能登の生産の巧が作りました
あんたの作ったものは何でも欲しい。
能登の赤土で美味しい里芋を作って欲しい。
それから4年経過しました。
奥能登赤土ならではの
味になったのではないでしょうか。
石川県珠洲市正院
みなくち農園の赤土栽培
さといも(里芋)
 
● 能登の生産の巧 皆口和博さん
能登の先端珠洲市で、安全安心・本物づくりを志向する(有)みなくち農園、代表者・皆口和寛さんは、平成13年、石川県のエコ農業者の認定を受けました。
能登の赤土を生かした農産物つくりの名人で、殊に、そのスイカの美味しさには、毎年多くのフアンがその季節の到来を待っています。
皆口さんの栽培する「能登大納言」も有名で、老舗の和菓子屋さんにとっては、欠かせない大切な素材となっています。
 みなくち農園が栽培するものは何でも美味しい。ネギやサトイモも大好評。生命力があるから日持ちもする。
みなくち農園さんを指定するスーパーさんからは、消費者の評判もよく、「あんたの作ったものは何でも欲しい」と高い評価を受けています。
皆口 和寛さん(右)と息子さんの皆口英樹さん(左)
 
● あんたの作るもんなら何でも欲しい
そんな言葉に力が湧いた
みなくち農園はホタルが生息する水のきれいな珠洲市岡田にあります。
近くには毎年、ハクチョウが飛来します。
里山里海自然学校の運営委員でもある皆口さんは、「おらうちのスイカを食うたアリは糖尿病になるし、サツマイモ食うたモグラは屁まで臭い。ガハハハ」と冗談を言う面白いおじさんです。
 皆口和寛さんは、いつもニコニコしているおじさんだ。そして美味しい作物を作る農家の人だ。
金沢大学が委嘱している里山駐村研究員で、農業に従事しながら地域の活性化に取り組んでいらっしゃいます。
地区の農地の半分くらいを耕作している。甘さに定評のあるスイカ、珠洲大納言の小豆、米、ねぎ、里芋の栽培もしている。
里芋は、近年金沢に山側環状道路が開通したのに伴い、市内大桑の産地がダメになって、「やらないか」と誘われた。里芋は五年間連作できないため面積の確保が必要になるが、農地の点でみなくち農園はクリアできた。
適地適作も重要で、里芋に土質が合う場所であることも必要だったが、大桑や富山の福野の生産者にもほめていただけるものができた。
 
息子さんの皆口英樹さんは、大学卒業後、都会で五年間働いていた帰ってきた。
農業は未経験だが、楽しみが見出せる仕事と考えている。
珠洲で行う農業は、広い農地があることをメリットに変えていける。
 
珠洲で人口が増えるのはGWとお盆。春のイチゴ狩り、夏のぶどう狩りをすすめてくれる人もいる。能登の美味しいものから、旅人へのもてなしも生まれてきそうだ。
 
《郷土の里芋料理紹介》
● 里芋のふぶきだおれ(きな粉まぶし)
【材料】
サトイモ・だし汁・砂糖・醤油・塩・みりん・きな粉
【作り方】
@サトイモは皮をむき、塩水できれいにぬめりを取り、水で洗う。
A洗ったサトイモを塩少々入れ、水から15分、アクを取りながら茹でる
B鍋にサトイモとだし汁を入れ、味付けし、落し蓋をして中火で20分煮る
Cサトイモを少し冷ましてから器に盛り、きな粉をまぶす
 
* 塩でもんでヌメリを取ってから、さらにゆでこぼして、ていねいにヌメリを取る
* ゆでこぼしたら、水をはったボウルに入れて、大きく混ぜながら洗い、ヌメリをさらに取る
 
吹雪の中に倒れると、体に雪がまつわりつく様子を料理に表した?
この料理は、昔からお祭り、年忌、法事、家の建ち前祝いなどの冠婚葬祭によく出された一品。
(親芋から小芋、孫芋がどんどん出来るので子孫繁栄の象徴として縁起物扱いされたため)
芋のぬめりときな粉の香ばしい香りは上品な味わい。
 
里芋料理にはどこか懐かしい土の香りが残っていて、 食物が大地の恵みである事を思い出させてくれます。 太古の昔に人々が豊穣を祝ったことに思いを馳せる・・・そんな力を秘めた食材です。
親芋から子芋、孫芋がどんどんできるので、子孫繁栄の象徴として、お正月や行事などの料理によく使われています。
秋の名月には団子を供えますが、これは昔里芋を供えていたなごりです。
 
● 里芋の歴史
原産地は東南アジア地方で、日本へは稲作栽培よりも早く縄文時代に伝わったといわれています。山ではなく里で栽培されていたことから『里芋』と呼ばれるようになりました。
里芋の原産地は、インド東部からインドシナ半島にかけてという説が有力です。少なくとも紀元前3000年ごろにはインドで栽培されていたようです。
そこから、原始マライ民族の移動とともに、フィリピン・ミクロネシア・ポリネシア・オーストラリア・ニュージーランドに至る太平洋一帯に広がりました。現在でも「タロ(タロイモ)」として利用されており、多くの民族・地域で重要な主食となっています。
1世紀ごろ、古代インドからアフリカ、ヨーロッパへも伝わっていきましたが、ヨーロッパではほとんど食用にされませんでした。
 
日本への渡来については、紀元前に中国から渡来したという説と、南方から太平洋諸民族の渡来により伝えられたという説があります。
日本で稲作が始まったのは弥生時代ですが、稲の渡来(縄文晩期)より古いとされています。それ以前、縄文時代に焼き畑農業が行われており、その中心作物は里芋で、里芋は稲作以前の主食だったと考えられています。
日本に定着した里芋は、タロイモ類の中で最も北方の風土に適した系統のものでした。
 
里芋は、「ウモ」とか「イエツイモ」と呼ばれていました。ウモはイモの古語です。イエツイモは、以前から山野に自生していたヤマノイモに対して、家で栽培するイモという意味でつけられました。
じゃがいもやサツマイモが伝わるまでは、芋と言えば里芋でした。
 
里芋の記録として最も古いものは『万葉集』にあります。
蓮葉(はちすば)は かくこそあれも おきまろが
いえなるものは 宇毛之葉にあらし
長意吉麻呂(ながのおきまろ)
「蓮の葉は、このような葉の事をいうのだろう。我が家にあるものは、どうもサトイモの葉のようだ」と歌っています。(一説では、よその美しい奥様と自分の妻を比べている、とも言われているそうです。)
また、平安時代の『延喜式』には、里芋の栽培方法が記されています。
当時、主食としての穀類があまり豊かではなかった中で、里芋は重要な作物であったと考えられます。
 
じゃがいもやさつまいもが食べられるようになるのはずっと後、江戸時代のことです。
「里芋」という名前は、(古代の呼び名と同様ですが、)山芋に対して、里で作る芋というのが由来です。
他に、「田芋」、「畑芋」、「家芋」などの呼称があります。
 
●里芋の品種
サトイモ科サトイモ属。山で採れる山芋に対して、里で採れるので里芋。
芋は茎が太ったものです。
畑でも田んぼでも栽培され、アジアを中心に広い範囲で200種以上が作られて人々の食生活を支えています。
もともと熱帯性の植物なので、寒さには弱く、東北地方が栽培の北限です。
浅く植えると小さな子芋がたくさんでき、深く植えると子芋の数は少ないのですが、一個一個が大きくなります。
 
●里芋の種類
植え付けた親芋を食べる種類、親芋からできる子芋を食べる種類、親芋・子芋の両方を食べる種類、 及び茎を食べる種類に大別されます。
 
● 小芋を食べる種類
◆ 土垂(どだれ)・・・葉の先端が長く伸び、地上に垂れ下がるので土垂と言われます。 ぬめりが多く美味しい。
現在、関東地方では最も多く食べられています。
◆ 石川早生(わせ)・・・大阪の羽曳野(はびきの)近辺の石川村で栽培されていました。直径3cmと小型で、 ヌメリが多く美味しいサトイモです。
今では広く全国で栽培されています。衣被(きぬかつぎ)に最適。
 
● 親芋・子芋の両方を食べる種類
◆ セレベス・・・一部が赤みがかっています。インドネシアのセレベス島から移植されました。ヌメリが少なくしっかりした肉質で、 煮物にむきます。一時期、市場の人気品種でした。
◆ 八頭(やつがしら)・・・植え付けた親芋があまり成長せず、まわりにできた小芋の成長が早いので、 親芋を中心に小芋が合体した独特の形になります。
くっついた小芋が八個の頭のように見えるので、 八頭。(ちなみに中国では九面芋と呼ばれます。)
ホクホクした歯ごたえ。ヌメリが少なくアッサリした味わいで、 煮崩れしにくいので煮物にむきます。
末広がりの八と、人の頭になるという名前の縁起をかついで、おせち料理に使われます。 12月中〜下旬に出回ります。
◆ 海老芋(えびいも)・・・京料理で有名ですが、実は静岡の遠州地方の特産。
もともとは唐芋という品種。 植えてから土寄せを工夫する事によって、海老の尾のように曲がった形に作ると言います。
京料理の芋棒はこの海老芋と棒鱈(ぼうだら、カチカチに乾したタラの干物)を炊き合わせた料理です。
 
● 親芋を食べる種類
◆ たけのこ芋・・・親芋が長く成長して地上まで顔を出します。
きめ細かくしっかりした肉質で美味ですがアクがあるので下ゆでをしてアク抜きを十分に。
◆ 田いも・・・親芋を食べる種類。田んぼで栽培されます。
 
●茎を食べる種類
◆ はすいも−青芋茎・・・芋茎(ずいき)
茎を食べる芋茎には、赤芋茎、青芋茎、白芋茎の3種類があります。
青芋茎は茎を食べる専用品種で、 茎の切り口に”はす”のように穴がたくさん開いているので”はすいも”とも呼ばれます。 (と言っても、ハスの穴というよりはスポンジのようになっています。)
肥後芋茎はこの青芋茎を干したものです。
赤芋茎は海老芋や八頭の茎です。
白芋茎は、茎を食べるために日光に当てずに柔らかく栽培したものです。
生の芋茎は皮をむいて調理します。芋茎の皮をむいて干したものが”芋がら”で、乾しいたけなどとの煮物によく使われます。
 
●里芋の旬
全体的には秋が旬ですが、品種によって異なります。
最も早く出てくる石川早生は8月〜9月。 土垂は9月〜10月。セレベスと八頭は12月頃です
 
●里芋の調理法
◆ 衣被(きぬかつぎ)・・・石川早生を、ゆでただけで塩で食べる衣被(きぬかつぎ)がシンプルでおいしい。
(衣被とは、昔の女性が頭と顔を隠すために頭から肩にかけていた布の事です。 ゆでた里芋を押すと皮から中身がスルッと出てくる様子が、 女性の頭の布がスルッと取れて白い肌が現れる様子に似ているという所からつけられた名前)。
◆ 芋煮・・・山形など東北の風物詩。
秋に採れた里芋と牛肉(豚肉、または鶏肉)、 しらたきなどを入れた具たくさんの鍋を醤油・酒・砂糖少々で味付けして大勢で食べます。
◆ サトイモのダンゴ・・・石川芋を軽くゆでて皮をむき、串に刺して火であぶると美味しい。ワサビ醤油が良く合います。
保存する時は、ぬらした新聞紙に包んで冷暗所におきます。乾燥に弱いので。
 
●里芋のヌルヌル成分が胃腸を守ります
民間療法や漢方などでは、里芋は主に胃腸の働きを助け、調子を整えるとされています。また、現在のように医薬品が簡単に買えない時代には、打ち身等の炎症をしずめるための湿布役としても利用されていました。
 
薬効があるとされるヌメリ成分は、ガラクタンやマンナンなどの多糖類とタンパク質が結合したもので、ムチンと呼ばれています。このムチンは、化学的にもその機能性について研究が重ねられています。
 
ムチンは、食べ物だけに含まれている成分ではなく、器官や消化器官、粘膜などの表面を覆っています。過剰に分泌される消化酵素から胃粘膜を守り,胃炎などを予防すると言われています。
ムチンが、免疫力を高めるというのは、こうした粘膜や呼吸気管を保護することにつながるためと考えられます。ムチンは、体の中でグルクロン酸を生じさせ、肝臓で、毒を排出させる働きがあるので、肝臓を守るといわれています。
 
ガラクタンは、 ガラクトース(単糖類)がいつくか結合した水溶性の食物繊維で、脳や神経の成分となり、脳細胞を活性化させる作用があると言われています。ガラクタンとマンナンは、食物繊維ですから、腸を刺激して便秘予防・改善に役立ちます。
 
さらに近年は、里芋に含まれるジガラクトシルジアシルグリセロールという成分が、コレステロールの生成を抑え、脂質異常の改善や予防に役立つとも言われ注目されています。
 
味覚の秋でおいしいものをついつい食べ過ぎて、胃が疲れたり、便秘したりしやすい時には、里芋に役立つ成分が含まれている。旬の出会いのものを食べると、うまく健康を維持できるように、自然は恵みを与えてくれているものだなと思います。
 
ただし、これらはあくまで里芋に含まれている成分の機能性について紹介したもので、里芋を食べれば病気が治るというものではありませんし、またどれくらい食べれば効果があるのか、ということなどは明らかになっていません。
食べ物には、健康に役立つ様々な成分が含まれているということです。
 
他に、里芋の栄養面では、他の芋類と比べてカリウムが多く含まれ、カロリーが低いのが特徴です。
 
● 里芋の選び方と保存方法
泥付きで皮に適度に湿り気があり、丸く太ったもの、持った時にずっしり重く指で押しても硬いものが新鮮です。
さといもは乾燥に弱いので、乾燥して古くなると表面がひび割れたりします。ひび割れたものは避けましょう。
保存するときは、湿らせた新聞紙で包むか紙袋などに入れ、風通しのよい室内で保存します。低温・乾燥に弱いので冷蔵庫には入れないでください。
● 里芋の皮むき
里芋の皮むきはなぜかゆいのでしょう?
さといもは、皮に近い部分にシュウ酸カルシウムの結晶があって、この小さな結晶が皮膚に刺さり、かゆみを起こしてしまうのです。
このかゆみを防ぐには、洗って乾かしてから皮をむくか、手を酢水につけたり、塩をつけてから皮をむくとよいでしょう。
 
● 里芋の栄養・効能
里芋は、主食代わりとなるほどの糖質を含み、ビタミン、ミネラル、植物繊維も豊富で、栄養価の高い野菜です。
芋類はいずれも穀類と野菜の性質を併せ持っていますが、里芋は野菜の性格を強く持っている芋だと言えます。
タンパク質・脂質は少なく、芋の中では水分が多く、芋類の特徴である炭水化物もそれほど多くはなく、カロリーは芋類の中で最も低く、ごぼうと同じくらいです。里芋のでんぷんは加熱すると非常に消化・吸収がよくなります。
 
ビタミン類では、ビタミンB1が多く含まれています。B1は糖質がエネルギーになるときに働くビタミンで、一般に糖質をたくさん含む食材には豊富に含まれています。また、里芋のビタミンCは加熱しても壊れにくいことが特徴です。
 
ミネラル類ではカリウムが大変多く、その他、カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅などをバランスよく含んでいます。カリウムは、血圧を上昇させるナトリウムを体外に排泄することにより血圧を下げて、高血圧の予防・改善を促します。
 
特筆すべきは里芋独特の「ぬめり」です。このぬめりは、マンナン・ムチン・ガラクタンなど多様な成分から構成されています。近年、さまざまな効能が知られるようになりました。
マンナンは水溶性植物繊維で、便秘の予防・肥満防止・糖尿病予防・コレステロール低減などの作用があります。こんにゃくに多量に含まれている成分です。
ムチンは、胃の粘膜を保護したり、肝臓や腎臓の働きを助けたりするほか、細胞を活性化して老化を予防するとも言われています。
ガラクタンも食物繊維の一種で、腸の働きを活発にして便通をよくしたり、血糖値や血中コレステロールを低下させ、生活習慣病の予防に効果があります。また、脳細胞を刺激し、新陳代謝と免疫力を高めるので動脈硬化や潰瘍を防ぐともされています。
 
また、ずいきは繊維質が多いので、便秘予防に有効です。ずいきの成分のほとんどが水分ですが、干すことによって、タンパク質・炭水化物・繊維質・ビタミンB1・B2、そして特にカルシウムとカリウムが多くなります。
 
● 里芋の風習・行事
◆ お正月のお雑煮に
お雑煮には、普通、お餅を入れますが、これは私たちの先祖の、米に対する感謝と畏敬の念をハレの膳に表したものだとされています。
ところが、奈良・京都を中心とした関西地方では、お雑煮にお餅とともに里芋を入れます。鹿児島など地方によってはお餅は入れず、大きな八つ頭だけ、というところもあるようです。
このように、ハレの膳をお餅あるいは里芋で祝うということは、里芋もお餅と同じくらい大切な食べ物であったということだと考えられます。
◆ 芋名月
旧暦8月15日の夜に月見をする「中秋の名月」の風習がありますが、このとき、月見団子や里芋を供えます。このことから「芋名月」とも言われています。
この月見の宴をはじめとして、里芋は、古くから儀礼食に欠かせない食材でした。
◆ 山形県を中心とした東北地方の秋の風物詩「芋煮会」
秋の里芋の収穫期に、河川敷などの野外で、里芋・こんにゃく・ねぎ・肉などを大鍋で煮て、大勢の仲間と食べるという楽しい行事です。芋煮祭りの変形したものだと言われています。職場などで恒例行事になっているところもあるそうです。
名称や芋煮に使う材料・味つけは、地域によって異なり、いろいろなものがあるようです。

石川県認定
有機農産物小分け業者石川県認定番号 No.1001