山ちゃんの食べもの考

 

 

その189
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【45】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その12
新谷弘実著 『病気にならない生き方』 より
■ 第2章 太く長く生きるための食べ方 の5
◆人間の歯の数はなぜ32本なのか
★植物食を85%、残りの15%を動物食で
理想的な食事バランスは、植物食を85%、残りの15%を動物食で、という話をしました。
これはどこから導き出された数字かというと、実は人間の「歯」の数です。
歯はその動物が、どのような食性をもっているかをよく反映しています。
例えば肉食動物の歯は、先のとがった、人間でいえば「犬歯」のような歯ばかりです。これは動物の肉を噛みちぎるのに適しています。
これに対して草食動物は、植物を噛み切るのに適したうすくて四角い、人間で言えば「門歯」のような歯と、噛み切った植物をすりつぶすための臼のような歯「臼歯」をもっています。
 
私はこうした自然界のルールを、もっている歯の数に当てはめれば、その動物にとってもっとも適した食事のバランスがわかるのではないかと考えています。
突拍子もないことのように思われるかもしれませんが、実はこうした歯の構成と食事のバランスに深い関係があることは、多くの先人たちが主張されてきたことなのです。
 
人間の歯の数は全部で32本(親知らずを含む)あります。
その内訳は、門歯(前歯)が上下2対ずつ、犬歯(糸きり歯)が上下1対ずつ、そして臼歯が上下5対ずつになっています。
つまり人間の場合、肉(動物食)を食べるための犬歯が1なのに対し、植物を食べる歯は門歯の「2」と臼歯の「5」を足した「7」あるということです。
この「7対1」という歯の割合を、そのまま植物食と動物食のバランスに当てはめたのが、「植物食を85%、動物食を15%という食事バランスなのです。
 
★全体の50%を占める穀物は、精製していないものを
つまり、人間にもっとも適した食物バランスをまとめると、
 ◆植物食と動物賞のバランスは、85(〜90)耐(10〜)15
 ◆全体としては穀物50%、野菜や果物35〜40%、動物食10〜15%
 ◆全体の50%を占める穀物は、精製していないものを選ぶ
 ということになります。
 
植物食の占めるウエイトが多いように思われるかもしれませんが、人間の遺伝子と最も近い遺伝子(98.7%が同じ)を持つ生物、チンパンジーの食事を見ると、その95.6%は植物食です。
その内訳は、果物が50%、45.6%が木の実やイモ類、そして、その残りのわずか4〜5%がアリなどの昆虫を主とした動物食なのです。
彼らは魚すら食べません。
 
そんなチンパンジーの胃腸を私は内視鏡で見たことがありますが、胃腸を見ているだけではチンパンジーか人間かわからないほど似ています。
そして何よりも驚いたのは、彼らがとてもきれいな胃相・腸相をしていることです。
 
人間と違い、野生動物は病気になるとすぐに死んでしまいます。
彼らは、食が自分たちの命を養い、健康を守るための大切なものであることを本能的に知っているのです。
 
私たち人間も自然に習い、もっと謙虚な心で「食」の基本に立ち返ることが必要だと私は思っています。
 
 
◆『よく噛む』「腹八分目」が健康によい理由
★よく噛まないことによる消化・吸収不良
第1章で、噛まないお粥よりもよく噛んだ普通食のほうが消化がいいという話をしました。
よく噛むことが体に与えるメリットは、他にもいろいろあります。
その最大のものが、ミラクル・エンザイムの節約です。
 
私はいつも、一口当たり30〜50回は噛むようにしていますが、普通の食事なら、それで完全にドロドロになって自然とのどから入っていきます。
硬いものや消化のあまりよくないもののときには70〜75回ぐらい噛みます。
 
人間の体は、噛めば噛むほど唾液の分泌が活発になるとともに、胃液や胆汁などもよくまざりあって消化が助けられるようにできているからです。
人間の腸壁が吸収できる大きさは、15ミクロン(千分の15ミリ)で、それより大きな塊は吸収されずに、排泄されてしまいます。
そのためよく噛まないと、10食べても3しか吸収されないということが起こります。
 
このような話をすると、若い女性などは「吸収されないなら太らないからいいじゃない」といいますが、問題はそんな単純なことではすまされません。
消化吸収されなかったものは、過剰摂取した場合と同じで、腸内で腐敗や異常発酵が起きるからです。
腐敗した結果、さまざまな毒素が生まれ、その解毒に大量のエンザイムが消費されていまいます。
さらに消化しやすいものと消化しにくいもので吸収率にばらつきができるため、バランスよよい献立をしたとしても、栄養素としては不足してしまうことがあります。
特に微量栄養素などは不足してしまう危険性が高いといえるでしょう。
最近は、カロリーの過剰摂取で太っているのに栄養素が不足しているという人が増えていますが、その原因は食物バランスが悪いとともに、よく噛まないことによる消化・吸収不良が考えられるのです。
 
★よく噛んだほうがダイエットによく、抵抗力や免疫力がアップ
実はよくかんだほうが、むしろダイエットにはいいのです。
なぜならよくかむとそれだけ食事に時間がかかるので、食べている間に血糖値が上がり、食欲が抑制され、食べすぎを防ぐことができるからです。
無理に食事の量を減らさなくても、よくかむことで自分にとって必要な量で満腹感を感じられるようになるということです。
 
もう一つ、よくかむことのメリットに、寄生虫を殺すことがあげられます。
最近では虫のついている野菜などは見なくなりましたが、カツオやイカ、川魚などにはまだたくさんの寄生虫がついていることがあります。
それらは4〜5ミリと非常に小さく、よく噛まないとそのまま飲み込んでしまい、内臓に寄生されてしまう危険があります。
しかし、50〜70回ぐらいかむとそれらを口の中でかみ殺すことができることがわかっています。
 
よい食材を選ぶと自然と、魚は養殖より天然もの、野菜は無農薬や有機栽培にたどり着きます。
そういった自然に近い食物には虫がついていることも多いでしょう。
でも、よく噛むことでその害を未然に防ぐことができると知っていれば、寄生虫や虫を恐れる必要もなくなります。
 
よく噛んで唾液がたくさん出ると、それだけ分泌されるエンザイムの量も増えるので、エンザイムの消耗につながるのではと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
よくこなれていないものを胃腸に送り込んだときより、体全体で消費されるエンザイムの量はずっと少なくてすむのです。
そして、よくかむことによって食欲が自然と抑制され、食べる量が減ると、消化・吸収に使われるエンザイムの量も減るので、体全体で見ると、さらにエンザイムを節約することになります。
 
消化に消費されるエンザイムの量が減るということは、ミネラル・エンザイムを消耗しなくてすむので、解毒や体の修復、エネルギーの供給など、体の恒常性を維持するために使えるエンザイムの量が増えるということです。
その結果、抵抗力、免疫力がアップし、長寿につながります。
 
★「よい食物を」、「バランスよく」、「よく噛んで」食べること
また少食を心がけていると、食べ物がほとんどきれいに消化・吸収されるので、消化しきれない余分なものが腸内で腐り毒素を発生させることもなくなります。
そのため解毒に使われるエンザイムも節約できます。
事実、新谷食事健康法を実践していただくと、約半年ほどで見事なまでに胃相・腸相が改善され、ガスや便のいやなにおいも軽減されます。
 
「食事はよくかんだほうがいい」「腹八分目が体にいい」というのは古くからよくいわれていることですが、その最大のメリットは、「エンザイムの消耗を防ぐ」ということだったのです。
 
どんなに「よい食物」であっても、どれほど「必要不可欠」な栄養素であっても、過剰摂取は健康を害する原因となります。
大切なのは、「よい食物」を「バランスよく」、そして「よく噛んで」食べることです。
食事においてこの3つの「よい」を心がけることで、あなたのミラクル・エンサイムは劇的に節約され、健康な体で人生をより長く楽しむことができるようになるのです。
 
 
◆肉食動物はなぜ草食動物を食べるのか?
★現代栄養学には「エンザイム」が抜け落ちている
食の基本は、フレッシュなものを食べることです。
なぜフレッシュなものがよいのかというと、フレッシュであればあるほど、ミラクル・エンザイムのもととなるエンザイムがたくさん含まれているからです。
 
地球上にはさまざまな食性をもった動物がいますが、そのすべてに共通しているのがエンザイムを多く含んだ状態の食物を好むということです。
こうした食の基本を、私たち人間は忘れかけているのではないでしょうか。
 
人間は食べ物に含まれる栄養学を調べ、それを分類し、カロリーを測り、現代の「栄養学」を確立しました。
しかしそこには、食の基本であるはずの「エンザイム」の存在がスッポリ抜け落ちてしまっています。
そのため、エンザイムを含まない「死んだ食物」が、たくさん食べられるようになってしまいました。
 
人間とともに暮らしているペットの食事にも同じことが言えます。
最近のペットフードはどれもエンザイムの含まれていないものばかりです。
そして、その結果が、さまざまな病気という形でペットたちを苦しめています。
ですから、私も犬を買っていますが、ペットフードは一切与えていません。
 
犬にも自分たちが食べる玄米を食べさせているのです。
犬が玄米なんて不思議な感じがするかもしれませんが、玄米に海苔をかけたものなどはとても喜んで食べています。
果物も好きですし、もちろん野菜も食べます。
ブロッコリーの芯のところをさっとゆでて与えると、取り合いをしてまで食べています。
 
★肉食動物は植物を分解するエンザイムを持っていない
肉食動物というと、「肉」しか必要としないように思いがちですが、そんなことはありません。
彼らも植物を必要としているのです。
ではなぜ肉しか食べないのでしょう。
それは、植物を分解するエンザイムを彼らが持っていないからです。
 
野生の動物を観察するとわかりますが、彼らは草食動物しか食べません。
そして、狩りをしたら、草食動物が食べた植物がエンザイムとともに消化されかけている腸(内臓部分)を真っ先に食べます。
これによって肉食動物は、草食動物がその胃腸で消化した植物と消化しつつある植物を得ているのです。
 
肉食動物が草食動物だけを食べ、草食動物は植物だけを食べる。
これが自然の摂理です。
この自然の摂理を無視すると、必ずしっぺ返しを受けます。
その代表的な例が「BSE(牛海綿状脳症)」です。
 
BSEの原因は、現時点ではまだ完全に解明されていませんが、「プリオン」というタンパクが異常化したことから脳の海綿化が生じることがわかっています。
ではなぜプリオン異常化してしまうのでしょう。
BSEが、肉骨粉(食肉処理の過程で得られる肉、皮、骨などの残渣から製造される飼料原料)を含む飼料の流通を通じて広がったことは、調査で明らかです。
農林水産省をはじめとする各国の公共機関は、「遺伝的に汚染された肉骨粉」という言い方をしていますが、私に言わせれば、そもそも草食動物である牛に「肉骨粉」という動物性の食物を与えること自体が自然の摂理に反したことだったのです。
 
牛に肉骨粉を与えたのも、そもそも人間の身勝手でした。
肉骨粉を与えると、牛のミルクに含まれるたんぱく質やカルシウムの量が増加するのです。
そして、たんぱく質とカルシウムの多い牛乳ほど高く売れるのです。
ですからBSEという病気ができたのも、その牛を食べた人間の脳が海綿化してしまうのも、いってみれば自然の摂理を無視して我欲に走った傲慢な人間が受けた当然の報いだと私は考えています。
 
結局、人間を含めて動物はみな、何をどのくらい食べるのがよいのかというのは、自然の摂理で決まっているのです。
自然の摂理を無視したところに健康な生活はありません。
 
 
◆まずいものを食べていては健康にはなれない
★楽しみながら、正しい食事を、長く続ける
この章では、どのような食物が命を養う「よい食物」で、どのような食物が健康を損なう「悪い食物」かということを述べてきました。
「よい食物」と「悪い食物」を分けるポイントは、命の元ともいうべき「エンザイム」の有無と、フレッシュさ、つまり「酸化」の有無でした。
そして、そのよい食物をどのような「バランス」でとればいいのか。
また、それを「どのようにして」食べればいいのか、ということにも触れました。
 
人間は進化の過程で食物を「調理する」ということを覚えました。
それによってより多くの食物を楽しんだり、食物を保存したりすることができるようになりました。
しかしその反面、貴重なエンザイムを調理の熱によって失うというデメリットを負うことにもなりました。
 
野生の動物で調理をする生き物はいません。
また、食物を精製したり加工したりして食べるものもいません。
ですから、健康によい食物を研究している人のなかには、人間も一切の食物加工をやめ、すべて生の状態で食べるべきだという人もいます。
でも私はそうは思いません。
なぜなら、健康に生きるためには人が「幸福」であることがとても大切だからです。
食事は人間にとってもっとも大きな喜びをもたらすものです。
無理してまずいものを食べていたのでは健康にはなれないのです。
 
ですから新谷食事健康法では、自然に学びながらも、楽しみながらそれを続けることが何よりも大切だと考えています。
 
そのためのポイントはすでに紹介しました。
○植物食と動物食のバランスは、85(〜90)対(10〜)15とすること
○全体としては、穀物(雑穀、豆類を含む)を15%、野菜や果物を35〜40%、動物食は10〜15%とすること
○動物食は、できるだけ人間よりも体温の低い動物である魚でとるようにすること
○食物はどれも精製していないフレッシュなものを、なるべく自然な形のままとるようにすること
○牛乳・乳製品はできるだけとらないようにすること(乳糖不対症やアレルギー体質の人、牛乳・乳製品の嫌いな人は、一切とらないようにする)
○マーガリンや揚げ物は避けること
○よくかんで小食を心がけること
 
自然の摂理と人間の体の仕組みを知って、これらのポイントを守れば、健康によい食事を楽しみながら続けることはそれほど難しいことではありません。
一番いいのは、子供のときから習慣づけることです。
 
それが「おいしい」という喜びになるのなら、分厚いステーキやチーズやお酒も、たまになら食べても飲んでも大丈夫です。
食事は日々の積み重ねです。
たまに羽目を外すことがあっても、他の95%が健康に留意した食事をしていれば、ミラクル・エンザイムがあなたの健康を守ってくれます。
 
大切なのは、楽しみながら、正しい食事を続けていくことです。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る