ビタミンCの含有量がバツグン!
カロテン、ビタミンB1、B2、
カルシウムや鉄なども豊富
和え物、おひたし、吸い物、
炒め物、天ぷら、浅漬けに!
栄養満点!旬の美味しさ!
“菜の花”
● 菜の花とは
アブラナ科の野菜で、花や茎、葉を食し、かすかな苦みを持っています。
かつてはアブラナ(油菜)と呼ばれ採油用に栽培されていましたが、現在は野菜としての栽培が盛んです。
つぼみを食べる和種と茎を食べる洋種の2種類があり、和種は弥生時代に、洋種は明治初期に伝わったといわれています。
開花前の方が栄養価に優れ、価格も高くなります。
菜の花は、つぼみ・茎・葉を食べる花野菜です。
ほんのりとした苦みがくせになる菜の花。
独特な味覚が、体を中からシャキっと目覚めさせます。
● 菜の花の旬
菜の花は、春の野菜と思われがちですが、菜の花は肌寒くなる季節から出回るようになります。
実際は冬から春にかけて出回る野菜です。
まだ咲いていない、ぷっくりとしたつぼみ、太い茎、柔らかい葉を丸ごと食べることのできる、季節感が満点の花野菜です。
花が咲くと味が落ちてしまうため、限られた期間だけが旬と言えます。
そのため花が咲き始める春頃に旬が終わります。
主要な産地は千葉県、三重県、香川県です。
千葉県産の旬は、12月〜3月
三重県産の旬は、10月〜4月
香川県産の旬は、11月〜4月
菜の花は、切り花の菜の花を品種改良し、苦みを抑えたもので、最も多く出回っている菜の花です。
つぼみに独特のほろ苦さが有り、加熱すると、柔らかい葉と、甘い茎もまるごと食べることができます。
数少ない、花を食べる野菜でもあります。
● 菜の花の下ごしらえ・洗い方について
菜の花に含まれるビタミンCとカリウムは水に溶けて流れていきやすいので、ゆですぎと水に浸けすぎには気をつけましょう。
ゆでるときは軸の固い部分を切り落とし、塩を加えた熱湯で、サッとゆでます。
菜の花の青さが増す程度でよく、湯通しする感覚で、数秒軽くゆでればよいです。
また、サッとゆでることで、菜の花のシャキっとした歯ごたえが残ります。
サッとゆでて、定番のおひたし、カラシ和え、ワサビ和え、一夜漬け、サラダなど。
その他にもパスタの具、かきあげ、ピザの具、おすしの具にもぴったりです。
菜の花は、花や葉はやわらかいのに、茎は意外にしっかりしたものが多いので、分けて調理するようにします。
茎がかなり太いものは、タテ半分に切ってから使うと、火の通りを他の部分と同じにできます。
ゆでるときは、熱湯に塩を加え、茎の部分を先に入れ、後から花と葉の部分を入れます。
ゆですぎると、せっかくのビタミンCが流出してしまいますし、舌ざわりもべっとりとしたものになるので、サッと短時間で火を通すのがコツです。
ザルにあげ、そのまま水気を切ると、緑色が鮮やかに仕上がります
● 菜の花の栄養
菜の花は、含まれている栄養素の種類が多くて豊富なことで知られています。
特に多いのがビタミンC、B1、B2、カルシウム、カリウム、食物繊維です。
これらの栄養素は、野菜の中でもトップクラスの含有量です。
その他に、女性に不足がちな葉酸や鉄などのミネラルも含まれています。
食卓に菜の花料理を一品プラスするだけで、効率的に幅広い栄養を摂取することができるので、おすすめです。
菜の花は、意外なことにビタミンCの含有量が野菜の中ではトップクラスなのです。
ビタミンCの王様野菜ピーマン(緑)の100gあたりのビタミンC含有量が約80mg。
菜の花はなんと含有量130mgです。
ビーマンの1.5倍以上のビタミンCを含んでいることになります。
菜の花を上回るビタミンCを含んでいる野菜は、赤ピーマンや黄ピーマン、芽キャベツぐらい。
ただビタミンCは熱に弱いので、できるだけ加熱時間は短くしたいものです。
ビタミンCだけではなく、カロテン、ビタミンB1、B2、カルシウムや鉄などのミネラル類も豊富に含んでいます。
ちなみにカルシウムは小松菜並みの含有量。
菜の花は、見た目が風流なだけでなく、とても栄養価の高い野菜なのです。
● 成分
カロテンやビタミンC、E、Kなどのビタミン類や、カルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラル類を豊富に含んでいます。
アブラナ科に含まれるスルフォラファンを含有しています。
特有の苦みを持っています。
● 効能
カロテンやビタミンCが免疫力を高め、風邪を予防し、ビタミンEの働きと一緒になり老化を予防し美肌をつくります。
カリウムが体内の塩分バランスを保ち高血圧の予防に働くきます。
鉄分が貧血を予防し、食欲不振や消化不振を解消します。
カルシウムはビタミンKと一緒に骨や歯を丈夫にして精神を安定させます。
ビタミンCが鉄分やカルシウムの働きを倍増させます。
スルフォラファンは抗酸化力が高くがん予防に有効。
体が軽く動きが順調になります。
● 効果的な調理ポイント
苦みがあるので、さっとゆでる。
ゆで過ぎるとビタミン類が流失してしまうので注意する。
茎の切り口に近い部分は固いので、2〜3cm切り落として使うとよい。
苦みをやわらげるには、油で炒めるとよい。
グラタンなどに入れても苦みはやわらぐ。
● 菜の花の美味しい食べ方
豊富に含まれるビタミンCは、水溶性ですので、ゆで過ぎないようにしましょう。
油脂と一緒に調理すると、カロチンの吸収率を高めることができます。
和え物、煮びたし、吸い物、炒め物、天ぷらなど、調理のバリエーションは実に様々。
ショウガと合わせると抗菌作用が、卵を加えると免疫力がアップしますよ。
しゃきしゃき感を残すためには、油で手早く炒めたり、茹でた後は水に晒さず、そのまま冷ますようにしましょう。
蒸し煮や汁物は、栄養を逃さずに摂取することが出来ます。
色々レシピを工夫して上手に美味しく食べたいですね。
●菜の花の辛し和え ●菜の花の酢味噌和え ●菜の花のマヨネーズ和え
●菜の花の天ぷら ●菜の花のおひたし ●菜の花の炒め物
●菜の花のサラダ ●菜の花のスープ ●菜の花の汁物
●菜の花の浅漬け ●菜の花の煮浸し ●菜の花の混ぜご飯
● 菜の花の選び方
つぼみが小さくそろっているものを選びましょう。
つぼみが咲いてしまっていると、味が落ちているので、避けた方がよいです。
葉・茎がやわらかく、切り口がみずみずしいものを。
葉の色は、鮮やかなグリーンのものが新鮮です。
全体的にシャンとしているものを選びます。
●菜の花の保存方法
菜の花は非常に傷みやすい野菜です。
乾燥に弱いので、その日のうちに使わないときは、すぐに結束をはずし、水分の蒸発を防ぐため濡れたキッチンペーパーで包んでからビニール袋か新聞紙に包みます。
畑に生えているときと同じ状態になるように、立てて冷蔵庫の野菜室で保存します。
キッチンペーパーとビニール袋の二重使いで、かなり厳重に保存しても、保存できるのはせいぜい2、3日ぐらい。
余らせてしまうようならば、塩茹でにし、硬く絞ったものをラップにくるんで冷凍保存します。
●菜の花を詠んだ歌
「菜の花や月は東に日は西に」 (与謝蕪村)
「菜の花の中に城あり郡山」 (森川許六)
「菜の花のとつぱづれなり富士の山」 (小林一茶)
「菜の花やしばし風聞く往診医」 (凡茶)
「菜の花や赤色巨星明け残る」 (凡茶)
「菜の花に日は傾きて
夕雲雀しきりに落つる市川の里」 (正岡子規)
「振りむけばなくなりさうな追憶の
ゆふやみに咲くいちめんの菜の花」 (河野裕子)
「菜の花は日本の花そうかいなあ」 {林正行}
「菜の花や淀も桂も忘れ水」 (言水)
「菜の花ばたけに 入り日うすれ
見わたす山のは かすみ深し
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて においあわし」
(文部省唱歌の「おぼろ月夜」(作詞/高野辰之・作曲/岡野貞一)
● 童話 「菜の花の悩み」
いつも明るく優しい菜の花さんですが、ひとつだけ悩みがありました。
さあ、どのようにして解決するのかな?
ほんわか!少しだけあたたかくなってきた春の段々畑(だんだんばたけ)です。
青い空の下で、菜(な)の花の隣(となり)に植(う)えられていた青ネギさんが、菜の花さんにさみしそうな声でささやきました。
「菜の花さん、あなたはわたしたち野菜(やさい)の仲間(なかま)ですよね?」。
菜の花さんが返事(へんじ)に、迷(まよ)っていると、今度はななめ上のほうから、赤い椿(つばき)さんが枝(えだ)をゆらしながら、ささやきます。
「菜の花さん、あなたはわたしたち花の仲間ですよね?」。
菜の花さんは、また返事に困(こま)ってしまいました。
なぜなら、青ネギさんと赤い椿さんは、ちょっぴり冷たい関係(かんけい)なのですから。
まだ、ふっくら蕾(つぼみ)の菜の花さんは、自分でもどちらの仲間かを、わからなくなっていたのでした。
ほんとうならば、いつものように思いっきり小さな花をいっぱい開いて、お日さま色にかがやく洋服(ようふく)で、段々畑をおおって明るくするはずだったのです。
でも、今年(ことし)は「わたしは野菜なのかしら?それとも、花なのかしら?」と、悩(なや)みはじめています。
じつは、一年前の春のできごとから、菜の花さんはなにがなんだかわからなくなっていたのでした。
一年前の菜種梅雨(なたねづゆ)のある日でした。
どんより空なのに、菜の花さんの畑に、人々がたくさん集まってきて「まあ!菜の花は、きれいなお花ねぇ。」「すてきねぇ!やっぱり春一番のお花よね。」と口々(くちぐち)に、ほめられたのでした。
菜の花さんとしては、お花屋さんで自分が「花」として売られていることは、そよ風さんの噂(うわさ)から聞いていました。
でも、この段々畑にまで、人々がながめに来るなんて、思いもよりませんでした。
なぜって・・・菜の花さんは、『お花見(はなみ)』と言ったら、桜さんのことに決まっていると思っていたからです。
まさか、自分が『お花』として喜ばれるなんて、考えてみたこともなかったのでした。
そして、今!段々畑の菜の花さんは、自分の黄色いお花を開く明日(あした)まで、隣の青ネギさんとななめ上の赤い椿さんに答えなければならない、とおもっています。
次の日の朝になりました。
菜の花さんは、プチッ!カサッ!と、にこにこ笑顔のお日さまの下で、小さな黄色い花のお顔をひとつずつ出しはじめました。
青いお空がすっかり澄(す)みわたった昼前(ひるまえ)には、段々畑に黄色のほのぼの明かりがいっぱい灯(とも)ったようになりました。
午後になりました。
ちょっぴり冷たい風がふいたとき、隣の青ネギさんが、また、ささやきます。
「菜の花さん、やっぱり、あなたはわたしたち野菜の仲間ですよね?」。
すると、今日は、菜の花さんが風にゆれながら、とても元気な声で答えました。
「もちろんですとも!青ネギさん。わたしはあなたとおなじ野菜ですもの。」
青ネギさんは、うれしさのあまり、ツーン!と伸(の)びた先っぽをクネッ!と折(お)りながら「そうですよねぇ!」と言います。
それを聞いていた赤い椿さんが、いそいでななめ上からささやきました。
「菜の花さん、あなたはわたしたち花の仲間なのですよね?」。
菜の花はななめ上を見あげて、ほほえみながら答えました。
「もちろんですとも!赤い椿さん!わたしはあなたとおなじように、種(たね)が、油(あぶら)になるのですもの。」。
すると、椿さんは、赤いお顔を落としそうなほど首をふってよろこんで「そうですよねぇ!」と、言いました。
そのようすを見ていた青ネギさんが、おどろいて大きな声で、ききます。
「じゃあ、わたしたち野菜も花も・・・みんなが、仲間だっていうことなの?」。
菜の花さんが言います。
「そうなのね。わたしたちぜんぶが、この段々畑の仲間で、お友達なのだわ。」
椿さんも、赤いお花の首をゆらゆらさせながら、うれしそうに言いました。
「まあ!なんてすてきなのでしょう!この段々畑のわたしたち皆、だれもが仲間でお友達だなんて!」
菜の花さんが歌うように答えました。
「段々畑のわたしたち、みんなで仲良し。ああ!なんと幸せいっぱいなんでしょう!」。
こうして、菜の花さんの知恵(ちえ)と、その明るいお花の光で段々畑の皆を、幸せにしたのでした。
菜の花さんは、一晩中考えました。
みんなが平和で幸福になるような答えは?と。
そして、賢い答えをみつけたのでした。
わたしたち人間も、同じ地球に住む仲間として、共通点をさがしてみたいですね。
そうしたら、世界中みんなが友達で、どんなにか幸せなことでしょうね。