山ちゃんの食べもの考

 

 

その177
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
 
『食は生命なり』 【33】
『食は生命なり』と「永山久夫」 その28
永山久夫 「百歳までの健康ライフ 健康食・健康百科」 より
★★★★★現代病に打ち勝つ日本人の知恵★★★★★
 
■ 豆腐を食べてきた日本人の知恵
 
●ボケの低年齢化が始まった
「一億総グルメ」という言葉があります。
少々皮肉っていっているわけですけれども、「一億層グルメ」は、将来、ボケになるための先行投資をしているようなものです。
現状のままでしたら、「一億総グルメ」は確実に「一億総ボケ」につながると思います。
食べものの選択いかんが、私たちの生命のカギを握っているのです。
 
日本人の三大死亡原因は、ガン、心臓病、そして、脳卒中ですが、これらは40代から50代の働き盛りに、最も多い成人病です。
ところが最近ではどんどん低年齢化が進んできて、なんと、育ち盛りの子供にまで拡散しているのです。
 
このままの食生活を続けていれば、日本人の成人病による死亡率はさらに高まり、平均寿命が大幅にダウンするのは避けられないでしょう。
一億総グルメ、あるいは一億総飽食という時代の傾向が、日本人の寿命を縮めようとしているのです。
 
ここ30年、私たちは無防備のままで肉食中心主義の欧米型食生活に急激に転換し、化学添加物をたっぷり使ったインスタント食品や加工食品などを無条件で、とり込んでしまいました。
血液のネバネバがもたらすガンや血管系の疾病を死亡原因のトップに追い上げ、頭の老化を著しく促進し、成人病の氾濫と低年齢化を引き起こしたのは当然といってよいでしょう。
 
ついこの間まで「老人性痴呆症」は、高齢者がかかるものとされていました。
「痴呆症」というのは、知的機能が著しく低下してしまって、日常生活に支障をきたす症状をいいます。つまり。ボケ。
 
恐ろしいことには、40代、50代の間にも、明らかにボケ症状と見られる脳障害が蔓延し始めているというのです。
40代どころか、中には、20代からその兆候が発生しているという説さえあるのです。
 
 
●優秀な日本人の知恵
 
日本人のテクノロジーは、たいへん優秀です。
技術を生み、それをさらにすぐれたものに発展させるのは、もちろん140億個の脳細胞。第二次世界大戦で、日本はアメリカやイギリスと戦い、そして、大敗しました。
 
しかし、日本人は爆弾で穴だらけになった国土の中で、新しい挑戦を開始します。
先進国の科学技術に対する挑戦。それから40年。
この間の科学技術の進歩は、驚くべきものがあります。
日本は、このハイテク・ウオー(技術戦争)に見事に勝ちました。
いまやトップランクのハイテク国家になりました。
 
日本はもっとも進んだ技術国家であり、そうした社会構造の中で生きていくためには、脳のメカニズムを、常に開発し続ける必要があります。
 
人間の脳細胞の数は、ほぼ140億個でありますが、ふだん使っているのは、そのうちの10%くらいなもの。大部分は冬眠脳です。
アインシュタインくらいの天才的な科学者で、30%くらい使っていただろうといわれています。
 
大部分の脳細胞が冬眠状態でいるということは、大きな可能性を温存していることにもなるわけです。
つまり人間の能力は、まだまだ進歩する余地があるということです。
そのためには、脳の機能をハイ・アップさせなければなりません。
 
 
●栄養を大量に消費する脳細胞
 
脳も他の細胞と同じように生体であり、エネルギーの供給を要求します。
脳の総重量は、体全体から見れば2%くらいなもの。小さな器官です。
それでいて、脳の血液量は全身の血流量の20%にも達しているのです。
ブドウ糖や酸素をはじめとする、さまざまな栄養素をたくさんとり込み、大量に消費しているからです。
 
脳で使われる酸素の量は、全身の酸素量の10%、栄養摂取という点から見ると、脳は非常に贅沢にできていて、血液や酸素の必要量も、他の器官や組織よりもはるかに多いのです。
脳の働きを、常に活性状態に置くためにはレシチンなどの栄養面にだけ配慮していても完璧ではありません。
もうひとつ大切なのは、いかに、脳に良い酸素をとり込むかです。
 
呼吸は、腹式呼吸がよい、深い呼吸です。
まず、下腹部をへこましながら、大きく息を吐く。
口を心もちとがらし、体内の汚れた空気を、そこからゆっくり吐き出します。
すると、空気は、自然に深く入ってきます。
吸気のとき、下腹部に空気を送り込む感じで、ゆっくりと鼻孔から吸います。
 
これが、最も酸素の吸気量を多くする呼吸法です。
脳のメカニズムにとって、最悪なのが、浅くて速い呼吸。
意識しないでいると、たいがい、この「浅くて速い呼吸」を行っています。
 
呼吸が浅くなると、疲労感が出やすくなります。
しかも酸欠による疲労は、なかなか抜けません。
血液中に、疲労素の乳酸が増えるためにおこる症状といってよいでしょう。
 
体を使うと、血液中のブドウ糖が酸素と結合してピルビン酸となり、これが体のエネルギーとなります。
しかし、ここで酸素が不足すると、ぶどう糖は完全に分解されずに疲労のもととなる“乳酸”の形で残ってしまいます。
 
つまり疲労の主な原因は、血液中の酸素不足なのです。
したがって、血液中に大量の酸素をとり込むことが、疲れを除去する最善の方法ということになります。
疲れてくると、眠くなったり、頭の働きが低下するのも、脳細胞が酸欠のため、無気力脳になっているからなのです。
新鮮な「酸素」は、脳細胞の“活力源”なのです。
 
 
■ 痴呆症を防ぐ大豆レシチン
 
●不気味なボケ症状の増加
 
今、世界中の医薬関係者が必死で取り組んでいるのが、ガンとボケに対する治療薬の開発です。
しかしこれだけ進歩した近代医学と先端技術を駆使しても、残念ながら現在までのところ、どちらの特効薬も開発されていません。
 
そうはいっても、脳の老化メカニズムは、少しずつその実態が解明されつつあります。
そのひとつが「レシチン」という、大豆に含まれている成分で、ボケの予防に大きく関係していることが判明しました。
 
レシチンというのは、「リン脂質」とも呼ばれる脂肪の仲間で、リン酸基と不飽和脂肪酸、それにビタミンBの複合体であるコリンが結合した成分です。
 
昔は日本人は、毎日のように納豆や豆腐、黄な粉、煮豆など大豆食品を1種類や2種類は必ず食べていたので、レシチンも充分に取れていました。
ところが、最近では肉主体の動物性たんぱく質が主流になり、大豆蛋白はずいぶん肩身のせまい思いをさせられているのです。
 
このため、現在の日本人は、昔ほど植物性のレシチンをとらなくなってしまいました。
 
 
●ここはどこ? わたしはだーれ?
 
現在ボケ老人の数は60万人とも70万人とも言われています。
これが15年後には120万人、30年後には200万人なるだろうと予測されています。
 
これではまるで“ボケの長寿国”です。
定年退職したとたん、あてもなくウロウロして、「ここはどこ? 私はだーれ?」など口走るような“花いちもんめの老人”にだけは誰もなりたくないでしょう。
 
最近、この老年性痴呆症が急増している原因のひとつに、食生活の洋風化によって、昔ほど大豆を食べなくなったことがあるのは否定できません。
脳は人間の体の中でも、最も脂肪の多い器官ですが、その中の約20%がレシチンだといわれています。
レシチンは、情報の伝達やストレスを担っている成分で、健康で機能性のよい脳には、必要な量だけきちっと存在しています。
 
物忘れの激しい人とか、病的な老化現象である老年性痴呆症の患者の脳には、このレシチンの量が少なくなっています。
 
 
●思い立ったら大豆食
 
脳に入る情報は、瞬間的に脳細胞に伝わっていきますが、その情報伝達をスムーズに行わせているのがアセチルコリンという物質。
 
このアセチルコリンは、コリンアセチラーゼという酵素の働きにより、レシチンから作られます。
従って、常時レシチンがなければアセチルコリンも作られないので、記憶力が低下したり、ボケの原因を作ってしまうことになります。
 
創作したり、記憶したり、あるいはアイディアなどのヒラメキを起こさせるときの脳細胞の働きは、神経伝達物質によって行われています。
神経伝達物質にはほかにもグルタミン酸などがありますが、中でももっとも有力なのが、このアセチルコリンなのです。
 
したがって、“花いちもんめ老人”になりたくなかったら、思い立ったその日から、レシチン含有量の多いものを積極的に食べるようにする必要があります。
 
アメリカの国立精神健康協会のジリン博士の研究によれば、レシチンをとり続けたグループは、とらなかったグループに比べて、記憶力が25%もアップしたという研究データがあります。
 
レシチンは、まさに「ブレイン・フード(脳の食べもの)」なのです。
レシチンが不足して、アセチルコリンがいちじるしく減少してくると、神経同士の伝達がスムーズに行かなくなり、物忘れなどの激しい、記憶障害がおこってきます。
これはボケの前兆になる場合があるので、気をつける必要があります。
 
大豆はあらゆる食べ物の中で、レシチン含有量はトップクラスです。
何しろ100g中に1480rも含まれているのです。
 
もうひとつ、レシチンで注目したいのは、油と水を乳化させてしまうという重要な特性があるということです。
血液中のレシチンは、この強力な乳化作用によって、コレステロールが固まらないように働き、また、血管壁に付着した脂肪やコレステロールを溶かして排除してくれます。
 
動脈硬化によって血行が悪化したり細い血管が詰まったりすれば、これまた脳の衰えを招き、その機能低下やボケ症状を招きかねません。
この点からもレシチンの効果は見逃せないでしょう。
大豆食品を毎日食べる。
とくに消化がよく保存のきく「きな粉」をおすすめします。
 
 
■ 体の中の毒を出すのが長寿のコツ
 
●「加」と「減」の中に長寿の秘訣が
 
日本人の食生活の仕方を歴史的に見てみますと、いつの時代でも「加減」という尺度が基準になっていました。
 
「加減」によって料理を作り、「加減」によっ食べる。
必要な栄養を取り込む一方で、ぜい肉や脂肪など不必要なものを減らす。
これが加減ですが、「加減」自体には、いろんな意味が含まれています。
「加えることと減らすこと」、「ちょうどよいように調節する」、「からだの具合」、「あんばい」など・・・・・・。
 
「和食」の「和」には、以上の意味がすべて含まれており、和食の原点こそ、実は「加減」なのです。
 
日本人ほど、季節がもたらす旬の味を重視してきた民族はありません。
人間も、四季の花や、潮の満ち干と同じで、自然の絶対的なリズムに組み込まれており、新鮮な旬のものを食べて、その季節のリズムに順応させなければ、健康は守れないという自然観があったからです。
冬は肉や油料理など、濃厚なものが食膳にのりますが、夏は反対にさっぱりしたおそうざい。
つまり自然の輪転の中で、食事の内容を「加減」します。
「加減」は料理法だけでなく、食べ方にも用いられてきました。
 
「上手に食べて、すらりと出す」。「快食、快便」です。
消化吸収の終了した不要物はとどこおりなく排出してしまう。
胃も腸も常に清潔にしておく。
 
「加」は、その数60兆個という体細胞の新旧入れ替え、つまり、新陳代謝をスムーズにするための食による栄養補給のことである。
「減」は不要になった古い細胞や死んだ細胞、脂肪、食べ物のかすなどの排出。
コレステロールや知らないうちに入ってきてしまう有害物なども、繊維質にからめて、いっしょに体外に出してしまいます。
 
日本人にとっての健康というのは「加」と「減」の収支決算がうまくいっている状態のことなのです。
そのようなときの体細胞は元気にあふれ、肌は生き生きとしています。
 
新しい成分を取り込んで、体細胞の新陳代謝に「加える」一方で、古くなった細胞や不必要な物質は、どんどん「減らしていく」のです。
 
 
●体の中の毒を消す方法
 
日本人は、健康を維持するための「加減法」を、主として「みそ汁」によって実行してきました。
食膳にのるおそうざいの内容は、季節によって変化しますが、みそ汁がつくという点だけは、一年中変わりません。
みそ汁は「加減食」として一日も欠かせないからです。
 
みそ汁が「滋養食」とか「毒消し」といわれるのはこのためで、「滋養食」といった場合は「加」であり、「毒消し」はもちろん「減」。
 
みそ汁には「滋養食」と「毒消し」の二つの要素が入っており、健康が必要とする栄養成分が全部含まれています。
しかし旬のものの入った実だくさんのみそ汁でなければ、その役を果たすことはできません。
 
和食の基本は「一汁一菜」ですが、これだけでも充分に栄養がとれたのは、加減を考えた「身礎汁(みそじる)」の「一汁」だったからです。
 
お腹が一杯なのに、ご馳走がどんどん運ばれてくる。
そして、また食べてしまう。肥満の日常化です
 
これが、現代日本の飽食の構図ですが、要するに食べ方がヘタなのです。
和食の原点である「加減の知恵」を考えてみたらどうでしょうか。
体中から不要なものを減らすことを考えて食べるという、素晴らしい知恵のある食べ方です。
 
 
■ 長くもなり、短くもなります
 
●生命はローソクの焔
 
人間は、生まれたとき、お母さんから一本のローソクをもらって、この世にスタートします。
そのローソクにはすでに火が点っていて、とても美しい色で輝いているのです。
 
少年時代、そして青年時代になるにしたがって、ローソクの焔はますます強く光彩を放ちます。
しかし中年期、老年期に入ると、少しずつ焔の光が弱まり、やがて消えるときがやってきます。つまり、この世の終わりです。
 
そうはいっても、心配はいりません。
生命のローソクの焔の光は、ものすごく強いのです。
少々の風や雨、病気やけがぐらいではびくともしません。
 
ただ、ローソクの焔は、常に“オイル”を供給してやらないと、その力が弱まってしまいます。
ローソクの生命の焔にとっての“オイル”というのはいうまでもなく「食べもの」。
自分の生命力のシンボルである焔の光が、強くなるのも弱くなるのも、それを決めるのは日に三度三度とる食事なのです。
 
食べ方も重要。
いくらお膳に並べられた料理が栄養効果満点でも、食べ方が悪くては、せっかくの“オイル”もその利用効率は低下してしまいます。
 
 
●焔に元気のつく食べ方
 
ゆったりとくつろいで、よく噛んで食べる。
こうしますと、砂に吸い込まれていく水のように、食べ物の栄養が体の隅々まで浸透していって、生命力が強くなります。
つまり、お母さんから頂戴したローソクの焔に、熱い力がついて、元気がみなぎるのです。
 
日本人の平均寿命は現在世界一ですが、日本人は、生命というローソクの焔を生き生きと燃やし続けるのが、世界一うまいのです。
 
人間の健康や生命現象が食べものによって補給されている以上、食べものの選択の仕方、食べ方が重要になってきます。
 
世界中の主食の穀物の食べ方は、パンや麺類などの粉食と、米のご飯のような粒食があります。
日本人の主食はいうまでもなく米。
これが長寿と頭の老化防止、ローソクの焔の活性化にたいへん役立っているのです。
 
 
●「米」は頭の働きに良い
 
穀物体のでんぷん質は、体内でぶとう糖に分解されてエネルギー源になります。
体の他の部分がでんぷん質ばかりでなく、脂肪やたんぱく質もエネルギー源として使えるのに、脳だけはぶどう糖しか使用できません。
脳が正常に活動するため午前中40g、午後40g、睡眠中に40gの、合計120gのブドウ糖を消費するといわれています。
 
したがって、一日に三度の食事をきちっととらないと、脳の働きが低下したり、集中力がなったりしてしまいます。
 
米のすぐれている点は、パンや麺類に比べて粒食のために吸収がゆっくりとなり、血糖値の上がり方も遅く、しかも、脳のエネルギー源としての持続力も長いのです。
 
腹持ちも、脳の活性源としても、パンや麺類に比べてはるかによいのが米。
また米食にあうおかずが、魚や大豆製品、野菜や海藻というのも健康的です。
もちろん、肉料理にも合います。
つまりバランスがとりやすいのです。
 
時々ならパンや麺類を食べてもかまいませんが、私たちの先祖が米を主食に選んだという点に感謝する必要があるでしょう。
 
日本人の生命のローソクの持続時間が世界一長いのは、米を主食にしてバランスのよい食生活を送ってきたからにほかなりません。
 
 
◆ 「豆腐と浮世は柔らかでなければいけない」・・・ことわざ
「豆腐」も「浮世」も、柔らかさがなければ、うまみが出ないという意味。
世の中を渡っていくには、ほどよい柔軟性が必要なのです。
江戸時代初期に中国からインゲン豆をもたらした隠元禅師は
世の中は 豆で四角で柔らかで
また老若に 憎まれもせず
と豆腐礼賛の歌を残していますが、これは豆腐の柔らかさにたとえて、円満な世渡りの仕方を教えたものです。
 
 
 
 

 

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池田 優

 

 

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