山ちゃんの食べもの考

 

 

その195
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【51】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その18
新谷弘実著 『病気にならない生き方』 より
■ 第4章 「命のシナリオ」に耳を傾ける の2
◆人間が生きていけるのは微生物のおかげ
 
海で死んだ魚はどうなるか知っていますか?
海底深くを見ても、魚の死骸が堆積しているところなどありません。
では、魚の死骸はどこに行ったのでしょう。
答えは「消えてしまう」です。
海の中の微生物が少しずつ分解してしまいので、いつの間にかなくなってしまうのです。
 
私たちの世界は、肉眼では見えませんが微生物に満ちています。
きれいな空気の中にも、1センチメートル立法に約1000匹もの微生物がいるといわれています。
高度1万メートルの上空にも、地下1万メートルの世界にも、微生物はいます。
もちろん海中にもたくさんの微生物がいます。
そして、私たち人間の腸の中にも「腸内細菌」と呼ばれる微生物がたくさんすんでいます。
 
つまり、私たち人間は、微生物とともに生きているのです。
 
人間の腸内には、約300種類、約100兆個の腸内細菌が住みついているといわれています。
彼らはただいるだけではありません。
私たち人間にはとても多くのことを、この細菌たちにしてもらっています。
その中で最も重要なのが、生命力の源であるエンザイムを作ってもらっていることです。
腸内細菌は、およそ3000種類ものエンザイムを作っているといわれています。
 
腸内細菌にはいわゆる「善玉菌」と「悪玉菌」と呼ばれるものがいます。
一般には乳酸菌のように人間にとってよい働きをするものを「善玉菌」といい、ものを腐らせたり、人間の体に害を及ぼすものを作り出す菌を「悪玉菌」といいます。
 
善玉菌というのは、ひとことで言えば抗酸化エンザイムをもっている菌のことです。
彼らは腸内にフリーラジカルが発生すると、自ら死んで体内の抗酸化エンザイムを出し、フリーラジカルを中和させてくれます。
 
腸内には絨毛と呼ばれる小さな突起がびっしりあるのですが、その絨毛の間には善玉菌である乳酸菌が入り込んでいます。
この絨毛の中には免疫システムにかかわる白血球やNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)といったものが出てくるのですが、それらは、異種タンパクや細菌、ウイルスやガン細胞などの異物と戦うときに大量のフリーラジカルを出します。
乳酸菌はその後始末ともいうべきフリーラジカルの除去に活躍してくれるのです。
 
ちなみに、これはまだ私の仮説ですが、善玉菌の不足など何らかの理由で中和されきらなかったフリーラジカルが、非常にデリケートな絨毛に炎症を起こさせ、破壊していったのが潰瘍性大腸炎やクローン病ではないかと考えています。
 
一方悪玉菌は、不消化物などを破壊・崩壊させるような働きをするので、一般的には有害菌だと考えられているのですが、不消化物を早く体内から排出するために、異常発酵を起こし有毒なガスを出させて腸を刺激し、ガスや便の排泄を促していると考えることもできるのです。
 
ですから私は、腸内細菌というのは、本当は善悪がそんなにきっぱりと分かれているものではないのではないかと考えています。
悪玉菌も、必要だから体内に常在しているのではないでしょうか。
 
人間に利益をもたらすものを「善玉菌」、人間に毒になるものをもたらすのが「悪玉菌」そしてそれ以外の、人間には毒にも助けにもならないような金を「中間菌」と称するのですが、これはあまりにも身勝手な分類だと思います。
 
大切なのは全体としてのバランスです。
タンパク質のようにどんなに大切な栄養素でも、とりすぎれば体のなかで毒になるように、悪玉菌も増えすぎれば問題ですが、健康維持のためにはいなければ困る細菌なのではないでしょうか。
 
腸内細菌のバランスはとてもデリケートです。
微生物というのは、非常にもろい生物です。
環境に左右されやすく、繁殖に適した環境だと一気に何千倍、何億倍にも増えますが、環境が悪いとすぐに死んでしまいます。
 
また中間菌は、周りに善玉菌がいっぱいあると、自分も抗酸化エンザイムを出すようになるのですが、周りに悪玉菌が多いと、逆に自分も酸化酵素を出して悪玉菌に変ってしまうという、ファジーな性質を持っています。
つまり、より多数派に染まってしまうのが中間菌なのです。
 
人間は悪玉菌を毛嫌いしますが、悪玉菌が増えるような腸内環境を作り出しているのは、ほかならぬ自分自身です。
 
自分の食生活の乱れや、悪い生活習慣を棚に上げて、微生物を攻めることはできません。
中間菌を悪玉にするか善玉にするかは、自分自身の行いが決めているのです。
 
 
◆善玉菌が増えやすい腸内環境を整える
 
生物が生きていくために必要不可欠なエンザイムですが、人間自身が作ることのできる量は決まっているといわれています。
 
体からエンザイムが亡くなったとき、人の命も終わってしまいます。
そう考えると、「ミラクル・エンザイム=生命力」といっても間違いではないでしょう。
 
そのエンザイムを最も消耗させるのが、フリーラジカルです。
現代社会は、ただでさえフリーラジカルが発生しやすい環境にあります。
ストレス、大気汚染、紫外線、電磁波、細菌やウイルスの感染、レントゲンや放射線を浴びたときにもフリーラジカルは発生します。
 
しかし、フリーラジカルの発生原因のなかには、こうした外的要因のほかに、自分の意志で防ごうと思えば防げるものもたくさんあります。
 
飲酒やタバコの習慣、食品添加物の摂取、酸化した食物の摂取、薬品の摂取などはその代表的なものです。
これらの要因で消耗されるエンザイムの量は膨大ですから、意識的に減らす努力をしなければ、必ず病気になってしまうでしょう。
 
もともと人間の体内にあるエンザイムの量が決まっているとすれば、後はエンザイムを作り出すことのできる腸内細菌にすがるしかありません。
抗酸化エンザイムをもつ善玉菌が繁殖しやすい腸内環境を用意するということが、人間にできる唯一のエンザイムを増やす方法だということです。
 
エンザイムの豊富な食物を食べなさいというのも、善玉菌が繁殖し、ミラクル・エンザイムを作り出す原料となるからです。
 
自然環境がそうであるように、最初によいものをいくつか積み重ねると、よい環境が生まれます。
よい食物を食べ、よい水を飲み、よい生活習慣を身につければ、自然と腸内環境は整い、ミラクル・エンザイムが豊富に生み出され、生命力あふれる人生を送ることができます。
 
しかし逆に、一つでも悪いことをして、このよい循環を乱してしまうと、悪い循環が始まってしまいます。
 
好きだからといって肉や乳製品などの動物職を常食していると、消化吸収が悪くなり、腸内環境は見る見る悪化していきます。
腸内環境が悪化すると、善玉菌が減り、中間菌は悪玉菌と化し、ただでさえフリーラジカルと戦うことができない環境となります。
 
しかし、消化吸収能力の低下した腸では不消化物がたまり、その腐ったものを栄養に、たくさんいる悪玉菌が、毒ガスをどんどん作り出していきます。
いつも異様にくさいガスをバンバン連発している人というのは、お腹の中でこうした悪循環が生じているのです。
 
母乳を飲んでいる赤ちゃんの便はいやな臭いがしませんが、これは生きた食べ物だけを摂取しているからです。
母乳が出ず、ミルクで育った子供の便は、やはり母乳の子とは違う臭いがします。
 
腸内の毒素と対抗するために免疫機能も働きますが、戦闘の結果生まれたフリーラジカルを中和してくれる善玉菌はほとんどいないので、フリーラジカルの悪行を止めることはできません。
こうしてフリーラジカルに破壊された腸壁にポリープやガンが生まれていくのです。
 
よい循環を支えるのは、町内環境です。
そして、私たちにできるのも、食事や生活習慣に気を配り、腸内環境を整えることだけです。
よい循環がきちんと回り始めるまではそれなりの努力が必要ですが、一度よい循環が回り始めれば、月に一度くらいの肉食も飲酒も、それまでに蓄えたミラクル・エンザイムがフォローしてくれます。
 
自分の日々の積み重ねだけが、いざというときの自分を助けてくれるのだということを覚えておいて下さい。
 
 
◆人間の体と土地は切っても切れない関係
 
欧米の人たちは、日本人よりもずっと長い間、動物性食物を取り続けています。
それなのに日本人ほど極端に腸内バランスを崩すことはありません。
なぜ日本人とアメリカ人でこれほどの違いがあるのだろうと、私はずっと考えてきました。
 
理由はいくつか考えられます。
まず一つには、長い年月の間に培ってきた食文化が違うということが上げられます。
 
欧米人は何百年にも渡って肉食を続けてきていますが、日本人が肉食を始めたのは明治になってからですから、わずか150年足らずです。
 
そして、長い間穀物と野菜中心の食事を続けてきた日本人の腸は、体の大きさの割からすると、欧米人の約1.2倍もの長さを持っています。
腸が長い分、食べたものが排泄されるまでの時間も長くなり、肉食が腸に与える影響も大きくなると考えられます。
 
もう一つは、「土壌」の違いです。
中国の古い言葉に「身土不二」というものがありますが、これは人間の体と土地は切っても切れない関係にあるという意味です。
今でこそ世界中の食べ物を自宅にいながらにして食べられるようになりましたが、その土地でできた作物をその土地の人が食べるというのが、食の基本です。
そのため、土地の状態によって、おのずとそこにすむ人の健康も違ってくることになります。
 
もうずいぶん昔の話ですが、アメリカで売られている野菜を始めてみたとき、私はその大きさにびっくりしました。
日本の野菜と話すでもキュウリでも明らかにサイズが違うのでっす。
 
ですから、きっと同じな巣でも種類が違うのだろうと思っていたのですが、じつは、日本の野菜も種をアメリカに持っていってまくと、日本で育てるよりずっと大きな実がなるのです。
 
これは、アメリカの土壌に含まれるカルシウムやミネラル、ビタミンなどの量が、日本の土壌よりはるかに多いからです。
例えがアメリカで育ったほうれん草に含まれるカルシウムの量は、日本で育ったものの3〜5倍もあるといいます。
 
一例を挙げると、ブロッコリーのカルシウム含有量は、アメリカでは100g中78mgなのに対し、日本のものは同じ100g中に57mgしかないというデータを読んだことがあります。
 
つまり、アメリカ人が肉食をしても日本人ほど悪影響を受けないのは、こうした豊かな土壌で育った野菜を食べているため、酸性に傾きがちな体のpHバランスをある程度中和することができるからだと考えられろのです。
 
昔はアメリカ人と日本人では、明らかな体格差がありました。
でも、いまの日本人の体は昔よりずっと大きくなっています。
これは食の欧米化が原因だといわれています。
肉、牛乳、チーズ、バターなどを多用した食文化の流入とともに、日本人の食生活も、体型も変わってきたのです。
 
ところが、欧米並みに変えたくても変えられないものが一つだけありました。
それが「土壌」です。
土壌の豊かさだけは真似をしたくてもできません。
土壌の豊かさというのは、その土壌に生息する微生物や小動物の数で決まるといっても過言ではないのですが、火山灰地の多い日本の土地には、土壌菌のエサとなるものが少ないのです。
 
欧米並みの食生活をしているのに、野菜の栄養価が欧米の5分の1しかなかったらどうなるでしょう。
ビタミンやミネラルが不足するのは明らかです。
日本人に肉食の影響が大きく出ている理由は、こうした普段食べている野菜の「質」にも原因があるのではないでしょうか。
 
日本の土壌はもともとそれほど豊かではありません。
それでも日本で取れた穀物と野菜、近海の魚と海藻類といった日本古来の食事をしていたときにはバランスは取れていました。
 
自然のバランスというのは、そういうことだと思います。
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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