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永山久夫 「百歳までの健康ライフ 健康食・健康百科」 より ■ 「和風だし」 は活脳食 ![]() 日本人の喜ぶ「うまみの三大主役」があります。 みそ、カツヲ節、昆布ですが、この三種類以外にも、さらに複雑なうまみをかもし出す「だし」もたくさんあります。 素材と、そのうまみの主成分をあげてみましょう。 ★ みそ・・・グルタミン酸 ★ 昆布・・・グルタミン酸 ★ カツオ節・・・イノシン酸、グルタミン酸 ★ 煮干し・・・イノシン酸、グルタミン酸 ★ サバ節・・・イノシン酸、グルタミン酸 ★ 貝干もの・・・グルタミン酸 ★ かんぴょう・・・グルタミン酸 ★ 乾燥豆腐(六釜豆腐)・・・グルタミン酸 ★ しょっつる・・・グルタミン酸 以上でおわかりのように、グルタミン酸の豊富な「だし」を好むところに和食文化の大きな特徴があります。 この日本人のグルタミン酸主体の、「だし文化」が、料理に微妙なうまみを出すと同時に、それを毎日食べ続けてきた日本人の頭脳のメカニズムを向上させる上でも、大きな役割を果たしてきました。 グルタミン酸はアミノ酸の一種ですが、脳の中に大量に含まれており、その量は血液中の濃度の100倍といわれています。 脳はそれだけグルタミン酸を必要としているのです。 グルタミン酸は情報伝達の役目を果たしており、記憶力の向上に役立つといわれています。 つまり、日本の「だし」は「活脳食」でもあるのです。 ![]() カツオ節は、日本人が発明した伝統的な「だし」ですが、実に素晴しい食品です。 主成分は蛋白質で、これが77%も含まれています。 さらに素晴しいのはビタミンB1で、100g中に0.5mgあります。 このビタミンB1が不足すると、記憶力の低下や脳の老化を早めてしまうだけに、大変重要です。 朝っぱらから、人の名前を間違えたり、簡単な漢字を度忘れするようなことがあったら、ビタミンB1が長期にわたって不足している可能性があります。 このビタミンは、脳が活動を続ける上で不可欠のエネルギーを糖質から取り出すための成分。 従って、不足すると、脳の中の唯一のエネルギー源であるブドウ糖という糖質が不完全燃焼して、イライラしてきたり、眠気やだるさ、集中力の低下、さらには記憶力までダウンしてしまうのです。 また、血液の中にビリルビン酸という物質が増えて、記憶の再生に支障をきたしてくるともいわれています。 ![]() 和食の場合、米の「ご飯」に「みそ汁」はつきもの。 みそ汁は、たいがいカツオ節で「だし」をとります。 この組み合わせが素晴しいのです。 ご飯が、脳の活動を支えるエネルギー源となるブドウ糖を供給します。気難しい脳のバリア(防衛網)である血液脳関門も、ブドウ糖はフリーパス。 ですから、血液で補給されたブドウ糖は、脳細胞の中でエネルギー源となれるわけです。 従ってB1が不足しますと、脳の退社がうまくいきませんし、物忘れしたりするようになるわけです。 ところが、日本人はご飯で脳にブドウ糖を送る一方で、カツヲ節をとることによってビタミンB1を補給し、脳という記憶のコンピューターの働きをスムーズにしてきました。 その上、カツオ節にはナイアシン(ニコチン酸)というビタミンB群の仲間も、たっぷり含まれていて、コレステロール値を下げたり、動脈硬化を防ぐ、あるいは、学習能力を高める上で役に立つといわれています。 ![]() カツオ節の頭の機能向上成分として、注目すべき物質がさらに含まれています。 日本人の大好きなうまみである、グルタミン酸というアミノ酸ですが、化学調味料の原料としてもよく知られています。 グルタミン酸は、脳の神経伝達物質のひとつで、これが記憶のメカニズムと密接な関係があるとみられており、注目を集めています。 グルタミン酸がよく働くと、脳細胞に情報がストックされ、しかも、その記憶が何日間も保持されます。 日本人の「うまみ」のグルタミン酸は、実は、日本人の歴史的な"健農食"になってきました。 このアミノ酸は「みそ」にも、たっぷり含まれていり、カツオ節を使った「みそ汁」は、グルタミン酸スープといってもいいくらい、頭の性能をより正確にする上で、役に立っています。 さらにカツヲ節には高血圧を防いだり、肝臓を丈夫にするタウリンも多く含まれています。 脳に最も多いアミノ酸がグルタミン酸で、血液中の100倍近い濃度を持っているといわれます。それだけ脳細胞にとっては、重要なアミノ酸になっている証拠。 三番目に多いのが、タウリンです。このタウリンが、神経機能と密接な関係を持っていて、神経伝達物質としての働きのあることもわかり、一部では頭の回転を良くするたんぱく質と考えられ始めています。 年をとってくると、どうしても物忘れが多くなってきますが、身近なところに、脳の機能低下を防ぐどころか、向上させるカツオ節があったのです。 味噌汁やおひたしにふりかけたり、あるいは、あまり塩を使わないで「健脳ふりかけ」を作っても良いでしょう。 ただ、味噌汁に用いるときには、野菜をたっぷり入れ、みそは控えめにして、減塩に心がける必要があります。
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