■ 野菜・果物と健康 (148)
 
石原結實式
「野菜ジュース&スープが
病気を治す」
医学博士・石原結實 著  永岡書店
その2
 
 
第1章
がん予防と生活習慣病に効く
野菜ジュース&スープ   の1
 
 
生活習慣病、がんはともに食べ過ぎ病
血液の汚れが病気を招く
 
生活習慣病、がんは血液の汚れが招く病気の代表と言ってもいいでしょう。
余分なブドウ糖、脂質,タンパク質が血液中に増えると、体はこれらを血管壁に沈着させて血液をきれいにしようとして動脈硬化を引き起こします。
発疹、発熱などで血液中の老廃物を排泄・燃焼させようとします。
いつまでたっても改善されない場合には、汚れを一ヶ所に集中させて腫瘍(がん)をつくってしまうと、東洋医学では考えられています。
 
つまり、生活習慣病やがんを防ぐには、血液をきれいにすることが大切と言えます。
がんは切除するだけでは治ったとはいえません。
食事内容を始め生活習慣を改善して、血液の汚れを解消することが何よりも大切なのです。
血液の汚れは、はじめは痛みなど、はっきりした症状は現れません。
ただ、次のような症状は血液が汚れているサインです。
当てはまる人は食べ過ぎを控え、体を温める生活を心がけましょう。
 
● けつえきがよごれているさいん
 赤ら顔
 目の下にクマができやすい
 鼻血や歯茎から出血しやすい
 顔にシワやシミができやすい
 腕に吹き出もので安い
 手のひらが赤い
 生理痛や不正出血がある
 足にあざができやすい
 下肢に静脈瘤がある
 
 
 
体内を浄化するためにからだがつくり出す
ガン予防
 
■ どんな病気?
がんは英語cancer(キャンサー)と呼ばれていますが、ギリシア語のカルキノス(かに)が語源です。
古代ギリシアの医師ガレノスのにると、がんの周囲にできる血管がカにの足に似ているためにこの名がつきました。
やまいだれに「嵒(いわお)」で「岩のようにかたい病気」という意味です。
 
つまり、がんは「周囲に血管が多く、血液が豊富に供給されていて岩のようにかたい腫れ物」といえます。
さらに、正常な細胞は同じ形をしていますが、ガン細胞は形もも大きなもまちまちです。
 
ガン細胞がこわいのは、自分勝手に増殖、転移していくところです。
ガン細胞が異常に増殖すると、正常な細胞の働きを邪魔したり、正常な細胞のあるべき場所を奪ってしまい、肝臓や胃、大腸、肺などがんが発生した臓器の働きが低下してしまいます。
 
■ 原因は?
肺ガンは喫煙や大気汚染、胃がんは食べ物に含まれるニトロソミアン、大腸ガンは高脂肪食による胆汁の分泌過剰でできるデヒドロコール酸など、がんの要因はさまざまです。
ただ、東洋医学では、すべてのがんは「食べ過ぎと冷えによる血液の汚れ」が原因と考えられています。
 
食べ過ぎや冷えによって余剰物や老廃物が多くなり、血液が汚れると、体は発熱して血液中の老廃物を燃焼させようとしたり、発疹と一緒に老廃物を体外に排出しようとしたり、老廃物を血管の内壁にくっつけて血液を浄化させたりして(動脈硬化)、血液をきれいな状態の保とうとします。
 
これらの浄化作用で血液をきれいにできなかったときには、汚れをからだの1ヶ所に集めて血液をきれいにする浄化装置をつくります。
これががんです。
これは血液生理学者で自然医学の権威である森下敬一博士のご高説です。
がんは食べ過ぎやからだの冷えによって、血液が汚れた状態が長期間続いたときに発生します。
 
■ こんな人は要注意
がんは35.0度のときがもっとも増殖しやすく、39.3度以上になると死滅することがわかっています。
つまり、体温が低い(からだが冷えている)人ほどがんになりやすいと考えられます。
 
■ 予防&治療法
がんの大きな要因が食べ過ぎによる血液の汚れです。
がんを予防するためには、次のような食事を心がけましょう。
 
@ よくかんで食べる(一口30回以上かむ)。腹八分目(少食)を心がける。
A 主食は玄米にする。もしくは白米に黒ごま塩をかける。
B 肉、卵、牛乳、バター、マヨネーズ、生クリームなど脂質の多い食事をさける・
C 食事は脂質が少ない和食を中心にする。
D 食物繊維を多く含む野菜、海草類、きのこ類、豆類などをしっかりとる。
E 1日2色のプチ断食を実行する。
朝食はしょうが紅茶かにんじん・りんごジュースに、昼食はそば、
夕食はA〜Dを心がける。
F ウォーキング、半身浴、サウナなどを毎日の習慣にしてからだを温める。
G 趣味に打ち込む、感謝の気持ちを持つ、人のために尽くす、希望を持つ等々、ポジティブな考え方を心がけていると免疫細胞の1つであるNK細胞が活性化されてがん細胞を攻撃する力が高まり、がん予防につながる。
 
 
● がん予防に効く食べ物
玄米  ごま  キャベツ  にんじん  しょうが
 
免疫力を高めるにんじんと抗ガン作用のあるキャベツ
■ にんじん・キャベツ・レモンのジュース
■材料(約200m分)
にんじん・・・小1本(約150g)  キャベツ・・・200g  レモン・・・1/2個
■作り方
 @にんじんは適当な大きさに切る。キャベツは葉をくるくると巻く。
 Aレモンは果汁をしぼる。
 B@をジューサーの鋳掛、2を加えよく混ぜる。
 
 
免疫力を高める3大食品を使って
■ 玄米・ごま・しょうがのスープ
■材料(2人分)
玄米・・・1/4カップ  ごま・・・大さじ2  しょうが・・・10g
かつお昆布だし・・・600m  塩・・・少々
■作り方
 @玄米は洗って水気をよくきる。半乾きになったらフライパンで香ばしくなるまで炒る。
 Aごまは炒ってからする。しょうがは薄切りにする。
 B鍋にだし、@としょうがを入れて火にかける。沸騰したら15分ほど煮る。
 Cすりごま、塩を加えてよくかき混ぜあわせ、数分煮て火を止める。
 
 
 
 
原因となっている余分な水分の排泄を促す
高血圧
 
■ どんな病気?
血圧が高い状態が続くと高血圧と診断されます。
収縮期血圧(高いほうの血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(低いほうの血圧)が90mmHg以上が続いた状態を言います。
 
■ 原因は?
血液中に糖質、コレステロール、尿酸などの老廃物がふえると、血圧を浄化するためにこれらを血管壁に沈着させます。
すると動脈硬化が起こって血液がながれにくくなり、血液を全身に送るにはより強い力が必要になって血圧が上昇します。
 
ほかに、下半身の筋肉が衰えて上半身に血液が集中したり、水分をとりすぎて血液中の水分が多くなって血液量が増加して高血圧を招くこともあります。
 
科学的に合成された食塩のとりすぎは血液中のナトリウム濃度を高くし、それを薄めるために血液中の水分が多くなり、血液量が増加して血圧が上がります。
 
■ こんな人は要注意
目が充血している、赤ら顔である、下半身の筋肉が落ちてきたなどが当てはまる人は高血圧が疑われます。
 
■ 予防&治療法
体内の余分な水分の排泄を促し、下半身の筋肉を鍛えましょう。
血液を安定させるきゅうり、セロリ、タマネギの薄皮も効果的です。
 
@ 生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
  【材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、きゅうり1本(約100g)
A 玉ねぎの薄皮の煎じ汁を1日数回に分けて飲む。
  【材料】鍋に水600mと玉ねぎの牛皮10gを入れて加熱し、沸騰したら中火にし、半量になるまで煎じ、ざるにあけてこす。
B 動脈硬化の原因となる肉類、バター、牛乳など高脂肪食品を控え、血圧を低下させるEPAやタウリンを含むあじ、さば、えび、かに、いか、貝類などを食べる。
C 食物繊維を多く含む海草類、きのこ類、豆類、こんにゃくなどをしっかり食べる。
D 動脈硬化を促進する過度な飲酒はさけ、適量な飲酒を心がける。
E ウォーキングやスクワット運動で下半身の筋肉を鍛える。
 
 
● 高血圧に効く食べ物
きゅうり  せろり  玉ねぎ
 
血栓予防のセロリとナトリウム排泄を促すきゅうり
■ セロリ・きゅうり・パイナップルのジュース
■材料(約200m分)
セロリ・・・100g  きゅうり・・・1本(約100g)  パイナップル(完熟・生)・・・100g
■作り方
 @セロリときゅうりは洗って適当な大きさに切る。
パイナップルは皮をむいて適当な大きさにきる。
 A@をジューサーにかける。
 
 
根菜のたまねぎは下半身を強化して降圧硬化を発揮
■ きくらげと玉ねぎと冬瓜のスープ
■材料(2人分)
黒きくらげ(乾)・・・3g  玉ねぎ・・・1個(約200g)  冬瓜・・・150g
かつお昆布だし・・・500m  酒・・・大さじ2  薄口しょうゆ・・・大さじ1
塩・・・少々
■作り方
 @黒きくらげは水につけて戻し、根元のかたいところを切り取り一口大に切る。
玉ねぎは皮をむき、薄切りにする。
冬瓜は種をとり、皮をむいて2cm幅の薄切りにし、水にさらす。
 A鍋にだし、玉ねぎ、黒きくらげを入れて火にかける。
 B沸騰したら火を弱め、冬瓜と酒を加えて冬瓜が柔らかくなるまで煮る(8分前後)。
 Cしょうゆ、塩で味を調える。
 
 
 
 
下半身の筋肉の減少が高血糖状態を招く
糖尿病
 
■ どんな病気?
血液中のブドウ糖が、体の約60兆個の細胞にうまく使われずに残り、血液中にブドウ糖が常に多くなっている状態を高血糖と呼びます。
高血糖状態だと病原菌が増殖しやすいうえ、免疫力が低下するため、肺炎、膀胱炎、皮膚炎など感染症にかかりやすくなります。
また、全身の60兆個の細胞でエネルギーがうまくつくれなくなるため、常に全身がだるい感じがします。
 
高血糖状態が続くと、糖尿病を引き起こします。空腹時血糖値が126mg/d以上、食後2時間200mg/d以上糖尿病型と診断されます。
 
糖尿病そのものは生命の危険はありませんが、進行すると毛細血管がボロボロになり、糖尿病網膜症から失明、糖尿病腎症から腎不全(人工透析)、足の指が壊死して切断など深刻な合併症の心配が出てきます。
 
■ 原因は?
食べ過ぎなどによって、膵臓から分泌されるインスリン(血糖を細胞に取り込むときに必要なホルモン)が不足することが原因です。
 
東洋医学では腎虚(加齢や下半身の筋肉の減少によって骨の機能が低下すること)が原因の病気と考えられています。
下半身の筋肉が減少すると、筋肉が消費するブドウ糖が減ってしまい、血液中に燃え残って高血糖状態になると考えられています。
 
■ こんな人は要注意
のどが異常にかわく、尿の量が増えた、インポテンツである、下半身の筋肉が落ちた、風邪を引きやすい(免疫力が低下している)人は注意。
 
■ 予防&治療法
食事内容を改善し、下半身の筋肉を鍛えましょう。
 
@ 生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
  【材料】にんじん2本(約400g)、りんご1/2個強(約150g)、玉ねぎ(50g)
A腸から血液へのブドウ糖の吸収を抑制する食物繊維を多く含む海草類、
きのこ類、豆類、婚約、玄米などをしっかり食べる。
B インスリンの成分となる亜鉛を多く含む牡蠣、えび、カニなど魚介類、しょうがをとる
C ウォーキングやスクワット運動で下半身の筋肉を鍛える。
 
 
● 高血圧に効く食べ物
さやいんげん  玉ねぎ  ひじき
 
インスリンの材料になる成分を含むさやいんげん、にんじん
■ さやいんげん・にんじん・レモンのジュース
■材料(約200m分)
さやいんげん・・・100g  にんじん・・・1本(約200g)  レモン・・・1/2個
■作り方
 @さやいんげん、にんじんは適当な大きさに切る。
レモンは果汁をしぼる。
 Aさやいんげんとにんじんはジューサーにかける。
レモン果汁を加えてよく混ぜる。
 
 
血糖降下作用のある玉ねぎと食物繊維が豊富なひじき
■ 玉ねぎとひじきのスープ
■材料(2人分)
玉ねぎ・・・1個(約200g)  ひじき(乾)・・・50g
かつお昆布だし・・・400m  酒・・・大さじ2  塩・・・小さじ1
■作り方
 @ひじきは水に漬けて戻す。
玉ねぎは皮をむき、薄切りにする。
 A鍋にだし、玉ねぎを入れて火にかける。
   沸騰したら火を弱め酒を加え、玉ねぎがが柔らかくなるまで煮る。
 Bひじきを加え、数分煮て、塩で味を調える。
 
 
 
 
さまざまな病気のした地となる
動脈硬化
 
■ どんな病気?
血液中に余分な中性脂肪、コレステロール、尿酸などがたくさんあると、体は血液を浄化するために余剰物や老廃物を血管壁に沈着させます。
これだ動脈硬化です。
動脈硬化が進行すると、血管の内腔が狭くなって血液が流れにくくなり(高血圧)、細胞に十分な栄養や酸素、水分が送れなくなります。
 
さらに、狭くなった血管に血栓(血のかたまり)が詰まると、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。
 
■ 原因は?
余分な中性脂肪やコレステロール、尿酸が、血液中に常にたくさん存在する血液の汚れがいちばんの要因。
動脈硬化という名前にあるように、血管が「かたく」なるのは「冷え」が原因。
なぜなら物質はすべて「冷えるとかたまる」という性質があるからです。
生活習慣病は、そのほとんどが食べ過ぎや冷えによる血液の汚れが原因です。
 
■ こんな人は要注意
目の周辺に黄色いイボができる人は、血液中のコレステロールが多いサインです。
また、動脈硬化が進むと、耳たぶにいちばん早く現れます。
耳たぶにシワがある人は動脈硬化が心配されます。
 
■ 予防&治療法
腹八分目を心がけて食べ過ぎを予防しましょう。
血液をサラサラにするものを食べ、運動や半身欲で体温を上げましょう。
 
@ ウォーキング、半身浴、サウナなどで体温アップをはかる。
A 生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
セロリやパイナップルには体内に沈着した物質を溶かす作用があり、レモンのビタミンCやビタミンPは動脈の柔軟性を保ち、丈夫にする働きがある。
【材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個強(約250g)、セロリ(パイナップル、レモン)100g
B 動脈硬化予防に良い魚介類(エビ、カニ、イカ、タコ、青魚)を存分に食べる。
C 動脈硬化を予防する硫化アリルを含む玉ねぎ、ねぎ、にら、にんにくを食べる。
 
 
● 動脈硬化に効く食べ物
パイナップル  玉ねぎ  えび・かに
 
血栓を溶かすパイナップルとセロリの相乗効果
■ パイナップル・にんじん・セロリのジュース
■材料(約200m分)
パイナップル(完熟・生)・・・200g  にんじん・・・1/2本(約100g)
セロリ・・・150g
■作り方
 @にんじんとセロリは適当な大きさに切る。
パイナップルは皮をむいて適当な大きさに切る。
 Aジューサーにかける。
 
 
コレステロールを下げるえびと玉ねぎと昆布
■ 玉ねぎとえびのスープ
■材料(2人分)
えび(殻つき)・・・200g  塩・・・少々  玉ねぎ・・・1個(約200g)
A=昆布・・・10cm3枚  水・・・500m
酒・・・大さじ2  しょうゆ・・・大さじ1
■作り方
 @鍋にAを入れて30分以上おく。
 Aえびは竹串で背ワタを抜き、塩をまぶしてしっかり洗い、殻と尾を除く。
   玉ねぎは皮をむき、薄切りにする。
 Bえびの殻と尾は捨てずに、紅茶などを入れるときに使うバックに入れる。
C@にBと玉ねぎを入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして20分以上煮こむ。
昆布は取り出して半量を細切りにする。
 Dえびを加えて3分ほどにて、昆布を戻し、えびの殻を入れたバックを取り出して塩で味を調える。