■ 野菜・果物と健康 (147)
石原結實式
「野菜ジュース&スープが
病気を治す」
医学博士・石原結實 著 永岡書店
その1
プロローグ 多くの病気は自分で治せる
すべての病気・症状は「食べ過ぎ」と「冷え」が原因
プチ断食で病気を防ぐ
西洋医学では、病気や症状はそれぞれに原因があり、治療法があると考えられています。
確かに、なかには特別な要因で起こるものもありますが、ガンや生活習慣病、頭痛や発熱などよく起こる病気や症状は、「食べ過ぎ」と「冷え」による血液の汚れが原因で発症するものがほとんどです。
漢方では「すべての病気は血液の汚れが原因で起こる」と考えられています。
食べ過ぎで血液中に余剰物や老廃物が多くなると、血液や体内がドブ川のように汚れて病原菌が繁殖しやすくなります。
また、体が冷えて血流が悪くなると、血液中の栄養が約60兆個の細胞に十分に運ばれなくなり、代謝が落ちて種々の病気の要因を作ります。
体を動かさない現代人にとって、1日3食は食べ過ぎです。
石原式健康法は、朝はジュース、昼はそば、夜は好きなものを食べる「プチ断食」が必要です。
冷えからからだを温める野菜の力
体を温める陽性食品を積極的にとろう
プチ断食を行なうと食べ過ぎを予防することができます。
次は体を温めてあげましょう。
適度な運動、湯船につかる入浴など、体を温める方法はいくつかありますが、毎日の食生活に注意するだけで、体を温めることができます。
食べ物にはそれぞれに備わる性質があって、体を冷す「陰性食品」。体を温める「陽性食品」体を冷しも温めもしない「間性食品」があります。
体温が36.6度以上であれば、それほど気にする必要はありませんが、運動不足、食べ過ぎ、過度なストレスなど、現代は「冷える要素」がたくさんあって、冷えを感じている人が増えています。
そうした人は毎日の食事でとるものは、なるべく陽性食品を中心にとりましょう。
体を冷す陰性食品は加熱する、塩を加える、発酵させるなどして、陽性に傾けてとるようにしましょう。
食べ過ぎと冷えにプラスある府ファで起きる病気
こんな生活習慣が病気を招く
ほとんどの病気は食べ過ぎと冷えによる血液の汚れが原因といいましたが、もちろんそれだけではありません。
間違った水分のとりかた、運動不足なども病気を招きます。
食べ過ぎは血液の汚れを招き、がん、生活習慣病を引き起こします。
適度な水分は必要ですが、間違った水分のとり方(冷たい水を冷房の効いたところで飲む、汗をあまりかかないのにたくさん水を飲むなど)は、水毒症(体内の余分な水分を出そうとする体の反応。くしゃみ、鼻水、嘔吐、下痢など)を招き、アレルギー性疾患や頭痛、下痢などさまざまな症状を起こします。
そして、忘れてならないのが運動不足です。
人間は「動くもの(動物)」です。
動かないでいると、それだけで病気になりやすいと言っていいでしょう。
運動不足による下半身の筋肉の減少は、病気や老化を招く大きな要素です。
野菜の力を存分に引き出すジュース
ジュースでビタミンを効率よくとる
本書では、食生活の改善や運動、入浴、湿布などさまざまな病気や症状の対処法を紹介しています。
からだに冷えと食べ過ぎ、水分のとり過ぎ、運動不足がほとんどの病気の要因なのですから、対処法もある程度決まっています。
なかでも特におすすめしているのがジュースです。
プチ断食は朝のジュースから始まります。
また、病気や症状の予防&治療法でジュースを紹介しています。
これは野菜のもっている病気を治す力、からだに備わっている免疫力を高める力を効率よくとるためです。
野菜には免疫力を高めるビタミンをはじめ、それそれぞれの病気や症状に有効な成分が多く含まれています。
ただ、、それらは水に溶けやすかったり、熱に弱かったりするので、調理で失われやすいという特徴があります。
ジュースにすれば加熱する必要もなく、野菜や果物を丸ごと使うので、含まれている有効な成分を効率よくとることができるのです。
がん予防をはじめ病気予防の強い味方
万病に効く万能野菜@にんじん・りんご
にんじんとりんごは石原式健康法のベースとなる野菜と果物です。
プチ断食には「にんじん・りんごジュース」が欠かせません。
それぞれの病気や症状におすすめするジュースでも、ほとんどがこの2つを使っています。
毎日とってほしいもののひとつです。
どちらもからだを温める陽性食品です。
エネルギーのもととなる糖質や代謝に必要なビタミンを多く含んでいるので、1日の活動力の源となります。
また、夕食が遅くなりがちな人は、朝は胃腸を温めてあげたほうがいいでしょう。
疲れてもたれた胃は、ふつうの食事はかえって負担をかけますし、食べ過ぎのもとです。
朝食はジュースにして、食べ過ぎ予防を心がけましょう。
さらに、にんじんには人間に必要なビタミン、ミネラルがたっぷり含まれています。
毎日にんじんをとっていれば、医者いらずになるのは当たり前のことなのです
● ニンジン、りんごジュースのつくり方
@ にんじんとりんごをタワシで皮つきのまま洗う。
A にんじんの上とした、リンゴの芯をとり、適当な大きさに切る。
B ジューサーにかける。
C レモンはスクイザーでしぼる。
D BとCを合わせる。
E しぼりたてを飲む。
心身ともに元気にする
万病に効く万能野菜Aしょうが
にんじんりんごジュースとともに忘れてならないのが「しようがが紅茶」です。
しょうがは漢方では「生姜(しょうきょう)」と呼ばれ、生薬として用いられています。
しょうがには、体を温める、免疫力を高める、熱を下げる、痛みをしずめる、胃腸の調子をよくする、血栓(血のかたまり)ができるのを予防する、血圧を安定させる、利尿作用が強くむくみを解消する、コレステロールを低下させる、強い殺菌作用がある、風邪の症状を改善する、憂うつな気分を改善するなどさまざまな効用があります。
利尿作用やからだを温める作用が強い紅茶、黒砂糖(はちみつ)がいっしょになったしょうが紅茶は、万病予防の特効薬と言って過言ではありません。
すりおろしたしょうがを湯に混ぜ、黒砂糖やはちみつを加えた「しょうが湯」も、強力にからだを温め、しょうがの効能の恩恵を存分に受けることができます。
● しょうが紅茶のつくり方
@ しょうがウをタワシで洗う。
A すりおろす。
B ティーカップにティバックを入れてお湯を注ぐ。
C おろした生姜を加える。
D 黒砂糖かはちみつを加える。
E 熱いうちに飲む。
硫化アリルが病気予防に効く
万病に効く万能野菜Bねぎ類
ねぎ、たまねぎ、にんにく、にら、らっきょうなど、ユリかアリウム属の野菜は、血栓(血のかたまり)を予防してからだを温めるため、動脈硬化の進行を防ぎます。
これらの野菜を切ったときには、ツンとした刺激酒があります。
そのにおいのもとになるのが「硫化アリル」というイオウの化合物です。
硫化アリルには血管を拡張して血流をよくする、免疫力を高める、血栓を予防する、ビタミンB1の吸収を高めるなどさまざまな作用があり、生活習慣病予防の強い味方となります。
硫化アリルは切ったとき(細胞が壊れるとき)に変化するので、みじん切り、薄切りなど小さく切るほどより薬効が強くなると考えられています。
また、加熱調理してもビタミンのように失われません。
水に溶けやすいのでスープや汁物にしたときには、残さずに飲むようにしましょう。
老化予防、滋養強壮の妙薬
万病に効く万能野菜C山いも類
病気の要因に一つに運動不足や加齢による下半身の筋肉の減少を上げました。
これにとても有効なのが山いもです。
漢方に「似たものが治す」という「相似の理論」があります。
人間を植物に当てはめると、下半身はちょうど根の部分になります。
つまり、下半身を強くするには植物の根に当たる根菜類をとるといいと考えられています。
根菜類のなかでも、山いもは特に滋養強壮効果が強く、下半身を強くして病気予防、老化よ亡に効果を発揮します。
中でも山に自生している「自然薯」は、漢方薬の八味地黄丸の主成分で、足腰の冷え、むくみ、頻尿、インポテンツ、骨粗しょう症、老眼、白内障など老化による症状や病気に対する妙薬として用いられています。
自然薯は手に入れにくいので、長芋で代用するとよいでしょう。
ジュースを飲むとからだが冷えてしまうという人には
冷え症の人にはスープがおすすめ
野菜や果物の栄養が効率よくとれるジュースですが、冷え性の人には飲みにくい、飲むとからだが冷えるという方もいらっしゃいます。
夏場であればジュースを作る前に、にんじんやりんごなど野菜や果物を冷蔵庫から出して常温に戻しておくと、冷え性の人にも無理なく飲めるのではないでしょうか。
また、にんじんやりんごなどからだを温める陽性食品を使ったジュースであれば、冷える心配はそれほどありません。
青野菜や南方の果物などを使っているものは、冷え性の人はとり過ぎに注意しましょう。
冬場のジュースかはつらいという方にはスープをおすすめします、
加熱しているのでジュースに比べるとビタミンは少し減っていますが、溶け出したビタミンやミネラルをスープと一緒に飲むので、ほかの加熱調理に比べると効率よくとることができます。
|
||||||