加賀伝統野菜
金時草
(きんじそう)
![]() ●金時草の歴史
加賀・金沢の代表的な伝統野菜「金時草」は、和名はスイゼンジナ(水前寺菜)といい、熱帯アジアが原産で、日本へは、中国から、琉球、熊本へと伝えられ、熊本で古くから栽培されていたので「水前寺菜」の名がついたとされています。
このスイゼンジナが18世紀後半、江戸時代に北前船の流通拠点地であった金沢に運ばれましたが、商品としての栽培が広がり始めたのは昭和初年頃のことといいます。
以来70年間、現在では、全国的に見ても多く栽培され続けられているのは、金沢だけだといわれます。
●金時草の名の由来
金時草(キンジソウ)の名の由来は、葉の裏面の色が、金時芋に似た美しい赤紫色であることから「金時草」と書かれ、キンジソウと呼ぶようになったのです。
●金時草の特徴
茎は円柱形で紫褐色、よく分枝し、紫褐色。
繁殖は株分けと挿し木によりますが、多くは挿し木です。
挿し木は茎を10-15cmに切り、下の葉を取って挿します。
生育適温は20〜25℃で、耐暑性が強く、夏季に良く繁茂します。
温度差が大きいと葉の裏の赤紫色がきれいに出ます。
作型はトンネルと普通とハウスの3系統があり、普通作6月〜10月下旬で 、定植は4月下旬から5月上旬に行い、ハウス栽培ではハウス内の温度をかんりしながら周年で収穫することが可能です。
●若い若い茎葉を食用にします。
茎や葉が成長した段階でわき芽を収穫し、葉と柔らかな茎を食用にします。
葉は長楕円形で先が尖り、葉の表は緑色、裏は美しい赤紫色です。
夏場の野菜として独特の風味があり、ゆでるとぬめり(粘り)がでます。
味にクセが無いため、子供から大人まで人気の高い野菜です。
金沢では、高湿度の環境と昼夜の温度差が高いことから、紫色の発色が良く、葉の厚みも増し、食感が良く夏場の貴重な葉ものとして定着しました。
金沢市の北部、富山との県境に近い森本、花園地区で栽培が盛んに行われており、霧がかかる山間地の高湿度と温度差が良質な金時草を育む土台となっています。
![]() ■ 金時草づくりの名人 米林利栄さん
米林利栄さんは、地域特産物マイスター(加賀野菜)です。
加賀の伝統野菜の太きゅうりや金時草をはじめ、トマト、ダイコンなどを栽培する専業農家です。
自宅は金沢市の久安に住み、自宅から37km離れたかほく市の山の中の農場での通勤農業です。
自家製堆肥や米ぬかに納豆菌を混ぜて作った「ボカシ」を投入して、土作りに努め、連作しても障害が出ないという栽培方法を研究開発されています。
金時草作り35年、米林さんは、金時草の周年栽培しており、金時草は通年で出荷。
挿芽で苗の更新をしております。
米林さんは、「温度が高すぎても日照時間が少なすぎても、鮮やかな色は出ない。
日差しの強い夏は、手間の掛かる調整が必要だ」といいます。
米林さんの金時草ならではと指名買いをしてくれるお客様が多い。
栄養も見た目も味わいも楽しめる、こだわりを持った金時草栽培への研究努力と情熱は増すばかりだ。
● 金時草の栄養
栄養的には、ビタミンAが豊富で、カルシウム、カリウム、鉄等などのミネラルを多く含みます。
夏の健康野菜で血圧の抑制効果も認められるます。
また抗酸化作用のあるアントシアニンが含まれています。
(葉の裏のあざやかな赤紫色は、アントシアニンの色です)
ヌメリの成分である、多糖類が多く含まれる水溶性の植物繊維が多い。
ホウレンソウに多く含まれる蓚酸が少ないので生のままサラダなどでたべられます。
● 金時草の選び方
葉がピンとしてはりがあり、厚みがあり、表面の緑色、裏面の赤紫色の鮮やかなものを。
大きなものほど香りや味の特徴が出やすい
● 金時草の保存方法
水分の蒸散が激しいので、濡れ新聞にくるんで冷蔵庫で1週間程度。
葉っぱだけを食べるため、残った茎は、庭先の土にさしておくと、また若葉が出てきます。
あなたの家庭菜園でぜひお試し下さい。
![]() ■ 金時草の食べ方
■金時草のお浸し
香りとちょっと、ぬるっとした感触を楽しむ
◆葉と柔らかい軸をゆで汁が紫になるまで茹で、冷やして生姜酢醤油。
ポン酢や辛子醤油も良し。
冷酒によく合う。
◆茹でて冷凍しておくと持つ。 ◆メキシコ合衆国 ケサーダ大統領(2001年6月5日晩餐会)に前菜として、のり 菜浸しが出ているが、これがスイゼンジナ かどうかは不詳。
金時草は酢の物で食べるのが最も一般的です。
葉と若芽をとり、一つまみの塩を加えた多めの湯でサッと茹でます
(茹で過ぎないように。茹ですぎるとぬめりが失われ、風味を損ないます)
ザルにとり、冷水いれ、かるく手揉みします。
水気を搾り、器に盛る。
食べる寸前に、絞り汁をかけ、生姜酢醤油、ポン酢、辛子醤油などお好みの調味料でいただきます。
おさけにも酒によく合います。
■金時草と長芋の酢の物
たっぶりの湯に塩をひとつまみ入れ、葉を手早く茹で、氷水にとる。
軽く絞り、だし汁、薄口醤油、塩小さじ1/2を合わせたダシ汁に20分間程つけ、長芋の千切りと器に盛りつけ、生姜と三杯酢でいただく。
■金時草の天ぷら
葉の片側に天ぷら粉をつけてカラッと揚げます。
口中にとろりとした食感も味わえ、とてもおいしい。
大根おろし、おろし生姜などを薬味にした天つゆでどうぞ。
■金時草の和え物
何とでも和えることができますが、茹でたタコやイカが良いようです。
■金時草の煮物
煮物に金時草を加えます。
とろみが出てとてもおいしい。
金時草は、煮すぎないように注意。
■その他
味噌汁、スープ、炒飯、混ぜご飯などにも。
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