■ 野菜・果物と健康 (53)
 
官報・薬膳料理研究家 池田好子著   家の光協会出版
『野菜がからだに効く!』  より その 10
この食べ方が自然治癒力を高める
 
 
● 緑黄色野菜が肝臓に効く
 
(21) ブロッコリー
別名 意太利花菜=いたりかさい
 
和名は「木立花野菜(こだちはなやさい)」です。
イタリアカンランともいわれますが、普及し始めたのは40年位前からです。
中国でも、発生地がイタリア方面ということから、「意太利花菜」と呼んでいます
 
老化防止作用、抗ガン作用があり、免疫力を高めるとして世界的に注目されています。
 
ブロッコリーにはベータカロテン、ビタミンC・E、ホルモンの活動を助けるインドール化合物、活性酸素を阻害し、発ガン物質を抑制するイオウ化合物、抗アレルギー作用のあるアルファリノリン酸、血糖値を下げる働きのあるフロム、乳ガンの軽減に役立つルテインなど、実にさまざまな栄養成分がバランスよく含まれています。
 
中でもホルモンを調整する働きが大きく、女性の乳ガン発生率を下げ、閉経期以降に起こる骨粗しょう症にも効力を発揮するありがたい野菜です。
 
 
■主な食品成分(100g中)
・ビタミンA 130μg ・ビタミンB1 0.14mg ・ビタミンB2 0.20mg
・ビタミンC 120mg ・ビタミンE 2.5mg ・カルシウム 38mg
・鉄 1.0mg ・食物繊維 4.4g
 
 
●ブロッコリーの効用
@ビタミンCが豊富に含まれています。
抗酸化作用でしみや肌荒れ、ボケを防止し、アンチエイジング効果があります。
A鉄分が多く含まれるので、貧血を解消し、メラニン色素の沈着を抑制するはたらきをします。
B「食べる保健薬」ともいわれ、超高齢化の時代を自力で生活できるための質のよい食べものです。
 
 
●ブロッコリーの効果的な食べ方
・ 日本では茎の太い部分を捨ててしまう人も多いようですが、外国では『イタリアンアスパラガス』といわれ食べられています。
ゆでてもビタミンA・Cが残るので、茎まで食べるようにしましょう。
・ ここで紹介するのは非常に簡単な料理ですが、栄養価が高いものです。
 
 
●ブロッコリーのオイスターソースかけ
(ブロッコリー+オイスターソース)
【材料】(4人分)
ブロッコリー・・・大1束  オイスターソース・・・大さじ3
水とき片栗粉・・・大さじ3  スープ・・・適量
A=酒・・・大さじ2  砂糖・・・小さじ1  しょうゆ・こしょう・・・各少々
塩・ごま油・・・適量
【作り方】
@塩を入れた熱湯に小房に分けたブロッコリーを入れ、茎も一緒にサッとゆでる。
A中華なべで@を焼き、ごま油を少々入れる。
Bオイスタソースとスープを入れて熱くする。
CAで調味し、水とき片栗粉をまわしいれる。。
 
■効能・・・疲労回復、骨粗しょう症予防
肉に含まれる硫化アリルが肉のビタミンB1の吸収を高め、疲労回復役立つ。
もやしと肉を加えることにより、水分代謝を活発にし、夏バテの予防にもなります。
にらのベータカロテンともやしのビタミンCで肌荒れの防止にもなります。
 
 
●ブロッコリー その他の利用法
■食欲増進に
茎はスバ下ティと炒めても美しい取り合わせで食欲をそそります。
■老化の防止に
マグネシウムを含む桜えびとブロッコリー、マッシュポテト、チーズをまぜ、グラタン風にすると、ボリュームもあり栄養満点です。
 
 
 
(22) ほうれんそう (別名 菠薐草=はりょうそう
 
インドから始まった仏教は、西域と東洋に分かれましたが、「ほうれん」という言葉は現在のイランあたりから伝えられたといわれています。
 
戦後、漫画やテレビでポパイがほうれん草の缶詰を食べたとたん、元気もりもりになり、それを見た子供たちが進んで食べるようになったことは有名です。
すばらしい栄養素をもったほうれん草は緑黄色野菜の代表格です。
 
中国の唐代の古典書には「五臓の働きをよくし、腸を通じ、胃熱を解し、酒毒を消し、のどの渇きを止める」と記されています。
とくに肝臓、膵臓の働きを強め、血脈に働き消化を活発にし、血流を増やします。
 
鉄分、ビタミンA、カルシウムなどがバランスよく含まれ、補欠、造血、止血、骨形成、食欲増進などの効果があり、成長期の子供にはぜひ食べさせたい食材です。
 
 
■主な食品成分(100g中)
・ビタミンA 700μg ・ビタミンB1 0.11mg ・ビタミンB2 0.20mg
・ビタミンC 35mg ・ビタミンE 2.1mg ・カルシウム 49mg
・鉄 2.0mg ・食物繊維 2.8g
 
 
●ほうれんそうの効用
@動物性のタンパク質に組成の似ているリジン、トリプトファン、シスチンなどを含有し、これらが疲れ目、視力低下、眼球乾燥、毛髪乾燥、老化などの防止、美肌作用を促し、白内障の予防も期待できます。
ホルモン分泌や妊婦にもよい効果があります。
AビタミンCとベータカロテンが多いので、相乗効果でガン、かぜの予防に、また胃腸を浄化し、再生のはたらきをします。
 
 
●ほうれんそうの効果的な食べ方
・ シュウ酸が多いほうれんそうには、一つ欠点があります。
多量に含まれるカルシウムとシュウ酸が合体するとシュウ酸カルシウムとなり、尿路結石を作ることです。
呼吸系を刺激し、けいれんや虚脱などを起こす物質なので、調理するときはサッとゆで、30分ほど流水にさらしましょう。シュウ酸が抜けて、甘味を感じるようになります。
・ 私の料理の定番である枸杞子(くこし)とほうれんそうの料理を紹介します。。
 
 
●枸杞子とほうれんそう炒め
(ほうれんそう+枸杞子)
【材料】(4人分)
ほうれんそう・・・1束  枸杞子・・・50g  オリーブ油・・・大さじ2
塩・こしょう・・・少々  黄酒・・・少々
【作り方】
@ほうれん草を十字に包丁を入れ、サッと熱湯に通し、あく抜きして5〜6cmに切る。
A枸杞子にサッと熱湯をかけ、酒に浸しておく。
Bなべに油を入れ、@Aの順に強火で炒める。
C塩、こしょう、黄酒をふりかけ、香りを出す。
 
■効能・・・疲労回復、骨粗しょう症予防
肉に含まれる硫化アリルが肉のビタミンB1の吸収を高め、疲労回復役立つ。
もやしと肉を加えることにより、水分代謝を活発にし、夏バテの予防にもなります。
にらのベータカロテンともやしのビタミンCで肌荒れの防止にもなります。
 
 
●ほうれんそう その他の利用法
■食欲不振やかぜで熱のあるときに
ゆでてよくあく抜きしたほうれんそうとリンゴを合わせジュースにします。
朝夕飲用します。
■近視、老眼、視力回復に
ゆでてあく抜きしたほうれんそうとにんじんを合わせジュースにします。
毎日コップに1杯飲みます。
ほうれんそうと枸杞子のジュースも効果があります。
 
 
 
(23) みつば (別名 三葉芹=みつばせり
 
3枚の葉になっているので「みつば」と名づけられたのですが、せりの仲間で、川近くのやぶの中などにも自生しています。
 
日本古来のハーブで、芳香作用が高く、春に起こりやすいイライラ感、のぼせ感などを和らげ神経を鎮める作用のあるクリプトテーネン、ミツバエンを含んでいます。
 
そのほかにもビネン、リモネン、ミルセンなどの豊富な香り成分が含まれています。
ストレスや不眠の解消に効力を発揮します。
量は食べなくても食欲を増し、胃もたれにも良いものです。
 
ビタミンAが豊富で、目や皮膚の粘膜を保護し、視力低下を防ぎます。
栄養源のある緑黄色野菜としては見落とされがちなみつばですが、さまざまな香り成分が、冬の間の活動を控えていた体を目覚めさせてくれるので、クレソンなどとともに春の香味野菜として食べたいものです。
 
 
■主な食品成分(100g中)
・ビタミンA 590μg ・ビタミンC 21mg ・カルシウム 55mg
・カリウム 580mg
 
 
●みつばの効用
@みつばに含まれるカリウムは、体液の浸透圧維持や筋肉の収縮に関わり、高血圧の改善にも役立ちます。
Aカルシウムはほうれんそうに匹敵する含有量です。
ストレス、不眠、イライラなどによる頭痛を和らげます。
血圧降下にも効果的です。
 
 
●みつばの効果的な食べ方
・ 切りみつば、糸みつば、根みつばなどいろいろありますが、細いものは吸い物などに使い、野菜としては青々と大きく茂った感じのものをおひたしや和え物に使います。
・ 私は、根のついた香味野菜を買って、調理に使ったあとの根を庭に植えていますが、毎年春になると芽が出て立派な野菜になるので重宝しています。
・ 茎の部分の青々としているものをかき揚げにしてみましょう。
 
●根みつばと桜エビのかき揚げ
(みつば+桜エビ)
【材料】(4人分)
根みつば・・・1束  桜エビ・・・50g  天ぷら粉・・・2カップ
卵・・・1個  塩・・・少々  オリーブ油・・・適量
【作り方】
@根みつばの根元を切り落とし、5cmくらいにカットする。
A天ぷら粉に卵を割って塩を少々入れてまぜる。
BAの中に桜エビと@を加えてまぜ合わせる。
Cなべにオリーブ油を入れて熱し、Bを少しずつ入れ、天ぷらにする。
 
■効能・・・ストレス解消
みつばも桜エビも繊維が多く、カルシウムが豊富で神経を鎮め、精神安定作用があります。。
 
 
●みつば その他の利用法
■かぜ予防に
みつばをみじん切りにし、ショウガ汁を入れて熱湯をさして服用すると、かぜ予防になります。
■薬味として
吸い口、茶碗蒸し、丼もの、天ぷら、お浸し、わさび和えなど。
 
 
 
(24) レタス (別名 ちしゃ  萵苣=うきょ
 
レタスは、和名を「チシャ」といいます。
血球になっている「玉ちしゃ「、血球しない「かきチシャ」、茎を食べる「茎ちしゃ」などがあり、サラダ菜やサニーレタスなども同じ仲間です。
焼肉などを包んで食べるサンチュウ、肉や魚介、野菜を炒め包んで食べる中国のウオチュイも仲間です
 
レタスは生で食べることが多いようですが、豊富なベータカロテンやビタミンE、ミネラル分は炒めたりスープにしたほうが効率よくとれます。
 
苦味と甘みがあり、体を涼しくさせる性質を持っています。水分やカリウムが多く、消熱作用、利尿作用、そして催乳作用があり、不眠解消や精神安定の作用もあるといわれています。
 
また、五臓の機能を補い、夏バテにもとてもよい食材ですので、新鮮なものが手に入る夏場には積極的に食べましょう。
 
 
■主な食品成分(100g中)
・ビタミンC 0.20mg ・ビタミンE 0.30mg ・カルシウム 19mg
・カリウム 200mg ・葉酸 73μg ・食物繊維 1.1g
 
 
●レタスの効用
@ミネラル分や、野菜としては多く含まれているビタミンEが高血圧を改善し、血液循環をよくします。
A食物繊維が豊富なので、便秘にも効果的です。
B涼性食品なので、炎症や口内炎のよくできる人にも効果があります。
 
 
●レタスの効果的な食べ方
・ 韓国料理では、葉先の紫のものや平たい葉、緑の濃いものなどさまざまなレタスを、山ほど積み上げて、焼肉を包んで食べています。
これは、肉という熱性の食材を、苦味と涼性を持ったレタスで包むという、絶妙な組み合わせなのです。
肉食のもたれを解消し、解毒し、つかえを取るはたらきをうながす食べ方です。
・ 紹介するのは、涼性の食材の組み合わせです。
炎症を取りながら、栄養をつけ、体調を整えます。
 
 
●レタスとふくろたけのあんかけ
(れたす+ふくろたけ+カニ)
【材料】(4人分)
レタス・・・小1個  ふくろたけ(缶詰)・・・1缶  カニ缶(小)・・・1缶
スープ・・・2カップ  酒・・・大さじ2  オリーブ油・・・大さじ2
水とき片栗粉・・・適量  塩・こしょう・・・少々
【作り方】
@レタスをざく切りし、洗って水切りする。ふくろたけをサッとゆでる。
カニ缶をほぐす。
Aなべを熱し、オリーブ油を入れ、レタスを強火でサッと炒め、ザルにあけて油を切る。
Bなべに少量の油を入れ、ふくろたけを炒めてスープを加え、カニを入れて酒、塩、こしょうで調味する。
CBの中にレタスをもどしてまぜ、水溶き片栗粉でとろみをつける。
 
■効能・・・夏バテ予防、血管障害の改善
煮たような調理法で、レタスとアサリの梅肉入りあんかけスープもあります。
アサリに含まれるタウリンなどのミネラルとの相乗効果で、利尿作用を促し、むくみや動脈硬化の予防になります
 
 
●レタス その他の利用法
■産後や病後の体力回復に
レタスと故意を合わせて煮込んだスープを飲みます。
■口内炎や歯肉炎のときに
アルミホイルに包み、黒焼きにして粉にしたものを患部につけます。
■腹水、乳腺炎などに
レタス300gを煎じて飲みます。むくみや便秘にも効果があります。