山ちゃんの食べもの考

 

 

その141
 



野菜の知識 選び方・保存方法・栄養など(1)

■グリーン・アスパラガス

●アスパラガスには雄株と雌株がある

 アスパラガスは、玉ネギやニンニク、ネギ、ニラと同じユリ科の多年生植物で、冷涼なところを好みます。

アスパラガスの茎には、 地上茎と地下茎があって、地上茎は地上に芽を出し、茎を伸ばしていきます。地下茎は地中を横に伸ばし、たくさんの根がついています。

根には細い根と太い根があり、それぞれに違った働きがあります。

細い根は吸収根といい、土壌中から水分と養分を吸収する働きをします。太い根は貯蔵根といい、地上に伸びた茎がアスパラの木となって繁茂し、光合成によって栄養(糖分)を作ったものが、貯蔵根に送られて蓄えられるところです。この翌年の春先には、この貯蔵根に蓄えられた養分を使って地上に伸び出してきた若い芽が、すなわち私たちの食しているアスパラガスです。

生産者がよいアスパラガスを作るためにもっとも重視するのは、いかにして健康なよい貯蔵根を作るか、ということにあります。すなわち、ア スパラガス収穫後の 夏秋における地上部、 アスパラの木をいかに健康に育てるか、そして貯蔵根に養分をしっかり蓄えるか、その 生育管理の如何が翌年の収量に影響するのです。

そしてよい土を作り 、よいアスパラの木を作り、よい地下茎を作り、よい貯蔵根を作るかに丹精します。

外見では見分けられませんがアスパラガスには 雌株と雄株 があります。夏になると 雌株は雌花つけ、雄株は雄花だけをつけるので、そこで初めて見分けがつき、秋になると雌株には赤い実がつきます。

雄株のほうが雌株に比べて勢いが強く 成長も早く、 収穫量も多い上に 茎が太くて穂先がよく締まったよいアスパラガスに育ちます。 食味に変わりはないようです。

●江戸時代に伝来したアスパラガス

アスパラガスとは「たくさん分かれる」というギリシャ語が語源で、「新芽」を意味するといわれます。

アスパラガスの原産地は南ヨーロッパからウクライナ地方で、2000年前の古代ギリシャ時代から栽培されていたという歴史ある食べ物です。

日本にへは江戸時代、 オランダ人によってもたらされ、 当初は観賞用植物でした。 食用として導入されたのは明治時代から大正時代にかけてで、 北海道で缶詰用のホワイト・アスパラガスを商品化したのが始まりといいます。国内での需要よりも、 欧米への輸出用として栽培が大々的になり、長期間にわたって重要な 換金作物となってきました。しかし、現在では、中国などの安価な缶詰生産に押されてしまい、ホワイト・アスパラガスの栽培は衰退し、輸出されていません。

 アスパラガスが洋食店などのメニューに登場し、一般にも食されるようになったのは、食の欧米化が進みだした昭和30年代以降のことで、それに伴ってグリーン・アスパラガスの需要が伸びてきました。さらに一般家庭でも野菜として用いられ、食卓に上って食べられるようになったのは、昭和40年代になってからで、それから グリーン・アスパラガスの生産量が急激に伸びてきました。

グリーン・アスパラガスがホワイト・アスパラガスの生産量を超えたのは、 昭和58年のことで、日本では比較的歴史の浅い野菜です。

●アスパラガスの主な生産地

現在では普通の野菜として誰もが好むようになったグリーン・アスパラガスは、全国各地で栽培されていますが、わが国における主な産地は、長野県、北海道、佐賀県、福島県、香川県などです。

アスパラガスは冷涼は気候を好み、春先には西南暖地の長崎県、佐賀県、香川県から、夏場には長野県、福島県、北海道などから出荷されます。

生産量で見ると、第1位が長野県、第2位が北海道、ついで長崎県、佐賀県、福島県、秋田県となります。

国内生産量が減少する10月から3月までは海外から大量に輸入されています。主な輸入先は、オーストラリア、フィリピン、メキシコ、タイ、アメリカ、ニュージーランドです。

アスパラガスの輸入量は膨大なもので、成田空港における取扱量は、生鮮品ではマグロに次いで第2位だというから驚きです。

ついでながら、世界でアスパラガスの生産量が一番多いのは中国で、全体のおよそ88%を占めているそうです。中国では、 ホワイト・アスパラガスの缶詰を世界各国へ輸出しています。

●グリーン・アスパラガスとホワイト・アスパラガスの違い

アスパラガスには、グリーン・アスパラガスとホワイト・アスパラガスがありますが、これは品種の違いではなく、栽培方法の違いです。缶詰などで多く使われているホワイト・アスパラガス、直接日光が当たらないように、目が出る前に土を盛り上げ手何泊栽培し、白いまま出荷したものです。日光に当たって育った緑色のものがグリーン・アスパラガスです。グリーンのほうがビタミンなど、栄養価に富んでいます。

●5〜6月ごろ、露地ものの出回る旬がおいしい

輸入品も含めて年中見られるアスパラガスですが、露地栽培のグリーン・アスパラガスがで回る5〜6月ごろが甘みもあり、旬を感じる最もおいしい時期でしょう。

ゆでてマヨネーズやクリームソース、ドレッシングなどでサラダに食べてとても美味しく、天ぷら、炒めもの、ソテー、スープ、味噌汁の具、和え物、玉子とじ、などいろんな料理で楽しめます。

アスパラガスは先端にいくほど柔らかいので、ゆでるときは、一つまみの塩を加えた熱湯に根元のほうからゆっくり湯に入れます。こうするとことで、全体を同じくらいのゆで加減にします。このとき、根元の皮が硬いようなら、根元の皮を剥いてからゆでます。全体に緑色がさえ、柔らかくなったら冷水にとって手早く冷まし、ざるにあげて水を切ります。湯で過ぎないように注意します。

●アスパラガスの選び方

@ 緑色が鮮やかで、 太さが均一 なもの。

A 先端の穂先が開いていなく、ピンとして、 かたく締まっているもの。

B 茎がふくよかに丸く、茎の切り口に変色がなく、乾燥していないもの。

C 細いものより太いもののほうがおいしい。

D しかし、あまり太いものや細すぎるものは、繊維が硬く、筋っぽい。

E 切り口が茶色になっていないものや茎がしぼんでいないもの。

●アスパラガスの保存方法

アスパラガスは呼吸作用が激しく、したがってエネルギー消耗も激しくて鮮度劣化・おいしさ劣化が早い野菜の代表的なものです。

乾燥しやすい野菜なので、 水分が蒸発しないように、 濡らした新聞紙にくるみラップに包んで冷蔵庫へ。

アスパラガスは「立ち野菜」の代表的なものです。横にして保存すると、上に伸びようとして穂先が曲がってしまうので、冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。

それでも鮮度劣化は免れません。買ったら その日のうちに食べきってしまうのが理想的ですが、 すぐに硬めに茹でて水気を取り、ラップに包んで冷蔵保存するなり、冷凍保存するのがよいでしょう。

●アスパラガスの栄養

主な栄養は、カロチン、ビタミンA、B1、B2、C、E、食物繊維が豊富です。

アスパラガスはカロチンを豊富に含む緑黄色野菜で、カロチンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫機能を高めます。また、抗酸化作用があり、ガンの予防や老化抑制の効果が期待されています。

アスパラギン酸は新陳代謝を促すとともに、タンパク質合成を高める効果 があり、 疲労 回復や滋養強壮に優れています。また、 アスパラギンには高血圧を予防する効果があるといいます。 このアスパラギンはアスパラガスから発見されたことから、名付けられたそうです。

アスパラガスの穂先部分にはルチンという成分が含まれ、毛細血管を丈夫にし、 高血圧 や 動脈硬化 の予防にも効果があり、また利尿効果もあります。

 






 

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生命の農と食を考える
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池田 優

 

 

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