日本人の健康を支えてきた昆布 海のミネラルをたっぷり含んだ昆布 世界に誇る日本料理生み出す要の昆布 現代人がもっともっと食したい昆布 そんな昆布の話 ■ ミネラルの宝庫 昆布はなんといってもミネラルが豊富! ミネラルは体内で作ることができないので、食べて摂取するしかありません。 ミネラルなどの栄養素、食物繊維もを豊富に含むので、ダイエット食品としても優秀です。 ■ 健康体は、弱アルカリ性 昆布は「喜ぶ」に通じる縁起物なのはよく知られています。 これは単なる語呂合わせではなく、栄養学的に見ても身体のために大変良い食材なのです。 現代の食生活では肉や加工食品を多く摂るようになって、身体が酸性に傾きがちです。 健康体である弱アルカリ性に保つためには、アルカリ性食品の中でもトップクラスの昆布を食べるのが一番!理想の健康食品、と言っても過言ではありません。 ■ 血液やリンパ液は海水成分とよく似ているのです 昆布だけでなく、海藻はカロリーが低く、ミネラルが豊富です。 例えば、昆布に含まれるミネラルは牛乳の約23倍。カルシウムは約7倍だし、鉄分は約39倍も含まれています。 ヒトの身体に流れる血液やリンパ液は、海水の成分と似ていると言われています。 海で育つ昆布は、海の中にあるミネラルを吸収して、人間に有害な物はあまり吸収しないという特徴があります。 だから、他の食品に含まれるミネラルに比べ、昆布のミネラルは体内への消化吸収率が高く、その約80%が体内に吸収されると言われています。 ● 日本料理に欠かせない昆布 昆布は、主に乾燥させて出汁をとるために日本料理では幅広く使われる。 ロシアでは「海のゴミ」と扱われているため、それを好んで食べる日本人は不思議がられるという。 また、おぼろ昆布やとろろ昆布にもする。 近年では酢コンブやおしゃぶり昆布としてお茶請け・おやつにもなっている。 北海道では、湯通しした若い昆布を刺身昆布として食べる習慣がある。 市販の「早煮昆布」は棹前昆布、日高昆布、真昆布の若く薄いものをボイルして干したものである。 統計局の家計調査によると、青森市、盛岡市、富山市が昆布消費量の多い都市(2003?2005年平均:1世帯あたり)で、全国平均の1.4〜1.8倍を消費している。 沖縄県那覇市は7位(全国平均の1.1倍)である。 沖縄県はかつて日本産昆布を中国に輸出するための中継地点であったことから、昆布を利用する食文化が生まれ昆布消費量が多かったが、近年は若者の伝統食離れで消費が減少している。 昆布つくだ煮の消費量が多い市は福井市、大津市、富山市で、これに京都、奈良など近畿地方の都市が続く。 近畿地方では古くから来た前舟によって昆布が多く流通し、独特の昆布消費文化と加工技術が存在するため、つくだ煮消費量が多い。 昆布は特に豊富な食物繊維や鉄分、カルシウムなどが含まれており健康食品として人気が高い。 池田菊苗が1908年古来から使われる昆布の旨み成分がグルタミン酸であることを発見し、これが旨み調味料の味の素となった。 他にも、昆布には人にとって必須元素であるヨウ素を多量に含有している。 ● 産地と種類 昆布にはいろいろな種類があります。 昆布の種類を知って、用途に応じて選びましょう。 昆布の国内生産量はほとんどが北海道から採取されており、全体のほぼ95%に相当します。 特に真昆布、羅臼昆布、利尻昆布、日高昆布(三石昆布)、長昆布が知られ、先頭のものほど高級品として知られています。 青森、岩手、宮城県の東北3県では5%前後となっています。 昆布は、日本では14属45種あり、全世界では、北半球に26属、南半球に9属生育しています。 日本沿岸における昆布の分布を見ると、寒流(北海道の太平洋の親潮)の流れる沿岸部では、『ナガコンブ、ミツイシコンブ(ヒダカコンブ)、オニコンブ(ラウスコンブ)』等が見られ、対馬暖流の北上する日本海沿岸や、オホーツク海沿岸は『ホソメコンブ、リシリコンブ、チヂミコンブ』が、また暖流と寒流の交錯する噴火湾から津軽海峡の沿岸には『マコンブ』が成育しています。 ■ マコンブ(真昆布) 最も代表的な良質の昆布。肉厚があり幅も広くこんぶの最高級品。 道南の渡島(おしま)支庁白神(しらかみ)岬から函館市、恵山(えさん)を経て噴火湾にいたる地域。 恵山岬を境界とし、南茅部(みなみかやべ)から砂原(さわら)に至る沿岸は白口浜とよばれ、恵山岬から汐首(しおくび)に至る沿岸が黒口浜と呼ばれ、汐首から函館市に至る地域が本場折浜と呼ばれます。 本州は青森県下北半島・岩手県・宮城県の沿岸。成育する水深は7〜8m。 非常に多くの銘柄と格付があり、旧南芽部町周辺(現在は函館市)に産する真昆布が最高級品とされ、「白口浜」という銘柄で呼ばれる。 そのほか旧恵山町周辺で産する黒口浜、津軽海峡の本場折、それ以外の海域で取れたものを場違折などの銘柄に分ける。 市場価値もおおよそこの順番となるが、銘柄内でも品質により数段階の等級に分けられます。 葉色は淡褐色、葉の長さ1〜8m、幅は12〜30cmと広くなり、下部で幅広いくさび形になって茎につながります。切り口の色で、白口元揃(白色)と黒口元揃(黄色)に区分します。
高級だしとして用いられ、ごく上品な甘味をもち透き通っていて、味の面でも昆布の王者。 大阪ではこの味が好まれ、だし昆布といえば、大抵この真昆布を用いる。 また、他の用途としておぼろ昆布、白髪昆布など薄く削った加工品がある。
■ ラウスコンブ(羅臼昆布) 知床(しれとこ)半島の根室側(国後島側)沿岸のみに生息。 茶褐色で羅臼オニコンブの別称があり、真昆布と同格扱いされる。 真昆布に勝るとも劣らない味の評価が高い昆布の最高級品である。 だし汁がにごるという特徴がありますが、香りがよくやわらかく黄色味を帯びた濃厚でこくのあるだしがとれるので、関東地方ではだし昆布として、この羅臼昆布が好まれる。 葉巾が広く幅20〜30p、葉の長さは1.5〜3mとなりますが、さらに大きくなることもあります。表皮の色により黒口(黒色)赤口(赤褐色)に区別します。(黒口は半島尖端寄り、赤口は半島南端寄りに比較的多くなっています。)
主に出し昆布として利用されます。他に、昆布茶、酢昆布などにも加工されています。 高級だし(薄い黄色、濃厚な風味で薫り高く、甘味があるだし)・おやつ昆布。 北陸の富山などは一大消費地である。 ■ リシリコンブ(利尻昆布) 黒褐色で真昆布より固い感じがするが、真昆布に次ぐ高級品。 味は前者より薄いが、薄い塩味の澄んだ、上品なだしが採れる。 そのため、懐石料理では重宝され、とりわけ京料理には欠かせない。 京都では最も一般的なだし昆布である。 他にも、肉質が硬く削っても変色変質しないため高級おぼろ・とろろ昆布としても最適です。 アイヌ語でルルサシ、ルルキナ(だしのでる)といわれるほどの味。 利尻・礼文両島と留萌(るもい)以北、稚内の野寒布(のしゃっぷ)岬、宗谷(そうや)岬を経てオホーツク海沿岸網走に至る地域で採れます。 ■ ヒダカコンブ(日高昆布) ミツイシコンブ(三石昆布) 三石(みついし)町のある日高地方を主産地とし、東の十勝沿岸から白糠(しらぬか)に至る地域、一部道南白口浜から恵山(えさん)岬を経て汐首(しおくび)付近まで。成育する水深は10〜15m。
長さ2〜7m、幅6〜15cmと狭く、へりは波うちがありません。 濃い緑に黒味を帯びています。 早く煮え、非常に柔らかくなるので煮物にピッタリ。 昆布巻き、佃煮、おでん種など、昆布そのものを食べる料理に適している。
利尻昆布より甘味はうすいが、一般的な味が親しまれる。 ■ ホソメコンブ(細布昆布)(細目昆布) 渡島半島の松前〜道北の留萌を主体とした日本海沿岸で獲れる昆布。 ほかの昆布と異なり寿命が1年であるため、1年目で刈り取られる。 甘味が弱く、刺激性の苦味ととろろ分がある。 黒色で白粉を生じるものが多く、切り口がどの昆布よりも白いために、 おぼろ昆布、とろろ昆布に加工されることが多い。 昆布巻き・佃煮に用いられる。 ■ ナガコンブ(長昆布、浜中昆布) 釧路地方で多く獲れるコンブ。全長15mにも及ぶ。 色は灰色を帯びた黒色。厚葉昆布も仲間。 生産量は最も多いが、旨味成分が少ないために一般向けの廉価品。 だが、沖縄県周辺では古くから野菜代わりに重宝され、最も一般的な昆布である。 切り刻んだものをそのままサラダ感覚で食べたりするほか、豚肉との相性が非常に良いため、炒め物にしたりする。 長昆布はだしには向きませんが、日高昆布同様、煮物にすると柔らかくておいしいので一般では昆布巻き・佃煮・おでんなどに用いられます。 ミツイシコンブと遺伝的距離が近く、本種をミツイシコンブの変種とする説もある。
■ ガゴメコンブ(籠目昆布) 葉(正確には葉状部という)の表面に籠の編み目のような龍紋状凹凸紋様があることからこの名を持つ。黒色で肉厚、表面がでこぼこしている。 北海道函館市の津軽海峡沿岸〜亀田半島沿岸(旧南芽部町)〜室蘭市周辺(噴火湾を除く)、青森県三厩〜岩屋、岩手県宮古市重茂、樺太南西部、沿海州、朝鮮半島東北部に生育する。 水深10〜25mに多く分布し、浅い側ではマコンブと混じって分布するため、昔は雑海藻とみなされていた。 最大で長さ2mほどになり、寿命は3年から5年と考えられている。 ダシを取る用途には使われず、商品価値が低かったが、「フコダイン」という粘性多糖類が他のコンブよりも多量に含まれ(甘味が強く、最もとろろ分がある)、それがいわゆる機能性成分として作用するらしいことが分かり、価格が急騰した。 これまではもっぱら天然に分布するものが採取されていたが、生産量は一時期の10分の1まで落ち込んだ。 松前漬けに用いられる。 ■ アツバコンブ(厚葉昆布) 黒色で白粉を生じるものが多く、切り口は白色。 甘味が弱く、刺激性の苦味ととろろ分がある。 昆布巻き・佃煮に用いられる。 ● 昆布の生態 コンブ科には多くの属があり、マコンブなどが属するコンブ属をはじめ、ガゴメなどが属するトロロコンブ属などがある。 さらに、同じコンブ目に属する近縁なものとしては、ワカメなどが属するアイワカメ科や、コンブの原始的な形といわれるツルモ科などがある。 コンブは、日本では北海道沿岸を中心に三陸海岸などにも分布する。 一般的にコンブ科植物は寒流の親潮海域を代表する海藻であるが、アラメやカジメのように暖かい海に生育するものもある。 食用海藻であるだけでなく、大きな藻場を形成し、多様な生態系を保つ働きもある。 コンブは胞子によって増殖する。 コンブの胞子は2本の鞭毛を持ち、海中を泳ぐことができるので特に「遊走子(ゆうそうし)」と呼ばれる。 遊走子はコンブの表面から放出され、海中の岩などに着生する。 着生した遊走子は発芽して「配偶体」という微小な植物体になる。 1個の遊走子から1個体の配偶体ができ、雄と雌の配偶体がある。 雌雄の配偶体それぞれに卵と精子が作られる。 この卵と静止が受精し、受精卵が生長すると巨視的な「胞子体」、つまりコンブとなる。 ● 昆布漁業 日本のコンブ生産量は約12万トン(2005年度
生重量)。 生産量全体に占める養殖物の割合は約35パーセント(2005年度)。 天然物の生産量の95パーセント以上を北海道が占める。 また、中国でも80万トン前後が養殖されている。 北海道の函館市沿岸ではマコンブの養殖が盛んに行われている。 マコンブは2年生のため、その養殖には2年の時間と手間が必要であり、2年栽培のものに近い質を目指した1年の促成栽培もある。 また、産業上重要種であるミツイシコンブ、リシリコンブ、オニコンブに関しても、その養殖法は確立されている。 その他の種に関しては天然の現存量が多い、もしくは前述の種より利用価値が低いことから、養殖法が確立されていない。 コンブの収穫は、小舟から昆布の根元に竿を差し入れねじり取る。 海岸で押し寄せてきたコンブを拾ったり、鈎でたぐり寄せる方法もある。 次に、小石を敷き詰めた干場に運び並べて干す。 1〜2回裏返しにし、まんべんなく乾燥させる。 乾燥しすぎると折れやすくなるため加減が必要である。 乾燥時間は半日程度だが、この間に雨に当たると商品価値はなくなるので、天気予報で雨が確実な日は出漁を見合わせることもある。 天日ではなく乾燥機で干す方法もあり、品質は落ちるが、濃霧や日照不足などの理由で乾燥機の使用頻度が多い地域もある。 コンブ干しは短期決戦のため、干し方専門のアルバイトが募集されるほか、コンブ漁場の近くに番屋を張り寝泊まりする地域もある。 ● 昆布の歴史 三管領の一家に数えられた源氏の細川氏が、元海賊であった水軍の舟で京都に持ち込んだとされる。 日本の歴史的な文献に初めて登場するのは続日本紀(797年)である。 描写によると、当時の東北では昆布を献上品として収めていた。 それにともない日本海沿岸の酒田屋や後に下関を経由して大阪の重要な港に出荷されることになる。 平安時代の延喜式(927年)では、コンブは租税として扱われている。 さらに江戸時代に蝦夷地(北海道)の開発が盛んになると、北前船などの航路の整備、出荷量の増加などにより全国に広まっていく事になる。 とりわけ琉球王朝時代に昆布を中国への朝貢品の主要産物としていて、朝貢には適さない半端モノや下等級品をやむなく工夫して自家消費したことから、のちに伝統料理化する沖縄料理にはよく用いられる。 ■ コンブの名前の由来 日本の味としてすっかり食生活に定着している昆布ですが、その歴史はあまりに古く、確かな記録は残っていません。 縄文時代の末期、中国の江南地方から船上生活をしながら日本にやって来た人々が、昆布を食用としたり、大陸との交易や支配者への献上品としていたのではないかと言われています。 平安時代前期に編纂された『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』に、昆布として「比呂女(ひろめ)」(広布)「衣比須女(えびすめ)」(夷布)といった文字が使われています。昆布という名は、アイヌ人がコンプと呼び、中国に入ったものが日本に再び入ってきたものだといわれています。 ■ こんぶが旅した”こんぶロード” 鎌倉中期以降になると、昆布の交易船が北海道の松前と本州の間を、盛んに行き交うようになりました。 昆布が庶民の口に入るようになったのは、そのころからです。 昆布の採取は、江戸時代の徳川幕府による蝦夷地(北海道)開拓以来盛んになり、昆布を食べる地域も広がっていきました。 昆布が北海道から各地へ運ばれた道は「こんぶロード」と呼ばれています。 海上交通がさかんになった江戸時代には、北前船を使い、下関から瀬戸内海を通る西廻り航路で、直接、商業の中心地である「天下の台所」大阪まで運ばれるようになりました。 大阪や京都で加工販売された歴史があり、産地は北方ですが、昆布を扱う問屋や加工場は大阪周辺が中心となっています。 こんぶロードは江戸、九州、琉球王国(沖縄県)、清(中国)へとのびていきました。 ■ 新しい土地に新しい昆布文化が生まれる こんぶロードがのびて新しい土地に昆布がもたらされると、そこに独自の昆布食文化が生まれました。 たとえば、大阪ではしょうゆで煮てつくだ煮にしたり、沖縄では、ぶた肉や野菜といためたり、煮こんだりして食べています。 関東地方はこんぶロードの到達がおそかったため、全国的に見て昆布の消費量が少ない地域となっています。 このように、現在見られる地域による食べ方の違いは、こんぶロードの歴史的背景と関連があるのです ● 上方食文化における昆布 湿気の多い大阪で乾燥させた昆布を倉庫に寝かせておくと、熟成することで昆布の渋みが無くなり甘みがでてくる。 大阪に昆布が広まったのは商用船が日本海航路を通って下関経由で大阪に運ばれるようになってからである。 安土桃山時代に農・乾物の一大集積地であった大阪は多湿な気候が乾物や昆布の旨味を熟成させたことから、江戸時代になると真昆布のダシを特徴とした食べ物は「大阪の食い倒れ」として有名になってきた。 大阪の農産物と交換に蝦夷から運ばれた乾物は、昆布のほか、帆立貝、棒だら、身欠きにしんなどがある。 主に商用船は太平洋側を避けて日本海航路で運ばれるようになったことから、大阪より敦賀や小浜で昆布の消費が多くなっている。 また刃物の街である堺の職人により、乾燥昆布を甘酢に浸し表面を削った「おぼろ昆布」が生まれた。 昆布表面の黒い部分は甘酢がよく染みていることから、酸味が多い黒い「おぼろ昆布」(黒おぼろ)になる。 中でも表面を薄く削ってゆくと、内側の白い部分が出てくる。 ここは酢に浸っておらず、昆布本来の甘みがある。 この昆布は「太白おぼろ」と呼ばれる。 最後に残った昆布の芯の部分はばってら寿司や押しすしに使われるばってら昆布(白板昆布)になる。 薄く削るには職人による高等技術が必要とされる。 上記の堺でも「おぼろ昆布」が発達し、また北前船の集積地でもある敦賀でも「おぼろ昆布」技術が発達した。 おぼろを削ったヘタの部分は爪昆布と呼ばれ、お菓子として食べられることがある。 また、爪昆布は煮込むとコンブ特有の粘りが強く出ることから、煮物などの調理の際に煮汁とともに入れ、その粘りを利用して表面に浮いた灰汁取りを容易にするといった使い方もなされる。 その他昆布の加工品といえば、塩昆布(日高昆布)が連想されるが、戦国時代の出陣の際、勝ち栗や喜ぶなどの縁起を担いだ出陣式に醤油で炊かれた塩昆布は細目昆布を醤油で煮込んだものと思われる。 醤油で炊かれた塩昆布を火鉢の網の上に並べて乾燥させては醤油につけ、網の上で3回乾燥させたものを「汐吹き昆布」といった。 粉が表面に吹いているように見えるが、これは昆布のうまみ成分が結晶化したものである。 現在では、イノシン酸や昆布のグルタミン成分などの調味料をまぶす場合もある。 ● 発酵食品分野に昆布が登場 近年、発酵食品のひとつに発酵塩昆布が考案された。 もともと、昆布には硫酸其をもつ物質が含まれており、菌の繁殖を妨げていたのであるが、この硫酸基に影響を受けずに昆布を発酵させる菌が海底生物から見つかったことで、発酵塩昆布の開発に拍車がかかった。 昆布を発酵させる技術は、寶酒造、協和発酵キリン、こうはら本店がそれぞれ独創的な技術を持つ。 天然酵母が育てた塩昆布「舞昆」という新しい発酵食品を開発した「こうはら本店」は食品昆布発酵技術の先駆けであり、 サントリーが、岸田網太郎博士の乳酸菌技術を使った、昆布発酵健康食品を製品化に成功した。 発酵昆布には、血中のコレステロールを低下させる効果が発表されている。 ● 医療での利用 乾燥した昆布は水分を吸収すると膨張するという性質をもつ。 この性質を利用して、医療用拡張器の原材料として昆布が利用される。 子宮景頚管等の拡張に用いられるラミナリアがそれである。 原材料は主にオニコンブ(別名羅臼昆布)の茎根である。 ● 昆布の加工品 ■ 昆布茶 昆布茶(こぶちゃ・こんぶちゃ)は、コンブを乾燥させ細かく刻んだり粉末状にしたものに湯をそそいで飲む飲料。 軽く塩味をつけたものや、あられを配合したもの、玉露を加えたものもある。 飲料としてだけではなく、減塩のために塩や醤油がわりの調味料として用いられる場合もある。 また乾燥させた梅肉を配合したものは梅昆布茶(うめこぶちゃ)と呼ばれる。 現在はうまみ調味料が主体の粉末昆布茶が一般的であるが、2cm角に切った角切り昆布茶が登場し、昆布出汁の旨みが相まって人気が出ている。 フリーズドライの梅の粉末を角切り昆布茶にまぶした梅昆布茶は、最近では正月やおめでたい席にだす福茶の習慣に用いられることもある。 ■ 松前漬け 松前漬け(まつまえづけ)は、北海道の郷土料理である。 「松前」の名前のとおり、松前藩(現在の松前郡松前町周辺)の郷土料理が発祥。 元来は数の子が豊富にとれて余っていたのでそれにスルメと昆布をあわせ、塩で漬け込んだものであったが、 後に数の子がとれる量が減り、希少品となったため、スルメ、昆布を主体にした物が主流となり、
スルメと昆布のみを漬け込んだ物も増えて来た。 味付けも、味覚の好みの変化もあって醤油や醤油を主体に配合した調味液によるものへと移っていった。 乾燥したままのスルメと昆布の表面を濡れ布巾で拭いてからはさみで細切りにし、数の子は小さく切っておく。 人参、生姜はスルメ・昆布よりも細い千切りにする。 このように下ごしらえした材料に、酒、醤油、みりんを鍋に入れ、一旦煮立ててから冷ました調味汁をかけ、唐辛子(なんばん)をあわせて混ぜ合わせ、1週間冷所に保存して作る。 ただし、地元周辺のスーパーで売られている本場の松前漬けには人参・生姜・唐辛子などは入っていない。 スルメと昆布の旨味が程よく引き出され、昆布のぬめり、スルメと数の子の歯ごたえが心地よい食感を織りなす珍味である。 酒の肴にもご飯の友としても良く合う。 ■ 松前昆布 松前昆布(まつまえこんぶ)とは、 1、北海道松前町を産地とする昆布のこと。 2、昆布を細切りにしたもの。松前漬けなどに用いる。 3、昆布を薄く板状に削いだ白板昆布の別称。おぼろ昆布の一種。 元々は江戸時代に、松前藩が全国に昆布を流通させたことから、「松前」が昆布を用いた料理を指す言葉になった経緯がある。 関西で作られる押し寿司(バッテラ)をくるむ白板昆布のことを指すのは、江戸時代の昆布が大阪を中心に流通しており、そこから転じて後に「松前昆布」と言われるようになったため。 ■ 昆布〆め 昆布〆め(こんぶしめ)とは、富山県の郷土料理のひとつである。 こぶじめ、昆布締めとも呼ばれる。 刺身を昆布で挟んで冷蔵庫で1晩程度置いたもので、刺身と同様わさび醤油につけて食べる。 富山県は江戸時代より北前船で北海道から送られた昆布を大量に消費しており、その利用方法の一つがこの昆布〆めである。
こうする事で傷みが早い刺身が、数日持つすることが知られている。 昆布に水分を吸われて身が締まり、昆布の旨味(グルタミン酸等)が刺身に移ることで、元の刺身とはまた違った深い味わいとなる。
ブリやサス(カジキ)が一般的だが、タイ、イカ、甘エビ他、ほとんどの刺身に応用できる。
サワラのように肉の軟らかい魚では、刺身よりむしろ昆布〆めのほうが肉質が締まり食味も向上する。 魚屋などで加工された物が刺身と同様にパックで販売されているほか、余った刺身を使って家庭でも作られる。 食べる際に昆布をめくると糸を引く場合があるが、これは昆布由来のムチン質によるもので腐敗しているわけではない。 ただし、臭いをかいでみて腐敗臭がした場合はこの限りでない。 昆布は刺身からの水分を吸って柔らかくなっており、もちろんこちらも食べられる。 関西ではヒラメの刺身を数時間昆布に挟んで味を移す調理法もあり、同様に昆布〆めと呼ばれる。 ■ とろろ昆布 おぼろ昆布 とろろ昆布(とろろこんぶ、薯蕷昆布)はコンブを加工した食材。削りこんぶとも。 酢に漬けて柔らかくしたマコンブやリシリコンブの表面を糸状に削りとったもの。
おぼろ昆布も同種の食品であるが、こちらは糸状ではなく薄く帯状に削ったもののことである。 また、機械で削ったものをとろろ、職人の手になるものをおぼろという。 北陸地方では、使用する原料や加工方法などの違いにより、色々な種類のとろろ昆布が販売されている。 特に富山県は、とろろ昆布の消費量がとても高い。 これら北陸の県では各種とろろ昆布をガラスケースに陳列し、量り売りする専門店も存在する。 富山などの他には、敦賀市にも、おぼろ昆布の製造実演しながら売るという店も存在する(同じく、つくった物はガラスケースに入れ、量り売り)。 富山県でのとろろ昆布は黒色が基本である。 コンブの加工地の福井県は白とろろ昆布が主流。 京阪神や九州では、うどんに入れることが多い。 北陸では、のり弁当の様に弁当のご飯へ敷き詰めたり、お好み焼きのトッピングにも利用されている。 また、おぼろ昆布で包んだおにぎりも有名で、コンビニエンスストアで販売されるほどに普及している。 また、北陸地方の駅そばなどでは、とろろコンブをオプションで入れれるようにしている店舗も多く見られる。
■ 昆布巻き 煮上がりやすい昆布が原料。 干した昆布を水戻しして用い、にしん、さけ、たらこなどの具材を巻き、味付けは、醤油と砂糖などであまく煮たもの。 鰊の昆布巻き(にしんのこぶまき)は日本料理の一つである。 米のとぎ汁に一晩漬けて戻した身欠きニシンを芯にして、水で戻した昆布を巻き、かんぴょうで結んだあと、一般的な昆布巻きの要領で砂糖・醤油・酒などで味付けをし煮詰めたもの。 保存食でもあった身欠きニシンを食べるための定番の調理法の一つである。 ■ 酢昆布 各種昆布を砂糖と酢を合わせた調味液に浸して熟成させ、乾燥させてあります。 大正時代からあるお菓子。おつまみなどにも用いられる。 銘柄としては中野物産の「都こんぶ」が有名である。 海外旅行客や海外遠征のスポーツ選手などが、日本の味が恋しくなった時に食べる為に持っていく事が多いといわれる]。 ■ 塩吹き昆布 角切りや細ぎりの昆布を、水・醤油・みりん・砂糖などをあわせ長時間かけて煮て、最後に塩などをまぶします。 比較的、関西での需要が多いものです。 ■ 佃煮昆布 各種昆布を細ぎりや角切りにしたもの。 味付けはしょうゆと砂糖を甘辛く煮ます。 しいたけ、ごま、山椒、しそなどの具材と合わせたものも多くあります ■ ふりかけとろろ 薄く削ったとろろ昆布を細かいチップ状にしたものです。 ■ 白板昆布 霜地(下地)昆布とも呼び、おぼろ昆布を削った際に残る芯を使い、白くて薄い板状になった昆布。 バッテラや押し寿司、魚の昆布じめなどに使われ、また西日本ではお飾り用としておかがみには欠かせない昆布です。 ■ 納豆昆布 酢溶液に漬け、やわらかくしてから細かく刻んだものです。昆布の粘りを引き出したもので、納豆のようにそのまま醤油やねぎなどと食べます。 ■ きざみ昆布 干した昆布を塩水や酢水につけてから1〜5mmの細ぎりにし、乾燥させたものです。野菜といためたり、煮ものに用います。 ■ 根昆布 昆布の根元に近い部分です。 三角形で、とても固いのですが、一晩水に浸すとうまみがでてやわらかくなります。 ■ 結び昆布 昆布を裁断し、砂を落として結び、乾燥させたものです。 ■ おしゃぶり昆布 昆布を薄くスライスし、食べやすい大きさにしたものです。 歯ごたえがあり、昆布本来のうまみも味わえるお菓子です。 ■ りゅうひ昆布 蒸した昆布に、砂糖、みりん、酢などに漬けたり煮込んだりし、乾燥させたもの。 (りゅうひ昆布を白身魚にまいて食べるものをりゅうひまきと呼ぶ。) ■ 爪昆布 おぼろ昆布を削る際に固定しておいた削り残りの部分です。 佃煮に使用したり、製菓材料としても用います。 ■ すき昆布 薄い昆布を細かく刻み、四角にすいて乾燥させたものです。 水でもどしてから、煮物、炒め煮、酢の物などに用います。 ■ 昆布は無着色 昆布を加工するときは、やわらかくまた保存性を高めるために、まず酢酸溶液に浸します。 また、昆布は加工品も含め食品衛生法により着色を禁じられています。 ● 昆布の栄養と効用 ■ 昆布はヘルシー! ■ カルシウムが豊富! 国民栄養調査でも、日本国民のほとんどが不足しているカルシウムは、牛乳の6.0倍※も含まれています。 カルシウムは骨や歯の形成を助けます。 ■ 食物繊維がたっぷり! 昆布をはじめ海藻のヌルヌル成分に含まれる、水溶性食物繊維(粘質多糖類)であるアルギン酸とフコイダンがたっぷり含まれています。 ■ ヨウ素(ヨード)の含有量は食品中でトップレベル! ■ Uーフコイダン、F−フコイダン 1996年6月、宝酒蔵(株)バイオ研究所は、昆布などの海藻類に含まれる多糖類の一種、U―フコイダンが、ガン細胞を消滅させる働きがあると発表。 また、U―フコイダンとともに発見されたF―フコイダンには、老化防止に有効と言われているHGF(肝細胞増殖因子)の生産を誘導する作用があることも発表されています。 ■ ヨウ素(ヨード) 昆布にたっぷり含まれるヨウ素は、体内の代謝を活発にする働きがありますが、食べ過ぎると甲状腺の機能低下を引き起こします。 ■ 頭の回転のために 疲れが溜まっていては、思考力も鈍ります。 昆布には、ビタミンB1やB2がたっぷり。 これらのビタミン類には疲労を回復してくれる働きがあります。 また、昆布に含まれるアルギン酸は、頭の回転をよくする為には欠かすことができません。 記憶力を保つといわれているDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含む食品と一緒に食べると効果倍増! ■ 丈夫な骨のために 成長期のお子様はもちろん、骨がもろくなる高齢者、働き盛りの大人、そして出産のたびにおびただしいカルシウムを失う妊婦さんや授乳時の女性など、特に気を付けてカルシウムを補給すべきでしょう。 昆布(乾物)には、牛乳の約7倍ものカルシウムが含まれています。 ■ 胸やのどをすっきりさせるために のどの病気やタンが切れなくて困っている方の民間療法として「コンブ水」が広く活用されています。 ■ 風邪をひかないからだのために 受験生や小さなお子様をお持ちの方などはは特に、日頃から風邪をひかない体力作りを心掛けたいですよね。 昆布に含まれるヨウ素(ヨード)は、人間の成長を促進し、新陳代謝を調節します。 ヨウ素が極端に少なくなると、気力が衰えたり、疲れ易くなったりします。 ■ 消化力のために 食物繊維の豊富な昆布を食べると、小腸・大腸・すい臓の細胞が増え、たんぱく質を分解する酵素と糖質を分解する酵素の働きが活発になります。 昆布を毎日食べつづけることで、消化力を強める可能性があるのです。 ■ 血圧を一定に保ち、血管を強くするために 昆布に多量に含まれているアルギン酸は、日本人が過剰摂取しがちな塩分(ナトリウム)を効率よく対外に排出します。 そのため、高血圧や動脈硬化に抜群の予防効果を発揮し、脳卒中や心臓病を起こしにくくするのです。 また、ラミニンというアミノ酸は、一時的に血圧を下げる働きをしています。 ■ 血糖値を安定させるために 肉や加工食品などを食べると、身体は、ごくわずかですが酸性に傾きます。 こうなると、身体の細胞の働きが弱くなり、血糖値も自然に上がりやすくなります。 また、昆布に豊富に含まれている食物繊維は、糖分の消化・吸収を緩やかにする働きがあるため、ブドウ糖が過分に血液中に入り込むのを遅らせ、血糖値を調整するのに効果的なのです。 ■ アレルギーのために 年々増えつづけるアトピー性皮膚炎や花粉症でお悩みの方に朗報です。 ■ きれいな肌のために 甲状腺ホルモンが不足すると、肌がカサカサしやすくなります。 昆布には甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素(ヨード)がたっぷりと含まれており、適度な摂取は肌の新陳代謝を活発にします。 ただし、過剰なヨードは逆に甲状腺ホルモンを抑える働きがありますので、あくまでも適度な摂取をこころがけ、過剰な摂りりすぎにはご注意くださいね。 また、昆布に含まれるビタミンB2には、肌を美しく保つ働きがあります。 ヨウ素とビタミンB2を十分に摂っていれば、年齢よりずっと若く見られるかも!? ■ ストレス解消のために 子育てのストレス、夫婦間のストレス、仕事のストレス。 ストレスは生きていれば誰もが感じるもの。 しかし、たまったストレスは美容にも悪影響。 ストレスがたまった時、カルシウムの吸収を良くすると、イライラする気持ちを和らげます。 昆布にはカルシウムがたっぷり含まれています。 消化吸収を助けるために、酢と一緒に食べるのが効果的! ■ ツヤのある髪・爪のために 科学的な根拠は定かではないものの、昆布が白髪の予防になるというのは昔から伝えられています。 昆布に含まれるミネラル分には新陳代謝を高める働きがあります。 また、昆布の中のビタミンB1は疲労回復の働きがあります。 普段から疲れやすく、その疲れから髪やツメがパサパサしやすいという人は、昆布を積極的に食べるよう心がけて。 ■ スリムなボディのために カロリーがないのにビタミンやミネラルをとることができる昆布を利用したダイエットは、理想的な減量法といえそう。 昆布は胃の中で水分を吸収して量が増すので、満腹感を味わえます。 また、昆布に含まれる豊富な繊維とアルギン酸は、腸の働きを活発に。 ● 昆布の選び方 よく乾燥していて肉厚で、香りがよく、緑褐色の艶やかな物が最高の品。 浜のもつ独特な地質や潮の流れなど、昆布の育つ環境の微妙な違いが品質に差をつけるのです。 昆布の表面の白い粉は、汚れやカビではなく、マンニットという甘味のある炭水化物の一種です。 ● 昆布の保存方法・利用方法 湿気の少ない、乾燥した場所に保存することが大切です。 長期に保存をするときは、使いやすさも考え、1回づつ使う目安量として10cm〜15cmに切っておき、他の臭いが移らないようにビニール袋または密封容器に小分けして空気を出来るだけ抜いて封をし、冷蔵庫か冷凍庫に保管します。 常温保管する際は、湿気の少ない乾燥した場所であれば風味を損なうことはありません。 昆布の表面には白い粉がついていることがあります。 これは、うまみ成分に海水の塩分が作用してできる『マンニット』という成分です。 使用する際に、水洗いするとおいしい成分が流れてしまいますので、乾いたふきんまたは水と酢を半々あわせたものにふきんを浸し、固く絞って汚れやごみだけを落とす程度に軽くふくようにしてください。 ● 昆布だしの取り方 ■ 1番だしのとり方 【材料】 昆布…20g (利尻、真、羅臼昆布は特においしいだしがとれます。) かつお節…30g 水…1000ml ●鍋物料理以外にお使いの方、またはあっさりがお好みの方 昆布…10g かつお…10〜15g 水…1000ml ★ 1番だしはうま味の強い最高のだしとして、あらゆる料理に使われますが、 特に吸い物などベースの味でうまさが決まるものなどに利用されます。 2、鍋に水と昆布をいれ、中火にかけてください。 3、約10分かけてだしを沸騰させ爪がたつくらいの固さになったら昆布を取り出します。 4、だしが沸騰してきたら少しのさし湯で沸騰を抑え、カツオ節を加えます。 5、ひと煮立ちしたら、火を止め、あくをすくい、かつお節がしずむみ始めるまでおいてください 6、かつお節が沈みはじめたら、キッチンペーパーやふきんなどで濾してください。 ■ 2番だし のとり方 【材料】 ★ 2番だしは、素材や他の調味料をも引き立てるため、中立的なうまみをもち、煮物や赤だしなどに利用されています。 1、鍋に1番だしをとった後の昆布とかつお節と水をいれ、強火にかけてください。 2、ひと煮立ちしたら弱火にして10分間にて、かつお節を加えてください。 3、火をとめて、あくをすくい、かつお節がしずむみはじめるまでおいてください。 4、かつお節が沈みはじめたら、キッチンペーパーやふきんなどで濾します。 ■ 昆布だしのとり方 水出し編 【材料】 1、昆布の表面を、固く絞ったふきんでさっとふきます。(水洗いはしないでください。) 2、分量の水に昆布を10時間つけ、昆布をとりだしてください。 ■ 昆布だしのとり方 湯出し編 【材料】 昆布…30g 水…1000ml ★ 鍋物料理以外にお使いの方、またはあっさりがお好みの方 2、分量の水に昆布を30分つけ、中火であくをとり、煮立つ直前に昆布をとりだしま す。 ★ 昆布だしは、具の香りや味わいを生かすことのできる控えめな香りのだしが取れます。 【注意1】 長時間昆布を水に浸したり、煮てしまうと水の中にぬるぬるした成分や海藻の臭みなどが溶け出し、風味が損なわれてしまいます。 【注意2】 かつお節は絞ると、だしがにごりますので注意してください。 【注意3】 和食のだしをとる際、硬度の低い水(50.0以下)が適します。 ● だしを取った後の昆布活用法 だしを取った後の昆布、捨てないで! ちょっとした一手間でおいしく食べられます。 そのまますぐに調理に使うか、すぐに使わない場合は、3cm角くらいの使いやすい大きさに切って、ラップで包み冷凍しておいて、ある程度の量になったら、佃煮にしたり、昆布ふりかけやあめかけ昆布、塩昆布などに変身させちゃいましょう。 ここでは、そんなだし取り後の昆布を使ったおいしいレシピを紹介します。 ■ 自家製塩昆布 【材料】 ・だしを取った後の昆布 100g ・水 3+1/2カップ 【作り方】 1、だしを取った後の昆布をハサミで細切りにして鍋に入れ、昆布がひたるくらいまで水を入れる。 2、1.の中に、(A)を全て入れ、落としぶたをし、弱火でコトコトと煮詰める。 3、水分が少なくなったら、焦げないように時々木べらでやさしくひっくり返すように混ぜる。水分がなくなり、煮詰まったら火を止めて冷ます。 4、3.が冷めたら、粉末状にしたかつお節をまぶしてできあがり! ■ 昆布の佃煮 【材料】 ・だしを取った後の昆布 25g ・しょうゆ 大さじ1〜2 【作り方】 1、昆布は1〜3cm角の大きさに切る。 2、小さめのフライパンで、しょうゆ、みりん、少量の酢を加えて、さっと炒める。 3、全体に調味料が行き渡ったら、かつお節を入れてからめ、出来上がり! ※ お好みで、ゴマ、やわらかく炊いた大豆、山椒などを入れてもおいしいです。 ■ 昆布のふりかけ 【材料】 ※分量は全てお好みでOK! 【作り方】 1、だしをとった後の昆布は小さくハサミで切って、カラカラになるまで干しておく。 2、ミキサーもしくはフードプロセッサで、乾燥した昆布を細かくする。 3、昆布とかつお節が均一に混ざったら、いりごま、青のり、塩、七味唐辛子などをお好みで加え、かきまぜてできあがり。 ■ しっとりしたソフトタイプのふりかけが好きな方は、だしを取ったあとの昆布を、乾燥させずそのまま細長く切り、しょうゆ・みりん・砂糖などを入れて煮て、煮汁がなくなった段階でかつお節を入れます。 その後、いりごまや七味などをお好みで加えてください。 ■ 昆布と大豆の煮物 【材料】 ・乾燥大豆: 1カップ(140g) ・だしを取ったあとの昆布: 100gくらい 【調味料】 しょうゆ:大さじ3 ※お好みで砂糖、みりんなどを入れてもOKです。 【作り方】 ※このレシピは活力鍋を利用しています。 活力鍋がない場合は圧力鍋を使っていただいてOKですが、加圧時間はお使いの圧力鍋の説明書を読んで調節してください。 1、大豆は前の日から水につけておき、戻しておく。 2、鍋に大豆と昆布を、活力鍋にそれぞれ入れて、水200cc、しょうゆ大さじ3杯を入れます
(今回は減塩しょうゆを使用)。 3、オモリがふれてから1分間で完成! ● 海藻とは 水の中の植物で、根・茎、葉の区別がはっきりしないものを藻という。 そのうち海中で生育しているものを海藻と呼びます。 海藻類には色によって以下の3種に分類されます。 ★ 【緑藻類(リョクソウルイ)】 アオノリ類など ★ 【褐藻類(カッソウルイ)】 こんぶ、わかめ、ひじき、もずく、めかぶ など ★ 【紅藻類(コウソウルイ)】 アマノリ類、トサカノリ(鶏冠菜)、フノリ(布海苔)、オゴノリ(於胡苔)など 緑藻類や褐藻類、紅藻類の名前は色の違いによってわけられます。 色の違いは、海藻のはえている場所の水深、つまり太陽の光が届く量に左右され、浅瀬になるほど地上の植物に近い色つまり緑色になり、深さにつれ褐色→紅色と変化するのです。 ■ 海藻と海草の違いについて 北海道沿岸では、スガモやアマモが知られています。 また、海藻は海中にはえる藻類を指し、花は咲かず、胞子によって子孫を増やします。多くは食用とされます。 ■ 昆布の一生 昆布類の多くは多年生藻で、一般的には2〜3年の寿命を持ちます。 採取されるものは、ほとんどが2年生で、十分に成長したものが選ばれます。 1、遊走子(ゆうそうし)が放出 2、遊走子は、昆布の幼体となります。 3、大きく成長しはじめます。 1年目の昆布は水昆布と呼ばれます。
水昆布の葉体の先端の古い部分が枯れ始めます。 4、再び、成長活動が活発化。 古い1年目の葉が枯れていき、その葉体の下から新しい組織が出来てきます。
→この現象を 「突き出し」と呼びます。 * 水昆布は、葉も薄くとても小さなもので、水昆布を商品として採取することは殆どありません。 水昆布はその着生の状態で次年度の作況の目安とされます。 5、2年目の昆布は、1年目の水昆布とは長さ、葉幅、厚さなどがまったく異なったものとなってしまいます。 これは1年目の水昆布がそのまま育つのではなく、まったく生え変わり別のものとなるためです。 ■ 昆布の採取から出荷まで 昆布は外海に面した5〜8m程度の比較的浅瀬の岩礁地帯に生育することが多いのですが、生育水深は潮流の強さ、水の透明度等により異なり、噴火湾では5〜6m、津軽海峡では7〜8m、場所により20mの深さから採取されることもあります。 上質の昆布は緑がかった褐色でよく乾燥し、つやがあり、香りがよく、肉厚のあるものです。 逆につやがなく黄色がかったものは味が落ちます。 また、時期はずれに採取されたものは、色が黒々しており、だしも十分にとれません ★ 昆布漁へ 昆布船で昆布を採取します。 晴天で波のおだやかな日、早朝から8時ごろにかけて、船の上から鉤(かぎ)などの道具を用い、引っ掛けて巻きつけて採取します。 ★ 日干し 採取された昆布の根元を切り落とした後、すぐに日干しします。 ★ 干しあがった昆布の取り入れ 夕方には、干しあがった昆布を取り込み、屋内で堆積してむしろで覆い、平らにのばします。 ★ 結束→出荷 乾燥した後は、一定の長さに切断、または、結束(束ねること)します。 ■ 昆布のいろいろな区分 昆布は生育する場所により、品質、風味などの商品上の価値に大きな違いが現れるため、種類・性状・用途などによりたくさんの銘柄と等級に分けられています。 【棹前(さおまえ)】 5月1日から通常の採取期日(7月10日〜7月20日ごろ)までに採取される2年生のもの。 【夏採[走(はしり)]】 解禁日(だいたい7月10日〜7月20日ごろ)から9月10日前後までに採取したも の。 【秋採[后(ご)]】 9月10日前後より終漁期までに採取したもの。 【拾(ひろ)い】 時化など何かの理由で漂着した昆布で成昆布のもの。 【水(みず)】 1年生(若生い)昆布のもの。 【囲(ひね)】 前年度に生産されたもの。 ※ 上記のほか、干場を区分した砂付き・無砂・草干。 ■ 昆布の加工調整(製品)による区分 長さ、葉重量、葉幅、結束などにより規格化され等級が定められます。 ●元揃(もとぞろえ)昆布 以前は長いまま根元をそろえ、その何箇所かを昆布で作った縄でしばって製品としていました。 現在は、根元をそろえるのは同じですが、羅臼昆布はほとんどが75cm、真昆布は90cmの長さに折って結束します。 ●長切(ながきり)昆布 昆布を75cmから105cmの一定の長さに切りそろえて結束したものです。 ●棒昆布 20cm〜60cmの短い長さに切り結束したものです。 ●折昆布 切らずに27cm〜75cmの一定の長さに折りたたんで結束したものです。 ●雑昆布 切り落とし部分、品質不良品、色の悪いものなどで上記の4種類の規格にあわないものを俵詰めにしたものです。 ■ そのほかの昆布の格付けと分類 【種類】 真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高(三石)昆布、長昆布など。 【育成法】 天然、養殖(促成)の順の格付けとなります。 【浜格差】 昆布は発育する場所(浜)により、品質や正常などに微妙な差が生じます。 その年により多少の変動がありますが、浜別の価格構成を行います。 【検査等級】 同じ浜の昆布であっても、葉のかたちや選別、光沢などから1等〜6等までの格付けが行われます。 【生育深度】 発育場所の深さ(深度)などにより「沖」と「岸」にわかれ、一般には「岸」の方が格上です。 |
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![]() 石川県認定 |