■ 野菜・果物と健康 (26 )
 
石原結實著 ナツメ社出版  薬になる凄い野菜!!
石原結實の病気を治す「野菜力」 より その8
 
■ 健康への道は“出す”が基本 (4)
 
● 胃腸の具合を整える
◆ 便秘、痔
便秘の原因の多くは、冷えによって大腸の機能が低下することです。
便秘になると、余分なコレステロールや滞った内容物から産出された老廃物が、血液へ吸収されます。
そのため、脂質異常症(高脂血症)や動脈硬化、肥満、吹き出物、肌荒れの原因にもなります。
痔は、?血の症状の1つで、肛門付近にある静脈の血流が滞るために起こります。
 
便秘対策には、大腸を温めることや血行をよくすること、食物繊維が豊富な食べ物をとることが大切です。
便秘が改善されれば、痔の改善にもつながります。
 
● おすすめ野菜
腸を温め、食物繊維を補う野菜をとる。
胃腸の働きを活発にするものもよい。
陽性・・・ニンジン
間性・・・リンゴ、アズキ、サツマイモ、クルミ、ホウレンソウ
陰性・・・アロエ、パイナップル
 
● リンゴ
腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖や食物繊維が、胃腸の働きを整える。
?ニンジン・リンゴ・ホウレンソウのジュース
ニンジン2本、リンゴ1個、ホウレンソウ1把をジューサーにかけて飲む。
ホウレンソウをアロエ1枚に替えてもよい。
 
==これもおススメ==
?アロエの煎じ汁
アロエ5〜6枚を水洗いし、薄切りにする。
なべにアロエと水カップ1〜2を入れて煮込み、
水が半量になったら火を止める。
1日3回に分けて飲む。
ハチミツを適量加えてもよい。
 
● リンゴの力
ペクチンという食物繊維が豊富です。
下痢や便秘を改善し、腸内環境を整えます。
また、酸味の成分であるクエン酸などの有機酸が、疲労回復に役立ちます。
*食べるときのポイント
ペクチンは果肉より皮に多く含まれているので、皮ごと食べるのがベスト。
 
 
◆ 腹痛、下痢
一言で腹痛といっても、原因は千差万別です。
急性中耳炎(いわゆる“盲腸”)、腹膜炎、急性膵炎など、急を要する病気の場合は医療機関を受信するのが先決。
しかし、特に病気が見つからないのに慢性的に腹痛が続く場合は、冷えやおなかにたまったガスが原因の可能性があります。
 
下痢は「水毒」の症状の1つで、体内の余分な水分を捨てて体を温めようとして起こります。
ただし、肝臓や膵臓の病気、腸炎などの病気が原因となることもあります。
発熱や嘔吐を伴う場合は、必ず医師の診察を受けてください。
 
冷えや水毒が原因の腹痛や下痢の対処法は、水分摂取を控え、汗や尿で水分を排出することです。
腹巻やショウガ湿布などで、おなかを温めるのもよいでしょう。
 
● おすすめ野菜
水分を出すために発汗・利尿作用のある野菜や
冷えをとって体を温める野菜がよい。
陽性・・・ウメボシ、ショウガ、ニンジン、ネギ、レンコン、ニラ、ニンニク
間性・・・リンゴ、
 
● ウメボシ
要請の食べ物で、体を温めて水分を出す。
梅醤番茶(ばいしょうばんちゃ)
@ウメボシをほぐす
梅干の種をとり、ゆのみ茶碗に入れて果肉をよくつぶす。
醤油小さじ1〜3を加え、よく練る。
Aショウガ汁を加える
ショウガ1片をすりおろし、絞った汁を加える。
熱い番茶をゆのみ茶碗一杯に入れて、かき混ぜる。
1日1〜2回飲む。
 
==こんな使い方もススメ==
ショウガ風呂
血行をよくして体を温めます
ショウガ1片をすりおろす。
布袋に入れ、口を縛る。
湯船に入れて入浴する。
 
==これもおススメ==
塩風呂
塩を一掴み湯船に入れて入浴する。
塩には体を温める作用がある。
 
 
◆ 胸焼け、胃もたれ
胸焼けとは、おなかから胸の奥にかけて、焼けるような不快感があり、げっぷやすっぱい水分が出る症状です。
強酸性の胃液が食道を逆流するために起こります。
一方食後にいつまでも胃が重苦しく感じられるのが胃もたれです。
消化液が不十分なために起こります。
 
胸焼けや胃もたれの原因の多くは過食です。
胃を休ませるためには、「プチ断食」がおすすめです。
プチ断食をすると、老廃物や余剰物の排出機能も高まります。
またアルカリ性の食物をとり、胃を温めて働きをよくしましょう。
 
ただし、胸焼けや胃もたれが長く続く場合は、病気が隠れている可能性もあります。
例えば胸焼けの場合は、胃・十二指腸潰瘍や急性胃炎、胆のう炎が、
胃もたれの場合は胃アトニーなどが考えられます。医師の診察を受けましょう。
 
● おすすめ野菜
野菜や海藻類など、アルカリ性食品をとる。
胃を温めて働きをよくするものがおすすめ。
間性・・・海藻類、ジャガイモ、ダイコン、カブ、キンカン
陰性・・・キウイ
 
● 海藻類
アルカリ性食品の代表ともいえる。
食物繊維が多く、老廃物の排泄や解毒力が強い。
コンブの焼き物
コンブ1枚を網で、焦がさないように焼く。
1日3回食べる。
 
● ジャガイモ
胃腸の炎症を抑え、粘膜の保護や再生を促進する。
殺菌作用もあり、潰瘍にもよい。
ジャガイモ汁
ジャガイモを洗い、芽をとって皮をむく。
ジャガイモをすりおろし、ガーゼで絞って汁を集める。
1日2回、大さじ1〜2ずつ空腹時に飲む
 
● 海藻類の力
ヨウ素(ヨード)というミネラルが豊富です。
血行を促し、血圧を下げて血管や細胞の老化を予防します。
独特のぬめり成分は、食物繊維のアルギン酸とフコイダン。
排出力と解毒力に優れ、余分なコレステロールやナトリウム、糖を出すのに役立ちます。
またビタミンA・B群、カルシウム、鉄は野菜よりも豊富です。
東洋医学では、血流や水分代謝をよくする、しこりを柔らかくする作用があるとしています。
陽性体質にはワカメやノリ、陰性体質にはヒジキやコンブがおすすめ。
 
 
◆ 二日酔い
二日酔いは、西洋医学ではアルコールによるものとしていますが、東洋医学では「水毒」の症状であると考えています。
例えば、ビールの約93%、日本酒の約86%は水分です。
お酒を飲むことで体内に余分な水分が入ってきたために、体が冷えて頭痛や腹痛などの痛みが起こります。
そこで嘔吐や下痢、頻尿によって水を捨て、体を温めようとします。
これが二日酔いのときに起こる一連の症状です。
 
飲酒で上昇する肝機能数値の1つ「γ−GTP」は、アルコールを全く飲まない人でも上がることがあります。
それはお茶や水など水分をやたらととる人です。
つまり水毒によるものと考えれば説明がつきます。
 
したがって発汗や利尿を促して胃を温めることが、二日酔いの特効薬となります。
 
● おすすめ野菜
胃を温めて動きをよくする野菜や、水を吸収して利尿作用のある野菜を取る。
陽性・・・ウメボシ、ショウガ、レンコン
間性・・・ダイコン、ハクサイ、サツマイモ、シソ
陰性・・・カキ
 
● ウメボシ
「三毒(食べ物、水、血の毒)を絶つ」といわれ、消化を促進する。。
乗り物酔いにもよい。
ウメボシの煎じ汁
ウメボシ1個と水カップ2をなべに入れて煮る。
水が半量になったら火をとめ、コップに移す。
少し冷えたらウメボシごと飲む
 
● ウメボシの力
クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、ピクリン酸などの有機酸が豊富に含まれています。
消化促進や疲労回復、腐敗予防におすすめ。
また、老化防止やがん抑制の作用も期待できます。
そのほか、カロテン、ビタミンB1、B2、Cも含まれています。
 
● ショウガ
血行をよくして体を温め、余分な水分を出す。
酢ショウガ湯
@ショウガを酢漬けにする
ショウガ1片を2mm程度の厚さに切る。
広口ビンに、たっぷりの酢とショウガを入れる。
2〜3日漬け込む。
Aハチミツを加えて
@のショウガを、2〜3枚カップに入れる。
ハチミツを好みの量加え、熱湯を注ぐ。
よくかき混ぜて、温かいうちに飲む。
 
● ハクサイ
お酒の毒を消す働きがある。
芯の部分に利尿作用のあるカリウムが多く含まれている
ニンジン・リンゴ・ハクサイのジュース
ニンジン2本、リンゴ1個、ハクサイ2枚を授サーにかけてゆっくり飲む。
 
● ハクサイの力
カリウムが豊富です。
特に芯の部分に多く含まれ、胎内の余分な水分を出すのに役立ちます。
ビタミンCやカルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも多く含まれています。
食物繊維が豊富で、胃腸の余分な熱を冷まして便通をよくする作用があります。
*食べるときのポイント
糠漬けやキムチなどの漬物にすると、乳酸菌の働きで整腸作用がアップします。
 
● ダイコン
酵素が消化を促進し、胃腸の働きを整える。
利尿作用や肝臓の働きを助ける作用もある。
ダイコンのショウガおろし
ダイコンの首をすり下ろし、絞って汁を集める。
ショウガ1片をすりおろし、絞った汁を混ぜる。
ハチミツを適量混ぜて飲む。
ニンジン・リンゴ・ダイコンのジュース
ニンジン2本、リンゴ1個、ダイコン2cmをジューサーにかけて飲む。
ダイコンをキュウリ1本に替えてもよい。
 
● カキの力
カキの渋みはタンニンというポリフェノールです。
タンニンにはアルコール分解酵素があるので、二日酔い防止や酔い覚ましによい。
そのほかビタミンCが豊富で、カロテンや食物繊維も含まれています。
 
また、葉は、実以上にビタミンCが豊富です。
煎じて飲むと高血圧、動脈硬化、痔の出血によいといわれています。
 
干し柿にすると体を冷やす作用がなくなるので、陰性体質の人も食べられます。
食物繊維やカロテンの量がアップし、体力を補ったり、胃腸を丈夫にするなどの働きがあります。