サクサク しゃっきり!
肉厚でもっちり! 粘りが強い
加賀・金沢の伝統野菜
加賀れんこん
 
今は食用のれんこんですが、その昔、奈良朝以前には宮廷で鑑賞用植物として蓮(はす)が栽培されていたようです。
平安中期頃から蓮(はす)は仏の花として寺院や信仰のあつい貴族などの庭の池に栽培されていました。
この頃は仏罰を恐れまだ食用にはしなかったようです。
 
 
● 蓮の根・れんこんが食用に供されたのは?
 
食用れんこんとしては、鎌倉時代に中国から伝わり、全国に広がり、現在の在来種のもとになりました。
日本ではれんこんの穴から「先が見通せる」ということで、縁起の良い食べ物とされてきました。
おせち料理には欠かせない食材です。
 
現在、れんこんを食用として食べているのは、日本と中国などのわずかな国だけのようです。
 
 
● 加賀へ蓮の根が導入されたのは
 
石川県金沢市を含む地域は前田利家が治めていた頃、加賀藩と呼ばれ「加賀百万石の城下町」という言葉は金沢市の代名詞ともなっていますが、前田家5代藩主、前田綱紀の時代に関西方面か関東方面から蓮の苗か種を持ち帰って栽培が始まったと言われています。
 
藩政時代は米以外の作物を栽培する事は禁止されていたのですが、日当たりが悪く米の作れない所だけは蓮根の栽培を許されていたそうです。
現在も町名として残っている大樋町(おおひまち)が加賀れんこんの栽培地のルーツで、大樋町から次第に隣接する春日町、山上町、小坂町などへと蓮根栽培が広がったようです。
 
大樋は北陸街道(現在の国道157号線)が城下町金沢へ入る北の玄関口でした。
ここに明治中ごろまで三角茶屋という有名な茶屋があったそうで、この茶屋で蓮の花や蓮飯は旅人の名物となり大樋蓮根(おおひれんこん)と呼ばれ有名になったとのことです。
 
それまではれんこんを「はすの根」と呼んでいたそうですが、幕末の文久元年(1861)「加越能名物産物番付」に、「金沢大樋蓮根」(かなざわおおひれんこん)と記載があり、初めて蓮根が商品として扱われるようになった様です。
 
明治初期の頃の蓮根は高価な蔬菜(そさい)とされ、お正月、冠婚葬祭などに用いられる程度だった様です。
 
明治20年代(1887〜)蓮根栽培を小坂地区一帯に広めたのは本岡三千治と表与兵衛という人で、本岡三千治は県会議員でした。
この人の孫の本岡太吉が明治42年に東京葛飾方面に栽培されていた「枯れ知らず」という品種を導入(これは昭和15年(1940)頃まで栽培された)しました。
 
この新品種の導入とともに、収量増加と需要増大により蓮根が大衆化し、「小坂蓮根」と改称されていきました。
明治44年を境にれんこんの生産量は急激に増大し、大正6,7年には全盛期でした。
 
この「小坂蓮根]は更に全県的、全国的特産物として発展させたのは、本岡太吉でした。
大正4年当時の販路は生産の半分は金沢以外の地区や県外でした。
この販路拡大のために加賀蓮根同業組合の設立とその指導、統制にあったのが本岡太吉でした。
 
本岡太吉はわが国最大の消費市場である大阪・神戸および名古屋へ販路拡大につとめました。
こうして、関西市場への進出をきっかけに地方的な「小阪蓮根」を改め、旧国名の加賀藩に因んで「加賀蓮根」と名付けました。
 
 
● 加賀れんこんの品種のルーツ
 
加賀れんこんのルーツである大樋蓮根の品種は「地ばす」と言われていましたが、その後新しい品種の導入などによって、栽培量が減少していきました。
昭和36年には、御所町の西元正栄という方がわずかに栽培しているのみでした。
 
地下1mの深さの所に長さ1.2m、直径は太いところで4.5cmのものが最大であったということです。
 
現在の品種では大きいもので直径は10cm程のものもありますので、その頃のれんこんは随分スリムだったといえます。
深さも現在では30cm〜50cm程度で当時はとても深いれんこんを掘っていたといえます。
現在の深さでも掘り取り作業は大変ですが昔はもっと大変だった様です。
 
 
● 蓮は縁起のよい花
 
法華経に釈迦が4月8日に菩提樹の下で誕生された時、かたわらにあった蓮の花が一斉に咲いたので縁起のよい花として用いられる様になりました。
ここから蓮は仏典と結びついた訳です。
 
「はす」はスイレン科に属し、主としてペルシャ、インド、中国、オーストラリア北部に分布しています。原産地はインドのようです。
 
昭和28年(1953年)7月、当時金沢大学理学部講師、松尾秀邦氏が福井県足羽川上流の今立野池田村皿尾の地内で地質調査をしていた折、偶然にも今から6〜7千万年前の中世代白亜紀の頁岩中に直径12cmの「はすの葉」2枚の化石を発見したという事実があります。
 
また、ハス博士で知られる大賀博士が2千年前の「はす」の実を千葉県から掘り出してこれを発芽させたことは有名な話で、生命力の強さを物語っています。
この様に、はすは古くから日本に生育していたようです。
 
「加賀蓮根」―石川県蔬菜栽培前史― 田中芳男 著 石川県図書館協会発行
昭和36年9月25日発行
 
 
● 加賀野菜 加賀れんこんの概要
 
金沢伝統野菜・加賀野菜の“加賀れんこん”は、現在栽培されている品種は支那白花の晩生種で、生育適温が高いため4月から6月までの生長は鈍いですが、7月中頃からの高温条件で旺盛に生育します。
 
収量も多く、耐病性(腐敗病)に強く、浅根性で掘りやすいのが特徴ですが、葉はもろくて折れやすく、風害のあったときは損害を受けやすい。
 
れんこんは、澱粉質が多く粘りが強いのが特徴で、太くて節間が短く、肉厚である。
特に先の方の二節がおいしい。
 
栽培は、4月下旬から5月下旬に種れんこんを植え付け、収穫は8月下旬から翌年の5月中旬まで市況に応じて長期出荷する普通栽培である。
 
7月中にはハウス栽培のれんこんが出始めます。
新鮮な泥付きれんこんとして、地元市場をはじめ、県外にも出荷されています。
 
金沢市小阪地区、河北方干拓地、薬師谷地区、才田地区、森本地区が一大産地を形成している。
 
 
● 加賀れんこんの効能
● 風邪の予防や美肌に
れんこんのビタミンCは、100gで1日に必要なビタミンをまかなえます。
ビタミンCは疲労回復に効果があり、細胞どうしをつなげるコラーゲンを生成して、血管や粘膜を丈夫にし、肌にはりを与えたり、ウィルスの核酸を破壊して風邪をひきにくくする作用があります。
 
また、最近では、発がん物質を抑制する効果があることもわかっています。
タバコやお酒を飲みすぎた後は、ビタミンCが必要なので、れんこんを食べるとよいでしょう。
 
● 貧血予防に
れんこんに含まれるビタミンB12は貧血を予防します。
またビタミンCや鉄も同じ効果があります。
 
● 便秘解消、動脈硬化、高血圧に
不溶性の食物繊維が多く、腸の働きを活発にして便秘を解消し、大腸がんを予防します。
また、コレステロールを下げて血圧を正常にし、動脈硬化や高血圧にも効果があります。
 
● 胃もたれ、胸焼け、滋養強壮に
れんこんを切ったときに糸を引くのはムチン質が含まれるためです。
ムチンはオクラやさといも、納豆などに含まれる成分ですが、胃壁を保護し、たんぱく質の分解に作用するので、過飲過食時の胃腸の負担を軽くします。
その他滋養強壮にも効果があります。
 
● 消炎・止血効果
れんこんの切り口が黒くなるのはタンニンのためですが、このタンニンの収斂(しゅうれん)作用は、疲れた胃腸に良いとされ、胃・十二指腸潰瘍の下血や喀血に効果があります。
 
● 鼻つまりに
れんこんのおろし汁をガーゼや綿に湿らせて鼻孔につめます。
これを左右交互に繰り返して行なうと鼻が通るようになります。
特に節の部分が効果的です。
 
●むくみに
漢方ではれんこんの節に利尿作用があるとされ、干して保存しておいたものを煎じると、むくみの解消に役立つとされています。
 
● 咳止め、二日酔いに
新鮮なれんこんの、特に節の部分をすりおろしてしぼった汁を飲むと、たんを切り、咳止めや二日酔いに効果があるとされています。
皮むかずにおろす方が、薬果があるそうです。
 
● 風邪に
れんこんのしぼり汁に大根のおろし汁を同量合わせて、熱湯で薄めて飲みます。
 
● 母乳の出を良くする
れんこん汁は母乳の出を良くすると言われている。
 
 
■ 美味しい加賀れんこんを食べよう
 
● 美味しいれんこんチップスの作り方
1、れんこんは皮をむき、薄くスライスする。
切ったものから、すぐに酢水につけてさらす。
2、揚げ油を180度位に熱し、れんこんの水気を布巾で拭き取り、少量ずつ入れる。
3、れんこんが油の上に浮いてきたら、網ですくい上げる。
4、紙の上にとって、油をよく切り、味塩をふる。
 
● 加賀れんこんで酢れんこん
1、れんこんは厚めに皮をむき、2mmの厚さに切る。
切ったものから、すぐに酢水につけてさらす。
2、鍋にだし汁、酢、砂糖、塩、うすくち醤油を入れ煮立てる。
3、「2」に「1」のれんこんを加え炒り煮する。
4、赤唐辛子を小口切り、柚子の皮をせん切りにして、「3」に入れ、混ぜ合わせる。
5、冷やしてから盛りつける。
 
● 加賀れんこん代表的な料理 はす蒸し
加賀れんこんは、澱粉質が多く、粘りが強いので、すりおろして伝統的な課が料理のハス蒸し煮するのに適しています。
蓮蒸しにしてもつなぎをあまり必要とせず、モチッとした食感があリます。
これは金沢産のれんこんの繊維質が緻密だからで、他県のれんこんではこの粘りはなかなか出ません。
 
【材料】4人分
・加賀れんこん200g  ・卵1/2個  ・塩小さじ1/2  ・みりん小さじ1/2
・鰻の蒲焼き1/3枚  ・椎茸2枚 ・ぎんなん8粒  ・甘えび4尾
・だし汁300cc  ・塩小さじ1/3 、・うすくち醤油大さじ1  ・みりん大さじ2
・水溶きくず粉大さじ1  ・せり又はミツバ4本  ・柚子少々
 
【作り方】
1、れんこんは皮をむき、酢水にさらし、すりおろして軽くしぼる。
2、塩、みりん、卵を混ぜ合わせて味を調える。
3、切った鰻、椎茸、ぎんなんを混ぜ合わせる。
4、器に盛り、えびをのせる。
5、15分間蒸す。
6、鍋にだし汁、塩、うすくち醤油、みりんを入れ温める。
お吸い物よりやや甘く、濃い味にする。
7、少しずつ水溶きくず粉で濃度をつけていく。
8、蒸しあがったれんこんに「7」のあんをかけ、彩りにミツバと柚子を添える。
 
● 加賀れんこんのすり流し汁
【材料】4人分
・加賀れんこん100g  ・カニ身適宜  ・ミツバ(又はセリ)8本  ・柚子少々
・出し汁4カップ  ・白味噌10?20g  ・こうじ味噌20g
 
【作り方】
1、れんこんは、皮をむいてすりおろす。
2、出し汁を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして「1」を入れ、しばらく煮る。
3、「2」に白味噌、こうじ味噌を溶き入れて味を調える。
4、「3」にカニ身、細かく刻んだミツバ(又はセリ)を入れて椀に注ぎ、
柚子の表皮を入れて香りを添える。
※ すまし仕立てもおいしい。
 
● 加賀れんこんの甘酢あんかけ
【材料】4人分
・加賀れんこん300g  ・揚げ油適宜  ・たけのこ小1本  ・干し椎茸4枚
・玉ねぎ1/2個  ・赤ピーマン1/3個  ・パイナップル(缶)4枚
・油適宜  ・片栗粉大さじ1
 《A:調味料》
・スープ300cc  ・砂糖大さじ3  ・塩小さじ1/2  醤油大さじ2  ・酢大さじ3
 
【作り方】
1、れんこんは皮をむき、乱切りにして酢水に浸ける。
2、たけのこはうす切り、干し椎茸はもどして2つにそぎ切り、玉ねぎはくし形切り、
赤ピーマンは2cm角くらい、パイナップルは6つ切りにする。
3、れんこんを最初低めの温度でゆっくり揚げ、最後に温度を上げてさっと揚げる。
4、鍋に油を熱し、たけのこ、干し椎茸、玉ねぎ、赤ピーマンをさっと炒め、
揚げたれんこんとパイナップルを加え、調味料(A)を入れて、
煮立ったら水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。
 
● 加賀れんこんの磯辺揚げ
【材料】4人分
・加賀れんこん150g  ・卵白1/3個分  ・塩少々  ・かに少々  海苔1.5枚
・小麦粉少々  ・揚油適宜  ・柚子 (またはレモン)1/2個
 
【作り方】
1、れんこんは皮をむき、酢水に浸ける。
2、かにはほぐしておき、海苔は1枚を8等分に、柚子はくし形切りにしておく。
3、れんこんをすりおろし、卵白と塩を混ぜ、かにを加える。
4、海苔に「3」をのせて巻き、水で濃いめに溶いた小麦粉を海苔の巻き終わりにつけてとめる。
4、中温の油で揚げ、柚子を添えて供する。
 
● 加賀れんこんのきんぴら
甘辛味で美味しいです。れんこんのシャキシャキ感がいいですね。
【材料】4人分
・れんこん 2節  ・人参 1/4本  ・赤唐辛子 1本  ・ごま油 大さじ1
・砂糖 大さじ2  ・みりん 大さじ2  ・酒 大さじ4  ・醤油 大さじ4
・ごま 少々
 
【作り方】
1、れんこんは皮を剥き、うすめにスライスする。水につけておく。
人参も薄めにスライス。
ごま油で炒める。
2、調味料を入れて、水分をとばすように炒める。最後にごまをふる。
 
● 加賀れんこんのレンコンハンバーグ
【材料】
・レンコン 300g  ・たまねぎ 1/2個  ・合びき肉 300g  ・パン粉 1カップ
・牛乳 大さじ1  ・塩 こしょう 適宜  ・サラダ油 適宜  ・しょうゆ(A)  大さじ2
・酢(A)  大さじ2  ・練り辛子(A)  小さじ1/2
《梅たれ》=だし汁1/2カップ、砂糖大さじ2、みりん、しょうゆ各大さじ1、
たたき梅3個分を合わせて火にかけ、水溶き片栗粉でとろみをつける。』
 
【作り方】
1、レンコンは皮をむき、2/3はすりおろして牛乳とパン粉と混ぜ、
残りは4〜5mm角のさいの目に切る。たまねぎはみじん切りにする。
2、1と合びき肉を合わせ、塩、こしょう少々を加えてよく混ぜたら八等分にし、
楕円形にまとめる。
3、フライパンにサラダ油を熱し、2を中火で焼く。
両面に焼き色がついたら酒を振りいれ、ふたをして弱火で4分蒸し焼きにする。
4、皿にもったら(A)を合わせたたれをかける。
 
● 加賀レンコンのもちもちお焼き
【材料】 小判型10個分
・レンコン 200g  ・絹ごし豆腐 150g  ・片栗粉 大さじ2
・塩胡椒 少々  ・刻みネギ(あれば) 大さじ2はい分
《調味料》=・醤油 大さじ2  ・みりん 大さじ2  ・粒マスタード 小さじ1
 
【作り方】
1、レンコンの皮をむき、すりおろす。絹ごし豆腐は、しっかり水切りしておく。
2、おろしレンコンと豆腐、片栗粉、ネギ(あれば)を手でこねるようにまぜてひとまとめにする。
3、フライパンに油(分量外)を熱し中火にし、(2)をスプーンでポトポト落として焼く。
4、周りが半透明になって固まりだしたらひっくり返し、返しながら焼き目をつけて取り出す。
5、火をとめ、調味料を先ほど使っていたフライパンに入れて、
余熱でグツグツさせたらたれが完成。上にかけてどうぞ。
【コツ・ポイント】
ネギ無しでも十分美味しいです。
モチモチさがくせになるんですよね。
 
●加賀れんこんのすりおろしレンコン揚げ
れんこんをすって揚げるだけの簡単料理!
ふわふわ、のりパリパリでおいしいですよ。
 
【材料】4人分
・れんこん 400g  ・溶き卵 1個分  ・・めんつゆ 大さじ1と1/2
・のり 適量  ・味ぽん お好みでどうぞ
 
【作り方】
1、れんこんは皮をむいてすりおろし、ざるにあげて軽く水気をきる。
2、ボウルに溶き卵とれんこん、めんつゆを入れてまぜ合わせる。
3、のりにスプーン1杯分のれんこんをのせたら二つ折りにして、揚げる。
4、カラッとしたらできあがり♪
*中まで火がとおると箸ではさんだときに弾力がかんじられます。
5、めんつゆで味はついていますが、味ぽんにつけて食べてもおいしいですよ♪
 
【コツ・ポイント】
揚げ油の温度が高すぎるとのりが焦げて苦くなるので気をつけてください。
 
● 加賀れんこん団子のもちもち味噌汁
もちっ、もちっ。 加賀れんこん特有の食感。
金沢の家庭では普通のいただき方。
これを食べると母乳の出を良くするといいます。
 
【材料】4人分
・れんこん 1節  ・片栗粉 大さじ1.5  ・生姜 しぼり汁を小さじ半分
・味噌 種類によりますが大さじ3  ・だし汁 お椀4杯分  ・葱 適量
 
【作り方】
1、昆布と鰹節でだしをとる。
2、れんこんは皮をむきすり下ろす。
最後の1/4はみじん切り。片栗粉、生姜の汁と混ぜる。
3、ダシを沸かし、弱火状態で、2を丸めながら一つずつ入れる。
4、だしの上でぎゅうと握り、汁を入れ、ダシにとろみをつけながら静かに投入。
5、団子に火が通ったら、味噌をとき入れ、火を止め刻み葱をちらす。
 
 

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001