■ 野菜・果物と健康 (106)
「100歳になるまで
病気にならない
スーパー免疫力」
Dr.ジョエル・ファーマン著 白澤卓二訳
永岡書店日本文芸社刊 より その5
2章 あなたの「免疫力」が2倍にも3倍にも!
■ 老化に歯止めをかけ、
がんを80%も防ぐ
「スーパー免疫力」! の3
●このままでは危ない!
間違いだらけの「栄養常識」
私たちは、主要栄養素の割合を調節することで「健康的」な、つまり健康向上を促す食生活ができると理解しています。
たとえば脂肪摂取量を増やして炭水化物量を減らすとか、炭水化物を増やして脂肪を減らすといった発想です。
しかしこの考え方には問題があります。
食生活が健康促進にどれだけ貢献しているかということは、脂肪や炭水化物の量で決まるものではないのです。
たとえば脂肪の割合が全体の15%を占める食事をしていても、微量栄養素が足りている場合と足りていない場合とで違ってきますし、脂肪分40%の食生活でも同じことがいえます。
とても重要なポイントなので繰り返しますが、あなたの健康を左右するのは脂肪と炭水化物の割合ではありません。
多くの人が脂肪を悪者扱いし、からだを守る微量栄養素の効力を見逃しています。
そんな人たちが聞いたら驚くかもしれませんが、脂肪が含まれている食事のほうが、野菜の最も強力な微量栄養素がより多く体内に吸収されるということが、つい最近になって栄養学者によって発見されたのです。
つまり、脂肪そのものは悪者ではないのです。
とにかく重要なのは、植物由来の微量栄養素が足りないと人体の免疫機能は低下し、感染症やがんにかかりやすくなるということです。
今の私たちの食べ方、すなわち加工食品やパック入りの簡易食品ばかりを食べ、日常的に子供たちにファストフードを与えることを続けていると、この20〜30年で(あるいはもっとは約)若い女性の乳がん罹患率が急激に上がりはしないかと私は気がかりなのです。
野菜に含まれる免疫系をサポートする強力な微量栄養素が多く存在すること、それらが私たち自身や家族を守るすばらしい機会を与えてくれることを、みなさんと一緒に世に広めて生きたいものです。
◆ 免疫力を高める野菜の「王様」――緑黄色野菜
お話してきたとおり、微量栄養素とはカロリーを含みませんが、私たちが生き延びて長寿を実現するためになくてはならない栄養素です。
カロリーを含まないので、私たちに燃料あるいはエネルギーを供給することはありません。
それは主要栄養素の役割です。
一方、優れた栄養食のカギを握るのは、十分に微量栄養素を摂取し、そしてカロリーの過剰摂取を避けることです。
理想的な微量栄養素を摂るには、野菜をたっぷり食べなくてはなりません。
うれしいことに野菜はカロリーが比較的低いので、カロリーの摂りすぎを気にせずにたくさん摂ることができます。
野菜や果物、豆類などの自然の植物性食品を多くとっている人ほど病気にならないということが、栄養学者たちによって繰り返し証明されています。
では、どの野菜でも同程度の防衛効果をもたらしてくれるのでしょうか。
「スーパー免疫力」を得るための食事内容を考えるに当たり、最も効果が高いのはどんな食材か知りたいことでしょう。
それがわかれば、毎日そうした食品をたっぷり食べ、防衛作用のある成分で体を満たすことができます。
さて、健康効果がもっとも強力な食品とは?
一般的な食材に含まれる、免疫系を支える微量栄養素の量を集計し、食品のタイプごとに比べてみましょう。
栄養密度スコアを見ていただくとわかるように、免疫システムを作る微量栄養素となると、なんといっても緑黄色野菜が最強です。
こうした食材が心臓疾患やがん予防に深く関与していることもうなずけます。
206件以上に及ぶ疫学研究の報告に目を通した結果、生の緑色野菜を摂ることが、がんの減少と最も着実で強い因果関係を持つことがわかりました。
これは、胃がん、膵臓がん、大腸がん、乳がんの他、すべてのがんが含まれます。
あなたは青い野菜を何回食べているでしょうか。
◆ 「目のつけどころ」の問題
どこの保険機関も口をそろえて、食生活に健康的な果物や野菜をもっと取り入れましょうと言っています。
しかし私は賛同できません。
食に関してこうした考え方をしていたのでは、問題の本質がぼやけるからです。
予防効果のある野菜や果物、豆類、種子類、ナッツ類を、病気を起こしそうな今までの食生活に加えるのはダメで、こうした食品を食生活の中心にする必要があるのです。
この私独自の栄養素密度スコアは、一定のエネルギー量(カロリー)当たりに含まれる各食品の栄養素の量を検討したものです。
評価の対象にしたのは次の栄養素です。
カルシウム、カロテノイド(ベータカロテン、ルチン、ゼアキサンチン、リコピンを含む)、植物繊維、葉酸塩、グルコシノレート、マグネシウム、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ファイトステロール、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)、フラノボイド。
また、酸素ラジカル吸収能(略称ORAC)、の数値も採点対象にしました。
ORACは、食品中の抗酸化力あるいはラジカル消去能を表す数値です。
栄養性分量は通常、mg、mcg、IUといった単位で表されますが、私は単位の統一を図るため、それぞれの数値が1日当たりの推奨摂取量の何%に当たるかを換算しました。
1日当たりの推奨摂取量が出ていない栄養素に関しては、その成分に関する認識や研究報告に基づいて私が目標摂取量を定めましたまた、
抗血管新生作用(詳細は後ほど)があったり、有機スルフィド、アロマターゼ阻害剤、レスペラトロールを含む食材には追加得点を与えました。
逆にトランス脂肪酸や過剰な量の飽和脂肪、コレステロール、塩分を含んでいたり、生成/加工食品として添加物が加えられている食品には原点を課しました。
各栄養素の摂取摂取量または目標摂取量に対する割合に追加得点、減点をプラスマイナスし、最高得点が100になるよう全体に一定数値を掛けました。
こうして各食材を1〜100までの数値で判定できるようにしたのです。
いったん、この発想の転換を理解し、果物、野菜、豆類、ナッツ類を中心とした食生活を築いたならば、それ以外の食品を加えてもいいでしょう。
食品ピラミッドでは、最も多く摂取されるべき食品群が最下位に来ます。
昔からアメリカで使われてきた食品ピラミッド――大多数のアメリカ人にとって、この表が健康と栄養についての知識の減点になっているはず――は、栄養豊富な食品を一番下にしていません。
この栄光の座を、パンやシリアル、米、パスタといった食品群に譲っているのです。
これも、このままで多くのアメリカ人が肥満や予防可能な病気に悩まされている理由の一つです。
最も健康的で栄養素の多い食品が、食品ピラミッドの土台になるべきだと思いませんか?
健康的な食品をもっと摂り、不健康な食品を減らすべきだとは思いませんか?
私の食品ピラミッドは、国を挙げて健康になるために考案したものです。
これが取り入れられれば、年間何百人もの命が救われ、バカ高く不幸な医療危機(食習慣、交通事情により国民が不健康なことに加え、高額訴訟頻発のせいで医療費が日本の倍→保険料が高い→公的保険料が成立しない→無保険者、医療保険者、医療が受けられない人が多い、という米医療システムの実態を示す)に終止符を打てるでしょう。
優れた健康のためには栄養価の高い食べものをたくさんとり、高カロリーの食べ物を減らさなければならない。
これは避けようの菜い事実です。
このようなわけで、私のピラミッドは栄養価最も低く、めったに口にすべきものではない食品つまり、チップスやクッキーなどの加工食品が頂点に置かれ、一番下には微量栄養素に富んだ土台となるべき食品が据えられていられるのです。
アメリカ人の栄養状態を、ファーマン博士の「食品ピラミッド」で示されたような栄養密度に改めれば、私たちの健康と寿命は劇的に向上するでしょう。
何はともあれ、要は野菜、果物、豆類、種子類など栄養に富んだ自然の植物性食品を摂らなければいけないということです。
またそれと並行し、動物性の食品群や栄養価のまったくないもの、また明らかにからだに害になるものを控える、あるいは完全に避ける必要もあります。
砂糖、その他の甘味料、精白小麦粉、加工食品、精製油、ファストフードなどがこれに当たります。
◆ あなたの中にある「すばらしい免疫」機能
そろそろ食についての考えを改め、人体の驚くべき治癒能力、防衛作用を信じはじめるべきです。
重いウイルス性疾患の、唯一あるいは主な原因はウイルスそのものである、という認識を改めるときが来ています。
大体のケースにおいて、ウイルスの感染、保菌、ウイルスが病気や合併症を起こすことは発病の唯一の原因ではありませんし、主な原因ともいえません。
確かにウイルスに感染し、それが体内で増殖することがウイルス疾患の本質ではありますが、一つ見逃されがちな事実があります。
それは、栄養不良に起因する宿主の病気になりやすい体質があるから、ウイルスが危険性・感染力を高めるということです。
ウイルスは、健康で栄養状態のいい人に感染しても、たいていの場合、なんら害を及ぼすことはありません。
ウイルスに感染しやすかったり払いのけられなかったりするのは、それまでの食生活が直接的に影響しているのです。
栄養が不足していると、ウイルスに感染しやすくなるだけでなく病気の期間や重篤度も大きく影響されます。
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