山ちゃんの食べもの考

 

その12
 

無添加・無着色、魚介乾燥珍味が届けられた。

 息子ほどの年齢だが、本物の食べ物普及に情熱を燃やすりっぱな青年がいる。食べてみてくれと「北海道根室産、無添加・無着色の珍味」を届けてくれた。これがまたとてもうまいのだ。昔のスルメの香り、それぞれ良質な素材が持つ旨味と良質の天然調味料ならではのふくよかな風味が噛むほどに淡白ではあるが飽きのこない味わいとなって、次から次へと手が伸びる。ついついアルコールが定量を越えてしまった。

 化学調味料について考えを書こうとしていたところにたまたま届けられた本もの志向の珍味である。添加物の王様といわれる乾燥珍味の世界であるから、全く無いわけではないが、よほど良心的な店でない限りめったにお目にかかれる代物ではない。あなたの行きつけのスーパーやコンビニの珍味コーナーで使用原材料をしっかりと確かめてください。

 ご紹介しましょう。彼の持参したすばらしい珍味を。

その@
 北海道道東近海で漁獲された鮭を化学調味料・合成保存料・人工着色料を使用せず昆布・鰹・しいたけの天然だしで調味し皮をとり食べやすくスライスしました。原材料名:酒、砂糖、食塩、昆布醤油、昆布だし、かつおだし、しいたけだし、品名「無添加・無着色 キラリサーモンワン」

そのA
 北海道で漁獲された新鮮な「蛸」を化学調味料・合成保存料・人工着色料を使用せず昆布・鰹・しいたけの天然だしで調味し香ばしさと旨味を加えるため焼きを入れ食べやすいように一口サイズにロールをかけました。原材料名:蛸、砂糖、食塩、醸造酢、昆布醤油、昆布だし、かつおだし、しいたけだし、品名「無添加・無着色 やわらか豆たこ」

そのB
 北海道で漁獲された新鮮な「烏賊」を化学調味料・合成保存料・人工着色料を使用せず昆布・鰹・しいたけの天然だしで調味した烏賊の素干しです。するめの美味しさをお楽しみください。原材料名:いか、砂糖、食塩、昆布醤油、昆布だし、かつおだし、しいたけだし、品名「無添加・無着色 これでもするめ」

そのC
 原材料名:いか、砂糖、食塩、昆布醤油、昆布だし、かつおだし、しいたけだし、品名「無添加・無着色 あたりめソフト」

そのD
 品名「無添加・無着色 いかすみあたりめ」

そのE
 品名「無添加・無着色 焼きスルメそうめん」

そのF
 流氷が去った後の昆布漁の初めの頃の昆布を昆布、かつお、しいたけのだしに、梅ニク、醸造酢でじっくり煮込み食べやすくソフトに仕上げました。味付けしておりますので、そのままむしって、お召し上がりください。 無添加。化学調味料・合成保存料・人工着色料は一切使用しておりません。

 ではどんなだしや醤油を使っているのか。じつはこのメーカーは、化学調味料・合成保存料・人工着色料を使用しない昆布醤油や味噌やだしの発売元であったのである。大切な事は、よほど自信のある新鮮な良い原材料を使わないことには、無添加でこれはうまいというものは作れないということである。

 化学合成添加物でどんな食感も香りも色もうま味も作れるのです。連日猛暑続きですが、冷たいビールの肴に粗悪な素材を使って化学調味料や防腐剤・着色料など添加物漬けの珍味など、食べ過ぎにご用心を。

 

なぜ、化学調味料が必要なのか、どうしても必要なのか。

 なぜ、化学調味料や合成添加物が必要なのか。どうしても必要なのか。科学的に説明しろといわれても私には分らないから答えられない。だが、しかし、はっきりといえることがある。「良心的な本物といわれる食べ物には、化学調味料や合成添加物は使われていない」ということである。

 わずか40〜50年前までは、化学調味料や添加物がこれほど使われないのが当たり前であり主流だったのです。みんなで渡れば何とやらで、巨大メーカーを筆頭に、ほとんどの加工食品に化学調味料・合成添加物が使われており、無使用無添加のものはきわめて稀です。

 食生態学研究家の西丸震哉先生が、「寿命41歳説」を著してから何年も経ちますが、食品添加物が急激に使われだし、インスタント食品をはじめ粗悪な加工食品が氾濫しだした昭和34年以降生まれの日本人は短命になると驚異的な警告を発しました。日本人の平均寿命が延びているとはいえ、現在長寿で元気にお過しの方々は明治・大正生れで、よく働き、決して豊かとは言えない伝統的な一汁一菜という粗食であり、現代の添加物づけ食生活とは全く縁遠い食生活をおくって来られた人たちです。

 世界保健機構の発表で、日本人の平均寿命は71歳、健康寿命は64歳と報告しています。寝たきりであろうが痴呆になろうが生きていればカウントされるのが平均寿命。元気で暮らせるのが健康寿命です。年老いた親が元気で、子供の葬式を出すという「逆さ仏現象」は食生活に起因すると警鐘を鳴らす先生方もいらっしゃいます。

 本来、食べ物には化学調味料や添加物は必要とするものではありません。危険な添加物の使用なしでは作り上げることのできないような加工食品は、そこまでしてこの世に必要のない代物かもしれません。

 化学調味料や添加物の使用は、普通の食べ物に単に添加するというものではありません。決して消費者のプラスにはならない、しかも、発ガン性や催奇形性その他の有害性が指摘されている化学調味料や添加物を使用するメーカーには、あえて使わなければならないそれなりのワケがあって使っているのです。

 ひと言。添加物漬け食品はまさに食づくりの堕落です。

 

「白いインベーダー」といわれる化学調味料とは

 今回は化学調味料について考えてみたい。

 お茶受けに、パラパラと味の素を振って、「おひとつどうぞ」と漬物が出されるところはさすがになくなってきたように思っていたが、「うちのお父さんは漬物大好きで味の素は欠かせない、味噌汁なんかでもちょっと入れるだけですごく美味しいのよ」という人が身近にいて仰天した。以前は町の食堂にも置いてあったのを思い出す。かくいう私も「魔法の白い粉」の虜になった頃があるし、さかんに販売してきたものである。かって、林髞という大学教授が「味の素を食べると頭がよくなる」と発表したことでさかんに宣伝された。ご飯を炊くにもお餅を搗くにも用いられ、お寿司ごはんなどには欠かせないものであった記憶がある。頭がよくなるどころか、一時的に神経が興奮作用を起す作用ようで危険なことだと言われるようになってきました。

 化学調味料は、食品に「うま味」をつけるための添加物として使用されます。化学調味料には4つのタイプがあり、@アミノ酸系、A核酸系、B有機酸系、C無機塩があります。

 @のアミノ酸系で代表的なのが、L―グルタミン酸ナトリウムで、本来は昆布に含まれるうま味成分です。化学的に合成され、私たちが知らず知らずのうちに大きなお世話になっている「味の素」の主成分です。アミノ酸系には20品目があります。

 Aの核酸系で主なものは2つあって、1つは、5′―イノシン酸二ナトリウムで、本来かつお節に含まれるうま味成分。2つは、5′―グアニル酸二ナトリウムで、しいたけに含まれるうま味成分です。核酸系には6品目あります

 Bの有機酸系の代表的なものは、コハク酸ナトリウムで、本来は貝類に含まれるうま味成分です。15品目あります。

 Cの無機塩には塩化カリウムやリン酸三カリウムなど10品目があります。

 

化学調味料を使った食品表示の見方

 化学合成添加物に分類される化学調味料は、一括用途名で表示されることになっています。したがって、使用したその物質名で表示されることはありません。何種類の化学調味料を添加しても「調味料」と表示するだけでよいことになっているのです。

 商品を手にしたら、まず商品ラベルの原材料名の欄をご覧下さい。

@ 「調味料(アミノ酸)」という表示があったら、L―グルタミン酸ナトリウム(味の素など)のアミノ酸系化学調味料が使用されたことの表示です。

A 「調味料(核酸)」という表示があったら、5′―イノシン酸二ナトリウムや5′―グアニル酸二ナトリウムなど核酸系の化学調味料の使用されたことの表示です。

B 「調味料(アミノ酸等)」という表示があったら、L―グルタミン酸ナトリウム(味の素など)のアミノ酸系化学調味料と5′―イノシン酸二ナトリウムや5′―グアニル酸二ナトリウムなど核酸系の化学調味料の両方を併用した場合の表示です。化学調味料が使用されていない場合には、商品に「無添加」「化学調味料不使用」などの表示があります。

 注意すべきは「かつお風味」とか「昆布としいたけのうま味」など商品の表面に書いてある文面や絵柄から、それらが天然素材からとったものだと早とちりの思い込み(誤解)をしないことです。また、昆布やかつお、しいたけを使用と書いてあっても、それがどの程度使われているのか、またはどんな品質のものが使われているかは分りません。

 良い食べ物を選ぶには、必ず商品ラベルを確認しましょう。

 次回も化学調味料について考えてみましょう。


ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 


生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

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