山ちゃんの食べもの考

 

 

その187
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【43】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その10
新谷弘実著 『病気にならない生き方』 より
■ 第2章 太く長く生きるための食べ方 の3
◆必須脂肪酸の上手な使い方とは
油の主成分である「脂肪酸」は、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。
不飽和脂肪酸は、いわゆる「善玉」の脂肪酸で、心臓、循環器、脳、皮膚などの機能を保つために必要な栄養素です。
不飽和脂肪酸の中には、人間の体では生成できないものがあり、それは食物から摂らなければなりません。それを必須脂肪酸といいます。
具体的にいうと「リノール酸」「リノレン酸」「アラキドン酸」などです。
 
以前アメリカで、必須脂肪酸をとるために、オリーブオイルを毎日ティースプーンにいっぱいずつ飲むといいということが言われ、とてもはやったことがありました。
しかしその後の研究で。毎日オリーブオイルを飲んでいると、卵巣ガンになりやすいというレポートが出たため、今ではすっかり下火になっています。
 
実はこれらの不飽和脂肪酸は、とても酸化しやすい性質を持っているのです。
たとえば圧搾してつくったオリーブオイルであったとしても、やはり人工的に絞った油を飲むことはお勧めできません。
 
不飽和脂肪酸をとるなら、魚に含まれるものがもっとも安定しています。
 
とくに、イワシやサバなどいわゆる「青魚」には、不飽和脂肪酸の中でも「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」といった良質な脂肪酸がたくさん含まれています。
「DHA」や「EPA」は、マグロの目の奥の脂肪に多く含まれていることで話題になった、農の原ら気をよくする脂肪酸です。
 
わざわざ油を飲まなくても、自然のままの形の食物を食べていれば、食物に含まれる脂質から必要な不飽和脂肪酸をとることができるのです。
 
油はどのようなものであっても、空気に触れればすぐに酸化を始めます。
ですから、できるだけ調理には油を使わないほうがいいのです。
 
しかし、一般的には、ビタミンAを吸収するには、油を使って調理したほうがいいといわれています。
そのため、ひじきなどビタミンAを多く含む食材の調理法には、油を使用したものが推奨されます。
これはビタミンAが「脂溶性」、つまり油に溶けやすい性質を持っているため、油と一緒にとったほうが摂取量は上がるとされているからです。
 
確かにビタミンAは脂溶性のビタミンです。しかし、ちょっと工夫すれば、人工的に絞った油を添加しなくても、十分吸収することができます。
なぜなら脂溶性のビタミンの吸収に必要な油の量はごく微量なものだからです。
ですから、油を使って調理しなくても、大豆やゴマなど脂肪分を有している食物をほんの少し一緒に食べるだけで十分に吸収することができます。
 
人間に必要な油は、人工的に絞ったり抽出したりしものを添加しなくても、脂肪分を含有した食物を自然の形のままとることで、必要量をまかなうことができます。
 
自然な形のままとは、穀物、豆類、ナッツや植物の種など、油の原料となるものを、そのまま丸ごと食べるということです。
それがもっとも安全で、もっともヘルシーな油の摂取方法なのです。
 
 
◆市販の牛乳は「錆びた脂」ともいえる
油と並んで酸化の進んだ食物が、市販の牛乳です。
 
加工する前の生乳の中にはたしかにいろいろな「よい」成分が含まれています。
炭水化物である乳糖を分解するエンザイムやリパーゼという脂肪を分解するエンザイム、プロテアーゼというタンパクを分解するエンザイムなどさまざまなエンザイムもたくさん含まれています。
抗酸化作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、免疫調節作用などの効果があることで知られるラクトフェリンも入っています。
 
しかし市販の牛乳では、そうした「よいもの」は、加工される過程ですべて失われてしまっているのです。
 
市販の牛乳が作られる過程は、だいたい次のようなものです。
まず牛のおっぱいに吸引機を取り付けて搾乳し、それをいったんタンクにためます。そうやって各農家で集めた生乳をさらに大きなタンクに移し、かき回してホモゲナイズします。
ホモゲナイズというのは「均等化」という意味です。
では何を均等化するのかというと、生乳に含まれる脂肪の粒です。
 
生乳には約4%近い脂肪が含まれていますが、その大部分は「脂肪球」と呼ばれる小さな「粒」として存在しています。
脂肪球は大きいものほど浮上しやすいため、生乳をそのままにしておくと脂肪分だけがクリームのそうとなって浮上してしまいます。
私が子供のころに1、2度飲んだ瓶詰めの牛乳は、厚紙でできた蓋を取ると、蓋の裏側にべったりと白いクリーム状の油がついていました。
これはホモゲナイズされていなかったため、運搬の過程で脂肪球が浮き上がってしまったからです。
 
こうしたことを防ぐために、現在はホモゲナイザーという機械を用い、脂肪球を機械的に細かく砕いているのです。
こうして作られたのが「ホモ牛乳」と呼ばれているものです。
 
ところが、ホモゲナイズすることにより、生乳に含まれていた乳脂肪は酸素と結びつき、「過酸化脂質」に変化してしまいます。
過酸化脂質というのは、文字通り酸化しすぎた脂肪ということですから、別の言い方をすれば、「ひどく錆びた油」ということになります。
酸化した脂が体に悪いのは、油のところですでに述べたとおりです。
 
しかも牛乳の加工工程はまだ終わりません。
ホモゲナイズされた牛乳は、さまざまな雑菌の繁殖を防ぐために加熱殺菌されることが義務づけられています。
牛乳の殺菌方法は大きく分けて次の4つがあります。
 
@低温保持殺菌法(LTLT)・・・・・・62〜65度で30分間加熱し殺菌する。
一般的に「低温殺菌法」といわれる。
A高温保持殺菌法(HTLT)・・・・・・75度以上で15分間以上加熱し殺菌する。
B高温短時間法(HTST)・・・・・・72度以上で15秒以上加熱し殺菌する
世界的にもっとも一般的に用いられている殺菌方法。
C超高温短時間殺菌法(UHT)・・・・・・120〜130度で2秒間(または150度で1秒間)過熱し殺菌する。
 
世界の主流は高温短時間法ですが、日本の主流は超高温短時間殺菌法です。
何度もいいますが、エンザイムというのは熱に弱く、48度から破壊を起こし、115度で完全に壊れてしまいます。
ですから、どんなに短時間であったとしても、130度もの高温にさらされた時点でエンザイムはほぼ完全に失われてしまいます
 
また、超高温にさらされることによって、過酸化脂質の量はさらに増加します。
そして、さらに問題なのが、熱性変質するということです。
卵を長時間ゆでると黄身がボロボロになりますが、牛乳のタンパク質にも同じような変化が起きているのです。
熱に弱いラクトフェリンも失われます。
 
こうして日本の市販牛乳は、健康を阻害する食物になってしまったのです。
 
 
◆牛の乳は本来、子牛のための飲み物である
そもそも牛乳というのは、子牛が飲むためのものです。
 
したがって、そこに含まれる成分は、子牛の成長に適したものです。
子牛の成長に必要なものが、人間にも有用だとは限りません。
 
だいいち、自然界を見ればわかりますが、どのような動物でも「乳」を飲むのは、生まれて間もない「子供」だけです。
 
自然界で大人になっても「乳」を飲む動物などひとつも存在しません。
それが自然の摂理というものです。
人間だけが、種の異なる動物の乳をわざわざ酸化させて飲んでいる。
つまり、自然の節理に反したことをしているわけです。
 
日本では学校給食で、子供たちに強制的に牛乳を飲ませます。
栄養豊富な牛乳は育ち盛りの子供によいとされているからです。
しかし、牛乳と人間の母乳を似たようなものだと思っている人がいたら、それは大きな誤解です。
 
たしかにそれぞれに含まれている栄養素を並べてみると、似ているような気がします。
タンパク質、脂質、乳糖、鉄分、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、ビタミンなど、牛乳にも母乳にもこうした同じような栄養素が含まれているからです。
 
しかし、その「質」と「量」は全然違います。
 
牛乳に含まれるタンパク質の主成分はカゼインと呼ばれるものです。
これが人間の胃腸にとっては消化しにくいものであることは、すでに触れたとおりです。
牛乳には、そのほかに免疫機能を高める抗酸化脂質「ラクトフェリン」も含まれていますが、ラクトフェリンの含有量は、牛乳より母乳のほうがはるかに多いのです。
母乳に含まれるラクトフェリンの量が0.15%なのに対し、牛乳に含まれるラクトフェリンの量はわずか0.01%です。
 
このように、牛の子供が飲むための牛乳と人間の子供が飲むための母乳では、もともと成分がまったく違うのです。
同じ「子供」であっても種が違えば、必要なものは違うというとです。
 
たとえば、牛乳に含まれるラクトフェリンは、胃酸に弱いので、たとえ加熱処理されていない牛乳を飲んだとしても、大人が飲めば胃酸で分解されてしまいます。
これは母乳のラクトフェリンであっても同じです。
生後間もない人間の子供が、母乳からきちんとラクトフェリンを吸収できるのは、胃が未発達で胃酸の分泌が少ないからです。
つまり、同じ人の「乳」であっても、成長した人間が飲むようには作られていないということです。
 
新鮮な牛乳であったとしても、牛乳は食物とするにはふさわしくないということです。
その「あまりよくない食物」である生乳を、私たちはホモゲナイズしたり、高温殺菌したりして、「悪い食物」にしてしまっているのです。
そして、学校給食という形で、最愛のわが子に飲ませているというわけです。
 
もう一つ問題なのは、日本人には、乳糖を分解する「ラクターゼ」というエンザイムを充分に持っている人が少ないということです。
このエンザイムは、赤ちゃんのときにはほとんどの人が充分な量を持っていますが、年齢を重ねるごとに減っていきます。
 
牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたり。下痢をしたりする人がよくいますが、これはエンザイムが不足して乳糖を分解できないために起きる症状です。
このエンザイムをまったくもたないか、もっていても非常に少ない人は「乳糖不耐症」と呼ばれます。
完全な乳糖不耐症の人はそれほど多くいるわけではありませんが、エンザイムが不足している人は、日本人の約85%に及ぶといわれています。
 
乳糖は、哺乳類の「乳」の中だけに存在する糖です。
本来「乳」というのは、生まれたばかりの子供が飲むものです。
ラクターゼが不足している人が多い日本人でも、新生児のときは健康な赤ちゃんは皆充分なラクターゼをもっています。
しかも母乳に含まれる乳糖の量は約7%、それに対し牛乳に含まれる乳糖の量は約4.5%です
 
乳糖を多く含む人間が、成長してそのエンザイムを失うということは、やはり成長したら「乳」は飲むものではないというのが自然の摂理だからだと私は思います。
 
ですから、どうしても牛乳の味が好きだという人は、ホモゲナイズされていない低温殺菌の牛乳を、ときどきのむ程度にしてください。
そして、嫌いだという人や子供に対してはけっして無理に飲ませないことです。
 
牛乳を飲んでも体に良いことは何もないのですから。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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