山ちゃんの食べもの考

 

 

その181
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【37】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その4
新谷弘実著 『病気にならない生き方』 より
 
■ 第1章 常識を信じていると危ない! の3
◆アメリカ人の腸と日本人の腸は何が違うか
 
「バリウム浣腸」から最初の「コロノスコープ(大腸内視鏡)」へ
私が外科医のレジデント(研修医)としてニューヨークに渡ったのは1963年のことでした。
当時のアメリカの大腸検査の主流は、バリウムを大量に注入してレントゲンで検査する「バリウム浣腸」というものでした。
しかし、この方法では大きなポリープの有無はわかっても、腸の中の細かな状態まではわかりません。
それに、発見したポリープを切除するには、開腹手術をしなければなりませんでした。
 
開腹手術というのは、肉体的にも精神的にも、患者さんに大きな負担を強います。
それに、この検査方法では、手術をして腸の中を見るまで、ポリープが良性のものガンになっているのか区別することができませんでした。
 
当時も直腸鏡と呼ばれる内視鏡はありましたが、これは金属製のまっすぐな筒状のもので、どんなにがんばっても、肛門からわずか20cm程度しか見ることができませんでした。
 
そこで1967年に日本で作られた食道鏡を購入し、そのグラスファイバーを用いた食道を見るためのスコープで大腸を見ることを考えついたのです。
これが私の「コロノスコープ(大腸内視鏡)」の最初のものです。
 
その後、大腸検査用の長い(185cm)スコープが開発されるとすぐに購入、そのコロノスコープを使って、アメリカ人の腸を始めて診たとき、私はその腸相の悪さに驚きました。
 
肉を常食していたアメリカ人の腸は、日本人の腸よりも明らかにかたく、短くなっていたのです。
さらに、内腔が狭い上に、まるでところどころ輪ゴムで縛ったようなリング状のでこぼこができていたのです。
憩室も多く、そこに停滞便がたまっていることも少なくありませんでした。
 
アメリカ人は腸にトラブルを抱えている人が多く、当時は10人に1人はポリープがあるといわれていました。
実際、私がレジデントをしていた外科の全手術の約3分の1を大腸のポリープ切除手術が占めていました。
 
 
●開腹せずにポリープの切除することに成功
1〜2cmほどの小さなポリープを取るためだけに毎日のように開腹手術が行われている現状に、私は「もっと患者に負担をかけない方法でポリープを切除することはできないのだろうか」という疑問を長い間、感じていました。
 
ちょうどそのころ、日本ではグラスファイバーの先にカメラをつけた「ガストロカメラファイバースコープ」が実用化されていました。
そこで私は1968年6月に、日本のメーカーに一つの画期的な依頼をしました。
それはコロノスコープにスネヤー・ワイヤーを挿入し、開腹せずにそのワイヤーでポリープを焼き切るようなものを作ってほしいというものでした。
 
そして、何度もニューヨークの駐在員と話し合い、試行錯誤した結果、ついに69年に開腹手術をせず、スネヤー・ワイヤーを用いてコロノスコープでポリープを切除する「ポリペクトミー」に、世界で初めて成功したのです。
 
こうした技術革新は、同時にいや食道、小腸などのポリープ切除にも直ちに応用しました。
 
そして私がこのコロノスコープによるポリペクトミーに関する症例報告を1970年のニューヨーク外科学会で、さらに翌71年のアメリカ胃腸内視鏡学会で報告したことにより、内視鏡外科という新たな外科分野がスタートしましたのです。
 
それから34年がたちました。
その間、私はアメリカと日本を2対1の割合で活躍してきたため、両国民の胃相・腸相の移り変わりをつぶさに見てきています。
 
●食生活の変化と日米両国民の腸相の変化
60年代に入り高度成長期を迎えた日本は、アメリカに追いつけ追い越せとばかりにあらゆるものをアメリカにならいました。
 
1961年ころから学校給食に牛乳が取り入れられ、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品が日常的に食べられるようになり、それまで野菜と魚が中心だった日本の食卓は、ハンバーガーやステーキ、フライドチキンといった動物性タンパクを中心とする高たんぱく・高脂肪食が飾るようになってきました。
今もその傾向は大きくは変わっていません。
 
一方アメリカでは、1977年の「マクバガン・レポート」を機に、国家をあげて食事改善が進められてきました。
その結果は両国民の腸相に現われています。
 
きれいだった日本人の腸相は、食生活の変化とともに年々悪化し、今ではすっかり肉を常食しているアメリカ人の腸相に似てしまっています。
 
それに対し、アメリカ人の中でも真剣に自分の健康を考え、高たんぱく・高脂肪食を改善した人たちの腸相は、見事に改善されてきています。
その結果、1990年以降は、大腸ポリープやガンの発症率も低下しています。
これは食生活を改善することによって、腸相をよくできるという良い証拠といえるでしょう。
 
 
◆日本人の胃がん発生率はアメリカ人の10倍
●消化器官の弱い日本人
腸相は肉食文化の影響でアメリカ人のほうが悪いのですが、胃相はじつは日本人のほうがアメリカ人より悪い人がはるかに多いのです。
 
私はアメリカ人と日本人、両方の胃を診ていますが、胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎になる人は、私の臨床経験では日本人のほうが20倍近くも多いのです。
 
そして、萎縮性胃炎は胃ガンを発生させることが多いため、胃ガン発生率も日本人のほうが10倍も多いのです。
 
現在、アメリカも日本も肥満は大きな問題となっていますが、アメリカ人のような太り方をしている日本人はあまりいません。
 
じつは日本人はあそこまで太ることができないのです。
そのことは、太ることが義務づけられているお相撲さんの世界でも、小錦のような体になれる日本人力士がいないことからも分かります。
 
日本人があそこまで太れないのは、そこまで行く前に胃を悪くして食べられなくなってしまうからです。
つまり、アメリカ人があそこまで太れるのは、それだけ消化器官が丈夫だからといえます。
 
内視鏡で胃を診ていて不思議に思ったのですが、日本人とアメリカ人では、症状の感じ方にかなりの差があります。
 
日本人は診てみるとたいした症状でもないのに、胃の痛み、不快感、胸やけなどの症状を訴えることがとても多いのです。
ところがアメリカ人は、胃や食道の粘膜がかなり荒れていても日本人ほど胸やけを訴える人はいません。
 
 
●ビタミンAと消化酵素の量の違い
こうした違いの生じる理由のひとつに、食事に含まれるビタミンAの量があります。
ビタミンAは、胃に限らず目や気管などあらゆる粘膜をプロテクトする働きをもっています。
そうしたビタミンAを多く含んでいるのは「油」です。
 
日本の食事も欧米化したとはいえ、油やバターなどの乳製品、卵などの摂取量はアメリカ人にははるかに及びません。
こうした食物は、体全体の健康を考えると良くないのですが、粘膜のプロテクションという意味においては効果があるのだと思います。
 
アメリカ人の胃腸が丈夫な理由として、もう一つ考えられるのが「消化酵素」の量です。
「消化酵素」というのは、食物を分解し、体内に栄養素を吸収させる働きをするエンザイムのことです。
食べ物の消化吸収のよしあしは、この消化酵素の量で決まります。
 
消化吸収は、唾液、胃、十二指腸、膵臓、小腸と消化の段階にあわせてさまざまな消化酵素が出されることにより段階的に進みます。
その際に、各臓器で消化酵素が十分に分泌されいれば消化吸収はスムーズに進みますが、消化酵素の分泌量が不十分だと、消化不良を起こし臓器に負担がかかってしまいます。
 
日本人の多くが、胃粘膜の状態がそれほど悪くないのに、胃痛や胃もたれなどの症状を感じやすいのは、消化酵素の量がもともとアメリカ人よりも少ないからだと考えられます。
 
 
●胃酸の分泌を抑える医薬品の問題
さらに、日本人は胃の調子が悪いとすぐに胃薬を服用しますが、アメリカ人は胃薬をあまり飲みません。
彼らが飲むのはサプリメントの消化酵素です。
これは日本では市販されておらず、必要に応じて医師が処方するようになっています。
 
しかし、アメリカでは消化酵素は非常にポピュラーなサプリメントで、健康食品店で簡単に購入できる上、毎日飲んだとしても1ヶ月20ドル(約2000円)程度しかかかりません。
 
そして実は、この胃酸を抑える薬をすぐに服用するということが、日本人の胃を悪化させるのにさらに拍車をかけているのです。
 
最近日本で人気の高い「H2ブロッカー」や「プロトンポンプインヒビター(プロトンポンプ阻害剤)」配合の胃薬などは、胃酸の分泌を抑える働きが高いことを売りにしていますが、胃酸を薬で抑えてしまうと、胃壁膜は萎縮してしまいます。
胃粘膜の萎縮が進むと胃がんへと発展していくことは、すでにお話したとおりです。
 
ですから、胃もたれや胃痛を感じる人は、医師にきちんと自分の体調を伝え、症状に合わせたエンザイム・サプリメントを処方してもらうようにしてください。
 
また、最近日本でも海外のサプリメントが購入できるようになってきているので、安易に市販の胃薬(抗酸剤・制酸剤)を飲むのではなく、エンザイム・サプリメントを上手に活用するようにしてください。
 
消化エンザイムのサプリメントを飲むことで、胃の具合は充分に改善されます。
 
 
◆胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる
●胃酸の働き
人間の体には非常に強い酸で保護されることによって正常に機能する場所が2カ所あります。
 
1つは「胃」、もう1つは女性の「膣」です。
この2箇所はどちらもpH1.5〜3という強酸を示しますが、なぜこれほど強い酸が出ているのかというと、1つはばい菌を殺すためです。
 
お風呂に入ったり、セックスをしたりすると、女性の膣にはばい菌が入ります。
そうしたばい菌を殺すために、膣では強酸が乳酸菌によって作られているのです。
 
一方、胃にもさまざまな食物とともにばい菌が入ってきます。
食事のたびに胃に入ってくるばい菌の数は、3千億とも4千億とも言われています。
そうした膨大な数のばい菌を胃液に含まれる強酸がその大部分を殺してくれているのです。
 
つまり、この2ヶ所はどちらも外部から進入してくるばい菌を殺すために必要だから強酸が出ているのです。
 
体を守るために必要不可欠なその胃酸を薬で抑えてしまったらどうなるでしょう。
胃をフリーパスしたばい菌の中に毒性の強いものがあれば、下痢やさまざまな病気を引き起こしてしまうでしょう。
 
 
●胃薬が体に与える害
胃薬が体に与える害はそれだけではありません。
胃酸の分泌が抑えられてしまうと、消化酵素を活性化させるペプシンや塩酸が不足し、消化不良を起こしてしまうのです。
また充分な胃酸がないと鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収が阻害されます。
 
胃潰瘍や胃ガンの手術を受けた人は必ず貧血を起こしますが、それは胃を手術したことによって胃酸が分泌されなくなったためなのです。
 
さらに、胃酸を押さえてしまうと、腸の中の細菌バランスが崩れ、免疫力を低下させてしまいます。
 
人間の腸の中にはビフィズス菌などのいわゆる「善玉菌」も、ウエルシュ菌のような「悪玉菌」も含まれています。
 
腸内細菌の中で大多数を占めているのは中間菌といわれる、もともと善玉でも悪玉でもない菌です。
これらは腸内に善玉菌が増えれば善玉菌になりますが、逆に悪玉菌が増えれば悪玉菌になってしまうという性質を持っています。
ですから、善玉菌と悪玉菌のバランスが、腸内環境の良し悪しを決めているのです。
 
胃酸の分泌が不十分だと、消化酵素が活性化できず、食べ物は消化不良の状態のまま腸へと進みます。
そのため本来なら腸で消化吸収されるはずの食べ物が、不良消化物として腸内に残存してしまいます。
 
人間の腸内温度は37℃近く、これは真夏の暑さに匹敵します。
そんな環境に食べ物のカスが残っているのですから、当然のごとく腐敗・異常発酵が起きます。
これにより腸内では悪玉菌が異常繁殖し、免疫力が低下してしまうのです。
 
そのようなところに、さらに胃で食い止められなかったばい菌が入り込んでくるのですから、具合が悪くならないほうが不思議かもしれません。
 
このように、胃薬を飲めば飲むほど体はダメージを負っていきます。
 
●暴飲暴食と、タバコ、アルコール、コーヒーなどを控える
●夕食は寝る4〜5時間前には終え、寝る時には胃をからっぽの状態に
ではどうしたらよいのでしょう。
答えは簡単です。
 
胃薬が飲みたくなるような胸焼けや膨張感が起きないようにすればいいのです。
なぜ胸焼けや膨張感が起きるのかを知っていれば、それはちょっとした心がけで防ぐことができます。
 
胸やけは、食道に胃酸が逆流してくることで生じます。
もともと食道というところはアルカリ性になっているので、酸には弱い場所なのです。
そのため普段から人間は、胃酸が上がってくると、無意識のうちにアルカリ性の唾(つば)を飲み込むことで、逆流してきた胃酸を洗い流しているのです。
 
しかし、食べ過ぎや消化不良などによって、唾で流しきれないほどの酸が上がってくると、食道に「びらん」という引っかき傷のようなただれができてしまいます。
そこにさらに胃酸がくると、傷口にアルコールをぬるようなものですから、痛みや不快感を伴う「胸焼け」という症状が起きるのです。
 
胃薬を飲むと胸やけがスーッと引いていく感じがするのは、逆流している胃酸が抑えられるからなのです。
 
つまり、胸焼けを防ぐには、胃の中のものが逆流してこないようにすればいいということです。
 
それには、まず暴飲暴食と、タバコ、アルコール、コーヒーなどを控えることです。
そしてもう一つ大切なのが、夕食は寝る4〜5時間前には終え、寝る時には胃をからっぽの状態にしておくということです。
 
 
●ピロリ菌の発生を防ぐためにも、胃薬の服用は避けた
胃の粘膜には「純毛」という小さな突起があり、そこから胃酸が分泌されているのですが、胃酸を抑える胃薬を飲み続けていると、その純毛の機能が低下し、どんどん短くなっていきます。
 
これが粘膜の萎縮です。
粘膜の萎縮が進むと、胃粘膜が薄くなるため炎症を起こしやすくなり、萎縮性胃炎へと移行します。
 
萎縮性胃炎を起こしている胃は胃酸の分泌が少ないので、ピロリ菌や雑菌の温床となりやすく、ますます粘膜の炎症を悪化させ、最後に胃ガンを発生させてしまいます。
 
日本人の胃がん患者の90%に感染が認められるピロリ菌ですが、ピロリ菌は胃の粘膜を胃酸から守っている粘液の中や粘膜細胞の中にもぐりこむことができるので、胃酸が出ている人の中にも感染者はいます。
 
さらにピロリ菌は経口感染するので加齢するほど感染率が高く、50歳以上の日本人のピロリ菌感染率は60〜70%といわれています。
 
ピロリ菌感染が必ずしもガンの発生に直結するわけではありませんが、ピロリ菌の発生を防ぐためにも、制酸剤を含む胃薬の服用はできるだけ避けたほうが良いのです。
 
 

 

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池田 優

 

 

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