安心で美味しく栄養もいっぱい!
有機JAS法が始まる前の
平成元年頃から
有機栽培に取り組んできました
群馬県吾妻郡 上州なっぱの会
代表・大塚秋則さんのJAS有機
ほうれん草
 
 
●「毎日食べる野菜でたくさんの人を健康にしたい!」
大塚秋則さんは、高校の農業化を卒業した後、「たくさんの人を毎日食べる野菜で健康にしたい!」という強い思いを持ちながら大塚秋則さんが農業を始めたのは昭和38年のことです。
当時から、4H−health(健康)・heart(心)・hand(手)・head(頭)−を武器にして、またはテーマとして農業に取り組んでいこうという志でここまでやってきました。
日本の農業の崩壊が叫ばれるようになってから、その情熱は一層強いものとなりました。
 
大塚農場の畑は、関東地方に多い「黒ボク土」(真っ黒な細かい土)ですが、江戸時代の浅間山の大噴火により降り積もった小石を多く含みます。
野菜の成長期には細かい石が邪魔をしたり、肥料分の保持能力も低いため、そのままではとてもよい土とは言えませんでした。
平成3年から土壌の化学性、物理性を改善するために有機質堆肥を加えることで土壌を改良。
さらに、土本来の力を引き出すためにぼかし肥料を加えることで土壌の微生物の働きを活発にし、整った生態系を目指してきました。
その自然に近い畑で有機無農薬栽培を継続しています。
 
上州なっぱの会の野菜たちはどれも美しい姿をしています。
無農薬の野菜は見た目ではない、味で勝負と思っていると驚かされるほどです。
それは、ひとつひとつの野菜と毎日向き合って顔を見ては野菜が喜ぶように手をかけてあげているから。
野菜が一番いい状態で成長して皆さんに食べていただけることだけを目指してじっくりと育てていると、野菜は喜んできれいになるのです。
それはまた味に反映されます。
そして生命力が強いので日持ちもします。
 
●上州なっぱの会
「上州なっぱの会」は現在5名の生産者により、県北西部に位置する吾妻町の中山間地で、JAS法に基づく有機栽培をはじめとした、環境保全型農業に取り組んでいる団体です。
有機質資材の利用やマルチ栽培等の技術など、環境にやさしい農業生産技術を積極的に取り入れ、化学農薬・化学肥料を使用しない栽培に取り組んでいます。
 
 
◆ 産地の特徴
吾妻町は県の北西部の中山間地に位置しています。
農地は標高600?900mにあり、夏期は比較的冷涼ですが、冬季の冷え込みが厳しい地区です。
雨除ほうれん草を中心とした葉物野菜とレタス類、キャベツ、だいこん等の大型野菜を組み合わせ、ハーブ類も5種類栽培しています。
全員が有機JAS法のもと、認定を会で受け、今年で3年目になります。
 
◆ 土づくりへのこだわり
土づくりは作物栽培の基本です。
1.堆肥づくりを大事なポイントと考え、以前は個人個人バラバラだった調達先を近くにあるヤマギシズム農場のものに統一した。
2.さらに来年度は共同の堆肥舎を設置し、品質の安定と量の確保をしていきたい。
3.ぼかし肥づくりを共同でやりたい。今は購入している。
 
◆ 土づくりのための資材
堆肥・・・豚糞、稲わら、落葉、もみがら等を混ぜてつくる
ぼかし肥・・・購入(畜産加工物残渣、 、植物性加工残渣、微生物)
カキガラ粉末・・・ナチュラルクリーン粉末、又は粒状
 
◆ 病害虫対策へのこだわり
1.耕種的防除・・・輪作体系の実施をしている
2.物理的防除・・・寒冷紗およびサンサンネット等の使用
3.その他、外部購入資材による防除、BT剤等
 
◆ 廃ビニール等を利用した雑草対策
栽培に使用された廃ビニールや廃ポリエチレンフィルム等は、夏期に土壌を被覆することによる雑草対策や、マルチに使用し、再利用を積極的に行っています。
ハウスとハウスの間の通路にも黒色シートを敷くことで雑草対策を行っています。
生分解性マルチの導入も行っています。
 
◆ 病害虫・雑草対策に使用する資材
ポリマルチ・・・大型野菜に使用。分解マルチは使用していない
稲わら、落葉・・・理想的な資材で今後使用を増やしていきたい
BT剤・・・あぶらな科野菜の初期防除
木酢液・・・ほうれん草など葉物野菜、播種直後土壌処理
 
◆ 主な作物
ほうれん草、みず菜、小松菜、春菊、葉ねぎ、レタス類、だいこん、白菜、キャベツ、ハーブ類、ピーマン、いんげん、ズッキーニ
 
 
 
 
■ 相馬暁博士の ほうれん草の話
1.ホウレンソウの古里とその名前の由来
1)ペルシアの舞姫・ホウレンソウが
ポパイの缶詰ホウレンソウになる
 
ホウレンソウの古里は、ソ連の植物学者・バビロフによると、アフガニスタン周辺の中央アジアとされていますが、一説によりますと、カスピ海沿岸のトルコ東部からイラン北部一帯と考えられております。
既に、古代ペルシャにおいて栽培され、食用に供していました。ペルシャの大王ダリウスやその舞姫達も食べたことでしょう。
 
ここからイスラム教徒によって東西に伝播され、中国・華北地方と欧州において、各々独立した品種群が成立し、それを私達は東洋種、西洋種と呼んでいます。
 
まずヨーロッパには11世紀頃、イスラム教国であるアラビア、アフリカ北部地方を経て、スペインに伝わり、その後ヨーロッパ諸国に広がりました。
ドイツでは13世紀、イギリス、フランス、オランダでは16世紀中期から記録に登場してきます。
特に、オランダでホウレンソウは一代発展を遂げました。同国のジバン氏のよって多くの新品種が育成されました。
 
アメリカへは19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパ諸国から移入され、その後、品種改良が盛んに行われ、育成地として発展しました。
広大なアメリカにおいて、生鮮野菜のホウレンソウは、生での流通よりむしろ加工流通が主流になりました。
そうです。アメリカにおけるホウレンソウ利用の歴史は、缶詰加工の発達の歴史と言ってもよいでしょう。
日本人にはあまり馴染みがありませんが、今でもアメリカではホウレンソウは缶詰がメインです。
昔、漫画のポパイがホウレンソウを食べる時に、何故、缶詰を取り出すのか不思議でしたが、それが当り前、国が違うと、こんな事も異なるものです。
元々、ポパイのホウレンソウの話は、缶詰会社のCMだったのですよ。
しかし手軽に使える点ではともかく、缶詰や冷凍ものは柔らか過ぎて歯ごたえもなく、色も褐色で、とてもポパイのような力が涌いて来るとは思えないです。
やはり新鮮な緑溢れるものを食べたいものですね。
 
2)ペルシャの草て、何に、菠薐草(ほうれんそう)です
ホウレンソウを漢字で表記しますと、菠薐草となります。
菠薐とは中国語でペルシャ(今のイラン)を指します。
ペルシャからシルクロードを経て中国に伝えられた葉菜のことをペルシャの草、すなわち菠薐草と呼んだのです。
その名前が日本にも伝わったと言われています。
なお、一説によりますと、ホウレン(菠薐)とは西南アジアのどこかの国の事で、必ずしもペルシャではないとも言います。
ともあれ、ホウレンソウの原産地の一つとして、西南アジア、コーカサス地方やイラン地方が想定され、それらの地域の国々で古くから栽培されていたのですから、大体当たってはいると言えます。
 
中国へは、唐の時代に書かれた嘉話録(627〜649年)によりますと、ホウレンソウは前漢の時代(紀元前206〜紀元8年)にペルシャ(今のイラン)から伝わったと記載されています。
唐の時代にはイスラム教国との交流が盛んで、この時代にもホウレンソウの新たな伝播もあったもの思われます。
そのため、ホウレンソウの中国への伝来を唐の時代とする人もいます。
 
日本への伝播は比較的遅く、16世紀に入って中国より伝わったと言われていますが、戦国時代末期から江戸時代初頭(1546〜1629年)の農業を記載した書・清良記(土居水也著:1629〜1654年)には、まだ、ホウレンソウは登場しません。
しかし、江戸時代に入ると、多織編(1631年)、本朝食鑑(人見必大著:1697年刊)や農業全書(宮崎安貞著:1696年刊)等にも登場します。
なお、このホウレンソウは、葉が細く、先が尖ってギザギザがあり、根の赤い、今で言う所の東洋種のホウレンソウでした。
これが日本在来種となりました。
 
西洋種のホウレンソウは、文久年間(1861〜1863年)にフランスから伝来し、さらに明治以降、欧米諸国から色々な西洋種が導入されました。
しかし、日本人の嗜好に合わなかったこともあり、北海道など一部の地域に栽培が限られていました。
 
ホウレンソウが重要な野菜となるのは昭和に入ってからで、戦後はその栄養価が認められて、揺るぎない地位を確立するに至りました。
その間に、暑さに強く収量が多い西洋種が何時の間にか、栽培の主流になり、東洋種は徐々に市場から消えつつあります。
西洋種は東洋種に比べますと、ちようど西洋人と東洋人の違いの様に、西洋種は大味で、特有の土臭さ、バター臭さがあります。
 
3)名前の由来
既に述べました様に、ホウレンソウを漢字で書くと「菠薐草」となります。
この菠薐という言葉は先に述べました様に、ペルシャを指します。
結局、菠薐草とはペルシャから来た草(葉菜)と言う意味です。
 
これは原産地が植物名になった例の一つと言えます。
ただ、日本語で菠薐をホウレンと読むのは、些か無理があります。
ホウレンとは昔の中国読みで、野菜伝来のルーツが偲ばれるます。
なお今は、中国語ではホウレンソウを「ポウツァイ」と呼びます。
一方、ホウレンソウの英名はspinach、独名はSpinat、仏名はEpinard、学名はSpinacia olenacea L.で、 主要野菜の中で唯一アカザ科に属しています。
 
2.ホウレンソウの生態とその特性
1) 暑さに弱く、寒さに強い
ドサンコ(北海道生まれ)の様なホウレンソウ
ホウレンソウは、被子植物門・双子葉植物綱・離弁花亜綱・中心目・アカザ科の雌雄異株の1〜2年生植物です。
ホウレンソウに雌株と雄株があるなんて、知っていましたか。
あなたの食べているのは雄それとも雌?どちらでしょう。
実は、抽台し、花が咲くどころか、花芽が出来たものも出荷しません。
そのため、皆さんは性別が現れる前の、赤ん坊か子供のホウレンソウを食べているのです。
 
ホウレンソウは、冷涼な気候を好み、耐寒性は強いですが、暑さに弱い性質をもちます。高温で日の長い時期には抽台します。
その様な意味からも、ホウレンソウは元来、冬を旬とする野菜です。
 
種を蒔くと5〜7日で発芽し、生育適温(15〜20度)下では30〜40日前後で収穫に達します。なお、低温下では50〜60日かかります。
草丈は30〜90cmで、根は直根で淡紅色を呈し、茎は直立して、東洋種は根元が赤色を帯びます。
葉は長い葉柄をもち、その形は長三角状の卵形で、基部は不規則な羽状の裂け目があります。
雌雄異株で、越冬後、6月ごろ小さな黄緑色の花を付けます。
雄花は茎頂に円錐形の穂状をなし、雌花は葉腋に密集して咲きます。
 
2)秋蒔き冬野菜の東洋種と春蒔き夏野菜の西洋種
東洋種は、原産地からシルクロードを経て中国に土着したものです。
積極的な品種改良が行なわれた形跡はなく、原種に近い形態をしています。
種子には刺があり、葉には縮みがなく薄く、深い2〜3段の切れ込みがあります。
株元が赤いのが特徴で、葉柄は長く伸びる性質があります。
 
かっては、ホウレンソウと言えば東洋種を指しましたが、東洋種は暑さに弱く、春先以降、日長(昼間の長さ)が長くなると、抽台(とう立ち)して、花が付きます。
そのため、東洋種は夏場の生産には向かず、春夏蒔きで抽台しない西洋種の栽培が盛んになってきました。
これは、東洋種が東アジアの大陸性気候下で、長く秋蒔き中心に栽培されて来たため、抽台については淘汰されておらず、今でも西洋種に比べて抽台し易いのです。
昔ながらの秋まき栽培用に利用されています。
 
一方、西洋種は、原産地からヨーロッパに伝播され、特に、オランダで改良が進められてきたものです。
形態的にも様々に分化していますが、角種子で葉に深い切込みのある「ミンスターランド」を除くと、殆どの品種が丸種子で、葉も丸く、葉肉が厚く、株元の赤みがごく薄く、葉柄が短いのが特徴です。
また葉には縮みがあり、特に、米国で栽培されている「サボイ」は、リーフレタスよりも強く縮んだ葉をしています。
西洋種は高緯度地域の春まき中心に栽培されて来たために、抽苔の遅い品種が多く、日本でも春から夏にかけて蒔き、夏から秋にかけて収穫します。
 
昭和に入り、ほうれん草の需要が増大すると、東洋種と西洋種の交雑後代から新品種が育成され、東洋種の外観・旨味をもち、西洋種の性質、多収で耐抽台性の品種「豊葉」や「次郎丸」等が広く栽培されるようになりました。
現在では西洋種×東洋種、西洋種×西洋種の一代交雑品種が主流になっており、純粋な東洋種は農家の自家用か家庭菜園で作られる程度になってしまいました。
 
3)代表的品種の特徴
(1) 豊 葉
千葉県において、日本在来種とミンスターランドの交雑後代より育成された轢私的な品種です。関東地方の主流品種となっていましたが、ベト病に弱いため、アトラスが発表されると姿を消してしまいました
(2) ミンスターランド
ドイツのミンスターランド地方で育成された品種です。
種子は角種子と丸種子があり、東洋種に似た外観をもち、より抽台が遅いのが特徴です。
一年中、切れ葉のホウレンソウを欲しがる関東地方の春〜夏まき栽培に用いられていましたが、現在ではこの品種を改良したベト病抵抗性の一代交配品種「オラクル」、「マジック」等が広く使われています。
(3) ピロフレー
代表的な西洋種です。
丸種子で葉に切込みがなく、葉の表面に縮みがあります。
東洋種に比べ抽苔が遅く、生育も遅いため、春まき栽培に使われていました。
北海道で栽培されていた「札幌大葉」は「ピロフレー」が土着したものと考えられています。
(4) アトラス
西洋種×東洋種の代表的な一代交配品種です。
公表以来現在まで、日本で一番多く作られている品種です。
葉の形は東洋種に似て切込みがありますが、東洋種に比べ葉肉が厚く広葉で多収性を示します。
ベト病と立枯病に比較的強い抵抗性を持ちます。
晩夏から秋まき栽培に向く非常に作りやすい品種です。
(5) ソロモン
西洋種×東洋種の一代交配品種で、日本では2種類のベト病が発生していますが、この品種はその両方に対して完全な抵抗性を示します。
アトラスにベト病が発生する産地で広く栽培してされています。
(6) サンライト
西洋種×西洋種の一代交配品種で、抽台が遅く多収性のため、春〜夏蒔き用として全国で栽培されています。
ベト病に対しても「ソロモン」同様の抵抗性をもっています。
北海道や高冷地の5〜6月までは、この品種でも抽台してしまうため、さらに晩抽性(抽台し難い)の品種が使われています。
(7) 日本ほうれん草
古くから作られていた日本在来種品種。
葉の切込みが深く葉柄が長いのが特徴です。
抽台が早いため秋まき栽培に向きますが、現在では市場に出回る様な生産は行なわれていません。
 
3.生産と流通
1) 西洋種、ハーフ(一代雑種)が日本を占領
採り立てのホウレンソウをそのまま、茹でてお浸しで食べるのが一番素朴で、素材の味が楽しめる食べ方です。
そんな食べ方をするのは、在来種のホウレンソウに限ると言いたい所ですが、残念ながら純粋な東洋種は手に入らなくなってしまいました。
 
これは東洋種が、ひと霜降りたころが甘味が出て一番おいしいと言われる程、寒さに強い反面、高温には非常に弱く、おまけに日が長いとすぐに抽台してしまうため、耐暑性の強く、抽台し難い西洋種の栽培の方が農家に好まれるためです。
 
農業は慈善事業でなく、経済活動ですので、仕方が無いとも思いますが、本当の味を守り、日本の食分化を忘れて、日本の農業が生き残れるのかと、思いもします。
最も、元々は冬の野菜だったホウレンソウが夏でも食べれる様になり、便利になりました。
その便利さと引き換えに旧来の味を失ったことになります。
 
ところで、西洋種のウィークポイントである味をカバーするために、和洋種の交配研究も盛んで、ニューアジア、アトラス、くろしお、パレードなどさまざまな交雑品種が作り出されています。
そんな訳で、冬のホウレンソウも最近は交配種が主流になっています。
昔の東洋種の味が懐かしい方は、中国では今でも根の赤い東洋種が生産されています。
アチラを訪ねた時に賞味してきださい。
その内、中国から日本の伝統の味が輸入されることでしょう。
 
2)生産の状況
全国各地の産地を通して、ホウレンソウは周年供給体制が確立しています。
その体制を支えているのは、主に秋蒔きの冬・春取り栽培と春蒔きの夏・秋取り栽培です。
昭和40年頃までは、7〜8月の生産量は殆ど零に等しい状態でした。
現在では品種改良や栽培技術の発達により、一応周年栽培が可能になりましたが、それでも7〜8月の生産量は、秋〜冬の生産量に比べて少ないのが現状です。
 
ホウレンソウの夏取り栽培は、以前は冷涼な北海道や高冷地のみで可能でしたが、最近では、雨除栽培の普及と産地の栽培努力により、平坦地でもホウレンソウが作れるようになりました。
ところで雨除け栽培とは、パイプハウス等の屋根の部分だけにビニールやポリエチレンのフィルムを張り、雨にあたらないようにした栽培方法です。
ホウレンソウの場合は、さらに寒冷紗で遮光して、ハウス内の気温を下げる必要があります。
しかし雨除け栽培を行なっても、連作により立枯病の発生が増加し、年々収量は減少します。
対策としては、堆肥など有機物施用を中心とした土作りが最も重要です。
 
生育期間が短く、かつ根が弱いホウレンソウを、立枯病の多発する夏場に、立派に育て上げるには、基本としての土作りが求められます。
生育期間の長い野菜はもとより、ホウレンソウの様な生育期間の短い野菜も、本当に美味しくて、栄養価の高い野菜は、肥料で取るものでなく、土の生命力・地力で取るものです。
 
主な産地は北海道、埼玉、群馬、千葉、愛知、福岡などです。
東洋種は味も品質も上等ですが、最近は西洋種や中間種に押され気味で出荷量は殆どありません。
各地に共通して多い品種は、和洋一代雑種のアトラス、ソロモン、サンライト、洋種のミンスターランド、タイタンなどです。
 
3)ホウレンソウの作り方
ホウレンソウは冷涼な気候を好み、発芽・生育適温は15〜20どです。
主に春と秋に種を蒔きます。
種子は水に一晩浸水して蒔きますと、5〜7日で発芽します。
発芽後、本葉が2枚出る頃までは、根が地中深く伸び、地上部の生育はユツクリしています。
その後、根が横の方にも張るようになると、葉数の増え方が速くなります。
そして本葉8〜10枚頃の生育増加量は最も目立ちます。
春蒔きでは、播種後30〜35日で収穫できます。
秋蒔きは生育は播種後40〜60日で収穫期に達します。
なお、ホウレンソウを作る大前提は土作りです。
堆肥、鶏糞など有機物をタップリ施用して、土壌の酸性を矯正し、土を作り込むことです。
 
4.ホウレンソウの旬と選ぶポイント
ホウレンソウの生育適温は15〜20度ですが、耐寒性は強く、零下10度にも耐えられます。
冬霜に当たったホウレンソウは甘味も増して、特に、美味しくなります。
 
まさに、ホウレンソウの旬は冬です。
特に、初霜の降りる11月〜3月頃までが一番美味しい時期です。
とは言うものの、北海道や高冷地の夏取りホウレンソウも捨てたものでわありません。
 
ホウレンソウの葉は、下の葉ほど葉柄が長くなって、どの葉にも日光が当たるように広がっています。
冬の寒さに耐え、養分を蓄えているホウレンソウは、冬を乗り切る活力源です。
そして「収穫するなら午後2時のホウレンソウ」と言う話があります。
朝から日光を受けたホウレンソウは、午後2時頃には栄養分をタップリ蓄え、そのころに収穫したものが栄養価も味も一番だと言うのです。
そうです。野菜は生きています。
生理的に繊細な女性と同様に繊細な生き物で、変わるものです。
 
ところで、北海道の様な雪国では、秋に取り残したホウレンソウが、雪解けと共に、クシャクシャになって春に姿を現します。
少しおいておくと、生育を始め、収穫できます。
この越冬ホウレンソウの美味しさを味わうことは、ホウレンソウを自ら作っている者のみの特権でしょうね。
 
選ぶポイントは葉が瑞々しく、緑色が濃く艶があり、茎があまり太くなく、株張りの大きいものを目安にします。
但し、大き過ぎると大味となり味が落ちます。
葉が厚く汁気の多いは甘みもあって味も良いです。
また、鮮度を知る一つの目安は根の切口が新しいかどうかです。
葉色が変色していたり、退色しているものや、抽台していたり、白い病斑のあるものは避けますが、今後、農薬を出来るだけ減らして行こうとするには、虫食い痕の少々あるものを許す心が欲しいですね。
 
ところで、野菜類に含まれるビタミンC量は、一般に季節変動が大きいのですが、ホウレンソウは特にその傾向が強く見られます。
夏〜秋に取れるものは、冬〜春のものの半分以下です。
このビタミンC含有量は、葉緑素の含有量が高い葉ほど、つまり緑色の濃いものほど、多いです。
ホウレンソウの緑色を選ぶポイントにするのはこのためです。
 
お浸しや吸い物など和風料理で風味を味わいたい時には、土臭さやクセの強いものも避けた方が無難です。
どちらかと言うと、小振りな若取りのものがよいでしょう。
一方、バター炒めなど洋風料理に使うならば、西洋種の株張りのよいものを選びます。
 
保存方法は、ぬれた新聞紙に包み、ポリ袋に入れて5℃前後で冷蔵庫の野菜ボックスに立てて入れます。
1週間程度はもちます。ただし、ビタミンCが半減しますので、早く食べることです。
生鮮野菜の最善の保存法は胃袋に保存することである事をお忘れなく。
どうしても、前の長く保存したい場合は、むしろ茹でてから冷凍した方が良いでしょう。
 
5.ホウレンソウの栄養価とその機能性
1) ホウレンソウは、野菜のスーパー・ヒーロー
ポパイの助けを借りてまで、母親達がホウレンソウを子供達に食べさせようとするのには、立派な理由があります。
ビタミンA効果のあるカロチンを多量に含むほか、ビタミンB2、C、葉酸やカルシウム、鉄、ヨード、マンガンなどを比較的多く含む緑黄色野菜の代表だからです。
特に、カロチンと鉄の含有量は、野菜の中でも1、2を争うものです。
なお、緑黄色野菜では比較的少ないビタミンCも、キャベツや大根、白菜を上回る含有量を示し、ミカンの約2倍も含みます。
また、タップリ含まれるクロロフィルは、人の血を浄化する作用を持ちます。
 
但し、これらの栄養素は季節によってかなり差があり、冬季にくらべ春から夏にかけてのものは、ビタミンCやA含有量が三分の一から半分近くまで減少します。
やっぱり、ホウレンソウは冬が旬の野菜です。
夏のホウレンソウを選ぶ時は、北海道のホウレンソウの方が、栄養価的に優れています。
暑さに弱いホウレンソウは、府県の高温条件下で、遮光をしながら作るものに対して、北国の露地物のホウレンソウは、乾いた太陽を一杯浴びて、味も、栄養価(ビタミンCやA)も優れているのです。
 
さらに、同じホウレンソウと言っても、東洋種と西洋種とでは栄養価が大きく違います。
ビタミン、ミネラルとも東洋種の方がはるかに勝っています。
ただ、最近のホウレンソウは、何れの季節の物も、品種のかけ合わせによる雑種一代(F1)で、純東洋種、純西洋種とは言えません。
冬から春先にかけての緑の濃い葉にギザギザの入ったホウレンソウが、東洋種の血を濃く受け継いでいると、考えるとよいでしょう。
 
2) ホウレンソウは貧血予防の優良野菜
癌が恐かったらホウレンソウを
ホウレンソウに含まれているカロチンやビタミンC、鉄分、マンガンなどは、体内で血液をつくる大切な増血成分です。
貧血の予防と言うと、思い浮かぶのはレバーですが、女性には敬遠されがちです。
でも、ホウレンソウならば、十分愛されます。
ですから、ホウレンソウは貧血予防のエース格の貴重な野菜です。
 
また、豊富に含まれるカロチンは、体内でガンの発生因子(イニシエーターと言います)の働きを抑制するなど、ガン予防に欠かせない栄養素として注目されています。
また、ビタミンCは体の老化を食い止め、免疫の働きを促す作用があります。
 
ホウレンソウに含まれる栄養素で、何と言っても際だっているのがビタミンAです。
生のホウレンソウ100g当り3,100μg、A効力は1,700IUと、野菜の中ではパセリ、春菊、ニラなどに次いで多く含まれています。
 
ところで、ビタミンAは、皮膚や粘膜の働きを高めて、病気に対する抵抗力をつけます。
欠乏するとご存じの夜盲症になります。
また、ホウレンソウには、鉄分やカルシウム、マグネシウムなどもミネラルも多く含まれています。
中でも鉄分は、野菜に含まれることがあまりなく、野菜から摂れる栄養素としては貴重なものです。
鉄分はご存じの通り、赤血球をを作る材料になる栄養素で、これが不足すると鉄欠乏症の貧血になります。
女性の約20%が貧血と言われるほど、気づかないまま貧血になっている人が多いです。
疲れやすい、階段を登と動悸がする、顔色が冴えない、と言った貧血の症状に気づいたならば、食生活を見直す必要があります。
 
鉄分の多い食品と言うと、すぐ思い浮かぶのがレバーですが、レバーは苦手という女性も多いようです。
その点、ホウレンソウなら、尻ごみすることなく豊富に摂れることでしょう。
中国では、昔からホウレンソウは、鉄分が多いため貧血によく、その増血作用から、媚薬の効能があるとされています。
同時に含まれるカルシウムは体液の酸性化を防ぎ、ビタミンやミネラルが髪や肌の艶をよくし、血色もよくするのですから、まさに天然の媚薬であり、美容食と言えるでしょう。
また、繊維が軟らかく消化吸収が良いので、赤ちゃんの離乳食、老人や病人の栄養食にはピッタリです。
もっとも、最近の野菜の栄養価が低下し、次に述べます悪玉が増え、ホウレンソウを食べると、かえってシュウ酸が鉄の吸収を妨げるとの報告も現れました。
嫌な時代になりましたね。
 
カルシウムやマグネシウムと言った無機質の重要性も、最近、見直されてきています。
実はカルシウムが欠乏しますちと、骨や歯が弱くなるだけではなく、イライラしたり、ストレスを感じ易くなります。
マグネシウムも、欠乏すると興奮しやすくなったり、味覚音痴になる(味覚を感じる味蕾細胞の機能が低下する)と言われています。
この様にホウレンソウは、私達の体の機能を正常に保つうえで欠かせない、大切な栄養素を多く含んでいます。
 
3) ホウレンソウに含まれる悪役兄弟・シュウ酸と硝酸
これほど健康に欠かせないホウレンソウですが、泣き所はそのアクの強さにあります。
そのアクの主成分がシュウ酸と言う有害物質です。
普通、体内に取り込まれたシュウ酸はカルシウムと結合して無害化されますが、それが(カルシウムと結合したシュウ酸カルシウム)膀胱や腎臓に結石を作り易くします。
また、カルシウムの吸収を悪くもします。
 
最近、ホウレンソウをサラダで食べる人が増え、シュウ酸が話題になっていますが、よほど大量に食べない限り害は無く、日本人の場合、毎日飲んでいるお茶から摂取する量の方が多いと言われています。
とは言うものの、既に述べている様に、シュウ酸は体内で鉄やカルシウムの摂取を阻害し、結石の原因になったり、決して良い働きをしません。
まあ、浮気者の亭主を死なない程度に懲らしめてやるのに、竹の子やホウレンソウ、フダンソウなどを沢山食べさせ、腎臓か膀胱に結石を作らせるのも、一つの手ですね。
 
なお、ホウレンソウのシュウ酸は、葉身に多く含まれ、葉柄(軸の部分)には葉身の1〜2割しか含まれていません。
品種間差も報告されていますが、これも葉身と葉柄の重量比による差と考えられます。
ですから、葉柄が長くなる様に、徒長させ、軟弱に育てればシュウ酸量を減らすことが可能になります。
しかし、この様なホウレンソウは、ビタミンC等の栄養分も当然少なくなっています。
なお、最近、サラダホウレンソウと呼ばれて、アクが少なく生食用を唱い文句にしている品種も有りますが、結構、シュウ酸を含んでおり、普通の品種と差がないものもあります。
サラダホウレンソウを食べることは、勇気のある方にお任せしましょう。
 
欧米ではシュウ酸よりも硝酸や亜硝酸が問題にされています。
硝酸態窒素濃度に3,000ppmと言う基準値を設けています。
何故なら、高濃度に硝酸態窒素を含むホウレンソウを赤ん坊の離乳食に与えた所、硝酸が赤ちゃんの胃の中で亜硝酸に変わり、それが吸収され、血液中の酸素の運び屋・ヘモグロビンと強く結合し、酸素を運べなくなって、酸素欠乏で真っ青な顔色になって、死ぬ事件がありました。
青い顔をして死に至りますので、ブルーベビーと呼びました。
また、大人でも、タンパク質と一緒に食べますと、口の中で噛んでいる内に、アミノ酸と結合してニトロソアミンと言う発ガン性物質に変わります。
常食していますと、これまた恐い話です。
これらの物質は、ホウレンソウやレタス等の葉菜には必ず含まれており、特に、多肥栽培で硝酸態窒素が顕著に増加します。
最近のハウス栽培のホウレンソウでは、20,000ppmを超える様な野菜まで現れています。
ご亭主にニコニコしながら、肉と一緒に食べさせますと、効きますよ。
従来の野菜、例えば、ホウレンソウに比べて、ビタミンCやAは驚くほど少なくなり、逆に、硝酸の様な悪玉が増えていることは、気になることです。
いずれにせよ、好きだからと言って、特定の野菜だけを大量に食べる事は避け、バランスの取れた食事を取る事です。
 
4) ほうれん草の“アク”は二通り
東洋種と西洋種で大きく違う点は“アク”の強さです。
一般的には西洋種がアクが強いと言われています。
しかし、ここで間違っえていけないのが、ホウレンソウの“アク”の定義です。
実は、人によって二つあると言うのです。
 
一つは、シュウ酸を指してアクと呼びます。これは一般的です。
西洋種のホウレンソウは、成長の過程で、東洋種よりシュウ酸を生成し蓄える性質があります。
そこで、生で大量に食べますと、シュウ酸が体内でカルシウムと結びつき、結石の原因となります。
そのため、ホウレンソウを調理する時は、一旦茹でこぼして、水に晒した方が良いわけです。
これを指して、昔の人はアク抜きと言いました。
 
このホウレンソウに含まれるシュウ酸については、昔からよく知られており、江戸時代の貝原益軒は、「ホウレンソウには微毒があるので、大量に食べないこと」と書き記しています。
まあ、生で毎日大量に食べない限り、すぐに結石と結びつけて心配することもないでしょう。
 
一方、ホウレンソウの独特の香り、味わいを“アク”と呼ぶ人もいるようです。
「ホウレンソウより小松菜のほうがアクが少ないから好きだ」と言う様な人は、この独特の味、人によっては草っぽい味と言いますが、これをを指して、アクと言っているのです。
このアクについて言うと、東洋種の方がいわゆる「アク」が強いと言えます。
 
6.ホウレンソウの調理・料理
1) 亭主を早死にさせるホウレンソウ料理教えます
ホウレンソウはクロロフィルが多く、栄養価に富み、まさに緑色野菜の代表です。
和風では、茹でてアクを抜いて、お浸し、ゴマ和えなどの和え物、汁の実に利用します。
また、洋風ではバター炒めやグラタンなどに用います。
 
新鮮な若い葉ならサラダやジュースにして生でも食べられます。
一般に言われるシュウ酸の害は、大ジヨッキーでホウレンソウジュースのお代わりしない限り大丈夫でしょう。
むしろ、どうでしよう。肥料がタップリ溜ったハウス栽培の、硝酸態窒素が数万ppmも含まれるホウレンソウを、ジュースにしてご亭主に毎日飲ませた方が、亭主を早死にさせる健康法として、有効ですよ。
その際、レモン汁を加えるばかりでなく、生卵を混ぜておきますと、効果は一段と高まります。
 
また、ホウレンソウの若い葉を手でちぎって、ハムやベーコン、ゆでた卵などと彩りよく混ぜたり、ナッツ類を加えてサラダにするのも有効ですね。
何せタンパク質と一緒に食べますと、ニトロソアミンと言う発ガン物質に変わってくれるのですから、
 
また、ホウレンソウのバター炒めもいいですね。
その時は、熱した油に塩を入れてからホウレンソウを炒め、出た水は捨てるのがアクを抜くコツです。
ほかの具と一緒に料理する場合にも、先に炒めて水気を切ったものを最後に加えればよいのですが、これではせっかくの高濃度硝酸態窒素入りホウレンソウの効果が台無しです。
生のホウレンソウから出た水気には硝酸態窒素がタツプリ含まれていますので、これを無駄にする手はありません。
貝やベーコンなどタンパク質と炒め、よくだしが出た汁ごと、ご亭主にお勧めしてください。
 
ホウレンソウをラップで包んで、電子レンジでお浸しを作るのも、効果的な方法です。
一滴も硝酸やシュウ酸を逃さないのですから、これに削りカッオをタップリ掛けて、食べさせますとよく効きますよ。
その時、貴女はニコニコ笑いながら、葉の方を食べ、亭主には歯ざわりの良い茎の方を与えるのです。
なんせ、茎の方が数倍も硝酸態窒素が多く含まれています。
発ガン抑制作用を持つ善玉・ビタミン類が減少し、悪玉だけが増えている現在のホウレンソウを、便利さだけで、電子レンジでチーン料理するのは、亭主を早死にさせる料理法の精神にピツタリの方法です。
 
2) ホウレンソウの茹で方、知っていますか
食生活が多様化して、最近ではホウレンソウの料理法もお浸しだけでなく、油炒めやグラタンなどバラエティに富んで来ました。
お浸しには葉が柔らかくて葉柄の長い東洋種が適しますが、油炒めには葉の厚い西洋種の方が適します。
現在主流となっている西洋種×東洋種の一代交配種はこの中間で、どちらにも適していると言えるでしょう。
逆な言い方をすると、八方美人でどちらに使っても本当の美味しさが出ないと言うことです。
 
今や希になった東洋種のホウレンソウが手に入ったら、変に加工するよりは、お浸しにしてジックリ味わってみたいものです。
美味しいお浸しは、良いホウレンソウを如何に上手に茹でるかにかかっています。
 
ホウレンソウを茹でる目的は、アクを抜き、色をよくし、柔らかくすることですが、その時、ホウレンソウ本来の持ち味を殺しては元も子もありません。
そのためには、次の5つのポイントに留意して茹でる事です。
 
ポイント1:先に述べた条件の良いウレンソウを選ぶこと。
 
ポイント2:タップリの沸騰湯で茹でること。
湯温が低いと茹でる時間が長引き、色を悪くします。
ポイントは70度以上の温度で一気に酵素を壊すことです。
色のみならず、栄養価の損失も少なくできます。
また、湯の量が少ないと、アク成分のシュウ酸が溶け出て、湯の酸性が強くなると、クロロフイルを壊し、色を悪くします。
タップリの沸騰湯で茹でるのは、ホウレンソウを入れても湯温を下げず、また溶け出る酸を薄めるためです。
 
ポイント3:塩を一摘み入れること。
湯に1%ほどの塩を加えると色よく茹で上がると言われていますが、野菜によって効果に差があり、ほうれん草ではそれほどでもありません。
しかし、ビタミンCの損失を防ぐ点で効果があります。
総ビタミンCの残存量は,十倍量の唯の水で2分間、茹でると25%程度、1%の食塩水では31%と言った報告もあります。
但し、この残存率は少し低すぎます。
なお、塩を入れるのは沸点を高め、早く加熱するだけでなく、シュウ酸の溶出を促す効果もあります。
そして、ホウレンソウは数本を束ね、株元を先に沈めて、シンナリとさせてから、後で葉を沈めます。
全体が均一に茹で上がります。
 
ポイント4:短時間で茹で上げること。
もたもたしていると色、味、歯ごたえ、どの面からいっても望ましくありません。
用途や好みによって違いますが、2〜3分で適当でしょう。
ちなみにビタミンCの残存率を見ますと、生のホウレンソウを100%としますと、1分で74%、2分で61%、3分で48%,5分で40%です。
1分では、歯切れはやや硬いですが良く、色は鮮緑色いですがややアクがあります。 2分では、適当な歯切れを持ち、色は鮮緑色で僅かにアクがありますが、旨味がでます。3分で、歯切れは柔らかく、色は緑色で旨味があります。アクは殆ど感じません。
5分では、非常に柔らかく、濃い褐緑色で、アクは全く無いですが、旨味が消え塩味がします。
 
ポイント5:水に晒して冷ますこと。
茹で上がったらすぐに冷水に晒して冷まします。
アクが除かれて色もきれいに仕上がります。
ただし、水溶性ビタミンやミネラルが流出しますので、品温が下がる1、2分程度にしましよう。
長く晒し過ぎると、味や旨味もなくなってしまいます。
 
最近、テレビや料理の本で、電子レンジ料理、いわゆるチーン料理の一つとして、ホウレンソウのお浸しをレンジで作る事が紹介されます。
レンジで加熱しますと、一般に茹でた時と比べて、アクっぽいですが、短時間で色よく、ビタミンCの損失も少なく(90%以上の残存率)、仕上がります。
なお、電子レンジで加熱する時は、150g以内の少量単位で、熱が平均に当たる様に、茎と葉を交互にしてラップで包み、約2分間加熱します。
一人暮らしの人やチョツト青菜の欲しい時に便利ですが、その危険性も十分知った上で、ご利用願いたいものです。
 
3) 料理による東洋種、西洋種の使い分け
現在、日本にあるホウレンソウは約180品種と言われています。
しかし、これらは三百数十年前に導入された東洋種、1860年代にフランスから導入された西洋種、およびこれらの品種を掛け合わせた交配種の3種類に大別できます。
 
これらの特徴は、既に述べた通りですが、東洋種の葉に切れ込みがあり、色が薄い。
葉柄は細く、根は鮮紅色で、種子は刺のある角種子です。
一方、西洋種の葉は丸く、色が濃く、葉は厚く、根は淡紅色で、種子は刺がない丸種子です。
交配種は東洋種と西洋種の中間の性質を持っています。
貯蔵性はどちらかと言えば西洋種の方が東洋種より優れており、もし、家庭でホウレンソウを長期間貯蔵したい時には、西洋種が望ましいです。
 
この様な違いが生じたのは、日本と西洋の調理の方法、利用の仕方の違いに基づくものと考えられます。
従来、日本ではホウレンソウは形状や食味を重要視し、東洋種が出来上がりました。
一方、西洋ではバター炒めや缶詰にされることが多いので、自ずと葉が濃緑で葉肉の厚い品種が選抜されたのです。
ですから、幼い頃に見たTVマンガで、ポパイが窮地に陥ったり、恋人のオリーブを助けに行く時に食べて元気になった缶詰のホウレンソウは、西洋種と言うことになります。
 
日本には、江戸時代から東洋種(在来種とも言います)が伝わり、秋蒔きで、冬から春先にかけて収穫しました。
古くから日本料理に馴染みの野菜で、茎が赤く、葉の切れ込みが大きく、葉肉が薄く、歯切れがよく、食味が良いのが特長です。
日本料理にピッタシの野菜です。
お浸しや和え物、汁の具、茶碗蒸しなどに使われています。
 
一方、西洋種は葉に丸みがあり、葉肉は厚く、特有の香り、土臭さ(アク成分のシュウ酸に由来)が強いのが特徴です。
この臭いは油で炒めることによって和らげられ、牛乳も同様な効果を持ちます。
そこで洋風料理には西洋種が合うと言うことになります。
 
4) ホウレンソウと牛乳
ホウレンソウは牛乳と相性がよく、ホウレンソウのミルク煮などは、子供や老人、病人に向く、消化のよい料理です。
ホウレンソウは茹でて、4〜5cmの長さに切っておき、ぬるま湯でもどした干しむきエビとみじん切りにしたニンシクを油で炒め、ホウレンソウを加えてさらに炒めます。
ここに牛乳を加え、塩と胡椒で味を整えてから、水で溶いた片栗粉でトロミをつけ、暖かい内に食べます。
ホウレンソウの旨味を損なわないためには、味付けを抑えることです。
 
同じ様に牛乳を使った洋風料理にホウレンソウのグラタンがあります。
バターをたっぷり塗り付けたグラタン皿に、茹でたホウレンソウを一面に広げ、上からホワイトソースをかけて、天火で焼くだけの料理です。
ホウレンソウ嫌いの子供でも知らずに食べてしまいます。
鶏肉やむきエビなどの具を入れれば、さらにボリュームアップが図れます。
 
7.アラカルト
赤い株元に甘味がある
ホウレンソウの株元の赤い所、年輩の方などは、「あそこが甘味があって美味しい」と言います。
確かに、赤みの部分には糖質が多いです。
それは同じアカザ科のビート(砂糖大根)と同じく、根に糖分やミネラルが溜るタイプなのです。
ただ、ビタミンや全体的な栄養価と言う点から考えますと、赤い株元より、葉の方が秀れています。
子供の頃、「赤い所を食べなさい。一番栄養があるんだから」などと言われた人も多いかもしれませんが、あれは、固い株元を嫌がる子供に対して、大人が考えた方便だったのでしょう。
天然色素としてのホウレンソウ
意外なホウレンソウの使い方に、あの鮮やかな緑色を色づけに使う方法があります。
例えば、お正月の飾り物や口取りにする緑色に色づけされた羊羹。
あの色をホウレンソウで付けるのです。
茹でてアクを抜き、裏漉ししたホウレンソウをほんの少し、白い漉しアンに混ぜ、あとは砂糖と寒天で固めるだけで、綺麗な緑色の羊羹が出来上がります。
クセが無いので誰もホウレンソウだとは思わないです。
合成着色料を使うよりずっと健康的だと思いませんか。
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001