さァ いよいよ美味しい
季節がやってきました
口の中いっぱいに広がる
みずみずしい甘〜い果汁
シャリッとした歯ざわり感
スイカ
![]() ● 西瓜の歴史
西瓜(Citrullus Lanatus)の原産地は、その野生種がアフリカ中部の砂漠地帯に分布していることから、熱帯アフリカのサバンナ地帯や砂漠地帯だろうといわれています。
スイカがこの地で生まれたのは、2500万年以上前とされていて、当時のスイカは中が白くて苦いものだったとされていますが、野生のスイカは数多くの種類がアフリカ中で発見されていて、味も苦かったり甘かったりと、それぞれだったようです。
エジプトでは紀元前6000年の昔から農耕と牧畜が始まっており、壁画や絵画に西瓜が描かれています。
どうやらその当時は、主に種のほうを食べていたようです。
西瓜は原産地の南アフリカから中国(11〜12世紀)、ヨーロッパ(16世紀初頭)、アメリカ(17世紀)と伝わっていきました。
3000年前にギリシャに、紀元前にはローマに伝わったスイカは、それまで味の安定していなかったものが、地中海沿岸で栽培されるようになり、果物としてのスイカになっていきました。
16世紀にはヨーロッパ中部と西部に、1597年にはイギリスにも広まっていきます。
17世紀にはアメリカでもヨーロッパからの移民によってもたらされ、栽培されるようになり、品種改良が重ねられ普及しました。
一方、アジアでの歴史は古く、紀元前にはインドへ、そして11世紀にはシルクロード経由で中国に伝わったようです。
「西瓜(シイグワ)」という名前はもともと中国のもので、中国から見て西域の中央アジアから伝わったことに由来し、日本にもそのままの名前で渡来してきました。
中国語では水分が多く、夏出回ることから「水瓜」「夏瓜」ともいわれますが、西域から伝わったため、「西瓜」と呼ばれるようになりました。
日本へは17世紀中期・慶安年間(1648〜1652)に隠元禅師が中国から持ち帰ったといわれています。
また、天正7年(1579)にポルトガル人が長崎に持ち込んだとか。
しかし、鳥羽僧正(1053〜1140)の『鳥獣戯画』に西瓜らしい絵が描かれていたり、僧義堂の『空華集』(1359)に西瓜の詩が見られることから、もっと古い時代に伝わって平安朝後期に作られていたのではという見方もあります。
『農業全書』(1696)や本草図譜(1828)に西瓜の記述があり、天保年間の絵馬には西瓜の切り売りの様子が描かれていますが、無地皮になっています。
江戸時代には果肉が赤いのは気味が悪いとされ、あまり食べられなかったものの、江戸時代も後期には広く全国に普及し、その頃には三河や紀州に産地ができ「伝法寺」や「權次」のような黒皮赤肉の在来品種もできまて、庶民の夏の風物としてなくてはならないものになりました。
明治時代になるとアメリカなどからたくさんの品種が導入され、日本の気候風土にあわせた品種改良がさかんに行われ、本格的な西瓜栽培が始まりま、現在にいたっています。
現在の西瓜は、緑の地に黒い縞模様が一般的ですが、こうした品種が広まったのは、昭和初期以降で、それまでは黒皮、無地皮が一般的でした。「鉄カブト」とも呼ばれていたそうです。
昭和初期になると、奈良中心の大和西瓜と関東地方中心の都西瓜の二大品種郡が形成され、いわゆるシマシマ西瓜が出てきました。
現在の品種はほとんどが二大品種の血筋です。
京都大学の木原均先生が種子を作り、1951年に種なし西瓜が登場しましたが、生産面での欠点があったりしていつのまにか消えていってしまいました。
● 新鮮な西瓜の見分け方
果皮に張りがあり、緑と黒のコントラストがハッキリとしていて、ツルとは反対側のお尻の薄茶色の部分(果頂部)が小さいものが良いスイカといわれます。
ツルが茶色くなっているのは収穫してから時間が経ったものです。
ツルがカットされている場合は、へたの周りが少しへこんでいるものを選ぶとよいでしょう。
また音では判断しにくいですが、叩いた時に「ボンボン」という響く音がすればシャキッとしていて、「ボタボタ」と鈍い音がすれば熟れすぎです。
カットスイカは種が黒く、果肉部分の赤と果皮の白色の境目がはっきりしているものがよいでしょう。
● おいしい西瓜は
おいしい西瓜とは、まず甘さ、シャリッとした歯ざわり、緻密な肉質でしょうか。
西瓜は南のほうが甘くて、北のほうが甘みが薄いのではないかとお考えですか。
いえいえ、最近は産地で積算温度によって熟度を判定しているので、品質は安定しています。
積算温度とは実を結んでから熟すまでの気温を足したもので、40〜50日、積算温度で700℃〜1000℃を目安に出荷されます。
西瓜は割るときと、切って最初の一口食べるときの2回楽しみがあり、「うまいのに当たったかな」という興奮を何より味わえる果物です。
でも、大玉だと結構高いから、スカに当たったらたまりませんよね。
果物店が「これは安心だよ」という信用できる産地のものを選んでおけば間違いありません。
西瓜は収穫前に雨が少なく、高温で日照りが強いほどおいしく実ります。
雨が3日続いた後に収穫すれば1%も糖度が下がることもあるそうです。
カラカラ日和が続いているなぁというときは西瓜日和でもあるわけですね。
西瓜の売れ行きは天候でとても左右され、晴天が続くとよく売れます。
雨が降ると空を見上げて「ア〜ア」とため息……。
西瓜は甘さが命、そのためスーパーなどでは糖度を記しているのを見かけます。
糖度13%以上ならば甘く、10〜12%で合格とみてよいでしょう。
西瓜の糖度を測っている店では屈折計を使います。
水に溶けている糖度が多いほど屈折率が高くなるので、その目盛を読めばいいのです。
でも、西瓜のおいしさは、シャリ感もありますから、いちがいに数字だけでは判断できないかもしれません。
● 西瓜のおいしい切り方
西瓜は中心のほうが甘いので、半分〜8等分に割ったら、中心に包丁を入れて外皮に向けて切ると均等に甘さが行き渡ります。
西瓜の甘さは中央部分が一番甘く、ツルの側がより甘くなっています。
西瓜は、縞と縞の間を切ると切断面に種があまり出ないそうです。
切り売り西瓜だとついつい種が少ないものを選んでしまいますが、店のほうでも工夫して販売しているのですね。
● 西瓜の保存
スイカは味が落ちやすいので、購入したらなるべく早く食べるようにしましょう。
食べきれない場合、玉のスイカは風通しの良い日陰で保存、カットスイカはラップをして野菜室で冷やします。
スイカは中央部が甘く、皮に近い部分は甘味が落ちます。
中央部が均等に行き渡るよう、放射線状にカットするとよいでしょう。
● 西瓜の栄養・効能
ウォーターメロンとも呼ばれるスイカは、その90%が水分、10%が糖分という、大変みずみずしい食べ物ですが、もちろんその中には様々な成分が含まれています。
注目されている成分がリコピン、カリウム、シトルリンと三つあり、もちろんこの他にもたくさんのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
主な成分を紹介していきましょう。
■ リコピン
赤玉スイカに含まれる、赤い色素です。
活性酸素が増えすぎると、動脈硬化やガンなどを引き起こすことになりますが、この活性酸素を抑制してくれるのが、リコピンです。
トマトの1.5倍の量を含みます。
■ カリウム
ミネラルの一つで、体の中のいらない塩分を尿の中へ出す働きを持ちます。
■ シトルリン
最近注目されはじめた成分で、アミノ酸の一つに挙げられます。
他の果実にはほとんど見られない成分で、スイカにはこれが含まれています。
体内の老廃物や、有害物質などを体外に出してくれる利尿作用があります。
■ シスペイン
この成分はビタミンCが酸化するのや、壊れてしまうのを止める働きがあります。
シミ・ソバカスにも効果があります。
■ イノシトール
ビタミンB群でもあるイノシトールには、動脈硬化を防ぐ他に、甲脂肪肝ビタミンと呼ばれるように、肝臓に脂肪がつかないようにする働きもあります。
■ マンノシターゼ
ダイエットで注目されている成分で、糖質分解酵素です。
● 西瓜の種類
数多くあるスイカの品種ですが、大きく分けて、私たちがスイカとして認識している緑色の皮に黒い縞のあるもの、黒皮のもの、黄色い皮のものなどがあります。
中も、赤いもの、黄色いもの、オレンジ色をしているものなど様々です。
大きさも千差万別で、大玉のものから小玉のものまであります。
同じ品種でも2Lから6Lのものまで大きさに差があったり、種のない品種まであります。
■ 西瓜の里は奈良県・和歌山県
数多くあるスイカの品種のほとんどが、奈良県や和歌山県で育てられたものの種で、全国のスイカ業者は、奈良県・和歌山県の種苗会社から購入した種で、スイカを生産しています。
選ばれる品種は、その土地の気候などに合ったものが選ばれます。
地域が違うと天候も気温持ちがい、同じ品種でも甘さや大きさに差が出てきます。
◆ 大玉西瓜
ポピュラーなスイカで、甘くてシャリっとした歯触りの良い食感が楽しめます。
主な種類としては「縞王」や「富士光」、「早生日章」、「甘泉」、「金時」などがあります。
重さは平均3?5kgで大きいものでは7?9kgにもなります。
◆ 小玉西瓜
サイズが1.5?3kgと小さく冷蔵庫に入れやすいスイカです。
外見や味は大玉と変わりませんが、果皮が薄いので可食部分が多く甘みもあります。
主な種類に「紅小玉」や「ひとりじめ」、「姫甘泉」などがあります。
◆ 黄色西瓜
果皮が緑で果肉が黄色のスイカ。
出始め当初は甘さが控えめでしたが、最近のものは糖度も高くなっています。
種類としては皮が黒い「おつきさま」のほか、小玉の「クリームスイカ」、「おおとり」、「ひまわり」などがあります。
◆ マダーボール
ラグビーボールのような楕円形のスイカで皮が薄く甘みがあります。
大きさは2?4kgの小玉です。
同じような形の種類に「姫まくら」、「紅まくら」などがあり、さらに皮が黒い「黒美人(はちきん)」もあります。
◆ でんすけ
深緑色の表皮を持つ一風変わったスイカで、みずみずしい真っ赤な果肉はしゃりっとして美味。
高級スイカとして贈答品にもよく利用されます。
7月上旬?8月中旬に出荷されます。
似たような黒いすいかに「ダイナマイトスイカ」もあります。
◆ 角型西瓜
その変わった風貌から一躍有名になった「四角スイカ」と「三角スイカ」。
四角スイカはたまにお店で見かけることがありますが、三角スイカはほとんど見かけません。
もしどうしても三角スイカを見たいという方は予約したほうがよいでしょう。
ただし、いずれも観賞用で味は良くないとのこと。
このほかに「人面スイカ」というものもあります。
◆ 太陽西瓜
果皮が黄色くて果肉が赤いという珍しいスイカです。
糖度は12度くらいあり、シャリシャリして甘みもたっぷり。
大きさは1玉7キロ程度の大玉です。
小玉で楕円形の「金のたまご」というスイカや、円形の「愛娘ひなた」というスイカもあります。
◆ 入善西瓜
富山県の入善町が生産しているブランドで、重さが15?20kgにもなる楕円形の巨大スイカ。
歯ごたえがあり、さっぱりとした甘さです。
富山の巨大スイカといえば「黒部スイカ」が有名ですが、こちらは現在は出荷されておらず、今後の復活が期待されているところです。
◆ 種なし西瓜
戦後の日本で開発された画期的なスイカですが、発芽させるのが難しく生産に手間がかかることや、通常のスイカに比べて味が劣るなどの理由から生産者が減り、今ではほとんど生産されていません。
しかし最近になって、「どのような品種でも品質を維持したまま種なしスイカを作れる」という新しい技術(不活化花粉技術)が開発されたようです。
● スイカの皮の浅漬け
スイカの赤い部分が美味しいと言って食べ、後に残った大量の皮。
昔はこれを瓜のお漬物のようにして食べたのです。
ボールに塩水を作ってきて、食べ残った赤い実の部分をまずきれいに削ぎ取り、
次に表の固い緑の皮を薄く剥きます。
そしてそれを塩水に浸けていきます。
次に薄く塩を揉み込むようにして重石をしておきます。
翌日の朝食にこのスイカの皮の浅漬けが出てくるという仕組みです。
シャキシャキした食感はほかに類をみません。
楽しい食感と瓜らしく感じられる青物感は絶品です。
騙されたと思って、一度作ってみては如何でしょうか。
?材 料?
・スイカの皮・・・適宜 ・塩水(下処理用)・・・3%くらいの塩分
・塩水(浅漬け用)・・・5〜10%の塩分
?作り方?
@ 食べ終わったスイカの実の赤い部分を残さないようにきれいに削ぎ取る。
A 表面の硬い皮だけを薄く剥く。
B 3%の塩水で洗ったあと、浅漬けの塩水に浸けて冷蔵庫で半日から一日置いて出来上がりです。
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![]() 石川県認定 有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001 |