おお、寒い寒い
さァ、鍋で芯から温まろう!
野菜もしっかりとろう!
霜や雪にあたった冬の白菜は
やわらかく甘味が多く実に美味しい
白菜
◆中国からの種が花開く
原産地は中国北部で、野生の植物からではなく、蕪(かぶ)と漬け菜(つけな)類が自然に交雑して、栽培種としての白菜の原形ができたと推定されています。
中国では11世紀ごろの「本草図経」に記録があり、現在でも最も栽培量の多い野菜です。白菜の英名もチャイニーズキャベツ「Chinese cabbage(中国のキャベツ)」といいます。
日本での歴史は以外なほど浅く、初めて入ってきたのはのは1875年(明治8年)で、このときの栽培はあまりうまくいかなかったそうです。
本格的に普及するのは、日清戦争(1894〜1895)、日露戦争(1904〜1905)が契機になります。
この両戦争の従軍戦士は農村出身者が多く、彼らが現地で白菜を食べてその味に感心し、種子を持ち帰って、各地で栽培されて急速に普及しました。
白菜は英語でチャイニーズキャベツといわれるように、国際的な統計ではキャベツの中に入っています。
中国から各地に導入された種をもとに、宮城、愛知、石川で、それぞれ松島群、野崎群、加賀群という、日本のはくさいを代表する三大品種群がつくり出されました。
風にゆれる菜種、どっしり腰の座った白菜、じつは親戚同士なのです。
約2000年前、ヨーロッパの麦畑でアブラナ科の雑草として生えていた菜種の種が麦などについて、地中海域、中央アジアを旅して中国へ。
この種から、かぶや漬け菜など多くの葉類が分化。
そして7世紀ころ、華北の蕪と華南・華中の漬け菜が交雑し、11世紀ころに結球白菜の原型が生まれたといいます。
◆キャベツとかぶの長所を持つ白菜
白菜はふつう、同じ株の花粉では実を結びません。
この性質を自家不和合性といいます。
現在の品種のほとんどを占める一代雑種は、この性質を利用し、純系同士をかけあわせてつくり出されました。
親系統の長所をあわせもち、しかも長所が均一化しているので品質がよく、生産量も安定しています。
◆植物ホルモンの働きが白菜を結球させる
白菜が結球するためには、80〜100枚の葉が必要といわれます。
では、どのようにして結球するのでしょうか。
白菜は結球期に入ると植物ホルモンの一種オーキシンの生成がさかんになります。
このオーキシンは、葉の表に光が当たると葉の裏側に移行し、そこの細胞を大きくするために、葉が立ち上がり、結球するというわけです。
白菜は15〜20℃の冷涼な気候を好みます。
キャベツよりも高温に弱く、また、寒くなると球の中のほうの葉の成長が止まり、しまりのよい球になりません。
種のまきどきを逃さず、適温期に育てることがたいせつです。
同じ葉ものでも、葉数が少なく、結球しないホウレン草や小松菜などに比べると、適温・適地を選ぶのです。
秋〜冬どりは広い肥沃な畑のある茨城が出荷の約3割を、夏どりは冷涼な長野が約8割を占めているのはそのためです。
◆白菜の種類
現在存在する栽培種は、蕪(かぶ)とツケナの交雑から生じたもので、野生から発達してきたものではないと考えられています。
結球、半結球、不結球といったものがあり、一般的に言われる白菜(はくさい)は、結球白菜のことを言います。
また品種では、山東型、北方型、南方型に分類されていて、山東型は、日本で普及している白菜を指し、北方型は、貯蔵性に優れ耐寒性も高く、大型のものを言います。
南方型は、生食しやすく、極早生で耐熱性が高く、小型のものとなります。
●円筒形
どっしりした円筒形の結球はくさいです。
頭部の葉がしっかりと重なる包被形。
球の内部が黄色みを帯びた黄心型は最近の主流品種です。
●砲弾形
砲弾のように頭部がとがった結球はくさい。
しまりがよく、頭部の葉が重なり合わない抱合形。
内部の白い軟白型は減少けいこうにあります。
●たけのこはくさい
長円筒形でたけのこに似ているため、この名があります。
通常5〜10キロ、大きなものは1球25キロにもなります。
葉肉が堅く、加熱してもくずれない特徴があります。
●半結球はくさい
胴部はしまり、頭部は開いています。
関東に多く、葉肉は薄く、日もちがよい。主に漬物用。
花芯、半結球山東(さんとう)などがあります。
●ミニはくさい
小人数の家庭でも食べきれるように開発された小型品種。
普通品種が1球3〜4キロなのに対して1キロ前後。内部は濃黄色。
●ヘアレスはくさい
中国南部、台湾に普及しているはくさい。
葉面に毛がないのでヘアレスという。多汁でサラダ向きです。
●各地に生き残る白菜の変わりもの
日本の各地には、今も食卓にのぼる白菜の変わりものがあります。
広島菜は広島市特産。安芸菜(あきな)ともいい、不結球の漬物向き品種です。
べか菜は東京の江戸川、荒川周辺でとれる若どり不結球はくさい。
山東菜(さんとうさい)の一種で、べか船で運搬したことからこの名が。
真菜は千葉や東京近郊で栽培。間菜とも書きます。
◆白菜の旬
白菜の旬は11月下旬から2月ごろの晩秋から冬にかけてで、霜にあたると繊維がやわらかくなり風味も増します。
また葉の糖分も増えておいしくなります。
しかし、最近では秋から冬は茨城県など大都市圏の周辺で、春から夏は長野県などの冷涼地で栽培され、また、トンネル栽培による春から初夏の収穫も盛んになり、冬野菜から1年を通して手に入る野菜に変わってきました。
◆白菜の食べ方 淡白な味を生かして
冬場の野菜として重宝な白菜の使い道は、かつては家庭でつくる漬物用が大きなウエイトを占めていました。
今では漬物をつくる家庭がめっきり減りましたが、淡白な味を生かし、鍋もの、いためもの、クリーム煮、スープ、サラダなど、さまざまに使われています。
日本食ブームのアメリカでも”ハクサイサラダ”の名がレストランメニューに加わっています。
◆白菜の栄養・効能
●水分が95〜96%ですが、色々な栄養素が微量ながら万遍なく含まれています。
●ビタミンCが比較的豊富です。
外側の葉に最も多く、ついで芯に近い部分の葉に多く含まれています。
他にはカロテンなども含有されています。
●カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分などのミネラル類も含まれ、その栄養価はキャベツの似たようなものになっています。
●他にアブラナ科の野菜(大根、かぶなど)に共通する辛味成分であるイソチオシアネートを含んでいます。
●食物繊維も豊富に含まれています。
●キャベツと成分が似ていますが、キャベツに比べて糖質が少なく、カロリーが100g当たり(中葉1枚程度)で12カロリーしかありませんので、肥満や高血圧の予防になります。ダイエット向きの食材とも言えます。
●白菜には硝酸塩がかなり含まれています。
これは胃癌の原因になる物質の一つとされています。
ただ、生産地や生産方法によって含有量にかなりの差が出ます。
●整腸作用
食物繊維が豊富で、便秘の改善や、大腸がんの予防に効果が期待できます。
塩漬けにしても、ビタミンCは失われず、乳酸菌などのお腹に良い腸内細菌ができるので、整腸効果が期待できます。
●風邪などの予防や美肌効果
ビタミンCを多く含み、また、煮た白菜には、体の中の余分な熱を冷ます作用があるので、風邪で熱のあるときには効果があります。
熱に弱いビタミンCは、漬物にすると壊れずに生かされ、こちらも風邪や美肌に効果があります。
●ガンや動脈硬化の予防
イソチオシアネートは、発ガン性物質を抑制したりや動脈硬化を予防する効果があるといわれています。
また、最近の研究では、発ガン性物質の一つである亜硝酸アミンの吸収や蓄積を抑制するモリブデンという微量元素が含まれることもわかってきました。
これらの物質により、ある程度の抗ガン作用が期待できます。
食物繊維も取れるので、便秘の改善や、大腸がんの予防を期待できます。
●高血圧予防や利尿作用
カリウムには、利尿作用や取り過ぎた塩分を体外に排出するという作用があり、高血圧予防につながります。
一般的に塩(主成分は塩化ナトリウム)を多量に使う漬け物は、血圧が上がるとされていますが、白菜漬けの場合には、白菜に含まれるカリウムがナトリウムを排泄して、塩分を過剰にとるリスクを軽減させます。
しかし、くれぐれも食べ過ぎには注意してください。
◆白菜の選び方 カットものは芯に注目
●胴がよく張っていて、しりが丸みを帯びているもの。
手で持つとずっしりと重量感のあるものを選びましょう。
●葉が薄緑色に縮れていて、黄ばみがなく、巻きがしっかりしていて、
葉先をしっかり巻きこんでいるものが良いでしょう。
●胴の白い部分にみずみずしさとつやがあり、
株の切り口がかさついていないものは新鮮です。
●カットされている場合は、切り口がみずみずしいものを選び、
切り口が茶ばんでいたり、葉の部分が乾いているものは避けて下さい。
●カット面は、葉と葉の間が詰まっていて断面が平らなものを選びます。
カットした後も中心付近は成長を続けるので、時間がたったものは芯がふくらみ、
鮮度が落ちている証拠になります。
◆白菜の保存法
●4〜10月頃に出回る夏白菜は、傷みやすい品種なので、カット売りで必要な分だけ求め、4〜5日で使いきるようにします。
残った場合は、ラップフィルムできっちりと包んで冷蔵庫で保存してください。
●白菜の旬でもある11〜2月頃の冬白菜は、長持ちします。
丸ごと数枚の乾いた新聞紙に包んで、凍らないぐらいの冷暗所に、根の部分を下にして立てかけておけば、2〜3週間は保存できます。
使うたびに外側から1枚ずつはがして使い、冷蔵庫に入れてもじゃまにならないぐらいの大きさになったら、野菜室で保存します。
●新聞紙がぬれると傷むので、湿ってきたら取り換えてください。
●横にすると重みで傷みやすいので、必ず立てて保存してください。
●残ったものはラップフィルムまたはビニール袋にしっかりくるんで冷蔵庫で保存します。
●ざく切りして冷凍保存すると便利です。
ざく切りした冷凍白菜は料理に重宝します。
葉の部分を5cmくらいの大きさに切り、固めの塩ゆでにします。
水気をしっかりときり、密閉容器で冷凍します。
使うときは、凍ったまま、炒めものや煮ものに使います。
2ヶ月位は充分もちます。
◆チョウから逃げろ 白菜の採種は離れ島で
自然交雑しやすい白菜。日本の育種家も永年採種で苦労を重ねました。
品種の純度を保つため、明治・大正時代、松島で、隔離栽培、隔離採種が行われるようになったのはこのためです。
船を漕いで島についてもチョウが追いかけてきて、追い払うのが大変だったとか。
こうしてつくり出された松島白菜のおかげで、宮城は戦前には生産が全国一に。
◆激辛ブームで止まらないキムチの人気
キムチには約200通りもの漬け方があり、本場の韓国ではアミなどの魚類も入れます。
日本では1988年のソウル五輪を境に韓国からキムチの輸入が増加の一途。
1991年までは横ばいだった輸入量が今では倍以上に。
最近は激辛ブームで、キムチラーメンやチャーハン、キムチチゲ(鍋)など、以前にはなかった料理法が幅広い年齢層に支持されています。
◆白菜(はくさい)の調理法
●繊維の柔らかさと淡泊な味が持ち味で、和・洋・中華どんな料理にも向き、鍋もの、炒め物、煮もの、お浸し、汁の具、漬物、サラダといろいろな料理に合う野菜です。
●生のシャキッとした味わいもさることながら、火を通した時に出るトロッとした甘味も格別なおいしさです。
●白菜に含まれるビタミンCやカリウムなどの栄養素は、水に溶けやすい性質をもっています。
これらを効果的に摂取するためには鍋ものや肉・魚とのスープ煮など、汁ごと食べてしまえる料理にするのがおすすめです。
●ゆでるとかさが減るのでたくさん食べることができます。
低カロリーなので減量中の人にもおすすめです。
●ゆでたり煮たりするときのコツ
栄養とうま味を逃がさないように細かく切らずにゆでるのがコツです。
アクを抜く必要もありません。
汁を少なくし、ふたをして蒸すように加熱すると甘みが出ます。
また、葉も芯も同じ料理に入れたい場合は、時間差をつけて加熱してください。
●炒めるときのコツ
水けが出て料理が水っぽくなるので、強火で一気に炒めることがポイントです。
●一番外側の葉は捨てる
外側の葉は一番初めに出てくる葉なので、内側に比べると、農薬やダイオキシンを多く含んでいる可能性があります。
切ってから水にさらすとより安心です。
●部位別調理のコツ
料理に合ったところを使うことが白菜をおいしくいただくコツです。
外側の葉は、煮もの、きざんで炒めもの、クリーム煮やグラタンなどに。
中ほどの葉は、鍋ものや、炒めて八宝菜などに。
ゆがいてレモンじょうゆ、ごまじょうゆで食べてもおいしいです。
内側の芯は、蒸しもの、甘酢漬けに。
また、せん切りにしてさっとゆで、酢じょうゆにつけて食べてもおいしいです。
●切り方のコツ
白菜を縦に割るときには、根元から包丁を入れて手でさくと葉がばらばらになりません。
白菜は、葉と軸の柔らかさが大きく違うことが特徴なので、上手に切り分けることがポイントです。
軸は火が通りやすいように大きなそぎ切り(包丁をねかせ、端からなるべく厚みを均一に薄く切る)に、葉はざっくりと切るようにしましょう。
●白菜たっぷりの鶏鍋
【材料】(3人前)
・白菜 半個 ・鶏もも肉 2枚 ・塩 小さじ1/2 ・こしょう 少々
・日本酒 50cc ・水 200cc ・昆布 10g
薬味・・・柚子胡椒 一味唐辛子 ごま油 レモン すだち 醤油 各適宜に
【作り方】
1、白菜をざく切りにし、昆布とともに土鍋に入れる。
2、鶏肉をひと口大に切って土鍋に入れ、水、塩、コショウ、日本酒を加え、
フタをして弱火にかける。
骨付き鶏肉を使うと、よりおいしい。
3、白菜が柔らかくなるまで煮込んで完成。
柚コショウや一味唐辛子、ごま油、醤油などを入れて食べる。
●豆乳白菜鍋
・白菜 1/4本 ・豚肉 (薄切り)100g ・高野豆腐 3個
・昆布 5cm角1枚 ・豆乳 300cc ・水 200cc ・塩 小さじ1
・白ごま (すったもの)大さじ2 ・柚子胡椒 適宜
【作り方】
1、土鍋に切り目を入れた昆布と水を入れて弱火にかける。
ここに豚肉を入れ、沸騰したら、あくをていねいにすくいとる
(豚肉は具として食べるというよりは、ダシとしての役割を果たす)。
2、ざく切りにした白菜と豆乳を加え、ふたをして白菜が柔らかくなるまで煮る。
その間に高野豆腐に水を含ませ、4等分に切る。
3、高野豆腐を加え、柔らかくなったら塩で調味し、すった白ごまをふりかける。
好みで柚子胡椒を加えて食べる。
【メモ】
豆乳、白ごまなどを使った、さっぱりと食べられる鍋ものです。
豚肉から出たコクと、白菜の甘さが染み出た豆乳ベースのスープの味は絶品。
しめにごはんを入れて作るおじやも抜群においしいです。
●すき煮風白菜鍋
【材料】(4人前)
・白菜・小 1/2個 ・しめじ 1袋 ・牛切り落とし肉 300g
・しょうがのせん切り 1かけ分 ・砂糖 大さじ1
[A]・・・しょうゆ 大さじ2と1/2 ・みりん 大さじ2 ・酒 大さじ2
・水 カップ1 ・ほんだし 大さじ1 ・サラダ油 大さじ1
【作り方】
1、白菜はタテ半分にし、芯を取り、4〜5cm幅に切る。
しめじは小房に分ける。
2、フライパンに油を熱し、牛肉、しょうがを炒める。
肉の色が変わってきたら、砂糖を加えサッと炒め、
[A]を加えてフタをして5分ほど煮る。
3、土鍋に[1]の白菜を敷きつめ、[1]のしめじをのせる。
水を入れ、「ほんだし」をまんべんなくふり入れる。
上に[2]の牛肉を煮汁ごとのせ、フタをして中火にかける。
煮立ったら弱火にし、白菜がしんなりするまで20分〜30分煮る。
●白菜のクリーム煮
【材料】(4人前)
・白菜 2枚 ・白身魚 4切れ ・にんじん 小1本 ・バター 2cm角
・小麦粉 大さじ5 ・牛乳 4カップ ・スープの素 2個 ・塩、こしょう 少々
【作り方】
1、白身魚は、水2カップを煮立たせた中でゆでる。骨を除いて3つに切る。
ゆで汁はこし、スープの素を溶かしておく。
2、白菜は葉と軸の部分を分け、軸は大きめのそぎ切り、葉はざく切り。
にんじんは皮をむき、縦半分に切り、2〜3mmの厚さの半月切りにする。
3、鍋にバターを熱し、にんじんを炒める。
小麦粉を一度に加え、弱めの中火で炒め合わせる。
炒まったら火を止め、1)のゆで汁を2〜3回に分けて加え、再び火にかける。
焦がさないように注意しながら滑らかになるまで煮込む。
4、牛乳、白身魚、白菜の軸を加え、とろみがついて沸々してきたら
塩、こしょうで調味する。
白菜の葉を加えてさっと火を通す。
スープが固ければ、牛乳を加えてゆるめる。
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