土壌と海からのミネラルたっぷり
とても甘くてホクホク美味しい
能登栗
 
 
(能登・穴水町の二子山山麓には、栗拾いができる栗園(有料)があります。
穴水町の栗は、ツブが大きいことが特徴です。9月、10月は、栗拾いの季節です。)
 
能登栗の収穫は、毎年9月上旬から10月中旬です。
能登栗の産地は、穴水地区、輪島地区、珠洲地区などの奥能登にあります。
南からの暖かい対馬海流と北方からの寒流が合流する影響で、植物栽培に適した昼夜の寒暖差が大きいのです。
そうした寒暖の温度差があるため、毎年大きくて美味しい栗の実が出来ます。
海と山の自然に恵まれた大自然が、もっとも能登半島らしい土地といえるでしょう。
 
金沢からクルマで2時間30分から3時間の距離ですが、
今は能登空港ができて首都圏からのアクセスも驚くほど便利になりました。
 
色艶がよく、鮮度のよい大粒の栗は、栗ごはんや栗のお菓子などにしても美味しくいただけます。
 
能登栗の美味しさの秘密は、その豊かな土壌にある思います。
奥能登は、その昔、海に沈んだという歴史があります。
それを証明するかのように、貝殻の化石であったり、珪藻土と言われる藻類の化石からできた土がとれています。
対馬海流とリマン海流の寒暖流の合流点が能登沖で、その能登の海に沈んで母なる海のミネラルをたっぷり含んで隆起したのが奥能登です。
その上に厚く堆積した腐葉土の層は1m近くあるそうです。
どれだけの長い年月をかけてできたか想像もつかないほどの自然の有機物が、豊かな土壌の形成に関係しています。
そうしたこの上ない恵まれた土地に根ざした栗だからこそ、能登栗はこの上なくおいしいのです。
 
 
● 能登栗の食べ方
栗は茹でるだけでも美味しく、独特の風味と甘さがあります。
栗ご飯、渋皮煮、甘露煮、マロンケーキ、栗きんとん、モンブランなどにも。
おすすめは、シンプルで美味しい食べ方は、蒸し栗です。
水でよく洗った後に、蒸し器で約30分程度蒸したら出来上がりです。
◆ 茹で栗
【作り方】
1.栗を食べたいだけ準備し、鬼皮ごとよく洗っておきます。
2.なめて塩辛いと感じる塩水を作っておきます。
3.鍋に生栗を鬼皮ごと入れ、かぶる程度塩水を入れます。
4.鍋を火にかけ、茹でます。
5.沸騰したら中火程度にして10分程度茹でます。
菜箸などで突き刺し、簡単に通ればOKです。
6.ザル等にあげて、湯切りをしてお召し上がりください。
※包丁で半分に割って、スプーンでほじって食べると食べやすいですよ。
 
◆ 栗ごはん
【作り方】
1.栗を6〜10粒皮むきをして、剥き栗にして塩水につけておきます。
2.お好みの炊き込みご飯の素を、炊くときのようにお米を研いでセットします。
3.セットし終わったら、剥き栗を入れて一緒に炊きます。
お手軽簡単栗ごはんのできあがり!
 
◆ 栗の渋皮煮
【材料】
・栗(鬼皮のついたまま)・・・1kg ・重曹・・・大さじ4 ・砂糖・・・800g
【作り方】
○ まず、栗がつかるぐらいのお湯を沸かしておきます。
1、沸かしたお湯に栗を漬けておきます。
2、指を入れても大丈夫なくらいにお湯が冷めたら、渋皮を傷つけないように、鬼皮(表面の硬い皮)を剥きます。
3、鍋に水と栗、重曹大さじ2を入れ、茹で始めます。水は栗が出ない程度。
4、お湯が沸騰したら火を弱め、灰汁を取りながら、15分ほど煮ます。
5、煮汁を全部捨て、すぐに栗を水に晒し、軽くタワシでこすり、硬い筋や厚い渋皮を取っておきます。
できるだけ栗を空気に晒さないように。
6、再び、鍋に水と栗、重曹大さじ2を入れ茹で始めます。(水は栗が出ない程度)
7、お湯が沸騰したら火を弱め、灰汁を取りながら、15分ほど煮ます。
8、煮汁を全部捨て、すぐに栗を水に晒します。
9、鍋に栗と水を入れ茹でます。
10、沸騰したら火を弱め、灰汁を取りながら、約10分ほど煮ます。
11、煮汁を全部捨て、すぐに水に晒します。
12、鍋に水と栗、砂糖を入れ、茹で始めます。
13、15分ほど煮たら、火を止めてそのまま冷まし、味を染み込ませます。
* ブランデーを加える場合は、火を止めてから、お好みの量を入れます。(20〜150ccほど)
* 長期保存用には、煮沸消毒した容器に熱いままの栗を茹で汁ごと入れ、できるだけ空気が入らないようにして、蓋をします。
*栗の種類や熟し具合、鮮度などによって、出来上がりの硬さ、甘さなどが変わってきます。
 
 
 
■ 能登栗 三種類の栗
 
栗の品種は大きく早生、中生、晩生の3種類に分けることができます。
能登栗も収穫の時期にあわせて、順番に三種類の栗を楽しめる事ができます。
 
9月の中旬から、10月の初旬までまでは、品種的に「丹沢」→「伊吹」→「筑波」と移っていきます。
「丹沢」は、能登くりでは一番最初に出荷され、甘みと香りは控えめですが、栗の渋皮煮や栗をまるごと使うお菓子作りに向いてます。
 
「伊吹」は、9月の中旬から下旬にかけて出荷されされます。
甘味は中程度です。
 
「筑波」は、9月の下旬から出荷されます。
果実の貯蔵もしやすく甘みも多く香りもよく、日本で最も広く栽培されている品種がこの「筑波」です。
 
一般に日本の栗は、中国の栗と比べて、渋皮がむきにくいという特徴があるといわれています。
渋皮がむきにくいことから、中国栗などのように焼栗には向きませんが、日本の栗は、中国に比べて、果肉のやわらかさや、果実の大きさなどの点については優れているといわれています。
 
 
● 世界四大栗(アメリカ、西洋、中国、日本)
 
秋の味覚を代表する「栗」は、大きく分けて4つの種類があります。
1、国内で一般的に売られている「ニホングリ」、
2、天津甘栗でおなじみの「チュウゴクグリ」、
3、マロングラッセなどに使われる「ヨーロッパグリ」、
4、そして日本ではあまり見かけない「アメリカグリ」です。
 
見かけはあまり変わりませんが、それぞれ地域に合った特徴があります。
 
ニホングリは野性のシバグリ(芝栗)を品種改良したもので、果実が大きく風味が良いのが特徴。
しかし、甘みがやや少なく渋皮がはがれにくいのが難点です。
 
一方、チュウゴクグリは甘くて渋皮もむきやすいのですが、果実が小さくて栗の害虫である「クリタマバチ」の被害を受けやすく、日本では栽培されていません。
「天津甘栗」の原料としてよく使われているのは「板栗(バンリー)」という品種です。
 
ヨーロッパグリは小ぶりながら渋皮がむきやすいのが特徴です。
しかし、こちらも病気や害虫による被害を受けやすいため日本では栽培されていません。
 
アメリカグリは果実の品質が良く、また大きくて強い樹が木材として使われるほど利用価値の高いものでしたが、1900年頃に発生した菌類「栗胴枯れ病」の被害によりほぼ壊滅したといわれています。
現在でも一部の地域で栽培されていますが、病気に弱いので日本で栽培することはできません。
 
 
● 日本栗の歴史
 
日本原産の栗には古い歴史があります。
縄文時代の三内丸山遺跡(青森市・約5500年前)には大規模な栗栽培の跡があり、そのころ食べられていたのが野生種ばかりではなかったことがわかります。
また「日本書紀」にも持統天皇の時代(7世紀)には国家が栗の栽培を奨励していたことが記されています。
 
栗の栽培地として最も歴史が古いのは丹波地方であり、仏教の伝来とともに大陸から接木の技術が入って大粒の栗が作られるようになり、「丹波栗」の名が全国に広まりました。
 
平安時代の法典「延喜式(えんぎしき:927年)」には、乾燥させて皮をむいた「搗栗子(かちぐり)」や、蒸して粉にした「平栗子(ひらぐり)」なども記されています。
丹波では現在でも栗の栽培が行われていて「丹波栗」はブランド品として有名です。
 
現在の日本栗の先祖は全国に自生していた「芝グリ」と呼ばれる小粒の野生種でして、それが徐々に改良されて江戸時代には「品種」らしい名前がつけられるようになりました。
 
日本各地で栽培されていた栗ですが、昭和16年頃に発見された害虫「クリタマバチ」による被害で日本中の栗園は大打撃を受けました。
それ以降はクリタマバチに抵抗性を持つ品種が育成されて現在に至っています。
 
 
● 日本栗の特徴
 
日本栗の特徴は鬼皮と渋皮、渋皮と身の部分がはがれにくいことです。
ふかした時の独特の風味はそのためだと言われてます。
また、実の下部のざらざらした部分がヨーロッパ栗や中国栗に比べて大きく、栗らしい美しい形をしています。
 
果肉は粉質で鮮やかな黄色で、アクが少なく上質な風味があります。
良質なでんぷんに富み長期保存が可能な栗は、古くから日本の食文化と深くかかわって来ました。
 
栗を乾燥させた保存食「かち栗」が戦国時代には「勝ち栗」と転じて縁起がよい食べ物とされるようになったのが、おせち料理に使われるようになったきっかけとされています。
小豆との相性の良さを買われてお菓子にも使われるようになりましたが、それは比較的最近のことのようです。
 
 
● 栗の見分け方
 
果皮に張りと光沢があってずっしりと重みがあるもの。
古いクリは水分が減っているので重みがなく、味も風味も落ちています。
当然ですが、傷が付いていたり黒っぽく変色していたり、穴があいているものは避けましょう。
 
ちなみに栗の実(毬果:きゅうか)はイガで覆われ、食べられる果実部分は「鬼皮」というかたい果皮と「渋皮」という種皮に覆われています。
果実は種子が発達したものなので栗は「ナッツ」の一種です。
 
 
● 栗の保存方法
 
クリはかたい果皮に包まれていますが保存性はあまりききません。
時間が経つと水分が飛んで実が収縮して味が落ちたり、虫に食べられたりするので購入したら早めに食べるようにしましょう。
 
保存するときは新聞紙などに包んで冷蔵室に入れます。
また、多少風味は落ちますが冷凍すれば半年間ぐらいは保存することが可能です。
この場合はよく洗ってから水気を切り、ポリ袋などに入れて冷凍庫にいれます。
食べるときはそのままゆでればOKです。
 
むき栗を保存するときはアク抜きをし、水の中に入れて冷蔵します。
ただし、この場合は最低でも3日以内に食べてください。
むき栗を長期保存したい場合は、かたゆでにしてから冷凍保存します。
 
 
● 栗の栄養と効能
◆ 栗の主な栄養成分(可食部100g中)
・カリウム(420mg) ・葉酸(74mcg) ・食物繊維総量(4.2g) ・ビタミンC(33mg)
・ビタミンB1(0.21mg) ・ビタミンB2(0.07mg) ・ビタミンB6(0.27mg)
◆ クリの栄養と効能
主な効能は、高血圧予防、貧血予防、便秘改善、風邪予防、美容効果、疲労回復、老化防止(アンチエイジング)等です。
 
栗にはカリウムが豊富に含まれているので高血圧予防や動脈硬化などに効果があります。
また血を作る葉酸も含まれていて、貧血予防や葉酸を多く必要とする妊婦の方にも最適です。
 
食物繊維は便秘改善に役立ち、ビタミンCは風邪予防や美容効果に効果がありますが、栗のビタミンCは、でんぷん質に包まれているので熱による損失はそれほどありません。
 
疲労回復に役立つビタミンB1、細胞の成長を促進し老化防止するビタミンB2、アミノ酸の合成や代謝に必要なビタミンB6なども豊富に含まれています。
 
栗は栄養価の高い食べ物ですが、その一方でカロリーも高いので食べすぎには要注意です。
 
 
 
● 栗の種類
◆ 筑波(つくば)
日本で最も広く栽培されている品種がこの「筑波」です。
「岸根(がんね)」と「芳養玉(はやだま)」の交配種で1959年(昭和34年)に命名されました。
甘みのある果実は粉質で香りが良く品質が高いのが特徴。
果皮は赤褐色で光沢があり、果重は20〜25gと大きめ。
貯蔵性が良く加工用原料としても使われています。
収穫は9月中旬頃から10月頃まで。
 
◆ 丹沢(たんざわ)
8月下旬頃から店頭に並ぶ早生種の代表がこの「丹沢」です。
「乙宗(おとむね)」と「大正早生」の交配種で1959(昭和34年)に命名登録。
北海道と沖縄を除く全国各地で栽培されています。
サイズは20〜25gと大きめで果皮は淡褐色。
果実は粉質で、甘みと香りは控えめですが、早生種の中では品質に優れています。
 
◆ 銀寄(ぎんよせ)
大阪府豊能郡歌垣村倉垣(現在の豊能郡能勢町)原産の歴史ある品種。
かつては銀由、銀善などともいわれていましたが、現在では「銀寄」で統一されています。
果重は20〜25gと大きめで、果実は粉質で甘みが多く、風味も豊かで品質は良好。
ただし、貯蔵性はやや劣るため加工用品種としては不向きです。
収穫は9月下旬頃から。
 
◆ 石鎚(いしづち)
10月上旬から出回る晩生種。
「岸根」と「笠原早生」の交配種で1968年(昭和43年)に命名されました。
赤褐色で光沢のある美しい果皮が特徴です。
果重は25g前後とやや大きく肉質は粉質で甘みも香りもあります。
また日持ちが良く、煮くずれも少ないので加工用原料としても適しています。
11月上旬頃までがシーズン。
 
◆ 利平(りへい)
9月中旬から下旬頃がシーズンの中生種で、ニホングリとチュウゴクグリの一代雑種といわれています。
1950年(昭和25年)に登録されました。
粉質の果実は甘さがあり、蒸し栗におすすめ。
しかし肉質がもろいため、シロップ漬けなどの加工には適しません。
果皮は光沢のある暗褐色で果重は20〜25g前後となっています。
 
◆ 国見(くにみ)
「丹沢」と「石槌」を交配して育成され1983年(昭和58年)に品種登録されました。
お彼岸の頃に最盛期を迎える早生種で、早いものは9月上旬頃から食べることができます。
果皮は褐色で光沢があり、果重は約25g前後と大きくて肉質はやや粉質。
甘みと風味は少ないので甘露煮などの加工用としても使われています。
 
◆ 岸根(がんね)
山口県美和町が原産の「岸根」は、長い歴史を持つ品種です。
果実は30g前後と大きく、粉質で品質がよく甘みがあります。
貯蔵性もよく、加工用としても適しています。
10月中旬以降に最盛期を迎える晩生種で、そのほかの晩生種では「丹波」が有名です。
 
◆ 伊吹(いぶき)
果重20g前後の早生種です。
「銀寄」×「豊多摩早生」として誕生し1959年(昭和34年)に命名登録されました。
果実は粉質で甘みは中程度。
また香りはそれほどありませんが、品質は優れています。
シーズンは9月上旬〜中旬頃です。
このほか栗の早生種では「出雲」、「森早生」、「日向(ひむか)」などが有名。
 
 
 
● 昔話 弘法大師の焼き栗
 
むかしむかし、ある農家の子どもたちが、庭先で栗を焼いて食べていました。
「わあ、おいしそうだね。お兄ちゃん、もう食べてもいい?」
「ああ、いいよ。でも、熱いから気をつけなよ」
 
そこへ、旅の途中の弘法大師が通りかかりました。
大師は、そんな子どもたちにほほえむと、そのまま通り過ぎようとしましたが、子どもたちの前を通った時に、
「ぐーーーっ」
と、お腹の虫が鳴いてしまいました。
 
それを聞いた子どもたちは、笑いながら大師に言いました。
「あはははは。お坊さん、お腹が空いているのかい?」
大師は、恥ずかしそうに頭をかきながら言いました。
「はい。実は昨日から、何も食べていないのです」
 
すると子どもたちは、大師に焼いた栗を差し出して言いました。
「これを食べなよ。まだまだあるから、大丈夫だよ」
「それでは、遠慮なしに頂くとしましょう」
こうして大師は、子どもたちに焼き栗をごちそうなりました。
 
焼き栗を食べ終わった大師は、まっ黒に焼け過ぎて子どもたちが捨てた焼き栗を拾うと、それを地面にうめました。
「あれ? お坊さん、焼いた栗を植えても、芽は出ないよ」
大師はそれには答えずニッコリほほえむと、子どもたちに焼き栗のお礼を言って、また旅へと出かけていきました。
 
さて、その次の年の事です。
不思議な事に大師が植えた焼き栗から芽が出て、立派な栗の木へと育ったのです。
そしてさらに不思議な事に、この栗の木に出来た栗の実は、片側半分が焼けたように色が変わっていたのです。
 
子どもたちから話を聞いた人々は、この栗を『弘法の焼き栗』と呼んだそうです。
おしまい
福娘童話集 hukumusume.com/douwa/koe/jap/itiran/05gatu.htm より
 
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001