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![]() 肉食が健康に及ぼす影響については多くの警告が発せられていますが、今回ピーター・コックス氏の著書『新版 ぼくが肉を食べないわけ』の中で、大変興味深い中国での研究報告があります。 中国における研究報告が、「食事に関する途方もない研究が、肉と脂肪とを告発する」と題して、ニューヨークタイムズ紙のトップニュースになりました。 それには、「増え続ける病気と食事との関係について、かってない大がかりでわかりやすい研究が行なわれた。それは、アメリカ風の食事に対する疑問の解明へ挑戦したものである。中国で行なわれたその研究は、植物を基本とした食事 計画を大胆に描くものであり、それは病気よりも健康をより増進させるようである。」と述べられている。 中国では、この研究を通して国民の健康生活にたいして明確に、「植物を基本とした食事計画」を打ち出しているのです。 この中国での研究は壮大で、1983年以来、国中の6500人について食事とライフスタイルを調査し、くわしい事実を述べているという。これについて、ハーバード大学栄養学名誉教授のマーク・ヘグステッド博士は次のようにコメントしている。 「これは非常に重要で意味のある研究である。独創的で処理方法も優れている。たとえどんなに費用をかけてもアメリカでは不可能である。なぜならアメリカではあまりにも人々の生活が同質だからである。」 中国では、まだこの研究が継続中であり、最終的な結論がでるまでにはまだ多くの年月が必要だろうと述べています。 ![]() 中国の研究報告の中で鍵となるいくつかをご紹介しましょう。 @「平均的西洋食はタンパク質の70%が陸上動物由来であるのに対し、中国ではたった7%である。中国人の大部分は西洋における主要な致死的病気にはほとんど罹らないのに、西洋人と同じように動物タンパクを摂っている裕福な中国人は、心臓病・ガン・糖尿病に非常な高率でかかっている。」 A「中国人は西洋人よりもカロリーを20%多く摂っている。従って、中国人の方が太っているはずなのに、実際は西洋人の方が25%太っている! これは中国人が、多種多様なものを食べているためだと言ってほとんど間違いない――中国人は脂肪を西洋人の3分の1しか摂らず、炭水化物は2倍摂っている。 B「現代西洋の食事のガイドラインは、食事中の脂肪を全カロリーの3分の1以下にすべきとしている。中国の研究では、心臓病やガンの予防には10〜15%以下にすべき、としている。」 ![]() C「骨粗鬆症予防のために牛乳を飲む必要はない。多くの中国人は酪農製品を食べず、代わりにカルシウムを野菜から得ている。中国人は西洋人の半分しかカルシウムを摂っていないが、骨粗しょう症は見当たらず、にもかかわらず平均的寿命は70歳である。」 これに対して、コーネル大学栄養生化学のT・コリン・キャンベル博士は、「骨粗しょう症は、カルシウム摂取が非常に多く、しかもそれらをタンパク質の豊富な酪農製品から摂っている地域に生じる傾向がある」と述べ、「中国のデータは、カルシウムは我々の考えているほど多くは必要とせず、野菜から十分得ることが出来ることを教えている。」と述べている。 D「肉食は貧血予防のためには不必要としている。貧血症ではない中国の平均的成人は鉄分をアメリカ人の2倍摂っているが、大部分は植物から得ている。」 キャンベル博士は、「我々人間は基本的に、もともとベジタリアン種である。そして植物食品を広く多種にわたって食べ、畜肉食品を最小限にすべきである。」と述べている ![]() ピーター・コックス氏は、「人間は本来肉食ではなかった」とし、「我々の肉体は基本的に石器時代のままであり、当時摂っていたと同じ食物を期待している。現在我々が肉体に与えているジャンクフードの類には、この肉体はまったく慣れていない。 これほど多くの病気は、近代的食物摂取のパターンとの間に関係があるのは間違いない。現代の西欧化された人間は、人類がこれまでの歴史の中で消費したすべての分よりずっと多くの肉を食べている。 心臓発作に対する医学的観察が最初に行なわれたのは1912年であり、それから100年もたたずに、この心臓病が西欧社会における人殺しのリーダーの一つにのし上った。」と述べている。 それはなぜか? これに対してマイケル・クロフォード教授は、次のように答えている。 「事の発端は、人間の食物がもともと野生のものだったことである。この原始的な食事を500万年にわたる進化の中で食べ続けてきた。しかし最近の数世紀でそれはゴチャゴチャになってしまった。アフリカとヨーロッパでは食事の方向が全く違ってしまった。西ヨーロッパでは、必須ではない脂肪が多く、必須脂肪が極わずかな食物へ集中した。また、加工された食品が多くなり、炭水化物も精製された。ある人にとっては困難であるかもしれないが、正しい行動をすべきである。」と述べている。 ![]() ピーター・コックスは続けて次のように述べています。 「1860年当時、人はエネルギーの約4分の1を脂肪からとっていた。1910年には3分の1に増え、1975年には45%に到達、その大部分が家畜の飽和脂肪であった。人の食事中の脂肪は急激に倍加した。今日我々が摂っている食事が、関連した恐ろしい病気を伴ったとしても不思議ではない。」 続けて、「近代の食用家畜は肥えるように飼育されている。屠殺される家畜は30%以上の脂肪を含んでいる。原始人が捕らえていた動物は野生であり、含まれている脂肪はたった3.9%しかなかった。従って、今日我々が肉の消費を大幅に減らし、原始人と同量程度にしたとしても、食べる脂肪の量はまだ7倍以上になる。しかも、脂肪の質が異なる。大昔の肉は今日より多不飽和脂肪酸が5倍もあった――現代の肉は飽和脂肪が多く、不飽和脂肪が少ない。 また、原始人の食事はナトリウム(塩)の量が現代の6分の1であったし、新鮮な食べ物が大部分であったため、自然のビタミン類がはるかに豊富であった。たとえばビタミンCは約9倍含まれ、繊維質は2倍、多不飽和脂肪酸は約3倍あった。 したがって、もし肉のない食事が健康に良くないと心配する恐れはない。それは遠い先祖から我々が常に食べ続けてきた、我々の身体がずっと慣れてきた自然食に近いものである。 進化の過程から見て、今日我々が食べている肉は、我々にとって“新しい”ものであり、我々の肉体に大きな実験を行っていると言ってよい。そしてその結果は決して良いようには見えない、ということがわかり始めたと思う。 ![]()
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