作用があり、ガンを抑えたり、悪玉コレステロールが血管に付着するのを防ぐ作用があります。
アスコルビン酸はビタミンCのこと。やはり抗酸化作用があります。
 
◆ 容器の大きさ
大根10kgの場合、20型と表示しらポリ容器(直径32cm×高さ28cm)がよいでしょう。
 
◆ 漬けた葉っぱも食べましょう
葉っぱにはビタミンがたっぷり含まれています。捨てないで食べましょう。
刻んで漬物として食べてもいいですが、チリメンジャコを加えてジャコ飯にすれば、おいしいご飯がいただけます。
◆ たくあんの葉のチリメンジャコ飯の作り方
1、葉をよく洗い、サッと湯通してやわらかくする。
2、水につけて冷まして絞り、細かく刻む。
3、ごま油で炒める。
4、チリメンジャコと炒りごまを加える。
5、醤油を少し加えて炒める。
6、温かいご飯にかけて食べる。
 
 
 
■ たくあんの話
● 伝統的なたくあん漬が少なくなってきました
日本における伝統的なたくあんの製法は、手で簡単に曲げられるほどまでに日干しし、しなびた大根を米糠と塩で、あるいはさらに、風味付けの昆布や唐辛子、柿の皮などを加えて漬けます。
 
この伝統的な糠漬けでは、米糠の中に含まれる枯草菌(こそうきん)の産出物によって、ダイコンは徐々に芯まで黄色から褐色に染まります。
しかし、菌の作用は地域や環境によって異なるため、沢庵の色は統一されにくく、また、味などの商品の品質も不安定です。
 
したがって、近年大量生産される商品では、糠漬けであってもウコンやクチナシの色素を加える事で画一的に黄色く着色したものが主流になっています。
 
味は、大根を日干し、塩を加えて漬けて水分を減らす事によって大根本来の味が濃縮され、塩味が加わる一方、米糠の中に存在する麹がデンプンを分解して生ずる糖分によって甘味が増します。
 
しかし、現在商品として流通している大多数の沢庵漬けは、日干し大根の代わりに塩や糖液に漬けて水分を除いた塩押し大根や糖絞り大根を使用することが多く、伝統的な沢庵とは食感や風味が異なります。
 
また、甘味料やうまみ調味料などを配合した調味液で調味したり、人工着色料で色づけするなどして加工されることもあります。
 
これは時代が下るにつれて消費者の嗜好がより甘く低塩分な漬物を求めるようになった事、また大量生産、コスト削減の為に製造工程の短略化を図った事等の帰結であります。
 
その一方で、三浦半島や三重県伊勢地方、徳島県などでは、伝統的製法による沢庵が今なお商品として生産されており、付加価値が付いた名物となるとともに一定の需要を得ています。
 
なお、梅干しやキュウリなどの糠漬けとは異なり、数キログラム程度の少量で漬け込むことは困難であるため、自家消費のために沢庵を漬ける家庭は少なくなりました。
 
一方、中国においては、大根の漬け物は「鹹蘿蔔(からすずしろ)」と呼び、各地で作られていますが、一般には日干しした大根の他に塩だけを用い、2度漬け込みするか、2度めに唐辛子を加えて辛い味を付けるものがほとんどです。
このため、色は白または赤いものとなります。
 
 
● たくあん漬の由来
江戸時代に名僧・沢庵禅師・沢庵宗彭(1573−1646)が考案したものという言い伝えがあります。
しかし、たくあんを考案した人物が、沢庵和尚だといわれているのは誤りだという説があります。
沢庵和尚が生まれる遥か前、奈良時代にから、製法の似た漬け物が存在していとのことです。
 
話は、名僧・沢庵禅師が紫衣事件で東北へ流罪となり3年の後に、大赦によって品川の万松山東海寺に開山した折り、この寺に徳川三代将軍・家光将軍が来訪。
 
「何のもてなしも出来ないが貯え漬・香の物有り」と湯づけ(大根の糠付けの湯通ししたもの?)を献じると、「名前がないのであれば、貯え漬でなく、沢庵漬けと呼ぶべし」と、家光将軍がその大根の糠漬の素朴で風味・香りの良さを賞賛した事から、以降大根の糠漬が沢庵漬と呼ばれたのが定説とされています。
 
徳川三代将軍・家光によって徳川幕府の基礎が固められつつある時代、庶民の間では既に多種野菜が保存食として塩に漬けられ、たくあんも「貯え漬」(たくわえ漬)として食されていました。
その「たくわえ」が転化してたくあん漬になったという説もあります。
諸説あるようです。
 
また、たくあんは、元々「じゃくあん漬け」と呼ばれており「混じり気のないもの」という意味でありました。
 
後に沢庵宗彭の存在が出てきたことにより、「じゃくあん」「たくわえ」→「たくあん」→「沢庵和尚の考案したもの」という語源俗解が生まれたとされています。
 
? 沢庵和尚
沢庵和尚はわずか十歳で両親と別れ仏門に入り、乱世を無欲な修行に徹し、質素で自由人であったが、やがて名高い大徳寺の住職になり幕府と対立(紫衣事件)、出羽(山形)の上ノ山に流された経緯があります。
この東北の生活の中で付近の農民とともに漬物の研究工夫を行ったと言われ、禅師の住まいだった“春雨庵”では今も沢庵漬を奉納する年中行事が行われています。
 
 
● たくあん漬の変遷
江戸時代以前や食糧難の時は大根は「もみがら」で漬けられていました。
やがて、沢庵和尚が、中国に伝わる米の「糠(ぬか)」で漬けることを書で学び、農民に伝授したとも言われています。
 
従って、沢庵漬の基本は米の糠(ぬか)で漬けるが、小麦の糖(ふすま)も使われるようになりました。
 
近年は、これら糖漬の他にさまざまな「調味液」によって味覚のバラエティ化が図られています。
 
そして原料大根の種類も実に多くなり全国各地で特色ある大根が生産され、その特色を生かした沢庵漬製品が市場に出荷されるようになりました。
近年は中国中心に海外での製品化も始まりました。
 
 
● たくわん漬けの種類
本漬たくあんは、原料となる大根の脱水方法により、大根を干してから漬ける「本干し(乾燥)沢庵」と干さないで塩で押して水分を出してから漬ける(調味する)「塩押し沢庵」区分されます。
 
干したくあん・・・大根を収穫後に天日干しにし、寒風にさらして水分を抜いた干大根にします。
干したくあんはこの干し大根ををぬか漬にしたたくあんで、強い歯ごたえが大きな特徴です。
昔のたあくあんはみなこの干したくあんでした。
 
塩押したくあん(東京たくあん)・・・大根を干さずにそのまま塩漬けにして脱水した大根(塩押し大根:塩で水分を押し出すの意)を漬けたたくあんで、干したくあんよりもソフトな歯ごたえとなります。
現在のたくあん漬は、多くがこの製法で作られています。
 
最近では出来あがった干したくあんや塩押したくあんををさらに調味液に漬け、味を調えた「液漬けたくあん」が主流となっています。
この「液漬けたくあん」は戦後になって始められ、「渥美たくあん」がその草分けといわれています。
大きくは「本漬沢庵」と「新漬沢庵」とに分かれます。
 
白秋、新八州種など皮が固い大根は皮をむいて塩押しする沢庵もあります。
また、高度成長とともに、消費者が鮮度感を求め、新漬とか浅漬とか呼ばれる沢庵も出荷されるようになり、液糖で水分を搾った「糖搾り沢庵」も登場しました。
 
沢庵の名産品では秋田のいぶり沢庵新潟の皮むき沢庵関東の東京沢庵七尾沢庵三重の伊勢沢庵和歌山の紀の川漬愛知の渥美沢庵南九州の干し沢庵塩押し(生漬沢庵)などがあります。
 
 
● 全国各地の沢庵
沢庵は長年日本人に好まれてきた漬け物で、地方によって作り方もさまざまです。
 
たとえば、北海道の「早漬たくあん」は、漬け込み期間が数日以内と短いため、漬け物特有のうまみは乏しいものの、ビタミン類の損失が少ないたくあんです。
 
また、秋田県には「いぶりたくあん」とよばれるいぶして乾燥させるたくあんがあります。
雪の多い秋田では大根を外で干すことができないので、天井から大根を吊り下げていろりの火で乾燥させているのです。
そのため、たくあんにはいぶすことで生まれた独特の香りがあります。
 
一方、東京では塩で脱水する「塩押したくあん」が主流で、「東京たくあん」とよばれています。
これは大正から昭和にかけてたくあんの出荷量が激増し、製造が間に合わなくなったために考え出されたたくあんで、早ければ漬け込んでから1週間で食べることができます。
 
反対に、2年以上という長い時間をかけてじっくり漬けるたくあんもあります。
長いものは2メートルに達するという愛知県特産の「守口大根」を使った「守口漬」です。
塩漬けした後、酒かすに数回漬け込み、最後にみりんかすとみりんに漬けてつくられます。
 
山口県名産の「寒漬」は大根を塩漬けにし、さらに寒風にさらして干し上げ、醤油につけ込んだものです。
寒さの厳しいころに漬けられることからこの名が付いたとされています。
 
鹿児島県には大きなつぼで漬け込む「山川漬」というたくあんがあります。
大根を天日と寒風にさらして乾燥させ、海水を入れた臼に浸して杵でついて柔らかくします。
さらに風干ししたあと塩もみし、つぼに密閉して漬け込んでつくられます。
つぼを使うことから「つぼ漬け」ともいいます。
 
一口にたくあんといっても、地域によってそのつくられ方はさまざまで、味や香り、食感にも大きな違いがあるのです。
 
◆ いぶり沢庵・いぶし沢庵(秋田)
「いぶりがっこ」とも呼ばれます。
東北では秋の取り入れが終わると冬がすぐに来て農家では炉辺に火を入れ、干した大根は野外に置くと凍てつくため炉の上につり下げます。
このいぶしによって保存に加え風味を味わいます。
逸品です。
 
◆ 東京沢庵(東京)
この東京沢庵タイプがたくあんの5割以上を占有しています。
現在はマーケットの主流です。
東京の呼称がついていますが北海道から九州まで生産されています。
 
大根と言えば練馬と言われるほど有名な練馬大根は、江戸時代、徳川綱吉が尾張の国から種子を取り寄せて練馬で造らせたのが始まりとされています。
 
昭和40年代には、ほとんど市場に出回ることがなくなりましたが、この「幻の沢庵」を復活させようと、育成事業に着手。
現在、区の委託を受けた農家によって栽培され、「秋まさり」、「西町理想」、「八州」といった大根種栽培で、製品化されています。
 
当初は「干し大根」でしたが、やがて、「塩押し」「生漬」「おっぺし沢庵」と称されるように干さずに直接、生大根を塩で押し水分を出してから調味を付すようになりました。
 
渥美沢庵などの「干し沢庵」が、寒風にさらして、「のの字」になるほどしわしわになるまで水分をとばすため硬めなのに対して、塩押しは歩留まりが80%程度でパリパリとした柔らかい歯切れが特徴です。
 
時代が進むにつれて硬いものが敬遠されるようになり、九州も「干し沢庵」減退をフォローするため塩押し沢庵にチャレンジ。
今や九州の方が塩押し生産が多くなっています。
 
干し同様に原料を冷蔵庫でストックするものもありますが、室温漬込みも行われています。
 
◆ 渥美沢庵(愛知県)干し沢庵
冬が温暖で大根には最適産地の渥美半島で製造されます。
海風は大根干しに打ってつけ。
小型で短いけれど繊維質が少なく肉質のしまった歯切れのいい大根が出来ます。
2週間もかけて寒干しします。
 
ぬか漬は米ぬかに柿の皮(まろやかな甘みが付く)、茄子の葉(香りつけ)、昆布(味に深みをもたせる)、唐辛子や塩などの調味料を加えた糠床で、約一年間重石をして漬け込みます。
 
光が入らず、温度変化の少ない蔵の中でじっくり熟成させていますので風味豊かで自然の甘みと香りよい仕上がりです。
昭和30年代には日本一のたくあんの産地になり、一世を風靡しました。
今では入手が困難で貴重なブランドです。
 
◆ 紀の川漬
小柄で甘味の強い紀州ダイコンを生漬に用い、沢庵の改良品として考えられた歯ごたえのほどよい漬物です。
和歌山、三重、から北海道、九州まで広がり、県外メーカーも増大。
やがて年間の商品になりました。
 
今は生産量が減少していますが、この紀の川漬を守ろうという動きが各地で広がっています。
 
近年は「調味液」によって味覚のバラエティ化が図られています。
そして原料大根の種類も実に多くなり全国各地で特色ある大根が生産され、その特色を生かした沢庵漬製品が市場に出荷されるようになりました。
また、中国中心に海外での製品化も始まっています。
 
◆ 九州本干し沢庵
宮崎、鹿児島が一大産地。
ハザ掛けは冬の風物詩です。
棚を組んで大根を干す作業は農家にとって大変重労働で、だんだん作る農家も減っています。
 
太陽というより風による乾燥を目的として宮崎の日向灘、鹿児島の山川、頴娃、指宿、大根占など海沿いが産地です。
 
干し理想、阿波晩成などの品種の大根を栽培して畑で洗い、5.5m、10段の高い屋根状の枠を組んで干し、歩留まり6割程度に乾燥します。
2〜3週間干すと半分程度の重量になり甘みや風味が増します。
 
「山川漬」、「つぼ漬」との呼称がされますが、「山川漬」と言われるのは薩摩半島の南端の山川港が発祥の地だからで、発祥した頃は「つぼ漬」と呼ばれいたそうです。
それは乾燥大根を海水でつぼに漬けて発酵させて作ったからで、今はネベトロと言われる大きな容器に漬け込まれ製法も違います。
 
大根600kgを塩糠で漬け冷蔵庫で熟成。
塩度は出荷する季節によって調整、加工時期が着たら取り出し、水洗いして調味液に3日から5日漬け込み、包装して80度20分の加熱殺菌を行います。
近年は本当に壷で昔ながらのつぼ漬にチャレンジするメーカーもあります。
 
◆ 新漬沢庵
数日塩で押した大根を調味加工して集荷、北海道の畑で取れた真っ白い大根が5日目にはもう店頭に並ぶなど妙味ある商品として一世を風靡しました。
 
今でこそ消費者にいろいろな大根製品や浅漬が提供されるようになりましたが、沢庵の浅漬で夏から初秋にかけての季節限定商品。
信州で始まり北海道、九州と産地が移動しつつ、定番の漬物です。
 
 
● たくあんの黄色、匂い
たくあんは、黄色っぽい色をしているというのが一般的なイメージです。
大根を塩漬にすると、時間がたつにつれ大根の辛味成分が科学的反応を起こして黄色い色素に変化するため、たくあんは漬けているうちに自然と黄色くなります。
 
しかし、この黄色い色素は、光に弱く店頭の棚の蛍光灯などで分解され、色の差ができてしまいます。
この色ムラを目立たなくするために、たくあんを黄色い着色料で着色されてきた経緯があります。
 
現在ではこの着色料は、ウコンやクチナシなどの天然系の着色料が多く用いられるようになってきました。
 
また、沢庵の匂いを嫌がる人が増えていますが、これも大根の辛み成分が化学変化して起きるものです。
熟成中に出来た独特のこの香り、近年は消費者のニーズに応え、除去が研究されている所です。
 
また最近では、漬物メーカーの作るたくあんは、低塩ブームのため、衛生管理上の理由等により、ほとんどが冷蔵庫内で漬けられています。
低温で漬けた場合は、黄色い色素の生成が抑制されるため、白いままのたくあんができあがります。
 
一般にはたくあんは黄色というイメージが強いため、これらのたくあんも多くは黄色に着色されますが、一部では無着色のままの「白いたくあん」が売り場に並んでいます。
 
 
● たくわんの健康性・効能
沢庵は大根の余分な水分を抜き、繊維質豊富な漬物です。
特に天日で寒風にさらす干し沢庵は、繊維質は腸などのガンに効果を発揮する食品ということで広く研究が進められています。
 
ぬか床に多く含まれるビタミンB群が漬物の中に移行するため、生野菜よりも多くのビタミンB群が含まれています。
 
また、たくあんを良く噛むことにより、脳の活動性が上昇し、集中力が持続するようになるといわれています。
この他にも良く噛むことにより、唾液の分泌が促進され、口腔衛生効果があることに加え、唾液が食物の発ガン物質を抑制する効果もあると言われています。
「たくあん」は最も噛むことによる効果が高い食品です。
 
 
● 昔、江戸市中のたくあん漬
葉を除いて丸干しした大根を塩糠にしたものを、上方では「香々」といい、江戸では「沢庵漬」といいます。
 
江戸の庶民は自分ではたくあんを漬けることは少なく、江東区 深川江戸資料館には、江戸時代の八百屋(当時は青物屋と呼ばれていた)が再現されています。
 
店頭には大樽に入れられた沢庵漬がおかれ、干した大根が売られていました。
当時は今と違って冷蔵庫も無く、旬の野菜しか置かれていなかったのです。
 
建てこんだ江戸の庶民の長屋で、土間に大樽を据えて、気の長い沢庵を漬け込むのは難しく、頻発する火災に遭遇した場合、重石をのせてびくともしない漬け物樽は、逃げ場を塞ぐ障害物になる危険性もあったのです。
 
明暦3年(1657)本郷丸山町の本妙寺からあがった火の手は死者10余万人を出す江戸史上最大の火災となりました。
江戸城をはじめとする八百町あまりの武家屋敷、町家が焼かれ、家康以来の初期江戸は壊滅状態に陥ったのです。
 
俗に振袖火事とも呼ばれるこの大火は、江戸の人々に多くの教訓をもたらしました。
幕府は災害後の新たな対策とし、火余地の増設、大名屋敷の増加、寺社の郊外への移転など多様な都市改造を実施しました。
 


石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001