山ちゃんの食べもの考

 

 

その166
 
『食は生命なり』 【24】




食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』と「永山久夫」 その17

永山久夫 「百歳までの健康ライフ 健康食・健康百科」 より

★★★★★「和食」日本人の健康を守る★★★★★

■ オカラはお腹の中を空っぽにする百歳食
● 『快食、快眠、快便』
「今日は、もう出た?」。
最近の日本人のあいさつに、変化がおきているようです。
昔だったら、「こんにちは」とか「今日もいい天気で」というのがきまりみたいなものでした。
ところが、最近では、「今日は、もう出た?」。
とくに女性の間で、このあいさつが多いのです。
つまり、トイレに行ってきたかどうかという意味。
そのくらい、生理現象が停滞して、苦しんでいる人が多いのです。
口から入った食べ物は、消化吸収が完了したら、体外に排泄されるはずなのに、大腸にストップしたまま、その先にすすもうとしません。
高速道路の大渋滞のようなものでです。
つまり「便秘」。
 
「快食、快眠、快便」――。
この3快こそ、健康のバロメーター。
3つの「快」さえきちんと守られていれば、薬無用・病院無用で、健康長寿は間違いなし。
女性でしたら、60歳になっても、18歳の娘のようにみずみずしい肌を維持できるはずです。
 
● 日本のお腹は満腹地獄
地下鉄にしても、新幹線にしても、車内の乗客が降りてから乗るのが当たり前。
下車しないうちに乗り込んでしまったら、たちまち満員の大混乱が起こります。
現在の日本の食生活が、まさに大混乱の”満員電車”。
食べたものをきれいに排泄しないうちにどんどん食べて腹の中に送り込んでいます。
 
さらに問題なのは、精製食品や加工食品が増えてきて、繊維質が不足しているのが”満員電車”のもう一つの大きな原因になっています。
一日に1回通じがなければ、食物繊維が確実に不足しているといってよいでしょう。
食物繊維の慢性的な不足は、不自然な加工食品や必要以上に精白された食べ物をとるようになった、現代文明の病理現象の一つなのです。
 
昭和20年代の日本人は、平均して食物繊維を1日に30g近くとっていましたが、最近では15gくらいしかとっていません。
これは昔と違って、穀類や大豆などの豆類、イモ、ゴボウなどの根菜類、キノコ、海藻類のとり方が著しく減少していることと深い関係があります。
 
アメリカのガン協会では、1日に35gの繊維質の摂取量をガン予防のために良いといってすすめていますが、まさに昭和20年代の日本人の食生活とはほとんど同じ。
 
「今日は詣でた?」と、青い顔をして聞きたくなる気持ちもよくわかります。
便秘は実に不愉快ですし、女性だったら肌にもダイレクトに影響が出ます。
そこで、通じを助ける食物繊維質が注目され、「ファイブミニ」のようなドリンク剤まで登場してきました。
しかしドリンク剤の世話にならなくとも、日本には古くから、たくさんの稿繊維食品があります。
 
● 『おから』は繊維質の宝
和風高繊維食品の代表はなんと言っても「おから」。「おから」は「お空」で、豆腐をつくるときのしぼりかすという意味でしょうが、トンでもありません。
たんぱく質を豆腐と同じくらい含み、食物繊維にいたっては3倍以上、カルシウムやカリウム、鉄などのミネラルも豆腐よりも多く含んでいます。
その上、血管や腸の汚れを落とす効果の高いサポニン、記憶力をよくして集中力をつけるレシチンも多いのです。
 
つまりおからは繊維質の固まりなのです。
「おから」はおなかのなかをきれいに掃除して「空っぽ」にしてくれます。
便秘の解消にも役立つので通じもよくなり「今日はもう出た?」から「今朝、もう快適に完了よ」になるのは間違いありません。
 
しかも食物繊維の多いおからなどを常食しますと、便の量が増えてくるのです。
食物繊維には、便の量を増やすと同時に、やわらかくする働きと、腸内の「善玉菌」を増やす作用があります。
 
私たちの腸内には約100種類、100兆個の細菌がすみついていますが、この中には「善玉菌」と有害物質を発生させて、大腸がんの原因になったりする「悪玉菌」がいます。
「善玉菌の代表はビフィズス菌で、食物繊維を分解して有機酸を合成し、腸の中をクリーンにすると同時にビタミンB群を作るなどのヘルシーな働きをしています。
 
★ タケノコは通じを良くする
タケノコの整腸効果をいったことわざです。
繊維質が多いから、通じをよくしたり、便秘の解消に役立ちます。
一方、「タケノコを食べ過ぎるとニキビが出る」というのはウソ。
たしかにタケノコは消化が悪いので、食べ過ぎると胃腸をこわしやすいのですが、タケノコの繊維質は便秘を解消するから、むしろ、ニキビや吹き出物に効果があります。
また、タケノコは低カロリーでたんぱく質やビタミンB2、カリウムが多く、ダイエットにはもってこいです。
タケノコのうまみ成分はチロシンというアミノ酸で、脳の働きをよくする成分としても注目されています。ただし時間がたつとエグミの成分に変化してしまいます。
したがって、新鮮な掘りたての場合は、あく抜きの必要はありません。
 
 
■ ニンニク食べて元気に長生き
● 武士はニンニクを齧って戦った
戦国時代の男たちは、本当に強い。タフなのです。1日中戦場を走り回って戦っても、ビクともしない体力の持ち主ばかり。根性と肉体が、したたかなのです。
もちろん、ふだんから武術を磨き、体を鍛えていたこともありますが、食生活の内容がいいのです。贅沢はしません。
主食は「黒米」といって、玄米が中心。これに実だくさんの味噌汁に漬物。イワシや干物のように、頭から丸ごと食べることができるような魚がつきます。これだけ。
表面的には粗食に見えるかもしれませんが、実質的には栄養バランスの取れた体力強化食になっているのです。玄米ですから、ビタミンやミネラルがたっぷり。
旬の野菜や根菜類の豊富に入った味噌汁からは、ビタミンCやA、それにみそからは生きた酵素が取れます。漬物からも消化酵素や乳酸菌など。
そして、イワシのように一物全体食のできる魚からは、上等のたんぱく質やカルシウム、それに、記憶力や集中力、直感的判断能力を高める成分といわれるドコサヘキサヘンサンがたくさん取れます。
以上の基本色が素晴しい上に、常にストロング・フードを食べていたのです。その“強化食”というものは何かといいますと、ニンニクなのです。
 
● ニンニクは強精、強壮食
武士たちは、生のニンニクを齧りながら行軍し、ニンニクをなめながら戦っていました。
戦国武将の中にも、ニンニク党は少なくありませんが、代表的なのは徳川家康と豊臣秀吉。徳川家康は、刺身などの魚料理には決まってニンニクのすりおろしを用いていますし、秀吉にいたっては、ニンニクに紐を通して数珠玉のようにし、首にかけて胸にぶら下げ、疲れるとそれを齧りながら、合戦の指揮を取っています。
武士がニンニクを用いるならわしは、古代兵以来で、「古事記」よれば、東北平定に出発したときに、ヤマトタケルノミコトが常備菜としてニンニクを携行したとあります。
ニンニクを常食すると疲れない、頭の働きもさえてくる、元気が沸く、体力が強化されるということを、経験的に熟知していた結果でしょう。
ニンニクには、数多くのスタミナ効果の高い成分が含まれていますが、主力になるのがスコルヂニンとアリシン。スコルヂニンは無臭ですが、強力な酸化還元作用があって、体内に取り入れられた栄養物を完全に燃焼させて、エネルギーに変える働きがことのほか強力です。
ニンニクを食べると精がつくといわれる理由の一つが、この成分の働きによるもので、食べ物が無駄なく吸収されますから、体中にパワーが充満してきて、スタミナも強くなります。また、スコルヂニンにはホルモンを刺激する作用もありますから、直接的な強壮効果も期待できます。
一方のアリシンは、臭気のもととなると同時に、殺菌力や抗菌作用を持っていますから、あまり衛生状態のよくない戦場で病気を防いだり、食中毒を予防する上で役に立ちました。ですから、ヤマトタケルノミコト以来、日本の武将が伝統的に、生のニンニクを噛みながら敵と戦ってきたということは、栄養的な根拠があるわけです。
 
● ニンニクは力強い長寿食
さらに加えて、アリシンはビタミンB1の働きを助けて、その力を二倍にも三倍にもする役目もしているのです。ビタミンB1の働きの一つに、米などの穀類の炭水化物が分解されてグリコーゲンになるのを助ける作用があります。脳細胞が活発に活動するためには、グリコーゲンが不可欠で、ビタミンB1が不足するとイライラしてきたり、集中力ややる気が低下してしまいますから、武士にとっては致命的です。
秀吉はにぎりめしに生みそをつけ、ニンニクをおかずに食べていますが、生みそにはビタミンB1がたっぷり。つまり、スタミナを強化すると同時に、頭の冴える食事をしていたことになります。秀吉の頭が非常によかったといわれるのも、ニンニクのおかげといってよいでしょう。
にぎりめしから脳のエネルギー源のグリコーゲンを補給し、みそのビタミンB1を生ニンニクのアリシンで強化していたのです。
このニンニク、実は成人病の予防食であると同時に、たいへん効果のある長寿食。ニンニクを食べると体がポカポカしてくるとよく言われますがこれは血の巡りがよくなるため。ニンニクの精油分の中に、血管を拡張させ、血の流れをサラサラと流れやすくする作用があるのです。さらには、恐ろしい脳梗塞や心筋梗塞の原因になりやすい血栓の生成を防ぐアホヘンという物質が含まれていることも判明し、注目されています。
ニンニクを上手に利用すれば、血液の循環がスムーズになって、恐ろしい血栓を防ぐことができるのです。
 
 
■ こんにゃくは『百歳食』
● 床屋さんのこんにゃく食
昔の床屋さんは、一日の仕事を終えると、必ずこんにゃくを食べたそうです。
コンニャクには、お腹の中を掃除する効果がありますので、職業がら、知らず知らずのうちに吸い込んでしまった微細な頭髪などを排除するためなのです。
また、子供が異物を飲み込んでしまったとき、こんにゃくを食べさせるのも同じ理由からです。そういえば、「コンニャクは腸の砂おろし」ということわざが、古くから使われてきました。昔は味噌汁や煮物、漬物などに砂や土、その他の細かな不純物が混入することが珍しくなかったからです。
 
● 腸の中の掃除夫
コンニャクは消化されませんから、胃から腸へと移動しながら、通り道筋にある老廃物や砂などを吸着しながら、肛門に向かって進んでいくわけです。
砂は、腸内のひだやくぼみにたまっています。ところが、コンニャクは移動しながら、腸壁を刺激します。すると、腸はくすぐったくなって、活発に蠕動を始めます。その拍子に、ひだの奥にたまっていた宿便や砂などの不純物なども飛び出してきて、コンニャクに吸収されてしまいます。まさにコンニャクは「腸の中の掃除夫」なのです。
コンニャクの97%は水分で、わずか数%の主成分がグルコマンナンという消化吸収されない繊維質。ノーカロリー食品で、栄養的な価値はありませんが、グルコナンマンが威力を発揮します。
砂を吸収したら、異物を包み込んで、体外に排泄してくれるのがこのグルコナンマン。コンニャクは単に通じをよくするだけではなく、腸内で有害な細菌の繁殖を防ぎます。また、ノーカロリーですから、肥満防止にもなって、健康や美容にも効果があります。
グルコナンマンは、体の余分な脂肪やコレステロールを吸収しますから、動脈硬化の予防食としても注目されます。
 
● 高齢化時代の長寿食
日本人の食事は、欧米人の食事に比べますと、繊維質をとる量が多く、大便の量も平均して50%増から2倍以上といわれてきました。ところが、戦後の急速な食事の洋風化によって、消化のよい白米ご飯や白パンといった、超精白食品や、肉料理が当たり前となったため、排便の量も少なくなり、便秘に苦しむ人が急増しました。日本人の腸は、欧米人に比べて約1メートルも長い(欧米人は平均して5メートル)だけに、こうなると悲劇です。
最近では、若い女性やお年寄りばかりでなく、4日も5日も出ない小学生や中学生が増加しているそうですが、これでは血液が汚濁して、脳細胞の働きが低下するのは避けられません。小学生だったら、勉強に対する集中力の低下、若い女性の場合は肌のあれ、そしてお年寄りでしたら無気力になってしまいます。
140億個の細胞は、酸素をたっぷり含んだ新鮮な血液の循環が必要なのです。
 
● すき焼きに糸こんにゃく
食物繊維、つまりダイエタリーファイバーは、単に、便秘の解消に役立つだけではなく、便の量を増やすことによって、食べるものの中に含まれている発がん物質や有害な食品添加物、農薬などを早く排泄することにもなり、同時に、腸の粘膜を保護することにもつながります。
したがって、健康で長生きするためにはコンニャク、海藻などに含まれている繊維質が不可欠なのです。
すき焼きに糸コンニャクを必ず入れるのは、脂肪の吸収を抑えて、その害を中和するためですが、まさに、日本人の知恵。コンニャクは、コレステロール溶解剤なのです。肉と同じくこんにゃくを食べれば、かさも増えますから、肥満している人でも、欲求不満なしにダイエットできるわけです。
コレステロールを抑える効果のあるコンニャクは、まさに高齢化時代の“長寿食”といってよいでしょう。
 
 
■ 好色一代男も用いていたサンショウ
 
● サンショウの『気』は辛い
「サンショウは小粒でも、ぴりりと辛い」ということわざがあります。
この「ピリッ」と舌に響く辛さこそ、サンショウが放射している「気」。「気」というのは、その物体が放つ一種の生命エネルギーといってよいでしょう。
このことわざは、なりは小さくても、威勢がよく、才知が人並み以上に優れていることをいいます。一般に、「大きな大根辛くない、サンショウは小粒でもぴりりと辛い」というような使われ方をします。
ピリッとして涙がこぼれるほどの独特の辛み成分は、サンショウの果皮に含まれているサンショールで、このほかにも薬効の高いシトロネラールやディペンテン、ゲラニオールなどの芳香性精油が含まれています。
これらは内臓を刺激する働きが強く、食欲を増進させたり、健胃や整腸作用などに用いられます。また、寄生虫を下したり、解毒などにも使用されます。
江戸時代の『本朝食鑑』には、「人たちは、眠気さましや寄ふさぎを追い払う薬として、山椒の粒を懐中にしている」と記しています。また、「胃をすこやかにして精力を強くする」ともあり、強精効果の高い薬餌としても珍重されました。
サンショウは保温効果が高く、女性が用いれば冷え性によく、男性には強精作用があるといわれています。
 
● 好色一代男の強精薬だった
江戸時代に『山椒薬」よい浮くすりがありました。減量は山椒で、主に権威財、消化剤として用いられましたが、際印材としてもひそかに使用され、なかなかの効果だったそうです。井原西鶴の『好色一代男」に『参照薬を四百袋、絵の個図地の根を千本、水銀、ワタミ、トウガラシの粉、五室を百斤、その他いろいろ頻々の責め道具を調え」と、主人公のプレイボーイの女遊びの道具の数々が紹介されており、そのトップが参照です。ゲbb剤でいったらスタミナ・℃リンク的な効果を期待したもので、精がつく位高から、疲労の回復にも役に立ちます。味噌汁にもし摘みトウガラシを振って食べるという江戸時代以来の習慣も、立派な生活の知恵です。もちろん、七味の中には『山椒個』が混入されています。
 
● 古代語で『ハジカミ』
サンショウはミカン科の落葉樹で、山地などに自生していますが、縄文時代の出土器の中に、サンショウの入った土器が発見されており、縄文人もサンショウを香辛料や薬用として使用していたのは間違いありません。
果実ばかりでなく、葉や茎の内皮などにも独特の香気と辛みを持っています。
若葉は「木の芽」と呼ばれ、でんがくや煮もの、すまし汁などの、彩りに喜ばれ、花は、酒の肴や茶漬けに用いられて、なかなか風流なものです。
内皮は塩漬けやしょうゆ煮として「辛皮」となり、未熟の青い実は塩漬けにされて保存食になります。完熟した果実の皮は、香辛料はもちろん、健胃や整腸、強精強壮などに用いられます。
さらに、サンショウの木は硬質で香りもよいことから、すりこ木材としては最高のものです。生長に時間がかかる木なので、太いものはなかなか入手できません。
樹には雌雄の別があり、雄は花だけで実を結ばないので「花ザンショウ」といい、雌は結実するので「実ザンショウ」といいます。
サンショウの「気」は雌のほうが強く、古くは「ハジカミ」といいました。一果柄に2、3個の果実をつけますが、完熟すると果実がはじけるところから、「はじける実」がつまって、「ハジカミ」となったといいます。
また「イタハジカミ」ともいわれました、樹枝にはトゲがあって、ふれると「痛い」所から来たものでしょう。
も一つ、「ハジカミラ」から出た説もあります。「ハジ」は「はぜる」、「カミラ」は「ニラ」の古名。果実の皮が開裂し、噛むとニラのように辛いところから来ているのだといいます。実は、「ハジカミ」は古代語で「辛いもの」の総称です。日本原産で辛いものというと、「サンショウ」しかなかったために、その実を「ハジカミ」と呼ぶようになったのです。
「ハジカミ」は「端噛み」で、端っこのほうを噛んで味わうこと。一度にまるごと噛んでしまうと、辛さで口の中がしびれてしまうために、古代人は端のほうから恐る恐る噛みました。こうして、この「端噛み」が辛いもの一般を意味するようになりました。
実際、サンショウの果実の皮をそのままかんだりすると、辛さで口の中が麻痺し、じんじんしびれてきて涙が出てきます。
 

 

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池田 優

 

 

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