■ 現代人の食と栄養
――「あなたの食、バランスは取れていますか?」――
(フジッコHPより) |
||
● 健康クイズ 私達の日本人の健康と栄養の現状は、どうなのでしょうか? 以下の質問で、あなたはいくつ正解できるでしょうか? まずはこのクイズに挑戦してみてください。 Q1:日本人の平均寿命は、世界で何番目かご存じですか? A/世界一である B/世界では5位以下 Q2:病気や怪我で健康を損なう期間を除いた「健康寿命」が発表されています。日本人の「健康寿命」は、年々延びていると思いますか? A/延びている B/縮んでいる Q3:病気や怪我で健康が損なわれる「不健康な期間」は、日本人の場合、一生のうち何年くらいあると思いますか? A/5年以下 B/6年以上 Q4:私達日本人は菜食の国民だと思っています。では、実際の野菜・果物の消費量は、アメリカと比べてどうだと思いますか? A/日本の方が多い B/アメリカの方が多い Q5:欧米では「肥満」が大きな問題になっていることはご存じと思います。 では、私達日本人の場合、BMI 25を超える「肥満者」はどれくらい居ると思いますか? A/10%以下 B/20%以上 Q6:カルシウム不足がいわれます。 日本人の場合、海藻などを食べているから、カルシウム以外のミネラル;マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などは十分足りていると思いますか? A/足りている B/不足している Q7:食物繊維の大切さが強調されます。 私達日本人はごはんなどをよく食べていますから、食物繊維は足りていると思いますか? A/足りている B/不足している [健康クイズ 答え] Q1:A 日本人の平均寿命は世界第一位です。 Q2:B 「健康寿命」は残念ながら縮んでいます。 1999年74.5歳→2001年73.6歳。 Q3:B 現代の日本人は、なんと7.9年もの不健康期間を抱えているのです。 Q4:B 野菜、果物の消費量は実は日本の方が少ないのです。 日本100.1、アメリカ107.1kg/年(2001)。 Q5:B 日本人の「肥満者」は平均で26%。男性28.9、女性23.0%(2002)。 Q6:B ミネラル摂取量の成人平均ではカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、 銅が所要量に達していません(2002)。 Q7:B 食物繊維は必要量20〜25g/日に対して、平均で14.2gしか摂れていませ ん(2002)。 ● 日本は世界に誇れる長寿国なのか? 日本は平均寿命も「健康寿命」も世界一 私達日本人は、平均寿命81.5歳(男性78.07歳・女性84.23歳)と世界一の長寿を達成しました。 2002年のWHO(世界保健機関)発表では「健康寿命」も日本が3年連続で世界一の座を確保しています。 しかもそのベスト10には人口6,000万人以上の国はなく、1億2,000万人以上もの国民が73.6歳の健康寿命を実現しているということは確かに誇るべきことだと言えます。 延びる平均寿命・縮む健康寿命 ところがその発表では、平均寿命が延びているものの、病気や怪我などで健康が損なわれる「不健康期間」も延び、健康寿命はかえって短くなる傾向にあります。 2001年の推計では不健康期間は7.9年。 一生のうちの9.7%、つまり人生の一割近くは病人として過ごすというわけです。 しかも、このままでゆくと、将来日本の健康寿命はもっと短くなるだろうとも指摘されています。 人生の10分の1を病床で過ごす生活習慣病大国 その原因は生活習慣病の増加。 長寿国ニッポンはまた、寝たきりも世界一といわれ、日本人の死因の62%が生活習慣病といわれる「生活習慣病大国」でもあるのです。 予備軍を含めてその数は4,000万人〜5,000万人とされ、国民の大半は半病人といえます。 また、2002年の国民栄養調査では、4人に1人が肥満を抱える時代に入ったことが分かりました。 "食"生活習慣が問題 そして、これらの問題をもたらしているのが、まさに「生活習慣」。 とりわけ"食"生活習慣の影響が大きいのです。 国民医療費の増加も大問題ですが、何より個人的にも病気や寝たきりでないQOL(Quality of Life: 生活の質)の高い、幸せな人生をおくるために「健康長寿」を目指したいものです。 あなたのBMIは? あなたの「肥満度」をご存じですか? 30〜35 太り過ぎ 25〜30 肥満 18.5〜25 標準 22 理想体型 18.5以下 やせ 17以下 やせすぎ ※ BMIとは:Body Mass Index の略で肥満を判定する体格指数。 体重(kg)÷[身長(m)]2で算出します。 18.5〜25が標準で、それ以上でも以下でも要注意。 22が最も理想的とされます。 WHOの定義では30以上を「肥満」としていますが、日本では疫学調査の結果25以上で弊害が2〜4倍に達することなどから25以上を「肥満」としています。 ● 「現代型栄養失調」時代? 崩れ始めたバランス 現代型栄養失調とは? ここ50年の間に私達の食生活は劇的に変化しました。 急速な食の欧米化がすすみ、これだけ短期間に食文化が大幅に変化した国は他に類を見ないといわれています。 エネルギーはほぼ横ばいなのですが、内容が、激変しました。 動物性たんぱく質と動物性脂質が4倍〜4.5倍にも増えて、逆に炭水化物は7割、食物繊維は6割程度にまで減少しています。 私達の食は、いま「飽食時代の栄養失調」 エネルギーのもと、三大栄養素は摂りすぎ。 その一方で、それを利用して代謝するための副栄養素:ビタミン、ミネラル、それに食物繊維が不足していて、折角のネルギー源を十分利用できないという栄養"失調"をきたしているというわけです。 その上、代謝不足でエネルギーとして利用されなかった栄養は、脂肪として体内に蓄積されてしまいます。 現代食生活での大きな問題は、まさに「栄養バランス」です。 とくに問題とされるのは、脂質の増加、カルシウムをはじめとするミネラルの不足、それに食物繊維の不足です。 アメリカ人よりも野菜が少ない? 私達は野菜・果物はたっぷり食べているはず。 …ほとんどの人が、そう考えているのではないでしょうか。 ところが、じつは最近ではアメリカ人の方が野菜や果物をたくさん食べているのです。 日本人の野菜果物消費量は1996年、アメリカに追い越され、その後も減少の一途を辿っています。 ビタミンやミネラル、食物繊維の大事な供給源である野菜果物が目標所要量に届かず、しかも若い世代でとくに不足していて、野菜は7割、果物は5割程度しか摂れていないのが現状なのです。 「ミネラル不足時代」がやってきた? 国民栄養調査は2001年から新規に詳しいミネラル摂取量を調査に加えました。 それによると、従来から指摘されたカルシウムだけではなく、多くのミネラルが所要量に達していないことが判明しました。 成人の平均摂取量を所要量と比べて見ると、加工食品に多いリンやナトリウムは多いものの、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅といったミネラルは軒並み所要量を満たせず、80%程度しか摂れていません。 ミネラルは、どれか一つを沢山摂ればよいというものではなく、お互いが協力し合って働くところからとくにバランスが大切です。 単一物質をサプリメントで補おうなどとせずに、あくまで食事の「バランス」で改善したいものです 「食物繊維不足」と反比例する糖尿病・大腸がんの増加 食物繊維不足はご存じの通り。 1日20〜25g必要とされる食物繊維摂取量は、最近の調査では14.2g(2002年国民栄養調査)。 この50年ほどで60%近くまで減少していて、それに反比例して不気味な増加を示しているのが「糖尿病」や「大腸がん」です。 たとえば糖尿病は1955年から約50年でなんと50倍にも!大腸がん死亡率も30年前の4倍にも増えています。 糖尿病予備軍も増加の一途。 その予防の切り札が食物繊維で、今の平均摂取量の2倍、1日30gの摂取がすすめられています。 精製・精白の"美食"が招いたアンバランス ミネラルは不足も問題、摂りすぎも害。 適量範囲は案外狭く、最適量は正しい食事から摂れるレベルに近いとされ、とくにバランスが重要視されます。 ところが、私達が日常的に食べている薄力粉では小麦がもっていたミネラルの90%は失われ、構成も変わっています。 精白米ではミネラル・食物繊維共に玄米の半分以下に減っていて、また、野菜の栄養価も、50年前のものと比べると20〜50%も減少しているといわれます。 このような精製・精白の"美食"を追い求めてきた歴史が栄養バランスの乱れを招き、他方で大豆や昆布、根菜や乾物など、食物繊維やミネラルが豊富な食品の利用の減少がアンバランスを助長していると言えます。 ● 健康を左右する"食"生活習慣 80,000回もの食事が偏っていたとしたら…? 私達が、一生の間に摂る食事はなんと80,000回以上にもなります。 私達が食べたり飲んだりする食物は1年間で1トンにのぼるという試算もあります。 バランスを欠いた食事をこれほども続ければ、健康にツケが回ってくるのは当然でしょう。 "生活習慣病"とは、まさにこのことなのです。 大切なのは、「バランス」です。国民栄養調査の結果を見ても、食品数の少ない人ほど栄養素の不足やアンバランスが目立つことが分かります。 「1日30食品を摂ろう」というスローガンはあまり言われなくなりましたが、多様な食品を組み合わせて主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスをとろうという「食生活指針」は、変わりません。 専門家の多くは20〜30食品を摂るようにすすめています。 健康のためのバラエティー&バランス PFCエネルギーバランスと呼ばれるものがあります。 三大栄養素からのエネルギー摂取の比率を示すもので、わが国では、たんぱく質(P)は13%、脂質(F)は上限として25%、糖質(炭水化物C)からは63%摂るのが適正比率とされています。 「日本型食事」が世界のお手本として注目された昭和50年(1970)頃は、PFC比率はほぼ理想的な正三角形を示していました。 最近では、たんぱく質と脂質が増え、炭水化物が減って、やや歪な三角になりつつあるのが分かります。 欧米の国々のように脂肪過剰から高度肥満の問題を招くようになる前に、今こそバランスを考え、何とか理想に近いこの比率を守りたいものです。 バランスの改善で10年長生きできる 1,000人もの食事内容を分析して、人間ドック検査の医学データと対照した興味ある研究があります。 それによると、不足している食品は大豆、野菜、芋類。 調査分析された仲先生によると、食事内容の「バランスの良いグループ」と「悪いグループ」の差は各種検査の異常値に現れていて、食事のバランスを改善することで異常値の出現を10年遅らせることができるといわれます。 生活習慣病は、"食習慣"で対抗できる可能性がはっきり見えたのです。 21世紀、健康は「予防」の時代へ 見てきたように、かつて世界のお手本とまでいわれた「日本型食生活」は崩れ始めています。 「日本食は理想の高繊維食」と讃えられ、PFC比率でも理想的なバランスを誇っていました。 増加の一途を辿る生活習慣病を予防して国民の健康を守ろうと、政府も「健康日本21」を掲げて食生活の改善などを呼びかけています。 CureからCareへ。「治療から予防の世紀へ」といわれます。 病を得てから治療するという発想ではなく、病を呼び寄せない食習慣で健康を保つPreventive Nutrition「予防栄養」への関心が高まって欲しいものです。 ● 「新・日本型食事」を創ろう 新・日本型食事を創ろう 日本食に特徴的なのは「主食」と「副食」という考え方だといいます。 西欧での"メインディッシュ"が、お肉や魚などと変化するのに比べ、私達はほぼ毎食変わらずに「ごはん」(炭水化物)を主食として食べ続けているわけで、これが低脂肪食のもとになっています。 ごはんを中心にエネルギーの半分以上を炭水化物から摂っている国は先進国では日本だけといわれます。 欧米食は食材数が限られているのに比べて、日本食は食材の豊富さで世界のトップといえるバラエティーに恵まれています。 この豊富さを生かして多様な食品を幅広くいただくのが、日本食のバランスの良さを支えているのです。 「主食+主菜+副菜」の理想食を正しく見直そう 健康のためには「日本の伝統食に西欧からのたんぱく質とカルシウムを融和させた新・日本型の食事が理想的」とすすめられます。 ごはんなどの炭水化物をベースに、魚介類などの主菜を添え、大豆・昆布・野菜など、バラエティーに富んだ副菜をいただく。 …伝統食の智恵をおいしく生かして、バランスの良い食事を規則正しく、楽しく摂ることこそ、健康の秘訣なのです。 とくに不足しがちなのは微量栄養素が豊かな「副菜」で、主菜の2倍ほどを食べるつもりで、主食:主菜:副菜を3:1:2の比率で摂るのがよいとすすめられます。 いま、アメリカやヨーロッパで健康のための日本食がブームを呈しています。 …世界が注目する日本食の良さが話題として逆輸入されるのではなく、私達自身がこの素晴らしい食習慣を再評価し、時代に合わせた「新・日本型食事」として新しい食文化を築いていきたいものだと思います。 ● 明日の子供たちのために …成長を左右する食生活習慣 食の乱れで、子供が危ない! 肥満や生活習慣病を抱える子供たちが増えています。 肥満児のうち8割はそのまま太った大人になるといいますから、早めの対策が大切です。 犯罪の年少化、キレる子供、情緒不安定な子供などが問題視されていますが、この原因には食の乱れが大きく影響しています。 「オカアサンヤスメ」や「ハハキトク」など、子供の好きなものばかりを与えることが「ばっかり食べ」を助長しているといわれます。 子供の頃にこそ、本物の味の原体験を与え、正しい食べ方、幅広い食べ方を学び、バラエティーに富んだ食品に親しみ、自然に良い食習慣を身につけることが大切です。 キレる子供は食の乱れが原因? 「欠食や栄養バランスの悪い貧しい食生活が子供達をいらつかせている」と警告する研究があります。 中学生約1,200人を対象に行われたその調査では、イライラすることが多いなどの心身の健康状態と食生活の相関関係を比較した結果、「腹が立つ」「すぐカッとなる」「友達をいじめている」などを訴える生徒が食生活が悪いグループほど際だって多いことが分かりました。 調査した鈴木先生は「いま食を見直さないと、取り返しのつかないことになる」と警鐘を鳴らし続けられています。 10歳までに、食事を通して五感に刺激を与える 最近の少年犯罪ではとくに現実性が希薄な凶悪事件を目にしますが、判断などをつかさどる脳のネットワークは、五感から入るバランスのとれた刺激によって10歳前後までに基礎が作られるといいます。 子供達を空想の世界におぼれさせないためには、「家庭内で五感に刺激を与える最も身近で確実な手段は食事の時間だ」と専門家はすすめます。 …食の乱れが如何に子供の心に影響するかを知るほど、「食バランス」の大切さを改めて認識する思いです。 対策のカギは「和食」。幼児期に本物の味の体験を 対策としてすすめられるのは、「和食」です。 栄養学の専門家は「飽食時代ならではの偏食」が問題で、バランスの良い食習慣を幼児期から教えることが大切なのに、嫌いなものを根気よく食べさせるという手間暇を惜しみ、工夫しない育て方が「ばっかり食べ」を増幅させ、とくに野菜、豆類、芋類が不足していると警告しています。 背の青い魚に含まれるDHAに攻撃性を抑える働きがあることが確認され、大豆がもつ様々な栄養素が「最高の健脳食」としてすすめられるなど、幼児期からからだに良い本物の味を教えてあげるのは、親のつとめといえるでしょう。 幅広い食材で自然に栄養バランスがとれる日本型食事は、子供の心と体の正しい成長にとっても欠かせない素晴らしい智恵の宝庫。…子供の食を研究している専門家は、こぞって「子供の健康づくりに1日の半分は和食に」「多品目の食事を」とすすめられています。 栄養バランスの大切さを、小さいときから自然に体で覚えさせておいてあげたいものですね。 健康は普段の食事から 私達は、昔の貧しい食生活に帰ろうと主張しているのではありません。 現代の食生活に日本伝統食の智恵を上手にとり入れて、バランスの良い食事を取り戻すこと、それに朝昼晩3度の食事をしっかり摂る食習慣を取り戻すことが、いま、とても大切なことだと考えています。 そのためには、なにより日常の食事で自然にバランスをとっていただけるよう、おいしくて栄養バランスに役立つ食とサービスの提供を通じて「ミール"バランス"ソリューション」に貢献すると共に、現代人の嗜好や生活にあった食の提案をお客さまとご一緒に考えることから「新・日本型食事」ともいうべき新しい食文化を創造したいと願っています。 そして同時に、未来の子供たちのために、小さい頃からバラエティーに富んだ食品に親しみ、自然に良い食習慣に馴染んでいただくために、私達もできるだけのお手伝いをしたいと念願しています。 |
||
![]() 石川県認定 |