山ちゃんの食べもの考

 

 

その159
 
『食は生命なり』 【17】




食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』と「永山久夫」 その10

永山久夫 「百歳までの健康ライフ 健康食・健康百科」 より

■ 大豆を食べて元気に百歳



いつまでも若いままでいたい。
80歳、90歳になっても、スタミナ切れのしない若さを持ち続けたい。
女性でしたら、永遠に美しくありたい。
これは、古くから人間誰もが求め続けてきた願望といってよいでしょう。
古今東西を問わず、不老長寿の「薬」もまた熱心に探し求められてきました。
老化もいやだし、死ぬのはもっといやだからです。

ところが日本人は、戦後わずか40年でそれを成し遂げてしまったのです。
現在、日本人の平均寿命は男性で76歳弱で、女性が82歳弱。
<*2008年版では、男性が79.29歳、女性が86.05歳です。
ちなみに、男性の国別の平均寿命ランキングは、1位がアイスランドの79.6歳、2位がスイスの79.4歳、3位に日本男子です。女性の国別の平均寿命ランキングは、日本女性が2位以下に大差をつけてダントツでトップ、2位はフランスの84.3歳、3位はスイスの84.2歳となっています。>


日本人を世界一の長寿国に押し上げた要素は何でしょう。
文句なしに食生活のよさ。つまり、「和食」に、長寿の秘密があるのです。
日本人が、古代以来、この風土になじみながら作り上げてきた、「米」と「大豆」、「野菜」、「魚」を中心とする「和食」。この「和食」が、日本人の健康を守り、長生きの土台をつくる「百歳食」の役目を果たしてきたのです。

和食の中でも、日本人の健康の「守り本尊」の役割を果たしてきたのが「大豆」。この大豆が、アメリカを始め先進国で「健康を作る丸薬」として注目されだしました。

「豆百粒百歳」ということわざがあります。
百歳まで長生きしたかったら、若いうちから毎日、大豆を百粒目当てに食べるようにしなさいという意味です。


大豆を食べるとなぜ長生きできるかといいますと、血管を丈夫にする上で役に立つたんぱく質が40%も含まれているからです。

さらに脳の老化やボケ、記憶力の衰えを防ぐ働きがあるといわれるレシチンという成分もたっぷり。繊維質も豊富ですから、快弁が保証され、日本人に増えている大腸がんの予防の手助けもしてくれます。
またコレステロールや脂肪を少なくする成分も多いですから、「大豆」はまさに「百歳色」であり、納豆や豆腐、黄な粉などを「長寿薬」と思って積極的に取りたいものです。


記憶力の天才として名高い、天台宗の天海僧正は、きな粉おにぎりが好物でした。

記憶は、すべて脳内のたんぱく質に刻み込まれます。
従って、質の良いたんぱく質を継続的にとることが、記憶力をよくする条件になります。
天海は、その重要なたんぱく質を大豆たんぱくを通してとっていたのです。
天海は、死ぬまで140億の脳細胞の機能を向上させ続けた大人物ですが、百年以上も使い続けても、脳がびくともしなかったのは、栄養の供給がうまかったからです。


脳が必要とする栄養の中で、最も重要なものはレシチン。
レシチンというのは、脂肪の一種で、きな粉の中にたくさん含まれています。
簡単にいうと、物忘れや記憶力の低下を防ぐのがレシチンの働きです。
レシチンが不足すると、脳の細胞はたちまち反応が鈍くなり、不活発な働きしかできなくなってしまいます。
これが物忘れやボケの原因といってもよいでしょう。
ボケ、つまり老人性痴呆症の人の脳には、アセチルコリンという物質が激減していることがわかっています。

アセチルコリンは、脳の神経細胞の間で、情報の運び役をしている情報伝達物質のひとつで、健康な人の脳にはたくさんあります。

従って、アセチルコリンが減少すると、神経細胞同士の情報のやり取りがうまくいかなくなり、記憶の障害が起こってしまうのです。
ですから、脳の老化、記憶力の低下を防ぐには、アセチルコリンが減るのを防げばよいわけです。

その防止の一つが、食べ物を通して、レシチンをコンスタントに補給することです。
レシチンは、体内に入ると分散されて、アセチルコリンの原料になるからです。
徳川家康の長寿法の指南役だった天海は、大好きな「きな粉」を食べることによって、レシチンを補給し、脳の老化を防ぐと同時に、長生きするための、"油"としていたのです。
レシチンの多い大豆食品を食べることは、アセチルコリンを補うことになり、脳の老化を防ぐのに役立つわけです。


天海と同じように「黄な粉おにぎり」を食べて、長生きした人物がいます。
数年前、112歳でなくなった熊本県の梅田トミさん。
生前は、たいへんに元気がよいので「山猫ばあさん」と呼ばれて、親しまれていましたが、トミさんの好物はきな粉でした。

ご飯に黄な粉をまぶして食べるのが、何よりの楽しみというほどの黄な粉き。
死ぬ間際になって、箸がもてなくなると、きな粉のおにぎりを作ってもらい、毎回3個ずつぺろりとたいらげたそうです。
きな粉には血液の流れをサラサラにするサポニンやビタミンEなどが多く、良質のたんぱく質や脳の老化を防ぐレシチンと相乗して、トミさんの生命力を強固なものにしていたのでしょう。


★ ことわざ  「南の米、北の大豆」
和食文化の二大要素のことで、それぞれのルーツを言ったものです。
米のふる里は中国の南の雲南省の周辺ですし、大豆は同じく中国の東北部(旧満州)が原産地という意味です。
つまり、南の産物と北の産物が土台となって、和食の土台が形成されているのです。
日本人は外来文化に対してたいへん好奇心の強い民族です。
あまり抵抗感も感ぜずに取り入れてしまうようなところがあります。
もっとも無差別に取り込むのではなく、ちゃんと選択して役立つものだけを取り入れ、伝統文化の中に組み込んで、日本文化の厚みを増していきます。
このように、日本人は外来文化を取り入れるのが上手だといわれるのも、「南の米」と「北の大豆」の融合によって生まれた、「和食文化」で育っているためではないでしょうか。
日本には、フランス料理もあれば、インドネシア料理、メキシコ料理、アフリカ料理と世界中の料理がことごとくあります。
日本人は好奇心が強いせいもありますが、基調的には、日本文化のふところの深さといってもよいと思います。
それもこれも、米を食べて大豆を大事にしてきた、日本人の伝統が形成してきた、素晴しさといってよいでしょう。


 

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生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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