おろしてトロロ、団子汁
消化が良くて、強い粘り
石川県根上町特産
加賀丸いも
![]() ■ 石川県根上町の加賀丸いも
加賀丸いもは、山のいも属の、つくねいも群に属する黒皮種のやまといもです。
昭和20年代後半までは、石川特産「やまのいも」として主に関西方面に出荷されていましたが、その後出荷量の増大にともない、石川特産「加賀丸いも」と名称づけられ全国で愛用されています。
当根上町では、手取川扇状地帯の膨軟な土質と豊かな用水を利用して、古く戦前から栽培され、栽培技術の改善によって、その品質は全国に誇り得るものです。
粘りが強いのが特徴の「加賀丸いも」は、日本料理をはじめ、高級和菓子・水産加工品などに利用されます。
丸いもはすべりやすいので、注意して厚めに皮をむいてください。
酢水につけてアクどめをすると、さらにおいしく、美しく調理できます。
おろす場合は、おろし金で丁寧にすりおろして下さい。
根上町で[加賀 丸いも]の栽培が始まったのは大正年間。
けれども当初は丸い芋では なく、生姜のようなグニャグニャした形で商品価値も低かったのです。
昭和9年手取川の大洪水で一帯の田圃に川砂が流れ込んでしまいました。
けれども今となっては不幸中の幸い、川砂と田圃の泥が混ざりあい、丸いもに適した土質になったのです。
以来、[加賀 丸いも]は文字どおり丸い形。
整った球形なので皮がむきやすく、使いやすい。
消化が良くて栄養豊富、おまけに調理が簡単、手間いらず。
家庭に箱常備すれば、すりおろしてトロロや山かけ、つなぎを入れなくても固まる粘りの強さをいかして団子汁、酢の物にして酒の肴に。
また連作はせず同じ土地では3年に一度しか[加賀 丸いも]をつくらない。
形や味を損なう 病害虫を防ぐためです。
一度[加賀 まるいも]を植えたら2年は水稲。
大切に健やかに育てています。
● 加賀丸いもの歴史
その昔、旧根上町(現石川県能美市)五間堂町に沢田仁三松というお百姓さんがおりましたとさ。
沢田さんは、稲作や養蚕で生計を立てていましたが、当時、大変珍しかった養鶏を始めるなど大変チャレンジ精神のあふれる人で、野菜類の品種改良や普及、指導にも一生懸命に努めたんだと。
大正時代のある時にな、沢田さんは家族の健康と農業の繁栄を願って伊勢神宮にお参り行き、その帰りに丸いも(伊勢いも)を買い求めたんやと…
そしてなあ、丸いもを持ち帰った沢田さんが食べたところ大変うまかったので、残った芋を畑に植えんだと、その丸いもの作り方にいろいろと工夫を重ねて改良に努めたところ、丸くて大きないもが出来ましたとさ。
その後も、この大きな丸いもは沢田さんと同郷で繭や牛首紬の行商で関西から丸い芋を持ち帰った秋田忠作さん二人の丸い芋の魅力に取り憑かれた先覚者の不断の努力によって改良が続けられて五間堂の特産品となり、それまでの「五間堂いも」から「たんころいも」と名付けられる様になりましたんだと。
それから後、昭和9年(1934年)7月10日から11日にかけて手取川が氾濫し、加賀地方一帯に死者97人もの死者と大きな被害のつめ跡を残した大水害により、霊峰白山から流れ出る土砂と加賀平野の土質が堆積した川砂と水田の泥が入り混じり、巷間、“めくら砂”と言われるほど、丸芋栽培に適した絶妙の土壌になったところから、ますます味良く形の良いいもが取れるようになったんだと。
戦後、このいもを旧根上町農会技師であった島田兵次郎さんが「加賀丸いも」と名付け、今日に至っているんじゃ。
加賀丸いもは、山いも属つくねいも群黒皮種やまと芋で、能美市を主産地とした手取川扇状地帯にしか出来ない特産品どぞー。
● 加賀丸いもの栽培
加賀丸いもは、親いもの形質を系統的・遺伝的に受け継ぐこととされるところから、種いもは優秀ないもを選抜することから始まり、さらに病害虫をさけるために同じ耕作地では連作せず、丸いもと稲作などと3年ごとの輪作栽培を行います。
白山の恵み豊かな伏流水と自然が作り上げた土壌に前年秋に約40cm高さに作られたかまぼこ型の畝に3月から4月にかけて腐るのを防ぐために石灰にまぶした60〜70gに切った種いもを40cm前後の間隔をとって2条植えにします。
5月から6月にかけては芋の蔓が伸びて巻き付くための支柱を立て、支柱の上にはひもを張り蔓が巻き付くように誘引します。
伸びる蔓は8月上旬まで手作業で、反時計回りに巻いて1本1本の蔓を支柱に巻き付けたり余分な芽を摘んだりします。
8月上旬から9月上旬までの新いもが肥大する期間に土が乾燥すると出来るいもに亀裂や形が不良となりやすいので、水不足にならない様に栽培には細心の気を付けています。
霊峰白山を仰ぎみる能美の大地で、春夏の陽光をいっぱい浴びて地下深くに出来る加賀丸いもは一つの種いもから一個しか取れぬ大変な希少価値があるので、除草や適温や保水排水の状態に目配りして収穫までは気が抜けないのです。
10月から11月になると葉っぱが茶色に枯れ上がって来ると収穫の適期となるが、収穫も手掘りで傷をつけない様に一つ一つ注意して収穫します。
こうして手塩にかけて収穫された丸いもは、甘味と粘りそして滋養に富み、他の産地の追従を許さない絶妙の美味しさです。
丸いもは栽培期間が前年秋に畝作りから始まり、翌年3月から4月にかけて種いもの定植、6月から8月芋の蔓巻き、10月から収穫と、稲作と労力を負担する競合期間が少ないので、じっくりと栽培出来るのです。
栄養分と粘りある特徴から、日本料理はおろか高級和菓子や麺類、焼酎など酒類へと利用範囲は広く、各種鑑評会で数々の受賞・顕彰を得るなど人気は上昇の一途を辿っています。
食し方も、掏ってよし、刻んでよし、お汁に浮かべてよし、天婦羅なお良し、色々な調理方法が楽しめます。
あなたもぜひ一度お試しあれ!
■ 丸いもは 漢方の山薬、滋養強壮。
生のまま食べられるヤマノイモ類は、すでにデンプンがアルファ化しているため消化が良いそうだ。
漢方薬の山薬とは、ヤマノイモの根の外面を乾したもの。
昔から滋養強壮の生薬として親しまれてきました。
高い栄養価に加え、強い粘りが特徴の[加賀 丸いも]は、そのままおろしてトロロに、つなぎをいれなくても固まる粘りの強さを 団子汁で、短冊に刻んでしゃっきりとした歯ざわりの酢の物に、簡単調理で手軽に 楽しむことができます。
● 加賀丸いもの健康機能
丸いもの特徴である強い粘りはムチン(たんぱく質とマンナンが結合したもの)を含んでいるため。
ムチンは胃の粘膜に作用し胃壁を守り、胃潰瘍などの予防にも良いとされます。
たんぱく質の吸収を促進するので、一緒に食べたものの消化吸収がよくなります。
さらには、滋養強壮にも役立つと言われています。
また、サポニンを含んでおり、胃腸の働きを助け、抵抗力や回復力を高める働きがあると言われています。
● 加賀丸いもを美味しく
ふっくらとした皮の軟らかさが特徴の薯蕷(じょよ)饅頭、練り切り、かるかんなどの和菓子をはじめ、がんもどき、はんぺんなどのふんわりとした食感に[加賀 丸いも]は欠かせません。
おもに関西方面に出荷、京料理や京菓子に活用されています。
プロの職人の 厳しい目に育てられた粘りの強さと味の良さを、ご家庭でもご利用下さい。
秋の収穫から春先までは常温で、夏でも冷蔵庫で保存すれば品質は変わらないので安心して使えます。
マグロの山かけ、とろろ蕎麦、麦とろ、磯辺揚げなど、手間をかけずにプロの一品を手軽に楽しむことができます。
◆ 丸いも青しそまき磯辺あげ
すりおろした丸いもを、うまみ調味料、塩で味をととのえ、親指ほどの大きさにして板のり、青しそで包み、キツネ色になるまで揚げます。
◆ 芋かけうどんそば
すりおろした丸いもを、煮出し汁でのばし、温めた丼に盛ったうどん・そばの上にたっぷりかけます。
のり等の薬味がとってもよくあいます。
◆ 三杯酢あえ
薄いタンザク切りにし丸いもを酢水につけ、アク抜きをしてから水気を切り、二杯酢、三杯酢をかけ、のり、紅しょうが、ゆず等で色味を添えます。
好みでわさびを添えてもおいしさがいっそうひきたちます。
◆ お好み焼き
すりおろした丸いもにとき卵を徐々に混ぜてのばし、さらにスープを少量ずつ入れながらよく混ぜる。
その中にお好みの肉、キャベツ・ねぎなどの野菜を加え、お好み焼きの要領で焼き上げます。
ソースで味を整え、花かつお、青のりをふりかけます。
◆ さしみやまかけ
器に盛り分けた季節のお刺身の上に、すりおろした丸いもをたっぷりかけます。
色どりを添えれば、はい、できあがり。
風雅な料理がとても簡単にできあがります。
◆ とろろ汁
おろし金ですりおろした丸いもをさらにすり鉢でよくすり、さました煮出し汁を徐々に加えながらよく混ぜて、好みの濃さにのばします。
もみのり、さらし葱ををかけ、熱いご飯に添えてお召し上がりください。
最も代表的なお召し上がり方です。
◆ 月見とろろ
とろろ汁を器に盛り、中央に卵の黄身をのせます。
刻みのりや、葱をふりかけてお召し上がりください。
また、うに等の海の幸も、丸いもにとてもよくあいます。
◆ だんご汁
煮立った汁の中に、すりおろしたいもをスプーンですくって落とします。
お味噌汁でも、澄まし汁で作ってもおいしいだんご汁ができます。
また、汁椀の中に角切りの、のりを敷き、その上にすりおろしたいもを小さく盛り、熱い汁を注ぐだけでも、おいしいだんご汁ができます。
■ 石川県能美市特産
加賀丸いもについて
(加賀丸いもドットコムより)
石川県能美市で栽培されている山芋の一種。
植物学的にはヤマノイモ科、つくねいも群の黒皮種のやまといも。
白山連峰を仰ぐ加賀平野のごく限られた地域だけで栽培されています。
黒い皮をむくと真っ白な芋となり、すりおろすといわゆる「とろろ」となる。
加賀丸いもの最大の特徴は強い粘り。
一般の長イモやヤマイモ・イチョウイモなどの大薯、自然薯と比べても断然強い「粘り」があります。
また山芋は一般的にはデコボコ状の塊だったりくねくねと細く長い形状の品種がほとんどです。
しかし当地石川県能美市根上地区の限られた地域では、古くから選抜栽培され「まるいいも」が残されました。
さらにこの地域独特の風土の白山からの清らかな水、手取川がもたらした豊かな土、日本海からミネラルたっぷりの風、もちろん太陽からのエネルギッシュな光と丸いも農家の創意工夫と努力の汗で味わい深い「加賀丸いも」が作られています。
● 加賀丸いものはじまり
大正時代、石川県旧能美郡根上町五間堂の沢田仁三松と秋田忠作の両氏が三重県から持ち帰った伊勢芋を栽培したことが始まりといわれている。
当時は「五間堂芋」と呼ばれていました。
大正九年には「仏掌芋」として石川県園芸品評会で二等賞を受賞している。
昭和になると近隣の中ノ庄、高堂地区でも芋作りが広まった。
そして昭和三年には「藷蕷」の名で北陸四県特産園芸共進会一等賞も受賞。
また、仁三松氏の子息沢田清隆氏が昭和四年「加賀丸芋」として能美郡特産品評会特別賞受賞。
このころからの呼び名で昭和八年の「根上村報」でも「加賀丸いも」として記されている。
● 昭和9年 手取り側の氾濫
石川県の白山連峰から日本海へと豊かに流れる手取川。
長い年月をかけて広大な扇状地「加賀平野」を肥沃な土壌にし、潤してきました。
昭和9年、長引く大雨のため手取川の堤防が決壊。
そこから大量の水と土砂が下流へと流れ出した。
当然、下流の村々は甚大な被害を受けた。
一方で田んぼの土と流れ出した川砂の混ざったところで「芋」を作り始めると、次第に丸みのある独特の風味の「まるいいも」が多く採れるようになった。
現在の加賀丸いもの栽培適地は、その洪水の流路と一致しています。
昭和9年の手取川大洪水は痛ましい災害をもたらしただけではなく、能美市の素晴らしい宝となる土を与えてくれたのです。
● 加賀丸いも 栽培の歩み
昭和の初めごろは、トラクターはもちろん耕運機などの農業機械はなく一部の牛馬以外の労働は手作業でした。
また、個々の栽培方法もまちまちで技術の確立もできていなかった。
さらに戦後の日本は高度経済成長へと生まれかわり、兼業化・離農など進んで丸いもの栽培面積も減少気味だったらしい。
しかし、昭和40年代になると農業機械の導入が始まったことにより、耕したり畝を立てたりの作業が軽減されてきました。
機械化と同時に栽培技術も試行錯誤で統一・確立されはじめてきました。
こうしてある程度安定して栽培できるようになってくると、それまで個人販売であったものを根上町役場や農協と連携を図り、お米の生産調整政策と相まって共販の方向へと導かれた。
そして各集落の出荷組合も解散して農協での共選共販がはじまったのが昭和46年頃。
この間、中心的担い手農家たちの知識と経験と指導と努力によって、栽培技術の探究・共選共販のための研究など生産者や農協・農機具メーカー、農業普及員が一体となって「加賀丸いも」栽培に取り組んだ。
一個の伊勢芋から始まった加賀丸いも。
多くの人たちの思いがいっぱい詰まっています。
こうして先人たちの汗と努力の結晶が加賀丸いもを残し、今でもその思いが、JA根上丸いも部会などで受け継がれている。
● 13ヶ月でひとつの種芋から丸いも1個
栽培一等地は、砂がかった粘土質。
乾きすぎずに湿りすぎない田んぼが必須条件。
ある意味、矛盾した不思議な表現感覚。
この「芋田」と呼ばれる限定地でだけ独特の風味と強い粘りのまるい丸いもに育ちます。
更にこの丸いもが選んだ芋田では土壌を休ませるために3年に一度だけ栽培します。
中2年の間にお米を作ることで、山々から流れてくる農業用水を通して新たに豊富な微量要素が補給され、同時に病害虫の連作障害も回避されます。
しかもひとつの種芋から丸いも一個だけの収穫です。
ジャガイモやさつまいも、里芋など何十個と増える芋類と比べ効率が悪い作物なのかもしれません。
しかし、ひとつの親からひとつの子へとしっかりと受け継がれ残っていく。
これが加賀丸いもの魅力の一つです。
冬が長く、春先でも天候が安定しないここ北陸の気候に合わせて前年の10月秋晴れの日に畝立てをします。
ひと冬越すことで畑の土も落ち着き、春先の貴重な暖かい晴れ間に一気に植え付けできるからです。
もちろん、秋の畝立てと春の植え付けのタイミングもいい丸いも栽培のための重要な要素です。
その種芋が芽吹くのは梅雨の頃。
夏には枝葉を伸ばし、秋には葉っぱも枯れて芋も肥えてきて充実期。
11月を迎えいよいよ収穫となります。
10月の畝立てから翌年11月の収穫まで延13ケ月。
これまで、加賀丸いもを栽培しようと全国各地でたくさんの方々が試みられてきました。
しかし、加賀の風土で育てられた丸いもは別の土地では丸く大きくならないそうです。
それ故、生産量も限られ一般市場にも出回らない貴重な加賀丸いもなのです。
● ネバネバの成分はムチン
加賀丸いもの主成分は炭水化物「デンプン」や「マンナン」。
もちろん65パーセントほどは水分。
また、消化酵素(炭水化物分解酵素)のアミラーゼやジアスターゼ他おおくの消化酵素が含まれており、デンプンがアルファ化しているため生で食べられる。
ビタミンB1,C,Eも豊富で、カリウムと食物繊維は体内の余分なナトリウムを排泄する作用もあり便秘解消や大腸ガン・高血圧症予防も期待できる。
ねばねばの成分はムチンであり、すりおろされた「とろろ」は胃壁の粘膜を保護してタンパク質を効率よく消化吸収させる。
よって体が弱っていたり疲れ気味のときには滋養強壮や疲労回復などに優しく作用するでしょう。
また、授乳期のお母さんが食すと母乳がたくさんでることもあるそうです。
このように栄養成分的にもたくさんの特徴をもつ加賀丸いもです。
しかし、それだけではなく生の「とろろ」で風味とのど越しの良さも感じながら美味しく召し上がっていただくことはもちろんのこと、いろいろな調理法で楽しんで食べていただければ幸いです。
こうして能美市の特産物「加賀丸いも」を皆さまの食卓へとお届けしたいと生産者一同、日々頑張っています。
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