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『食は生命なり』 【110】
日野原重明 劉影 著 青春出版刊
『病気ならない15の食習慣』
楽しく生きる長寿の秘訣
より その14
習慣14 ウエストを測るだけで
肥満は防せげる
現在の体重を20代、30代のころと比較してみてください。
10キロ単位で太った人もいるのではないでしょうか。
腹囲も増えていませんか?
私が30代のころと腹囲が変わらないというと、
皆さんびっくりします。
定期的に身体のサイズを測って、
食習慣を整える1つの目安にすることも大切です。
● ウエストをこまめに測ってキープしましょう
永遠の若々しさを求めて体型をキープしようとするのは、女性の特権ではありません。
男性ももっと体型を気にするべきだと思います。
なぜなら、体型は生活習慣病を判断する大きな要素でもあるからです。
人間の身体というのは、年齢とともに自然と代謝が悪くなってゆくものです。
代謝が悪い身体とは、摂取したカロリーをためこむ身体ですから、当然体重も増え、ウエスト(腹囲)も太くなります。
同窓会などで再会した友人が、学生時代とは別人のように太っていたという経験がある方もいるでしょう。
そういう友人はおそらく内臓のどこかにトラブルを抱えているはずです。
定期的に体重を計るということはほとんどの方が習慣として行っていると思いますが、私はそれに加えて、腹囲を測ることにしています。
メタボリックシンドロームを判定する1つの目安として腹囲があります。
男性では85cm、女性では95cm以上だと、内臓脂肪面積が内臓脂肪面積が100平方cm以上に相当するといわれています。
しかし、そうしたことが問題視されるズッと以前から、私は腹囲を測り続けています。
その結果、96歳になった今も、30歳のときとの腹囲と同じです。
かりに今、30歳の頃はいていたズボンを出されても、難なくはけるというわけなのです。
まだ若いから大丈夫と過信せず、30代のころからこうしたボディチェックを続けていくと、かなりの確立で発病が防げるのではないかと思います。
中高年の人の場合、昔に比べて大幅にサイズが変わったら、少し危機感を持って、体重を戻すようにすべきでしょう。
66年間変わっていない腹囲。
変えないためには、いつも同じようなパターンで食事を取っていてはだめです。
年齢とともに食べる量を少しずつ減らして、腹囲をキープするように努めたいものです。
● どこからが肥満なのか
本書の中で、幾度かメタボリックシンドロームという言葉を使いましたが、この基準値が果たして妥当かどうかは、まだ曖昧な点があります。
ですから、腹囲の基準値に着いても、これから変更される可能性は大きいでしょう。
もしかすると、また違った名称のシンドロームが登場するかもしれません。
しかし、どんなものが登場するにしろ、その目的は、生活償還病の発症を食い止めることですから、危険性のある人が”努力して肥満を解消しよう”と自発的に思わないかぎり、あまり意味のあることとはいえません。
私は、肥満については、もっとおおざっぱに捉えています。
誰にでも簡単に判定できる方法としては、身長から100を引いた数字を最高体重として、それを超えないようにすることです。
例えば、伸長170cmの人は、体重70kgを越えないように注意すればよいという考え方です。
腹囲について言うなら、私の理想は30歳のときのサイズですが、30歳のとき、もっともっもと太っていた人もいるでしょう。
そこで、これまでを振り返ってみて、いちばん身体が軽く、フットワークが良かったころのことを思い出してみてください。
思い当たったら、そのときの腹囲が、自分にとっての目標とすべき腹囲だと思います。
劉影の養生ガイド
毎日鏡を見れば未病を防げる
● 自分なりの基準でOK
医学の世界では、人間の生理機能は20代で充実期を迎えると考えます。
もちろん、個人差や男女による差はありますが、これまでの身体の変化を振り返ってみて、”20歳ぐらいのときが、一番体力も気力もみなぎっていた”と感ずる人は多いのではないかと思います。
それなのになぜ、日野原宣性は30歳と決めていらっしゃるのか、ちょっと考えてみることのしました。
すると思い当たることがありました。
1つには、先生が生きた時代というものがあるでしょう。
先生が青春時代を迎えられたとき、戦争の影響で日本には満足に食べるものさえありませんでした。
ほとんどの子供や若者が、栄養不足の状態であったと思われます。
どんなに若く、やる気に溢れた人でも、筋肉は痩せ、とてもベストの状態とはいえなかったことでしょう。
さらに悪いことに、先生は肺結核を患っておいででした。
せっかく合格した京都大学医学部を休学して療養中。
ですから、20歳のころのサイズを維持していたら、今日のように健康ではいられなかったことになります。
それから10年、先生は、30歳になって、ようやく健康を手に入れられたのだと思います。
このケースからもわかるように、ベストコンディションであった時代は、人それぞれに異なるので、自分なりの基準があっていいと思います。
それに体型というものは、人によって違うことも覚えておくと良いでしょう。
象徴的な出来事としてこんなことがありました。
医師仲間で体脂肪を測定していたときのことです。
ある医師が突然、「あれ、この測定器、壊れた見たい」と言い出しました。
「どうして?」と聞く私に対して、「H先生の体脂肪が21%のわけないですよ・・・・・・」。
H先生の体型を見てみると、お腹が出ていて、なるほど肥満体型に見えます。
ところが、予想していた体脂肪をかなり下回っていたのでした。
別の機械で測りなおそうということのなりましたが、再度測っても、結果は変わりませんでした。
そこで気付いたこと。
H先生は、もともとお腹の出た体型だったのですね。
また、女性の場合は、出産によって体型が変化するものです。
出産の時期や回数によっても、変化の仕方は変わってきます。
そんなことを考慮しつつ、自分のベスト体重とウエスト体重を割り出し、近づける努力をしてみてください。
● 顔のシミで内蔵の不調がわかる
肥満度を出すには、体脂肪を用いたり、複雑な数式を駆使する方法がありますが、これに固執する必要はありません。
面倒だという人もいるでしょう。
私も、日野原先生の考え方に同感で、身長から100を引いた数字を体重の上限とする程度の認識があれば十分だと思います。
それより大切なのは、やはり過去と現在との比較でしょう。
日野原先生が、過去の自分と比べて、腹囲を気にされていることは良いことだと思います。
このように、サイズチェックはもちろんのこと、定期的に鏡の前に立って、身体を入念にチェックする時間を持ってください。
肌のハリやつやはどうか、お腹や首周りにぜい肉はついていないか、筋肉はどうか、背筋は伸びているかなど、さまざまな角度から眺め、過去の自分と比べてほしいのです。
中国には、女の子が成人すると鏡を贈る習慣があって、これには、今の健康と美を保ちつづけて欲しいという思いが込められています。
朝起きて鏡を見たら、”いつもより顔色が悪い”とか”顔が向くんでいる”などと気付くことがあると思いますが、東洋医学では、これを治療に取り入れています。
望診と呼ばれる診察法で、患者さんの表面に現れた種々の変化を捉えて、チェックしていくのです。
人間の身体というものは実に雄弁で、じっくり観察すると多くを語りかけてきます。
特別な検査をしなくても、そこから病気が見つかることもあるのです。
わかりやすい例は、顔のシミ。
内臓の不調がシミとなって現れることがあります。
たとえば、頬にシミが表れたら、肺や肝機能に問題が生じているのかもしれません。
あごのシミは、腸内環境が悪化しているサインとも考えられます。
そんな視点から顔を眺めてみると、思い当たることがあるかもしれません。
このような発見を食生活に生かし、胃が疲れていると思ったら消化のよい野菜中心のメニューを、便秘ぎみのときには整腸作用のあるウーロン茶を飲むなど、工夫してみましょう。
また、サプリメントを選ぶ目安にしてもいいと思います。
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