■ 野菜・果物と健康 (154)
 
石原結實 著    永岡書店
「石原結實式 野菜ジュース&スープが
病気を治す」        その8
 
第3章 症状に効く野菜ジュース&スープ の2
 
 
 
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血行不良や便秘が痔の要因であり悪化の原因
 
■ どんな症状?
肛門周辺の血行が悪く、血液が滞っているために肛門周辺が切れて出血したり(切痔)、直腸の一部が肛門の外に出たり(脱肛)、イボのようなものができている(イボ痔)状態です。
排便するときに痛みがあったり、出血したりします。
便秘がちな人に起こりやすい上に、痛みや出血があるため、排便がしにくくなり、さらに便秘を招くという悪循環に陥りやすくなります。
 
■ 原因は?
肛門周辺の静脈の血行不良が原因です。
妊娠、便秘、座っている時間が長い、過度な飲酒などが影響して起こることが多いようです。
ほかに、血液中のコレステロールや中性脂肪、フィブリン(血液の凝固因子)などが過剰になり、血液が流れにくくなって、血のかたまり(静脈瘤)ができて起こることも多いようです。
 
■ こんな人は注意
便秘している人、妊娠している人、食べ過ぎたりからだが冷えていて血行が悪い人がなりやすいので注意しましょう。
 
■ 予防&治療法
便秘を浴することが第一です。
便秘の改善に勤めましょう。
食べ過ぎ、の見すぎを控え、からだを温めて決行をよくし、血液を浄化することも大切です。
@大根や春菊の葉はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、胃腸の働きを促進して便秘改善に効く。
血液を浄化するクロロフイルを含むので痔の解消におすすめ。
A生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、ほうれん草200g
B緩下作用があり、便秘解消に効くいちじく、ぶどうを旬の時期には大いに食べる。
C便にんにく風呂(にんにく1個を刻んで布袋に入れ湯船につける)に入ると強力な血行促進作用がある。
血行不良の症状である痔の改善に効果がある。
 
 
■ 痔に効く食べ物
・大根の葉・春菊・いちじく・ぶどう
 
■ 血行をよくする大根の葉と春菊
大根の葉と春菊のジュース
材料(350ml分)
・大根の葉・・・100g  ・春菊・・・200g
・りんご・・・1個(約250g)  ・レモン・・・1/2
作り方
@春菊は洗って葉を摘み、まとめておく。
大根の葉はよく洗ってまとめておく。
りんごは適当な大きさに切る。
レモンは果汁をしぼる。
A春菊、大根の葉、りんごをジューサーにかけ、レモン果汁を加えてよく混ぜる。
 
 
■ 便秘改善に効くいちじくを活用
いちじく・ぶどうのジュース
材料(約250ml分)
・いちじく(完熟・生)・・・2個(約100g)  ・ぶどう・・・250g  ・レモン・・・1/2個
作り方
@いちじくは皮をむく。
ぶどうは枝から外して塩をまぶし、やさしく流水で洗う。
レモンは果汁をしぼる。
Aいちじくとぶどうをジューサーにかけ、レモン果汁を加えてよく混ぜる。
 
 
 
● 更年期障害
下半身の冷えが女性特有の不調を招く
 
■ どんな症状?
肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、不安感、不眠、発汗、上半身ののぼせやほてりなど、50歳前後の閉経を迎える頃に現れる、さまざまな不定愁訴を総称して「更年期障害」と呼びます。
人によって症状や程度が異なり、それほどひどくない人もいれば、寝込むほどつらいと感じる人もいます。
 
■ 原因は?
更年期障害を始め、生理通、生理不順など、女性特有の不快な症状は、西洋医学では女性ホルモンの異常が原因と考えられています。
東洋医学ではこれらはすべて下半身の冷えが原因といわれています。
女性の腹部を触診(診察するとき手のひらでさわって診察すること)すると、おへそから下が冷えきっている人が多いことに驚きます。
下腹部には子宮や卵巣など女性に大切な臓器が集まっていて、ここが冷えて機能が低下すると女性ホルモンの分泌が悪くなり、ホルモンのバランスが乱れます。
 
■ こんな人は注意
動悸がする、息苦しさを感じる、肩こりがひどい、発汗が多い、顔が赤らみ、発疹がある。
また、吐き気、せき、イライラしやすい、不安感が多い、眠れない、焦燥感があるといった人は更年期障害が疑われます。
 
■ 予防&治療法
とにかく下腹部の血行をよくしてあげましょう。
@セロリ、パセリ、にんじん、せり、あしたばなどセリ科の植物をしっかり食べる。
血行をよくして改善する作用がある。
A生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、セロリ100g
B女性ホルモンと似たような作用のある大豆フラボンを含み、体を温める黒豆、小豆を黒砂糖で煮て食べる。
C女性生殖器の機能をよくするアルギニンを含むごぼうを食べる。
D腹巻をして下腹部を温める。
半身浴、足浴などで下半身を温める。
 
 
■ 更年期に効く食べ物
・にら・大根の葉・セロリ・ごぼう
 
■ 炎症をしずめるセロリを使って
セロリ・大根・りんごのジュース
材料(300ml分)
・セロリ・・・100g  ・大根の葉・・・200g
・りんご・・・1個(約250g)  ・レモン・・・1/2個
作り方
@セロリとりんごは適当な大きさに切る。
大根の葉は水につけてよく洗い、水気をきってまとめておく。
レモンは果汁をしぼる。
Aセロリ、りんご、大根の葉をジューサーにかけ、レモン果汁を加えてよく混ぜる。
 
 
■ 体を温めて全身の血行をよくする
にらとごぼうのスープ
材料(約2人分)
・にら・・・50g  ・ごぼう・・・150g
A=・水・・・400ml  しょうが(薄切り)・・・4枚
・鶏がらスープの素・・・大さじ1/4
・酒・・・小さじ1  ・塩・こしょう・・・各少々
作り方
@ごぼうは笹がきにして酢水に晒す。
にらはBcm長さに切る。
A鍋にごぼう、Aを入れて火にかけ、沸騰したらアクを取り除き、酒を加えて弱火にし、ごぼうがやわらかくなるまで煮る。
Bにらを加え、塩、こしょうで味を調える。
 
 
 
● 前立腺肥大・精力減退
下半身の衰えが前立腺や精力に影響を与える
 
■ どんな症状?
加齢とともに精力が衰えるのは自然なことではありますが、下半身を鍛える、下半身を強化するものを食べるなど、衰えにくくすることは可能です。
また、下半身を鍛えることは老化予防にも効果的です。
前立腺は男性の生殖器にひとつで、精液をつくる臓器です。
加齢をはじめ、さまざまな要因でこれが肥大することを前立腺肥大といいます。
痛みや腫れなど自覚症状はありません。
 
■ 原因は?
漢方では陰茎は「第3の足」と呼ばれます。
そのため、こうした病気は下半身の衰えが要因と考えられています。
精力減退の薬としてバイアグラがよく知られていますが、この薬は血管を拡張して陰茎への血流をよくして勃起力を高めます。
よって、ウォーキングやスクワットで下半身をきたえ、血流をよくすれば症状の改善につながるのです。
 
■ こんな人は注意
下半身の筋肉が落ちてきた、尿の勢いがなくなってきた人は要注意です。
長時間運転する、事務職で座っていることが多いなど、前立腺を圧迫する姿勢を長時間続けていると前立腺肥大になりやすい傾向があります。
 
■ 予防&治療法
下半身を鍛えて血流をよくしましょう。
下半身を強くする根菜類、特に山いもがおすすめです。
にら、ねぎ、玉ねぎなどアリウム属の野菜には興奮、催淫作用があることがわかっています。
@とろろそばやとろろごはんで山いもをたくさん食べる。
A体を温めて血流を浴する黒ごま、黒酢を毎日少しずつ食べる。
B精液をつくるもととなり、セックスミネラルと呼ばれる亜鉛を多く含む牡蠣を適度に食べる。
C亜鉛を含むしょうがや紅茶しょうが湯を毎日飲む。
D生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、セロリ100g
Dスクワットやウォーキングで下半身をきたえる。
 
 
■ 前立腺肥大・精力減退に効く食べ物
・山芋・黒ごま・牡蠣
 
■ 老化予防の3大食材をスープに
山いもと黒ごまと牡蠣のスープ
材料(2人分)
・山いも・・・150g  ・黒ごま・・・大さじ2  ・牡蠣・・・300g
A=昆布だし・・・400ml  ・しょうが(薄切り)・・・6枚
・酒・・・大さじ1  ・塩・・・少々
作り方
@山いもは皮をむいてたたく。
黒ごまは炒ってする。
牡蠣は塩でもみ、流水で洗う。
A鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したら黒ごま、牡蠣、酒を加える。
B再び沸騰したらアクをとり、山いもを加えて3分ほどにて、塩で味を調える。
 
 
■ からだを温める老化予防ジュース
セロリ・にんじん・りんごのスープ
材料(約400ml分)
・セロリ・・・100g  ・にんじん・・・中1本(約150g)
・りんご・・・1個(約250g)  ・レモン・・・1/2個
作り方
@セロリ・にんじん・りんごは適当な大きさに切る。
Aレモンは果汁をしぼる。
Bセロリ・にんじん・りんごをジューサーにかけ、レモン果汁を加えてよく混ぜる。
 
 
 
● 脱毛・白髪
ストレスが原因で現れる。老化現象の一つ
 
■ どんな症状?
強いストレスが長時間続くと、白髪が増えたり、一部の髪が抜け落ちる円形脱毛症が起こることがあります。
西洋医学ではストレスにより、副腎からアドレナリンが分泌され、血管が収縮して毛根に十分な血液が送られなくなって起こると考えられています。
 
■ 原因は?
漢方では髪のことを「余血」と言います。
動脈硬化やからだが冷えることで頭部への血流が滞ると毛根への血流が滞り、栄養が不足して髪の毛が抜けたり、白髪になりやすくなります。
肉類、卵、牛乳、バターなど脂肪が多く動脈硬化を促進するものをたくさん食べている西欧人に、髪が薄い人が多いのもうなずけます。
 
■ こんな人は注意
肉や卵など脂肪が多い欧米食中心の食生活を送っている人は要注意です。
遺伝ももちろん影響します。
 
■ 予防&治療法
脱毛予防には新陳代謝を高め、老化予防に作用する甲状腺ホルモンの原料になるヨードを含む海草類がおすすめです。
海草は黒く、髪の毛に似ています。
漢方には「似たものを食べるとよい」という相似の理論があるので、その点でもおすすめです。
同様に白髪予防にも黒い食べものがおすすめです。
海藻をはじめ、黒ごま、黒豆など黒いものを食べましょう。
 
@海藻類をたくさん食べる。
A生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
ピーマンには髪の毛が作られるのに必要なケイ素が多く含まれている。
材料】にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、ピーマン100g
B黒まめ、黒ごま、ノリ、小豆、黒砂糖、乾燥プルーン、赤ワインなど黒っぽいものを心がけて食べる。
C半身浴で下半身の血流をよくして全身の血流、さらに頭部への血流を促す。
Dウォーキングで全身の血行をよくする。老化防止にも効果がある。
 
 
■ 脱毛・白髪に効く食べ物
・脱毛→きゅうり・ピーマン
・白髪→黒ごま
 
■ 脱毛に効くピーマンを使って
きゅうり・ピーマン・りんごのジュース(脱毛予防)
材料(200ml)
・きゅうり・・・1本(役00g)  ・ピーマン・・・2個  ・りんご・・・小1個(約1500g)
作り方
@きゅうり・ピーマン・りんごは適当な大きさに切る。
A@をジューサーにかける。
 
 
■ 白髪予防には黒い食べものを
黒ごまのスープ(白髪予防)
材料(2人分)
・黒ごま・・・大さじ2  ・しょうが・・・20g
A=・湯・・・400ml  ・黒砂糖・・・大さじ2
・水・・・50ml  ・くず粉・・・大さじ1
作り方
@黒ごまは軽き炒り、よくする。
しょうがはよく洗ってすりおろす。
A鍋にAと黒ごまを加えて火にかけ、よく混ぜて黒砂糖を溶かす。
BAに分量の水で説いたくず粉を加え、とろみがつくまでよくかき混ぜ、しょうがを加えてひと煮する。
 
 
 
● ファイトケミカルが病気に効く
 
野菜や果物には体内の代謝をスムーズにして、エネルギーを効率よく作り出すビタミン、ミネラルが含まれていますが、それだけではありません。
 
最近、注目されているのが野菜や果物に含まれるファイトケミカルです。
ファイトケミカルとは、植物が紫外線や害虫などの外敵から身を守るためにつくりだした、苦味、渋味などのもとになる物質です。
色や香りのもととなる成分も含まれます。
 
これらは抗酸化作用が強いものが多く、免疫力アップ、動脈硬化予防、がん予防などさまざまな健康効果があり、病気予防の強い味方として注目されています。
 
ファイトケミカルは一種類だけとるよりも、複数の野菜や果物からまんべんなくとったほうが効率よく作用します。
加熱に弱かったり、水によけやすかったりするので、ジュースでとるのが理想です。
冷えがひどい人はスープでとりましょう。