■ 野菜・果物と健康 (98)
 
石原結實 著    永岡書店
「石原結實式 野菜ジュース&スープが
病気を治す」        その7
 
第3章 症状に効く野菜ジュース&スープ の2
 
 
● 慢性疲労
肉体疲労は栄養不足。栄養補給して血行を促進する
 
■ どんな症状?
全身がだるい、疲れが取れず朝なかなか起きられない、なんとなくやる気が起きない、気分が落ち込むなど、疲労には肉体的なものと精神的なものがあります。
疲労を自覚していれば無理をせず、からだを休めるなど早めに対処できますが、中には自分が疲れていることに気がついていない方もいらっしゃいます。
自覚のないまま同じ生活を続けていると、疲労から深刻な病気を招きかねません。
 
■ 原因は?
からだの疲れ、ストレスbなどさまざまな要因があります。
 
■ こんな人は注意
次に上げる項目に、4つ以上当てはまる人は疲れがたまっているので気をつけてください。
9つ以上当てはまる人は疲労から病気に移行しつつあります。
すぐに生活を改めましょう。
@頭痛・肩こり・眼に痛み
A耳鳴り・めまい
B息切れ・動悸・不整脈
C胸通(ときどき)
D手足もむくみ・しびれ
E鼻時・歯ぐきや痔の出血
F便秘・下痢・またはその繰り返し・腹痛
G手足や唇やまぶたがピクピク動く
H音や光に敏感
I過食や食欲不振
J不安や理由のない焦燥感を覚える・不眠
K仕事や趣味に集中できない
L仕事のミスや物忘れが増えた
N自分はこの世に存在する価値がないと思う
O微熱が続く
 
■ 予防&治療法
か疲労回復に効果のあるビタミンB郡や糖分をとり、体を温めて全身の血流をよくしましよう。
@ねぎ、にら、にんにく、玉ねぎなど、ビタミンB1が効率よくとれるように作用するアリシンを含むアリウム族の野菜をとる。
Aねぎ加しょうが湯を1日2〜3回飲む
A生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、玉ねぎ50g
C半肉体疲労の場合には41〜42度の熱めの湯に5〜10分、精神疲労の場合には39〜40度のぬるめの湯に15〜20分、入浴する。
 
 
■ 慢性疲労に効く食べ物
・黒砂糖・塩・にんにく・しょうが
 
■ スタミナ回復に効くからだを温めスープ
にんにくと鶏のスープ
○材料○(2人分)
・鶏手羽肉(骨付き)・・・300g
A=・にんにく(芽をとる)・・・3粒  ・しょうが(薄切り)・・・10g  ・酒・・・50ml
・ねぎ(青い部分)・・・1本分  ・塩・こしょう・・・少々
○作り方○
@鶏肉はりゅうすいでよくあらう。
沸騰した湯に入れ1分ほど火を通す。
A土鍋に@、A、ねぎを入れ、水をひたひたになるまで注ぎ、火にかける。
A沸騰したらアクを取り、火を弱めて40〜50分コトコト煮る。
塩、こしょうで調味する。
 
 
■ エネルギー源となる糖質をとる
黒砂糖としょうがのスープ
○材料○(2人分)
A=・しょうが(薄切り)・・・20g  ・水・・・400ml
・黒砂糖・・・大さじ2
○作り方○
@鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したら5分ほど煮る。
B黒砂糖を加えて溶かす。
 
 
 
● 貧血
青白い顔、体温が低い人は赤血球が少ない
 
■ どんな症状○
貧血には、白血病やがんによる悪性のものもありますが、ほとんどは鉄分が不足して赤血球や血色素が少なくなる「鉄欠乏症貧血」です。
胃や十二指腸の潰瘍や、子宮筋腫による月経過多(生理の出血量が多い)、痔の出血など体内のどこかで出血していると貧血が起こされます。
貧血がひどい場合は病院で一度調べてもらったほうが無難です。
こうした病気がないのに、常に「貧血」傾向がある人は、体温が低い「陰性体質」であることが多いようです。
 
■ 原因は○
何らかの要因で、赤血球の数や血色素(ヘモグロビン)量が減少して起こります。
 
■ こんな人は注意
青白い顔をしている、体温が低い、痩せ型であるなど陰性体質の人になりやすい症状です。
また、爪が蒼白だったり、割れやすかったり、へこんでスプーンのような状態(スプーン状爪)になったりしている人は鉄欠乏症貧血が疑われます。
 
■ 予防&治療法
陰性体質を改善するには、からだを温める「陽性食品」を積極的ととりましょう。
赤色や黒色をしている食べ物が貧血の予防・改善に効果的です。
赤血球を作るのに欠かせない「鉄分」を多く含む食べ物をとることもおすすめします。
@ご飯に黒ごま塩(黒ごま8に対し塩2を炒ったもの)をかけて食べる。。
A小豆、黒豆、のり、干しぶどう、プルーン、レバー、ひじきなど黒っぽい食べ物をとるる。
Bほうれん草、パセリ、レバー、しじみなど鉄分を多く含むものを食べる。
C半肉や魚はかつおや羊肉など赤身のものを。
赤い色をしているものの方が鉄分が多く含まれている。
かつおの血合いは特に鉄分が多い。
D生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料にんじん2本(約400g)、ほうれん草300g
E通常、鉄分は肝臓や筋肉に貯蔵蔵される。
スクワットやダンベル体操などで筋肉をつける。
 
 
■ 貧血に効く食べ物
・ほうれん草・小豆・黒まめ・黒砂糖
 
■ 鉄分をたっぷり含む食材を使って
ほうれん草・ぶどうのジュース
○材料○(300ml分)
・ほうれん草・・・200g  ・ぶどう・・・200g
○作り方○
@ほうれん草はよく洗い巻きつけてまとめる。
ぶどうは枝から外して塩をまぶし、やさしく洗う。
A@をジューサーにかける。
 
 
■ 黒いものには鉄分が多く含まれる
小豆と黒まめの黒砂糖入りスープ
○材料○(2人分)
・小豆(乾)・・・50g  ・黒豆(乾)
・水・・・600ml  ・黒砂糖・・・大さじ2  ・シナモン・・・1本
○作り方○
@黒まめ、小豆はさっと洗い分量の水につけて一晩おく。
A@に砕いたシナモンを紅茶などのパックに入れて加え、火にかけて豆がやわらかくなるまで40〜50分煮る。
B黒砂糖を加え、5分煮る。
 
 
 
● 二日酔い
胃腸の余分な水分を体外に排泄しようとする
 
■ どんな症状○
二日酔い、または飲み過ぎたときには吐き気を伴います。
酔っているときに、吐くとらくになったことはないでしょうか。
このことから、吐き気や二日酔いが、体内にたまった余分な水分を排泄しようとするからだの反応であることがわかります。
二日酔いでないときの吐き気は、腐ったものや病原菌が入っているなど有害なものを食べたときに、それを体外に出そうとする反応です。
毒性の強いものは吐いて出してしまったほうがいいのです。
有害でもそれほど毒性の強くないものに対しては吐き気はないので、からだを温めて腸の働きをよくし、便と一緒に排泄しましょう。
 
■ 原因は○
酒の成分の大部分は水分です。
また、ビールやサワーなどは冷えているものが多く、これらをたくさんとると、からだが冷え、体内に水分がたくさんたまってしまいます。
飲みすぎたときには嘔吐、下痢という症状を伴いますが、これは体内にたまりすぎた、余分な水分を体外に出そうとするために起こります。
 
■ こんな人は注意
冷房の効いた居酒屋で冷え切ったビールをたくさん飲むと、からだが冷えてしまいます。汗をあまり書かない人や尿量が少ない人も要注意です。
 
■ 予防&治療法
からだを温めたり、発汗を促して余分な水分の排泄を促しましょう。
胃腸が弱っているので消化を助ける大根もおすすめです。
@梅干しの煎じ汁を飲む。
梅干しはからだを温め、有毒物質の解毒を促す作用がある。
【作り方梅干し1個とコップ2杯強の水を鍋に入れ、半量になるまで煎じる。
Aしその葉の煎じ汁を飲む。
しその葉の香り成分には吐き気を改善する作用がある。。
【作り方しその葉C〜5枚を刻んだものと、とコップ2杯強の水を鍋に入れ、半量になるまで煎じる。
煎じ汁におろししょうがを加える
B生ジュースを朝食代わりに飲む。1日2〜3回に分けて飲んでもよい。
材料にんじん2本(約400g)、りんご1個(約250g)、きゅうり1本
Cサウナ浴を行い、体内の余分な水分を汗として出す。
 
 
■ 二日酔いに効く食べ物
・大根・キャベツ・梅干し
 
■ 消化を助ける大根をジュースで
大根・キャベツ・レモン・はちみつのジュース
○材料○(250ml分)
・大根・・・100g  ・キャベツ・・・250g
・レモン・・・1個  ・はちみつ・・・大さじ1
○作り方○
@大根は適当な大きさに切る。
キャベツはくるくると巻く。
レモンは果汁をしぼる。
A大根とキャベツをジューサーにかけ、
レモン果汁、はちみつを加えてよく混ぜる。
 
 
■ 梅干しの酸味が食欲をそそる
大根と梅干しのスープ
○材料○(2人分)
・大根・・・150g
A=・梅干し・・・2個  ・かつお昆布だし・・・350ml
・しょうゆ・・・少々
○作り方○
@大根はすりおろし、汁をしぼる。
A鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したら火を弱めて3分ほど煮る。
BAに@としょうゆを加え、よく混ぜる。
 
 
 
● 下痢
腸内の有害物質や余分な水分を排泄しようとする
 
■ どんな症状○
大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、肝炎、急性膵炎など、何らかの病気が原因で下痢が起こる場合があります。
この場合は原因となっている病気を治さなければ下痢も改善されません。
病気が原因でない場合は、ほとんどが「冷え」や「余分な水分のとり過ぎ」が原因で起こります。
下痢は体内にたまり、からだを冷やす余分な水分を、便といっしょに体外に排泄しようとするからだの防衛反応です。
 
■ 原因は○
お腹が冷えたり、体内に余分な水分がたまっているときに、それを体外に出そうとして下痢をします。
発疹、くしゃみや鼻水などと同様、からだを冷やす体内の余分な水分を排泄しようとしているのです。
 
■ こんな人は注意
お腹をさわるとひんやりしている人、水分を沢山とる人は下痢をしやすくなります。
 
■ 予防&治療法
からだを温めて、発汗や排尿で余分な水分を排泄するようにしましょう。
余分な水分を尿や汗で出せば下痢は治ります。
@すりおろしりんごに塩を入れたものを1日2〜3個食べる。
A濃いめの緑茶にはちみつを加えた緑茶はちみつを飲む。
緑茶には排尿を促す作用がある上に、蹴りを止めるカテキンも含まれている。
はちみつに含まれるオリゴ糖には整腸作用があり、下痢のもとになる悪玉菌をやっつける殺菌作用もある。
B生にんじん2本(約400g)をジューサーにかけたにんじんジュースを毎日飲む。
からだが冷えるように感じる人は、温めてにんじんスープにするとよい。
Cにんにくかしょうがをすりおろし、熱いみそ汁に入れて飲む。
D根菜類をとろ火で煮込み、塩やしょうゆで味つけしたスープを食べる。
Eすりおろした大根(2〜3cm)としょうが(小さじ1)、しょうゆ(大さじ1/2か1)をコップに入れ、番茶を注いだ大根湯を飲む。
 
 
■ 下痢に効く食べ物
・りんご・塩・根菜類
 
■ 腸内環境を整えるりんご
りんごのすりおろしジュース
○材料○(250ml分)
・りんご・・・1個  ・レモン・・・1/2個  ・塩・・・小さじ1/2  ・湯・・・50ml
○作り方○
@レモンは果汁をしぼる。
りんごをすりおろし、レモン汁とあわせる。
A塩を分量の湯に溶かし、@に加え、よく混ぜる。
 
 
■ 腸内を暖めて血行をよくする
玉ねぎとにんじんとキャベツのスープ
○材料○(2人分)
・玉ねぎ・・・1個(約200g)  ・にんじん・・・1本(約250g)
・キャベツ・・・150g  ・じゃがいも・・・1個(やく150g)
A=・水・・・400ml  ・チキンブイヨン・・・1/4個  ・白ワイン・・・大さじ2
・塩・こしょう・・・各少々
○作り方○
@玉ねぎは薄切り、にんじんは薄いいちょう切り、キャベツはざく切りにする。
じゃが芋は皮をむいて一口大にきり、水にさらす。
A鍋に@とAを入れて火にかけ、沸騰したら火を弱めて柔らかくなるまで煮る。
BAのあら熱がとれたら、フードプロセッサーにかける。
C塩、こしょうで味を調える。
 
 
 
● 便秘
お腹の冷えが原因で腸の働きが悪くなって起こる
 
■ どんな症状?
快便は健康のもと。
排便は便と一緒に体内の老廃物を出す大切な役割があります。
理想は毎日スムーズな排便がある状態ですが、中には2日に1回、2〜3日に1回、ひどい場合にはいつ排便があるかわからないというケースもあるようです。
排便がなくてお腹が張って苦しかったり、腹痛がある場合には便秘解消に心がけましょう。
便秘が続くと腸内に老廃物がいつまでも滞在して、それが血液内に吸収されて解毒を担っている肝臓に負担をかけてしまいます。
便が長時間滞在すると、腸内に有害菌が増殖して虫垂炎、憩室炎、胆のう炎を起こしたり、腹圧が上昇して脱腸を招くこともあります。
 
■ 原因は?
最近はお腹が冷えて腸の運動が低下して起こる便秘が多いようです。
一般に、便秘の場合には「牛乳や冷たい水がよい」「生野菜や果物をたくさんとるように」といわれますが、これらはさらに腸を冷やし、便秘を悪化させる心配があります。
特に、冷え性で悩んでいる女性は、腸も冷えていて便秘になりやすい傾向があります。
 
■ こんな人は注意
冷たい水分、牛乳、パン、ケーキ、生野菜、南方系の果物などからだを冷やす陰性食品をよく食べる人、下腹部をさわるとひんやりしている人、腹部が弱い人は便秘になりやすいので注意が必要です。
 
■ 予防&治療法
腹筋運動などで腸を刺激したり、からだ(腸)を温める陽性食品、中でも食物繊維を多く含む根菜類をしっかり食べるようにしましょう。
@緩下作用(排便を促す)の強いアロエの煎じ薬を飲む。
【作り方】アロエの葉D〜6枚の皮をむき、薄切りにしたものとコップ@〜2杯の水を鍋に入れ、量が半分になるまで煎じる。
飲みにくい場合にははちみつを加えてもよい。。
Aすりおろしたりんご1〜2個、乾燥プルーンを毎日食べる。
B緩下作用のあるぶどうを旬の時期にはしっかり食べる。
C軽い腹筋運動を毎日行う。
 
 
■ 便秘に効く食べ物
・りんご・プルーン、アロエ・ごぼう
 
■ ひえなどで腸の機能が低下しているときに
りんご・プルーン・アロエのジュース
○材料○(300ml分)
・りんご・・・1個(約250g)  ・ドライプルーン・・・4個(約45g)
・アロエ・・・100g  ・はちみつ・・・大さじ1
○作り方○
@プルーンはぬるま湯で洗いお湯につけて戻し、種を除く。
りんごは適当な大きさに切る。
アロエは皮をむき、適当な大きさにきる。
A@をジューサーにかけ、はちみつを加えてよく混ぜる。
 
 
■ 腸の蠕動運動を高めて排便を促す
根菜とこんにゃくのスープ
○材料○(2人分)
・にんじん・・・中1本(約150g)  ・ごぼう・・・100g  ・こんにゃく・・・1/2枚
・かつお昆布だし・・・400ml  ・塩・・・少々
○作り方○
@にんじんは2mmの厚さのいちょう切り、ごぼうは2mmの厚さの輪切りにする。
こんにゃくは1cm角大にちぎり、下ゆでする。
A鍋に出し、@を加えて煮る。
根菜に火が通ったら塩で味を調える。