山ちゃんの食べもの考

 

 

その158
 
『食は生命なり』 【16】




食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』と「永山久夫」 その9

永山久夫 「百歳までの健康ライフ 健康食・健康百科」 より

■ 「みそ汁」の「三素五強」で長生き




米がとれたらよう
米のおまんま飯食べっよー
富士の山ほど
生みそ添えて


東北地方に、古くから伝わる「籾摺歌」の文句です。
新米の炊き立てご飯に、生みそをつけて食べる。これが実にうまいんです。
のどが鳴るほど味がいい。そして力がつく。
取り入れの疲れなど、いっぺんに吹っ飛んでしまうほど、体力が強くなります。

みそは、単なる調味料と思ったら、たいへんなまちがいです。
みそは調味料であると同時に、「なめ」とか「なめもの」と呼ばれた「おかず」であり、さらに日本人にとっては総合ビタミン剤のような役割も果たしてきたのです。


「みそ汁一杯三里の力」ということわざもあります。
みそ汁を一杯食べてから出かけていくと、三里(約12km)歩いても疲れないだけの力がつくという意味。
「朝のみそ汁医者いらず」も同様のことわざで、朝食べるみそ汁は元気のつく"薬"である、という意味です。

たしかに昔のみそ汁には旬の野菜やキノコ、イモ類など多種多様の材料が盛り上がるほど入っていました。
そのためビタミンCやミネラルなどがたっぷり摂取できたのです。
現在で言えば"総合ビタミン剤"といったところ。
だからみそ汁さえきちっと食べていれば、医者いらずの元気な生活ができたのです。


みそは、大豆をベースにして米や麦のこうじを使って発酵させ、大豆の中に含まれているさまざまな成分を分解熟成させ、うまみをかもし出す発酵食品なのです。

発酵の過程で、大豆に40%近く含まれているたんぱく質が半分近くもアミノ酸に分解されます。
生みそが美味しいのは、このアミノ酸の量によるところが極めて大きいのですが、さらに発酵が進行する過程で酵母や乳酸菌など良い菌が増え、ビタミン類も増加されます。
みその中で生活している微生物の数はほぼ160種類といわれています。みそ汁を食べるということは、たいへん活性度の高い"生菌"も取ることになります。

この生菌効果がまた素晴しい。
人間の食べ物は、大きく分けると「植物性」、「動物性」そして「菌性」に分けられます。
これまで栄養学者は、動物と植物中心にしか考えませんでした。
中には、肉食論、菜食論といって、偏った説を唱える学者さえいます。これは大きな間違いです。
人間は、植物と動物、それに"菌食"によって支えられているのです。
つまり、人間が本当に元気一杯の健康生活をするためには、植、動、菌のバランスを考えなければなりません。


日本は世界一の"菌食文化"を持ち、独自の食文化を発展させてきた民族です。
納豆、みそ、しょうゆ、塩辛、スルメ、ぬかみそ漬け、日本酒、酢・・・。
昔の食膳にはこれらの"菌食"のうち、毎日何種類かが必ずつきました。
日本人が世界一の長寿民族になれたのも以上のような菌類質の食べものを、日に三度とってきたことが大きな要因になっています。

ところが経済効率が優先された結果、手間ひまのかかる天然発酵の菌和食がどんどん減っているのです。
第一、日本人が昔ほど生菌効果の高い発酵食品を食べなくなってきました。

こういったことが、日本人のガン体質はへの大きな原因になっているのではないでしょうか。なにしろ4人に1人がガンで死ぬほど、ガンは激増しています。死亡原因のトップもガンです。

ここでいう菌食というのはカビやバクテリアなどの酵素作用を活用した発酵食品ばかりではなく、シイタケやナメコ、それにエノキダケ、シメジといったキノコ類も含めていることを理解してください。

■ みそ汁は薬膳スープ
発酵食品は、体の元気を養う上で重要な生菌をたくさん含んでいます。
その発酵食品の代表がみそで、日本人はみそ汁を通して毎日みそを取ってきました。
みそ汁民族の日本人にとって「味噌は煮こぼる」ということわざは重要です。
鍋の中の野菜が煮えて、火を落とす直前にみそを入れなさいという意味。
みそを入れてひと吹きしたら火ひを消す。これがみその風味を生かすコツです。
と同時にみその中の160種の生菌を活性化の状態で食べる知恵でもあるのです。

生きたみそには、「気」がこもっています。
「気」というのはいってみれば、生命力を強くするためのエネルギーのようなもの。
この「気」はスーパーなどのビニールパックされた安物のみそには少ないのです。
というのは出荷する前に加熱殺菌して、菌を殺してしまうからで、こうしないと袋の中で菌たちがどんどん繁殖し、炭酸ガスを出して袋が膨張し、へたをすると破裂してしまうからです。
ですからみそはよほど信用できる店で、"生みそ"を購入するのは一番良いのです。
できたら自分で作るのがベストです。

みそ汁には、四季折々の野菜や海藻やシジミなどが入ります。
新鮮で旬のものだったら、みんな「気エネルギー」に含まれた健康を向上させる素材ばかりです。
そしてみそ汁を作るときには、「実」は3種以上は入れたいものです。
いろんな野菜を加えることによってそれぞれの「気」を強くし、味噌汁の効果をいっそう高めることができるだけでなく、栄養のバランスも取れるからです。
みそ汁は日本人の"薬膳スープ"でもあるのです。


日本人は毎日のようにみそ汁を食べてきました。
日本人の塩利用文化の傑作として生み出されたのが「みそ汁」なのです。

みそ汁は、日本人の健康を守る、"機能性食品"といってもよいでしょう。
生命を維持する上で欠かせない「塩」を供給すると同時に、野菜と海藻などを一緒に「味噌汁」に入れることによって、野菜や海藻の中に含まれているカリウムで塩の害を低くしてしまいます。
しかも、塩の保存食ともいうべきみそは、大豆発酵食品ですから、酵母や乳酸菌、酵素などの健康によい生きた菌が繁殖しています。

完全に発酵したみそには、活発で元気な微生物がたくさん棲みついていて、体の中に入ってから、腸の中でビタミンB類を合成したり、整腸効果を高めてくれたりします。

みその効果はいろいろありますが、これをまとめると、「三素五強」ということができるでしょう。
「三素」というのは「味素、身素、美素」であり、「五強」は、「強脳、強骨、強防、強老、強精」を意味します。

「三素」について
★ 味素・・・味付けのもと。つまり、調味料の基本という意味で、
うまみ成分は主としてグルタミン酸などのアミノ酸類があります。
★ 身素・・・命の養いとなる成分が、たくさん含まれているという意味です。
       たんぱく質、ビタミン、ミネラル類、生菌効果など。
★ 美素・・・肌の美しさを保ち、老化を予防する成分が含まれています。
       レシチンやビタミン類。
       それに繊維質や各種の息や酵素の働きなどが中心です。

「五強」について
★ 強脳・・・脳の機能を向上させる上で役に立つレシチンやグルタミン酸、ビタミンB類が豊富に含まれている
★ 強骨・・・みそ自体のカルシウムに加えてみそ汁に用いられる野菜や海藻、それに、"だし"のカツオ節、煮干しにはカルシウムがたっぷり。
みそ汁を取ると、気分がおだやかになって、気分がなごやかになるのは、吸収の良いカルシウムが含まれているためです。
★ 強防・・・病気を防ぐ生命力が強くなるという意味です。
       とくに実だくさんのみそ汁は、ガンの予防食としても注目されています。
★ 強老・・・老化を防いで、若さを保つ上でたいへん役に立つという意味です。
       とくに野菜や海藻のたっぷり入ったみそ汁が効果があります。
       ちなみに、百歳以上の長寿者の好きな食べ物ベストスリーの中に、みそ汁
が入っています。
★ 強精・・・みそ汁路使用すると、勢力が強くなるという意味。
       みそには精子の原料となるアルギニンというアミノ酸が多いためで、戦国時代に、豆みそ文化圏(愛知、岐阜、三重)から、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と三人も続いて出たのは、大豆100%の「豆味噌」に含まれているアルギニンや、頭脳強化成分のレシチン、グルタミン酸と密接な関係があります。





 

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生命の農と食を考える
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池田 優

 

 

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