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『食は生命なり』 【101】
日野原重明 劉影 著 青春出版刊
『病気ならない15の食習慣』
楽しく生きる長寿の秘訣
より その5
習慣5 “油抜き”ではやせられない
多くの人が一度は経験したことのあるダイエット。
でも、同じものを食べ続けたり、
過酷なカロリー制限を伴う方法は長続きせず、
リバウンドを引き起こしたり、体調を崩す原因になったりします。
ダイエットを成功させるにはコツがあるのを知っていましたか?
ポイントは、炭水化物と糖質をコントロールすることです。
● 体重が増えたら、すぐに減らす
江戸時代の儒学者、貝原益軒は、著書『養生訓』の中で、長寿をまっとうする方法の一つに、食欲を抑えることを挙げていますが、あれもこれも満腹まで食べたいというのは、どんな時代にも、人間を悩ませてきた欲求のようです。
私が、本格的に節食を心がけるようになったのは、60歳を過ぎてからでした。
どんな好物が並んでも、腹八分目に抑え、摂取カロリーも1600キロカロリーくらいを目安すとするようになりました。
「日野原先生は、ダイエットなんてなさらないでしょう」
人前ではあまり飲んだり食べたりしませんし、話に夢中になると食べることも忘れてしまいますから、周囲の人にとって、私とダイエットは結びつかないようです。
しかし、そんな私でも海外に出るとやはり太ります。
海外で口にするものは肉中心で、調理にもバターやオイルをたっぷり、デザートに使う砂糖の量も多いので、仕方のないことです。
好き嫌いはありませんから、こういうものを美味しくいただくのですが、たとえ量を半分にしても、カロリーオーバーは避けれません。
大豆食品など、日本の伝統食品というものは、身体にやさしくできていると痛感する瞬間です。
一週間の滞在で、だいたい2キロは増えますから、帰国が近づく頃になると、ズボンやベルトの感じからも、太ったのが実感できます。
肥満になってしまう人は、それをそのまま放置しているからで、私の場合は、すぐに戻そうとします。
目標は二週間でもとの体重に戻そうとすること。
ダイエットは、帰国の飛行機から始まります。
ヨーロッパから帰るときなどは、必要以上に機内食やドリンク、お菓子などのサービスがありますが、それに手をつけていては、さらに太ってしまいます。
機内食を最小限にとどめるためには、仕事が一番です。
執筆に集中したり、書類に目を通したりしていると食欲が抑えられます。
● 油ではなく炭水化物と糖質を減らす
日本に帰ってからも、ダイエットは続きます。
けれども、なんでも量を減らせばよいというものではありません。
野菜やたんぱく質などはしっかり摂取して、減らすべきは炭水化物と糖質です。
ごはんの量を減らし、甘いものを減らすことです。
最近では、糖度の高い果物が出回っていますから、こういう果物も食べ過ぎないように心がけることです。
ご飯の量を減らすというと、ご飯を食べてはいけないと解釈する人がいるようですが、そうではありません。
人間というものは禁止されると、それだけでストレスを感じるので注意してください。
ご飯は食べてもいいけれど、ダイエット中は量を少なくしなければ効果がありません。
例えば、私はお寿司が大好きなので、パーティー会場などでも、お寿司をよく食べますが、ご飯を半分にして食べるのです。
また、お寿司屋さんでいただくときは、シャリを小さめに握ってもらうなど、工夫すれば、ダイエット中でも、好きなものを禁止する必要はありません。
ダイエットにはいろいろな方法があり、オイル抜きがいいと、一切肉や油を摂らない人がいますが、それは間違った方法です。
肉や魚はたんぱく質であると同時に、その油には、血管を柔軟にしたり、コレステロール値を下げたりする作用があります。
また最近では、さまざまな食品に「ノンオイル」という表示が目立つようになりましたが、まったく摂らないというのは、かえって体のバランスを壊すと思ってください。
炭水化物と糖質の摂取にさえ気をつければ、確実に体重は落ちます。
この方法で何度もウエイトコントロールに成功してきた私がいうのですから間違いありません。
ダイエットに成功するということは、身体によいということだけではなく、心にもよい影響を与えます。
それは、自分自身で身体を管理し、コントロールできるという自信です。
この自信が出てくると、健康への不安はなくなります。
多少過食して太ったとしても、また、元に戻せるのですから大丈夫と思えるようになります。
劉影の養生ガイド
ダイエットに効果的な「きのこ」の効果
● 質の良い肉類ときのこがダイエットのカギ
炭水化物と糖質を少なくするダイエットには、私も大賛成です。
また、炭水化物と糖質を控える習慣は、ダイエット中ではなくても、代謝が落ちてくる中高年になったら実行したいところです。
日本人は、ダイエットというと、すぐに”油抜き”という発想になりますが、おお間違い。
油さえ抜けばいいと肉を避け、サラダや果物を食べて安心している人がいますが、それがダイエット失敗の最大の原因です。
痩せるためには、”ため込み系”から”燃焼系”へと身体を変化させる必要があります。
燃焼系になるには筋肉が必要であり、筋肉をつくるのに必要なのが質のよい肉類なのです。
また、ダイエットには、ひとつのことをやり抜く強い精神力が求められ、その力を生み出すのも、動物性たんぱく質だと思います。
美味しいものを食べて脳を満足させると、やる気が湧いてきます。
頑張ろうという気持ちが持続して、減量にも成功します。
良質な肉を食べることで、かなりの満足感が得られます。
甘いものが大好きという人は、身体に飢餓感やストレスを与えすぎないために、たまには甘いお菓子を食べる必要もあるでしょう。
ただし、摂りすぎては元も子もないので、注意してください。
日野原先生もおっしゃっているように、ダイエットには自分自身をコントロールする力が必要です。
ですから自分の性格をよく理解して、挫折しそうだと思ったら、ごほうびを与えることも必要です。
過食のくせがついている人は、食欲を抑えるのに苦労するでしょう。
いきなり食事の量を減らすとストレスもたまります。
こういう場合は、カロリーが低くて満腹感のあるものを取り入れることにしましょう。
野菜や大豆製品のほか、最近注目されているのが、きのこ類です。
きのこには、血液を浄化して、血液や血糖値、コレステロール値を下げる効果があるとの報告もあります。
炒め物や煮物、焼いても蒸しても美味しいきのこは、さまざまな料理に取り入れるだけでなく、種類も豊富なので、毎日摂るようにするといいでしょう。
よく、ダイエットを始めると風邪を引くという声を聞きますが、それは急激に摂取カロリーを減らすことで、一時的に身体のバランスが崩れるためで、このようなダイエットの弊害から守ってくれるのもきのこです。
キノコには、免疫力を上げる作用も認められていますから、上手に取り入れてください。
● 自意識過剰なくらいがちょうどいい
食べものをコントロールする一方で大切なのが、意識です。
家にいるときは家族にどのように映っているか、一人暮らしの人は、一歩外に出たら周囲の人に自分がどのような印象を与えるかをつねに意識するのです。
ショーウィンドーに映った自分の姿に何気なく目をやり、“こんなに姿勢が悪かったンだ””こんなにお腹が出ていたとは”など、ショックを受けたことはありませんか?
それほどに日常生活では、意識を忘れています。
テレビや舞台で活躍している人が、年齢より若々しく見えるのは、”見られている”という意識をつねに持っているからだろうと思います。
もちろん、どんなに意識しても、永遠のみずみずしさ、若さを保つことは不可能ですが、意識によって衰えを遅くすることはできると思います。
たとえ、誰も見ていなくてもかまいません。
ダイエット中は、”私は見られているんだ“という意識を持つように。
自意識過剰ぐらいがちょうどいいかもしれません。
脳で意識すると、身体にほどよい緊張感が生まれ、燃焼系の身体へ近づくのです。
人間の食欲や意欲、行動力などが、意識でコントロールできるということは、成功者と呼ばれる人を見ればよくわかります。
成功を勝ち取った人の多くは健康に恵まれ、そのおかげで積極的に行動しているようにも見えますが、実はそうではありません。
特別に太りにくいとか、病気になりにくいといった身体に生まれついたわけではなく、そうなるように意識して、日日努力を怠らないのです。
例えば、世界的なデザイナーのコシノヒロコ先生は、つねに”このサイズの服を着こなそう”と意識されていて、だからこそ70歳を過ぎた今でも若々しく美しいのです。
また、バルセロナ、アトランタオリンピックの女子マラソンで、銀、銅メダルで輝いた有森裕子さんも、常に鏡に全身を映し、身体にゆがみがないか、筋肉のつき方はどうかチェックされているそうです。
こうした例からも、身体は意識で変わるということができるでしょう。
このほか、自律神経の安定もダイエットには欠かせない条件です。
極度の睡眠不足やストレスによって、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなると、身体のメカニズムが狂って、摂取したエネルギーをうまくもやせなくなってしまいます。
この結果、太りやすい身体になってしまう可能性もあります。
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