山ちゃんの食べもの考

 

 

その188
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【44】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その11
新谷弘実著 『病気にならない生き方』 より
■ 第2章 太く長く生きるための食べ方 の4
◆人間より体温の高い動物の肉は血を汚す
★腸内で腐敗し毒素を作る動物食
新谷食事健康法では、穀物と野菜中心の食事をし、肉、魚、乳製品、卵などの動物性の食物はなるべく少なく(全体の15%以下)するよう指導しています。
 
動物食に含まれるタンパク質は、現在の栄養学では理想的なものが多く、腸内でアミノ酸に分解・吸収され、血や肉になるとされています。
しかしどんなに良い食物であっても必要以上にとりすぎれば、体にとっては毒になります。
 
特に動物性たんぱく質は、大量にとりすぎると、胃腸で分解・吸収が完全に仕切れず、腸内で腐敗し、大量の毒素を作り出してしまいます。
その毒素の主なものは、硫化水素、インドール、メタンガス、アンモニア、ヒスタミン、ニトロソミアンなどですが、それに加えてフリーラジカルも作られます。
そして、こうした毒素を解毒するために腸内や肝臓で大量のエンザイムが消費されるのです。
 
★過剰なタンパク質は、カルシウムを道連れに排出する
タンパク質の必要量は、体重1kg当たり約1g。つまり、体重60kgの人なら、1日60gで充分ということです。
しかし実際には、日本人のたんぱく質の1日あたりの摂取量は成人男子の平均で84.9gもあるというデータもあります。
これはアメリカ人の摂取量に匹敵する数字ですから、明らかな過剰摂取といえます。
 
過剰に摂取しタタンパク質は、最終的には尿として排泄されることになるのですが、それまでの間に体にいろいろな被害をもたらします。
まず無駄なタンパク質は消化エンザイムによってアミノ酸に分解され、アミノ酸は肝臓でさらに分解されて血液に流れ込みます。
 
すると血液が酸性に傾くので、それを中和するために骨や歯から多量のカルシウムが引き出されるのです。そうしたカルシウムと酸化した血液が腎臓で濾過され、余分なタンパク質は、体から多量の水分とカルシウムを道連れに排出されます。
そして、この間にも大量のエンザイムが消耗されることは言うまでもありません。
 
こうしたタンパク質の過剰摂取が「肉(肉の加工品を含む)」や「牛乳(乳製品を含む)」で行われた場合の健康被害は、さらに深刻です。
なぜなら、こうした動物食に、「食物繊維」が含まれていないことも、腸相の悪化に拍車をかけるからです。
 
食物繊維とは、人間の消化エンザイムで分解することのできない難消化物のことで、代表的なものとしては、植物に含まれる「セルロース」や「ペクチン」、カニやエビの殻に含まれる「キチン」などがあります。
 
肉をたくさん食べて食物繊維が不足すると、便の量が減り、便秘や停滞便の原因となります。
さらにそうした状態を放っておくと、「憩室」と呼ばれるポケットのようなものが腸壁にでき、そこに毒素や停滞便がたまり、ポリープやガンの原因となります。
 
★「肉食腸」と「魚食腸」には決定的な違いがある
動物性タンパク質ということで、肉の問題点ばかりを指摘してきましたが、もう一つの動物性タンパク質「魚」であっても、過剰摂取が健康被害をもたらすのは同じです。
ただし、私の臨床データによると、「肉食腸」と「魚食腸」には決定的な違いが一つあります。
 
それは、魚中心の食事をしている人は、どんなに腸相が悪くても、「憩室ができるということはないということです。
 
いわゆる「医学書」と呼ばれるものには、肉であれ魚であれ乳製品であれ、食物繊維のないものを多く摂取していると憩室ができるとされているのですが、私の臨床経験では、肉はほとんど食べないが魚はたくさん食べているという人の腸は、痙攣や腸壁の硬さは見られるものの、憩室まではできていないのです。
 
こうした腸相の違いはどこから来るのでしょう。
これは肉と魚、それぞれが持つ「脂肪」の質の違いではないかと、私は考えています。
 
★魚の脂は血液をサラサラにし、悪玉コレステロ−ルを下げる
肉と魚の脂肪の違い、それは飽和脂肪酸が体には悪く、不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げるなど体にいいといわれるのですが、もっとわかりやすい例があります。
それは人間の体温を基準にして、それよりも体温の高い動物の脂は悪く、体温の低い動物の脂はよいという考え方です。
 
牛や豚や鳥の体温は、人間よりも高い38.5〜40℃。
鶏の体温はそれよりもさらに高い41.5℃です。
こうした人間よりも体温の高い動物の脂は、その温度でもっとも安定した状態にあるということです。
つまり、それよりも体温の低い人間の体内に入ったときには、ベタッと固まってしまう。
 
この脂のベタつきが、血液をドロドロにしてしまうのです。
ドロドロになった血液は、流れが悪くなり血管の中で停滞したり詰まったりします。
これを私は「血が汚れる」と称しています。
 
一方魚は変温動物ですから、通常の状態であれば、人間よりはるかに低い体温をしています。
その脂が体温の高い人間の体内に入るとどうなるでしょう。
フライパンなどで脂を熱すると、溶けてサラサラの液体になります。
それと同じことがおこるということです。
 
魚がもつ脂が血液をサラサラにし、悪玉コレステロ−ルを下げるといわれているのは、このためです。
ですから、同じ動物性タンパク質でも、「肉」でとるよりも「魚」でとったほうが、人間の体にははるかによいのです。
 
 
◆『赤身の魚』は新鮮なうちに食べるのがコツ
★赤身の魚の身は、空気に触れるとすぐに酸化する
魚には「赤身」と「白身」のものがあります。
一般的に赤身の魚よりも白身の魚のほうが体によいとされているのは、赤身の魚のほうが酸化するのが早いからです。
なぜ酸化しやすいのかというと、「鉄分」をたくさん含んでいるからです。
 
マグロやカツオなど赤身の魚と呼ばれるものは、その名の通り筋肉組織が「赤色」をしていますが、これは筋肉が「ミオグロビン」という特殊なタンパク質を含んでいるからです。
 
ミオグロビンは、酸素を蓄えることのできる球状タンパク質で、アミノ酸のポリペプチド鎖一本と鉄ポルフィリンから構成されています。
 
ミオグロビンは、代謝に必要なときまで細胞内に酸素を蓄えることができるので、イルカやクジラ、アザラシなど長時間、水に長くもぐっていることが必要な動物の筋肉によく見られます。
一般的に動物の筋肉が赤い色をしているのも、このミオグロビンのためです。
 
マグロやカツオなどにこのミオグロビンが多いのは、それが海の中をものすごいスピードで泳ぎまわる魚だからです。
猛スピードで泳ぎ続けるには、筋肉に大量の酸素が供給されなければなりません。
そのため、酸素が欠乏することがないように、ミオグロビンがたくさん含まれているのです。
 
このミオグロビンを多く含んでいるため、赤身の魚は、おろして身が空気に触れるとすぐに酸化してしまう。
これが赤身の魚がよくないといわれる理由です。
 
★「DHA」、「EPA」、鉄分は赤身魚のほうが多く持っている
一方、白身の魚は、ミオグロビンをもっていないので、切り身にしておいても、それほどすぐには酸化しません。
 
ところが、DHAやEPAといった抗酸化物質は赤身のほうが多く持っているのです。
それに、ミオグロビンには自然な形で鉄分が多く含まれているので、貧血がある人には、とてもよい食物といえます。
 
でも、この鉄分も酸化すると酸化鉄になってしまい、貧血改善どころか健康被害をもたらすものになってしまいます。
ですから、赤身を食べる際に気をつけたいのは、鮮度のよいものを選ぶということです。
 
私はマグロのお寿司を食べるのが大好きですからときどきは食べるのですが、そのときには必ず表面を5ミリぐらい落としてもらってから握ってもらっています。
 
また、高知の郷土料理に「カツオのたたき」というのがありますが、あれは表面をさっとあぶることによってたんぱく質を変質させ、空気に触れても酸化しないように工夫された調理法なのです。
これだと中の火の通っていない部分は酸素が遮断されるので、酸化を防ぐことができるというわけです。
ちなみにこの調理法には、魚の皮のところに集まりやすい寄生虫を殺すといってメリットもあります。
 
一寸した手間と工夫を惜しまなければ、赤身の魚は良質な食材といえるでしょう。
ただし、やはり動物性たんぱく質ですから、取りすぎには注意が必要です。
それに、最近のマグロには水銀の含有量が増えてきているという報告もあります。
血液検査をすると体内の水銀が非常に増えている人がいます。
マグロをよく食べる人は一度よく調べてください。
 
陸上の土壌汚染同様、海洋汚染の問題も、私たち一人ひとりの健康に直結しているという認識を持って改善していかなければならない問題なのです。
 
 
◆植物性85%、動物性15%が理想の食事
★植物食でも、たんぱく質は充分にとることができます
新谷食事健康法では、植物食と動物食の割合が「85対15」になるように指導しています。
すると、「そんなに動物性の食物を少なくしてしまって、たんぱく質が不足しませんか?」と聞かれることがよくあります。
でも、心配は要りません。
植物食でも、たんぱく質は充分にとることができます。
 
人間の体の組織は、他の動物、植物と同じように主にタンパク質から構成されています。
しかし、肉や魚といったタンパク質の多いものを食べたとしても、それがそのまま人間の体を作るのに使われるわけではありません。
なぜなら、一口に「タンパク質」といっても、それを構成しているアミノ酸の配列が異なるからです。
 
ですから人間の腸では、消化エンザイムでたんぱく質をその最小単位であるアミノ酸にまで分解してから、腸壁で吸収しています。
そして、この吸収したアミノ酸を体内で再合成して人間に必要なたんぱく質に生まれ変わらせていtるのです。
 
人のタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類、そのなかには、人間の体内で合成できないものが8種類あります。
 
その8種類のアミノ酸とは「リジン」「メチオニン」「トリプトファン」「バリン」「スレオニン」「ロイシン」「イソロイシン」「フェニルアラニン」で、これらを「必須アミノ酸」といいます。
 
この必須アミノ酸は、一種類でも欠けると重大な栄養障害を起こす可能性があるほど大切なものですから、毎日の食事で絶対にとらなければなりません。
この必須アミノ酸をすべて含んでいるのが「良質タンパク」と称される動物性タンパクです。
いまの栄養学が、動物性タンパクを毎日取りなさいというのはこのためです
 
しかし、すべてではありませんが植物性タンパクにも多くの必須アミノ酸が含まれています。
穀物と雑穀類、豆類、野菜、きのこ類、果物、海藻にもアミノ酸は多く含まれています。
 
海苔の37%はタンパク質だというと、多くの人は驚きますが、同じ海藻である昆布がアミノ酸の宝庫であることは、多くの人が知っています。
 
植物性食物の中でも、大豆は昔から「畑の肉」と称されるほど多くのアミノ酸を含んでいることで知られています。
大豆の必須アミノ酸含有量は、スレオニンが基準値を少し下回っているぐらいで、動物性タンパクと比べてもほとんど遜色はありません。
それに、すでに述べたように、動物性タンパクの過剰摂取は、深刻な健康被害をもたらします。
 
もちろん、植物性タンパクも取りすぎは決してよいことではありません。
動物性脂肪がなく、食物繊維が豊富なことを考え合わせると、植物性タンパクをおもに、どうしても足りない部分を動物性タンパク、それも魚でとることが健康のためにはもっともよい方法といえます。
 
たしかに植物性の食物は、それぞれを単独で見れば、一つで必須アミノ酸をすべてもっているものはありません。
でも、考えてみてください、私たちは一つの食物だけを単体で食べるわけではありません。
日本人の食事というのは、主食の穀物があり、主菜、副菜、そして汁物という構成からなります。
ですから植物性の食物を上手に組み合わせれば、植物食だけでも、充分な必須アミノ酸を取ることができるのです。
 
 
◆白米は死んだ食べ物である
★米を食べると太るというのは間違い
近頃は、炭水化物は太るのでご飯の量はなるべく少なくしている、という人がよくいます。
しかし米を食べると太るというのは間違いです。
私は、食事全体の40〜50%を穀類でとるようにしていますが、全体のバランスが取れているので決して太ることはありません。
 
ただ、穀類といっても、私が主食としているのは、多くの人が常用している「精白米」ではありません。
玄米に、押し麦、あわ、きび、アマランス、ひえ、そば米、はと麦、キヌアといった雑穀のなかから5種類ほど選んで混ぜたものを主食としているのです。
これらの雑穀はすべて、無農薬で栽培されたもので、精製されていないフレッシュなものを選びます。
 
フレッシュといっても、お米は収穫できる時期が限られているので、いつも収穫したてのものというわけにはいきません。
ですから私は、玄米が酸素に触れないように真空パックしたものを購入し、封を切ったら10日ほどで食べきるようにしています。
 
これは、お米も空気に触れていると、時間とともに酸化するからです。
特に、精製した白米は皮を剥いているのですから、玄米よりもずっと早く酸化してしまいます。
これは皮を剥いたリンゴが、すぐに茶色く変色してしまうのと同じことです。
 
★白米は、米のもっとも大切な部分を捨ててしまった「死んだ食物」
「米」は稲という植物の種です。
この種は実った状態ではもみ殻という殻に包まれています。
 
このもみ殻の部分を外したのが「玄米」、玄米から果皮、種皮、糊紛層など「ぬか」と呼ばれる部分を取り除いたのが「胚芽米」、そこからさらに胚芽まで取り除き「胚乳」だけにしたものが「白米」です。
 
白米は真っ白で色も美しく、やわらかく甘みも強いので、ほとんどの人が好んで白米を食べていますが、実は白米は、米のもっとも大切な部分を捨ててしまった「死んだ食物」なのです。
 
リンゴやジャガイモは、皮をむいて置くと、酸化して茶色くなります。
精米した米も、色こそ変わりませんが、皮を向かれているので玄米よりも早く酸化してしまいます。
自家精米機などで、精米したての白米を食べるとおいしく感じるのは、白米が酸化していないからです。
 
玄米は、生命力を秘めた「生きた食物」です。
白米には、「ぬか」と「胚芽」部分がありません。
ですから当然ですが、水につけておいてもふやけるだけで発芽することはありません。
 
しかし玄米は、適当な温度があれば、水につけておくと発芽します。
発芽することのできる玄米は、生命力を秘めた「生きた食物」です。
このことだけを見ても、白米は死んだ食物だということがおわかりになると思います。
 
植物の種というのは、適した環境におかれたとき発芽できるように、エンザイムをたくさん秘めています。
また種の中には、勝手に発芽してしまわないように、発芽を抑制する「トリプシン・インヒビター」というとても強力な物質が含まれています。
 
穀物や豆やイモ類を生で食べると害になるのは、この物質を中和し消化するために大量の消化エンザイムが消費され、エネルギーを失うことにつながるからです。
しかし、このトリプシン・インヒビターは熱を加えるとなくなるうえ、食物としても消化しやすいものになるので、穀類はみな火を通してから食べるのがいいのです。
 
精製されていない穀物には生きた栄養がいっぱい
精製されていない穀物には、体に良い栄養素がぎっしり詰まっています。
タンパク質、炭水化物、脂肪、食物繊維、そのほかにもビタミンB1やビタミンE、それに鉄やリンなどのミネラルといった数多くの大事な微量栄養素がバランスよく入っています。
もちろんミラクル・エンザイムのもととなるエンザイムもたくさん含まれています。
 
白米はどれほどよいものでも玄米と比べると、栄養素は玄米の4分の1ほどしかありません。
特に胚芽部分には、さまざまな栄養素がいっぱい詰まっていますから、精米するときは最悪でも胚芽米にとどめていただきたいと思います。
 
玄米は炊くのが大変だという人が多いのですが、今は市販されている一般的な炊飯器にも玄米炊き機能がついていますし、「発芽玄米」といって、ほんの少しだけ発芽させた玄米も簡単に手に入ります。
発芽玄米なら、玄米炊き機能のない炊飯器でもおいしく炊くことができます。
 
精製していない穀類がよいのは、「麦」の場合も同じです。
小麦も精製すると、栄養は激減します。
パンやパスタなど楽しむときには、全粒小麦粉を使ったものを選ぶとよいでしょう。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る