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『食は生命なり』 【107】
日野原重明 劉影 著 青春出版刊
『病気ならない15の食習慣』
楽しく生きる長寿の秘訣
より その11
習慣11 レシチンとビタミンを
サプリで補給
カロリーについては、オーバーしないように
気をつけているという人がほとんどでしょうが、
一方、栄養面ではあれこれ足りないものがあるようです。
栄養素の中には、摂取しにくいものもありますから、
サプリメントを利用するのもいいでしょう。
ただし、自分には何が足りないのか、
何が必要なのかをきちんと見極めることです。
● レシチンでイキイキ脳をキープ
健康への関心は年々高まり、このブームを受けて、毎年、さまざまなサプリメントが生まれれは、消えていきます。
無数ともいえるサプリメントの中には、きちんとした商品もありますが、「本当に飲んでも大丈夫だろうか」と疑いたくなるものも少なくありません。
それでも、新しい商品が出れば、必ず試してみるという人も多く、毎日の食事より、サプリメントを飲むことに重きを置いている”サプリメントオタク“までいると聞いています。
かくいう私も愛飲しているサプリメントがあります。
大豆からとった大豆レシチンで、愛飲暦は、かれこれ50年にもなるでしょうか。
大豆レシチンには、脳細胞や神経細胞を活性化したり、コレステロール値を下げて動脈硬化を予防、肌を美しくするなど、さまざまな効果が認められているのです。
私は毎朝、パウダー状のレシチンを牛乳入りのコーヒーに入れて飲んでいます。
元気とはいっても、90歳を過ぎれば身体のあちこちで老化は起こってきます。
しかし、脳の衰えを感じたことはなく、これにはレシチンの力も大きいと思っています。
レシチンという物質は、約60兆個あるといわれている人間の細胞の1つ1つに存在して、酸素や栄養分を取り込んだり、不必要な物質を外に出したりしています。
また、新しい細胞をつくる際にも、レシチンが必要です。
不足すると、疲労・倦怠感、不眠、頭痛、老化現象など、不快な症状に悩まされます。
こうしてみると、若い人よりは、中高年向きのサプリメントといえるでしょう。
もちろんレシチンは食べものからも摂取できます。
多く含まれるのは、卵黄、大豆、穀類、小魚、ウナギ、レバーなど。
どれも、そうたくさん食べられるものではありませんが、大豆製品はできるだけ摂るように心がけています。
● 健康は目的ではなく手段
「あなたは健康のためにどんなことをしていますか?」
とたずねたら、健康ブームに乗って嬉々として答える人は多いのではないでしょうか。
「サプリメントを飲んでいます」
「食事に気をつけています」
「毎日、ウォーキングを欠かしません」
など、いろいろな答えが返ってきそうです。
どれも、大変よい習慣なのですが、十分とはいえないような気がします。
私は、つねに、長寿に欠かせないのは、「目標を持って生きることだ」といい続けてきました。
つまり、「これをするために健康でいたい」と言う目標です。
健康は、あくまでもよりよい人生を生きるための手段であり、目的にはなり得ないのです。
目標は、どんな小さなことでもかまいません。
「健康で孫の成長を見届けたい」
「生きている限り現役で仕事を続けたい」
「趣味の旅行を楽しめる身体でいたい」など、
こうした具体的な目的が人間を支えるのです。
目的があると、ただ健康でいたいとか、病気になりたくないという人より、健康に対して前向きになりますし、サプリメントの選び方、見方なども変わってくるように思います。
流行に流されることなく、本当に自分に合ったものを選ぼうとするはずです。
なぜ健康でいたいのか、この目標を明確にするために、私は3年分のスケジュールが書き込める手帳を持つようにしています。
講習会やイベントなどに、どうしても協力してほしいという依頼者の熱意に応えるためです。
「今年は、スケジュールが入っているので無理ですね」とお断りしても、簡単にはあきらめません。
「では、先生、来年はどうでしょうか、その次の年は?」
あまりの熱心さに、こちらも心を動かされます。
それほどに、私を必要としてくれる人がいるというのはありがたいことです。
したことの繰り返しで、結果、私のスケジュール長は、週末の休みもなく、2年先まで埋まりつつあります。
”この日までは頑張らなくては”。
スケジュール帳に予定が書き込まれるたびに、それが健康の目標となり、日々の張り合いになります。
もしかすると、こういう喜びのほうが、サプリメントの効果より大きいのかもしれません。
劉影の養生ガイド
サプリメントの正しい選び方
● 完璧な健康人はいません
日本で、サプリメントを飲む習慣が広まり始めたのは、20年ほど前からではないでしょうか。
当時は、まだこれほどたくさんのサプリメントはなかったはずです。
それよりもずっと前から、日野原先生は、レシチンを飲んでいたということになります。
西洋医学の医師の多くは、現在でもサプリメントに対して疑問を持っています。
安全性と有効性がはっきりしないものを、安易に口にすべきではないという考え方です。
サプリメントの中には表示を偽る商品や粗悪品も多いので、これには納得する点もあります。
しかし、私は生薬の研究を続けてきていますから、食べものに薬効があることは誰より理解していますし、その知識と経験を生かして、サプリメントの開発などにも携わってきました。
ですから、本当に効果のあるものなら、未病の治療に取り入れても良いのではないかと思っています。
このように西洋医学の世界ではサプリメントを疑問視する人が多い中、いち早くサプリメントを飲んでいた日野原先生の柔軟さには、またもや驚かれてしまいました。
私がサプリメントの力を借りることも必要と思っているいちばんの理由に、現代人の乱れた食習慣がありますが、食品に含まれる添加物なども気になります。
また、野菜にしても、果物にしても、生産性を高めるためには農薬が必要です。
色や形も整っていなくてはなりませんし、人間の好みに合うように、糖度や味も作り変えられています。
こうした残留農薬や遺伝子組み換えなども、無視できないように感じるのです。
さらに最近では、賞味期限や原材料などを偽るメーカーも多く、安全面でも疑わしい食品が少なくありません。
この結果、サプリメントに頼らざるを得ないという点も出てくるのです。
栄養補給に、あるいは不快な症状の緩和に試してみるのもいいでしょう。
ただし、サプリメントにはしっかりした基準が設けられていないので、選ぶ際には、十分な注意が必要です。
中には、成分のほとんどが添加物というものもあり、このような粗悪なサプリメントが体調を悪くするケースもあるようです。
● どのサプリメントを選べばいいのか
身体に良いと聞けば、やみくもに何でも試す人がいますが、それは、最も危険な飲み方です。
足りている栄養素を摂取したら、栄養過多になってしまいますし、薬を服用している人は、薬との相性についても考えなくてはなりません。
不安な場合は、医師に相談するといいでしょう。
一般的には、どのようなサプリメントを飲んだら良いか、簡単なアドバイスをしておくことにしましょう。
まず、外食で栄養が偏りがちなビジネスマンに欠如しやすいのが、ビタミンやミネラルです。
若い女性の中には、太るのを気にして必要以上に少食にしている人がいますが、この場合も、ビタミンやミネラルは不足がちになります。
最近では、バランスを考えて配合されているマルチビタミン剤が人気です。
ビタミンは組み合わせることで相乗効果を発揮しますから、このタイプのものを食事と一緒に飲むのもいいと思います。
また、鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウムなどのミネラルについても、単品で摂取するのではなく、必要な成分がバランスよく配合されたものを選びたいものです。
個人差はありますが、40歳を過ぎてくると、こうした栄養補助型のサプリメントではなく、身体の不具合を調整するものを求めるようになります。
血圧や血糖値が高めだったり、更年期症状や目の疲れを何とかしたいなどという目的で愛飲が始まるのです。
この場合に目安となるのが、特定保健食品の認定マークがついているかどうかです。
これは、加工食品の効果に対して、厚生労働省が認めているというマークですので、選ぶ基準のひとつに加えておきましょう。
しかし、いくら吟味してサプリメントを選んでも、何も効果が感じられないという場合は、腸内環境に問題がある場合が多いようです。
腸の状態が悪いと、どんなに食事に気をつけ、また良質なサプリメントを摂取したとしても吸収されません。
現代人の多くは腸内環境が乱れているといわれ、便秘薬が手放せないという若い女性もいます。
思い当たる人は、まず、腸内環境を整えるサプリメントからはじめるのがいいかもしれません。
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