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『食は生命なり』 【55】 『食は生命なり』と「新谷弘実」 その22
新谷弘実著
『病気にならない生き方』 2 実践編 より その3
第1章 天寿をまっとうする生き方 の2
●『アンチエンジング』には気をつけたほうがいい
いつまでも若々しくありたい。
男性でも女性でも、私たちは誰もがそう願っています。
とくに自らの肉体に衰えを感じはじめると、人は必死になって「老い」を食い止めようとします。
こうした老いに抵抗するためのさまざまな方法を総称して「アイチエイジング」(抗老化)」といいます。
日本でもアイチエイジングは大変なブームになっていますが、正直な感想を言うと、中にはお勧めできない方法もたくさんあります。
とくに外見を若く見せることを目的としたアイチエイジングには危険なものがたくさんあります。
たとえば、美しい肌を取り戻す方法として、多くの女性の注目を集めているケミカルピーリングは、肌の大切なバリア機能を壊し、かえって深刻な肌トラブルを招く危険性があります。
私たちの皮膚というのは、「表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」という三層構造をしています。
そのなかで水分の蒸発を防ぐとともに、異物の侵入を防ぐという「バリア」の役目を果たしているのは、わずか20ミクロン(1ミクロンは1000分の意味理)の厚さしかない、表皮の「角層」部分です。
角層はとても薄いので、爪で引っかいただけでもバリアは損なわれます。
爪で引っかいた傷が赤くはれたりするのは、バリアが壊れたところから雑菌が入り炎症を起こすからです。
この大切な「バリア」である角層は、古くなった表皮が薄い膜のようになったもので、私たちが普段「垢(あか)」と呼んでいるものです。
ですから「垢があるなんて汚い」といって、毎日アカスリでゴシゴシこする人がいますが、垢は皮膚のバリアとして必要だからそこに存在しているのです。
皮膚に必要以上に強い刺激を与え続けていると、炎症や色素沈着を起こしやすくなるので、必要以上に垢を落とすことは避けたほうがいいのです。
アカスリなどしなくても不要な角層は自然とはがれ落ちるようになっています。
生物にはそれぞれ与えられた寿命があり、細胞はその生物の寿命にとって理想的な新陳代謝のサイクル・スピードがあるのですから、そのスピードを狂わせるようなことは必ず弊害を生みます。
しかも、ケミカルヒーリングは、薬品うを使い、角質はもちろん表皮までもはがして、強制的に表皮細胞の新陳代謝を促すのです。
たしかに、手術後すぐは美しくなったように見えますが、それはバリア機能も持たない未成熟な皮膚なのです。
水分を保持することも、異物の侵入を防ぐ力ももちません。
そんな未成熟な皮膚がいきなり外気にさらされるのですから、トラブルが起きてもおかしくはありません。
紫外線などの刺激にも弱く、かえってシミのできやすい肌になってしまうのです。
もう一つ、アンチエイジングで私が危惧しているのは、ヒト成長ホルモンを投与する方法です。
成長ホルモンとは、骨や筋肉の形成、新陳代謝などにかかわる重要なホルモンですが、成人を過ぎるころからその分泌量は減少していきます。分泌量のピークは10代で、40代になると約半分、80代ではピーク時の20分の1まで減少します。
成長ホルモンの現象は、体にさまざまな老化現象をもたらします。
肌の張りがなくなるのも、運動能力が低下するのも、白髪が生えるのも、性機能が低下するのも、成長ホルモンの減少から来ています。
老化が成長ホルモンの現象から来ているのであれば、成長ホルモンを投与すれば老化をくい止めることができると考えたのが、ヒト成長ホルモンを投与するアンチエイジング法です。
実際、この方法を行うと体にはさまざまな変化が現れます。
脂肪分解作用が高まることによるダイエット効果、女性では肌の張りが回復するだけではなくバスとアップも望めます。
そのほかにも伸長が伸びたり、養毛育毛効果も現れます。
それほど大きな効果があるならいいじゃないか、と思われるかも知れませんが、効果が大きいということは、それだか大きな変化が体内で起きているということです。
では何が危険なのでしょう。
最大の懸念は、自然の摂理に反するということです。
本来なら成長ホルモンというのは、10代をピークに減少していくものなのです。
それを人工的に投与するということは、無理に成長期と同じ環境を体内に作り出しているということです。
新陳代謝が成長期と同じように活発になれば、たしかに肌に張りが生まれ、食べてもあまり太らなくなるでしょう。でも、前著に書いたように活発な成長は老化に突き進んでいるのと同じだということを思い出し手下さい。
ヒト成長のホルモンの投与を続けている間は、若々しいかもしれませんが、それによって遺伝子に仕組まれた細胞分裂の限界数が変わるわけではないのです。
もう一つ、私が問題視しているのは、現在使われている「ヒト成長ホルモン剤」というのは、遺伝子組み換え技術によって人工的に作られたものだということです。
もちろんヒト成長ホルモン製剤も、きちんと認可を受けて安全性が確認されているものが使われているのですが、その安全性は動物実験によって確認されたものであり、字際に人間に何十年も投与した結果が検討されたわけではありません。
私は本当に健康的な生活を送っていれば、無理にアンチエイジングを心がける必要はないと考えています。
それが自然の摂理にあったスピードであれば、「老化」に抵抗する必要はないと思うからです。
生き物にはそれぞれ与えられた「寿命」というものがあり、生物というのはそれをきちんと全うするために最もよいスピードで変化していくようになっています。「老化」も寿命を全うするために必要なプロセスだと思います。
●最高のアンチエンジングとは、健康に生きること
現在、これほどまでにアンチエイジングがブームになっているのは、実年齢にふさわしくない老化スピードに悩んでヒトが増えているからだと思います。
実年齢は20代なの肉体年齢は40代、実年齢は40代なのに肉体年齢は70代という人も、いまや珍しくはありません。
私の髪に白髪が混じりはじめたのは65歳を過ぎたころからですが、最近は40代でも白髪のほうが多くなってしまっている人もいます。
また、私は日々多くの人の胃腸を見ていますが、胃腸・腸相の衰えは外見以上に深刻です。
胃腸は体の変化がもっとも早く現れる場所であるとともに、外見のようにお化粧や美容整形でごまかすことができないからです。
実年齢以上に体の老化が進んでしまうのには、さまざまな原因が考えられます。
動物食の過剰摂取、喫煙・飲酒という悪習慣、そしてストレスや電子波などによるフリーラジカルの大量発生。
食品添加物や農薬なども老化を早める一因といえるでしょう。
日本人はよく「健康・長寿の秘訣を一つ挙げてください」という質問をしますが、実際には健康の秘訣を一つに絞ることなど不可能です。
食事や水、生活習慣や精神的なものなど、さまざまな要因によって、その人の「健康状態」は形づくられているからです。
どれほどよい食事をしていても、不健康な生活をしていたのでは、健康を維持することは難しいでしょう。
逆に規則正しく健康的な生活を送っていても、悪い食事をしていれば、老化はハイスピードで進んでいきます。さらに、同じ食事でも、調理する水や食物に含まれる成分によっても、体に与える影響は違ってきます。
日本人は、何かが「体によい」というと、それ一つを大量に取り続けることで健康を維持しようと考える人が多いのですが、人間の体というのはそんな単純なものではありません。
カテキンにしても乳酸菌にしてもポリフェノールにしても、たしかに「体によい」面はあります。
しかし、カテキンを多く含む緑茶も大量に飲み続ければ萎縮性胃炎から胃ガンになりやすくなり、乳酸菌を含むヨーグルトを大量に飲み続ければ、腸相は悪くなっていきます。
一時期、赤ワインに含まれるポリフェノールがいいからといって赤ワインを毎日がぶ飲みする人もいましたが、そんなことをしていると毎日のアルコール分解に大量のエンザイムが消費されてしまい、ポリフェノール摂取のメリットよりもエンザイム消耗によるダメージのほうがはるかに大きくなってしまいます。
運動も、適度な運動は健康維持に欠かせないものですが、過激な運動はエンザイムを消耗するので、かえって体には毒です。
体を清潔に保つことは健康維持に必要ですが、ゴシゴシこすりすぎて角質を損なえば、皮膚のバリア機能を壊し、免疫力を低下することになってしまいます。
何度もいうように、私たち人間の体は、何か一つよいものを摂ればいいというような単純なものではありません。
むしろ、どんなによいといわれるものでも、一つのものに固執しそればかりを摂りつづけることは、全体のバランスを崩す原因になりかけません。
体を健康に保つ上では、必要なものの不足と同じくらい、過剰摂取や偏りも害となるのです。
多くの人は見た目を若々しく、美しくすることばかりを求めますが、本当の美しさというのは、健康な肉体からにじみ出てくるものです。
美容整形や間違ったアンチエイジング法で外見だけ美しくしても、体の中が変わらなければ問題は何一つ解決しません。
健康に長生きするために必要なのは、自然の摂理に従った体によいもの、体によいことを、体のバランスを考えながら適度に取り入れていくことです。
ですから私は、患者さんたちに健康に生きるための方法として、次に挙げる「7つの健康法」をバランスよく行うことを指導しています。
@ 正しい食事
A よい水
B 正しい排泄
C 正しい呼吸
D 適度な運動
E 上手な急速・睡眠
F 笑いと幸福感
この「7つの健康法」は、新谷食事健康法の基本であり、エンザイム・セラピーの具体的な実践項目となるものです。
健康な状態というのは、その生物にとってもっとも理想的なスピードで新陳代謝が行われている状態でもあります。
ですから、健康に生きることこそが、実は最高のアンチエイジング法なのです。
●エンザイムが教える「長寿」と「健康」の秘訣
私たちの健康の鍵を握っているのは、エンザイム(酵素)の体内保有量だと、私は考えています。
エンザイムの体内保有量が多ければ、新陳代謝が正常に行われるのはもちろん、体内の解毒作用や免疫システムも正常に働くので、病気を防ぐことができます。
私が提唱している「7つの健康法」は、この大切なエンザイムの「補充」「活性化」「消耗防止」に効果があるものばかりです。
体に起こるトラブルは一つひとつの現象を見ていると実にさまざまですが、その根本原因を突き詰めていくと、全てエンザイムの不足に行きつくと私は考えています。
もちろんトラブルによって不足しているエンザイムの種類は異なりますが、どのエンザイムもミラクル・エンザイムから作られると考えれば、ミラクル・エンザイムの体内保有量を減少させないことが健康維持につながるということができます。
エンザイムの不足が、さまざまな病気の発生・悪化にかかわっていることは、現代医学でも認められつつある事実です。
さまざまな分野でエンザイムの研究が進められているのも、そのためです
現在はガンの治療法というと、外科手術と抗ガン剤治療が中心で、そのほかにレントゲン照射法、免疫療法等があります。
しかし、抗ガン剤治療は大きな苦しみを伴うにもかかわらず、それほど大きな効果が望めないのも事実です。
抗ガン剤治療が期待されるほどの効果をあげていないことは、日本人の死亡原因の第一位が「悪性新生物」、つまりガンであることを見ても明らかです。
ガンが完治できるか否かは、早期発見にかかっているともいえます。
ガンのステージが進行して手術によって病巣を取れ除けないケースや、転移が進んでいるケースなど、抗がん剤治療のみに頼らなければならない場合の治療率は、まだ決して高くはありません。
アメリカでは、患者の負担が大きい上、あまり効果の高くない抗がん剤治療に変わるさまざまなガン治療法が研究されています。
その中で、特に注目されているもののひとつに、パンクレアチンというエンザイムを投与することで膵臓がんを治療するというエンザイム・セラピーがあります。
後にデトックスの項で詳しく述べますが、パンクレアチンを用いたエンザイム・セラピーでは、パンクレアチンの効果を高めるには、体内の毒素をすばやく排泄し、肝臓の解毒作用を助ける「コーヒー・エネマ(コーヒー浣腸)」を行うことが有効だというデータが報告されています。
コーヒー・エネマは、私の「7つの健康法」の一つ「正しい排泄」でも提唱しているものですが、毒素を体内に長くとどめず排出するということは、解毒で消耗されるはずのエンザイムを温存することにつながるので、膵臓ガンに限らず病気の人にはお勧めの健康法の一つです。
本書で紹介する「7つの健康法」は、さまざまなエンザイム・セラピーの中でも、最もリスクの少ない安全なものだと自負しています。
それは、この7つの方法がすべて「自然の摂理」にもとづく健康法だからです。
先ほどのパンクレアチンを使ったエンザイム・セラピーも、一般の抗ガン剤治療と比べればリスクははるかに少ないのですが、投与するパンクレアチン自体が人工的に作られたものを使用するうえ、人間の判断で投与する量を決めることになるので、多少のリスクは残ります。
しかし、「7つの健康法」では、外部から取り入れるのは、自然から生まれた食べ物と自然から生まれたよい水か、自然に近いよい水だけです。
あとは体内環境がよくなるよう、自然の摂理に従って体内時計が正確に刻まれるような生活習慣を心がけるだけです。
必要なことは、エンザイムの生成も活性化も、体がその人の健康にとってもっともふさわしい形で行ってくれるのでリスクはまったくないといっても過言ではないでしょう。
もし、あえてリスクを挙げるなら、現状では体によい食物と水を手に入れるのに、多少のコストと手間がかかるということぐらいです。
でも、病気になって苦しみながら高い治療費を支払うことを思えば、健康に生きるためによい食物と水を手に入れるコストを惜しむのは愚かなことだとわかるはずです。
長寿の秘訣とは、エンザイムの消耗を防ぐことです。
健康の秘訣とは、エンザイムを活性化させ、体が本来備えている免疫機能とホメオスタシス(恒常性)を維持することです。
でも、それはけっして難しいことではありません。
人間も自然の一部であることを理解し、自然の摂理を学び、自然の摂理に従った生活をすることが「天寿」を全うする生き方につながっているのです。
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