山ちゃんの食べもの考

 

 

その197
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【53】  『食は生命なり』と「新谷弘実」 その20
新谷弘実著
『病気にならない生き方』 2 実践編 より その1
 
 
■ プロローグ
 
●人間の体は本来、病気にならないようにできている。
医学は日々進歩しているのに、なぜ病気に苦しむ人は減らないのだろう。
臨床医として数多くの患者さんと日々接する中で抱いたこの単純な疑問から、患者さんたちの食歴と病気の関係性を調査するという私の試みは始まりました。
そして何十年にもわたる調査の結果、どのような食品をどのくらいとり、どのような生活習慣を持っているかということが、その人の胃相・腸相(人相になぞらえて作った私の造語)、さらには健康状態と密接に結びついていつことがわかってきました。
 
これまで医療機関では、糖尿病などの食事制限を必要とする一部の病気では「食事指導」が行われてきましたが、それはあくまでも病気をそれ以上悪化させないためのものに過ぎません。
病気にならないための食事指導、健康に長生きするための生活習慣指導は、医療の盲点といってもいいほど見過ごされてきた部分です。
 
本来、人間の体というのは、病気にならないように、何重もの防衛システムや免疫システムに守られています。
 
ですから、先天的な問題がなく、過度に不自然なことさえしなければ、多少のことがあっても病気にならないはずなのです。
その本来病気にならないようになっている私たちの体を、病気にしてしまっている最大の原因は、長期にわたって少しずつ蓄積された「不自然な食事」「不自然な生活習慣」にあります。
 
多くの人は、人間にとって何がよい食べ物で、何がよくない食べ物なのかを知らないために病気になってしまっている。
 
ならば、「正しい食事」と「正しい生活習慣」を伝え、人々の健康維持に役立ててもらいたい、というのが前書『病気にならない生き方』にこめた私のメッセージでした。
 
しかし、病気は医者が薬で治すものという意識の強い日本で、私の提唱する食事健康法がどれだけの人に受け入れてもらえるのだろうか・・・・・・、出版に際してはそんな不安も正直言ってありました。
ところが『病気にならない生き方』は、私の想像以上に多くの方のご支援を頂き、百万部を超えるベストセラーとなりました。
 
多くの方に病気は避けられない運命などではなく、自らの日々の積み重ねの結果なのだということを知っていただけたのは、一人の医師としてとても大きな喜びです。
でも、それ以上にうれしかったのは、自らの健康維持に意欲を持って取り組んでくださっている方がとても多かったという現実です。
 
前書で、「生活習慣病は、本当は自己管理欠陥病です」と強い言葉でアピールしたのも、自分の健康を守るのは自分にしかできないということに、多くの方に気づいてほしかったからでした。
そんな思いがあっただけに、私の思いを真摯に受け取って、自らの健康維持に意欲を持って取り組んでくださっている読者の声が、とてもうれしかったのです。
 
そうした読者の方々から寄せられた熱心な感想は、私に多くの刺激と示唆を与えてくれました。
中でももっとも多かった反響は、「これまで信じてきた常識がひっくり返された」というものでした。
これは、牛乳やマーガリンは健康によくない、カテキンもとりすぎれば胃相を悪くする、肉やヨーグルトを常食している人の腸相はよくないなど、これまで体によい、健康によいとされていた食品が、かえって健康を損なう原因になっているという、臨床で知りえた事実を明らかにしたことに対するものでした。
 
しかしこの事実は、読者の心に強く響いたと同時に、「では、何を食べればいいのか」、「それらは絶対に食べてはいけないのか」など、さまざまな疑問と不安を抱かせることにもなったということを知りました。
 
多くの読者が、このような思いを抱かれたのは当然だと思います。
なぜなら、カルシウムを摂るためには牛乳がいい、動物性の脂を使ったバターよりも植物性のマーガリンのほうが健康的だ、成長期の子供には良質の動物性タンパクが欠かせないといった「時代遅れの栄養学」が、世間一般ではいまだに広く信じられているからです。
 
また、「本当に牛乳が体によくないものなら、なぜ日本は牛乳を規制しないのか」という問い合わせも多数寄せられました。
私も牛乳に対する規制は規制は必要だと思っています。
とくに、本人の好き嫌いを無視し、給食という形で子供たちに強制的に飲ませるのは絶対に反対です。
 
しかし、世の中の常識はすぐには変わりません。
たとえば、たばこのように体に害があることが昔から広く知られているものでさえ、いまだに規制が充分ではありません。
残念ながら、こうしたことも社会の現実として私たちは認めねばならないのです。
 
大切なのは、良質の情報を見極め、自分自身で自分の体を養う食べ物を選ぶことです。
そのためにも、われわれ医師は、どのような食べものが体にどのような効用または害をもたらすのかということについて、臨床事実を謙虚に受け止めた上で、情報開示していくことがもっと必要なのだと思っています。
 
そうした「事実を知らせ、警鐘を鳴らす」という思いから、前書『病気にならない生き方』では、私が臨床から知り得た「理想の食生活」と「理想の生活習慣」を紹介しました。
でも、これはあくまでも「理想」です。
 
毎日ストレスなくこうした理想の食生活、生活習慣を続けることのできる方はぜひ実行していただきたいのですが、さまざまな生活環境の事情から毎日はとても実行できないという方もたくさんいらっしゃることと思います。
 
仕事上のつき合いなどで、いつも自分の選んだ食べ物だけを食べるわけにはいかないという人もいるでしょう。
どうしても牛乳や乳製品が好きで食べたい、飲みたいという人もいるでしょう。
たまには分厚いステーキを食べたいという人、天ぷらなど揚げものが大好きという人もいるでしょう。
 
大丈夫です。体に良くない食べものだからといって、絶対に食べてはいけないということはありません。
人間にとって、過度なストレスをためないということも、正しい食生活をするということと同じくらい大切なことです。
 
もちろんよくない食べ物を多く摂れば、それだけ病気になるリスクは高くなります。
でも、最初に述べたように、私たちの体には、ある程度なら悪いものもきちんと処理し、健康に生きられる力がちゃんと備わっています。
 
体に悪いからと好きなものを我慢してストレスをため込むのは、かえって健康にはよくありません。
それよりも自分の体が処理できる範囲をわきまえ、食事を楽しみながら、トーらルトして「正しい食生活」「正しい生活習慣」を続けることが大切です。
 
でも、肉食は体によくないと分かっていますので、食べるのは年に2〜3回程度。
それもなるべく人工飼料などを食べていないナチュラルで健康的な飼育方法で育てられたお肉を選んで食べます。
価格は少々高くなりますが、年に何度もないことなので、大きな負担にはなりません。
それに、大好きな食べ物の食べる回数を少なくすると、「食べる喜び」を感じられるというメリットも生まれます。
 
どんな好きなものでも、ひんぱんに食べていると「おいしい!」という感動は薄れていきます。でもたまにしか食べないと、好きなものを食べたときの感動はとても大きく、明日を生きるかrつ力にさえなってくれます。
 
健康長寿の秘訣は、楽しみながら「正しい食生活」「正しい生活習慣」を実践し続けることなのです。
 
 
●胃と腸がきれいになる「エンザイム・セラピー」
 
前書では、正しい食生活と正しい生活習慣を続けているとなぜ人間は病気になることなく天から与えられた命、つまり「天寿」を全うすることができるのかということを、生命活動を支えている「ミラクル・エンザイム」との関係から説明しました。
 
それはひとことで言えば、「ミラクル・エンザイムを消耗しない生活が、健康で長生きする生活」だということでした。
私の造語である「ミラクル・エンザイム」という言葉に本書で初めて触れたという方のために、ここでかんたんにおさらいしておきましょう。
 
「エンザイム(酵素)」というのは、生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒の総称で、生命の活動・維持に欠かすことのできないものです。
植物の種が発芽し、成長するのにもエンザイムが働いていますし、私たちが食べたものを消化吸収するのはもちろん、手を動かしたり、物事を考えたりするのも、エンザイムの働きのおかげです。
 
エンザイムにはとても多くの種類があり、人間が生きるために必要不可欠なエンザイムは5000種以上だといわれています。
なぜこれほど多くの種類のエンザイムが必要なのかというと、一つのエンザイムは特定の一つの働きしかしないという特性があるからです。
 
生命体はそれぞれ、自分の体内で必要に応じてさまざまなエンザイムを生成していますが、細胞の中でどのようにしてエンザイムが作られているのかなど詳しいことはまだわかっていません。
 
生命を支えているさまざまな「ボディ・エンザイム(体内酵素)」には。特定の場所で特定のエンザイムが大量に消費されると、他の部分で必要なエンザイムが不足する傾向が見られます。
 
この事実から私は、エンザイムというのは、何千種類のものが個別に生成されるのではなく、原型となるエンザイムが先に作られ、それが必要に応じて作り替えられ使われているのではないかという仮説を立てました。
そして、このさまざまなボディ・エンザイムの原型となるエンザイムを「ミネラルエンザイム」と名付けたのです。
 
エンザイムはさまざまな生命活動に使われますが、もっとも多くのエンザイムを消費するのは「解毒」作用においてです。
そのため、解毒しなければならない要素が多い人ほどエンザイムの消耗が激しく、その結果、健康維持に必要なエンザイムが不足し、病気になりやすくなると考えられるのです。
 
ですから、病気にならない食生活・生活習慣というのは、別の言い方をすれば、「体が解毒しなくてもいい食事」と「からだが解毒しなければならない要素をすばやく排出する生活習慣」だということができます。
 
一般的に「体に良い」と信じられている食品の中には、実際の臨床データと照合すると体の中で毒素を生み出す「体に悪い」ものがたくさんあります。
そのため多くの人が、体にいと信じてミラクル・エンザイムを消耗する食品をたくさん摂って、かえって病気になりやすい体を作ってしまっているいるという現実が生じてしまっているのです。
前著で「牛乳(乳製品を含む)」「肉」「マーガリン」「白米」などについて、とくに強く警鐘を鳴らしたのは、多くの人に常識の中の誤りに気づいてほしかったからです。
 
でも、エンザイムの消耗を防ぐだけでは充分ではありません。
健康で長生きするためには、ミラクル・エンザイムを「増やし、活性化させる」ことが必要です。
 
ではどうすればミラクル・エンザイムを増やし、活性化させることができるでしょうか。
 
エンザイムは私たちの体の中で作られますが、その生成方法は大きく分けて2つあると考えられています。
一つは細胞内での生成、もう一つは体内の常在菌により生成です。
 
まず細胞内でのエンザイムの生成をスムーズにするためには、その原材料となる「エンザイムをたくさん含んだ生きた食物」をとることが必要です。
そして、体内の常在菌による生成を増やすためには、腸内環境をよくすることが必要です。前著で「胃相・腸相のよい人は健康である」といったのは、健康に悪影響を与える毒素が停滞していないとともに、体に良い影響を与える常在菌がエンザイムをたくさん生成していてくれているからなのです。
 
エンザイムの働きは体内環境で大きく変わってくるので、活性化を高める方法はいろいろあります。
たとえば体を冷やさないこと、幸福感を感じること、体内時計を整え、きちんと休養をとること等々、生活習慣を改めることで、エンザイムの活性度を高めることができるのです。
 
私の専門は内視鏡を使った診断・治療をする胃腸内視鏡外科です。
通常、内視鏡外科医は、内視鏡で腸の中を見て、悪いところがあれば外科的な治療を施して終わりです。
 
しかし私は、外科治療にとどまらず、食事指導、生活指導に重点をおいています。
それは、こうした「ミラクル・エンザイム理論」をベースとした指導が、病気の再発や転移を防ぎ、未病の人を健康へと導くもっとも有効な方法であることを、長い臨床経験から痛感しているためです。
 
こうした治療法は、私が活動のベースとしているアメリカでは「エンザイム・セラピー」とも呼ばれています。
現在、エンザイムが健康をつかさどるカギと考える医師と研究者によって、エンザイムを用いた治療法の研究が進められつつあります。
私の「ミラクル・エンザイム説」に基づく治療法も、そうした「エンザイム・セラピー」の一つといえます。
 
私の「ミラクル・エンザイム説」は、現段階では確かに仮説の一つに過ぎませんが、エンザイムを補給し、エンザイムの消耗を防ぎ、エンザイムを活性化させるという治療法自体は、長年の臨床から、胃相・腸相を美しくし、ガンの再発を防ぐ効果が認められた、実績あるエンザイム・セラピーです。
 
ですから本書では、エンザイムの消耗を防ぐと同時に、エンザイムを増やし活性化するための食生活と生活習慣を、前著の反響を踏まえ、さらに具体的に述べていきたいと思います。
 
 
●人間は無数の命の集合体である
 
人間の体というのは、とても精緻で高尚なものです。
 
私は医師として40年以上、医療現場で患者さんを診てきましたが、医学を学び始めたときに感じた「命」に対する感動と畏敬の思いはいまも少しもも衰えることはありません。
衰えるどころか、学びが深くなればなるほど人間の体の仕組みと、自然の摂理の完璧さにますます情熱がかきたてられる思いがしているのです。
 
そしていま、私が見つめつづけてきた「命」というとてつもなく深遠な世界に中に、一つの法則の存在を感じています。
それは、命と命のコミュニケーションが、命を支えているということです。
よく人は一人では生きていけないといいますが、「命」はすべて、さまざまな命と共存することによって初めて存在しうるということです。
 
私たちが「命」をつなぐことができているのは、地球上にさまざまな動植物や微生物がいてくれるからです。
命はすべて他の命を糧として生きています。
この「糧」とするというのは、単に食糧とするという意味にとどまりません。
私たちの体のなかには、「バクテリア(細菌)」という多くの命が共存しており、彼らの存在なしには私たちは一日たりとも生きられないからです。
 
さらに、私たちの体を構成している60兆個の細胞一つ一つも、「命のデータ」とも言うべき遺伝子を備えた一つの生命体です。
そう考えると、一人の人間というのは、60兆個の細胞プラス無数(何百兆)のバクテリアからなる命の集合体であるということができます。
 
イメージしてみてください。
 
あなたは、無数の命の集合体として生きているのです。
 
本文で詳しく述べますが、実は、このあなたという一人の人間を形作っている無数の命は、あなたの健康を保つために、絶えずコミュニケーション(情報交換)を行っています。
 
体内の微生物と細胞の中の遺伝子がコミュニケーションしているなんて、信じられませんか?
では、もしコミュニケーションが行われていないとしたら、何千種類もあるエンザイムの中から、体はどのようにして「いま必要」なエンザイムを判断し、その情報をどのようにして伝え、必要なエンザイムを必要な量だけ作り出しているのでしょうか。
それができるのは、腸内細菌と体内の遺伝子が除法の交換、つまりコミュニケーションをしながらエンザイムを生成しているからだとしか私には思えません。
 
「エンザイムと微生物(腸内細菌を含む)と遺伝子」、この三者のコミュニケーション(トライアングル・コミュニケーション)がスムーズに行われることによって免疫システムが完璧に機能したとき、健康は保たれるのではないか、そんな風に私は考えています。
 
では、彼らのコミュニケーションを可能にしているのは何でしょうか。
私は「水」がその役割を大きく担っていると考えています。
人間の体を構成する要素で最も多いものは水です。
水は人間の体の60〜70%を閉め、内蔵や細胞の中はもちろん、乾いているように感じられる皮膚さえも実際には「水」で満たされています。
 
その豊富な「水」は、「血液・リンパ」「胃腸」「「尿」「呼吸」という4つの「水の流れ」によって体内を循環しています。
こうした体内の「水の流れ」を媒体として遺伝子・微生物・エンザイムが情報のやり取り、つまりコミュニケーションを行っているのではないでしょうか。
 
そしてもう一つ、これは「水の流れ」ではありませんが、体内のコミュニケーションに大きな役目を果たしていると考えられる「流れ」があります。
それは、「気の流れ」です。
 
「気」は、ミラクル・エンザイム同様、医学的に証明されているものではありませんが、その存在が人間の体に大きな影響を与えていることは、経験的事実として認められつつあります。
実際、東洋医学では何千年も前から「気の流れ」に働きかける治療法が用いられ、大きな実績を上げています。
 
事実私の集めた臨床データは、遺伝子・微生物・エンザイムのトライアルアングル・コミュニケーションと体における大きな5つの大きな流れが相互に影響しあっていることを示唆しています。
 
トライアングル・コミュニケーションがスムーズに行われているときは、5つの流れも良く、5つの流れがスムーズなら、トライアングル・コミュニケーションも良い、つまり健康だということです。
 
人間の体は無数の命の集合体であり、同時に一つの命を共有する運命共同体でもあります。
体のどこかに悪いことは全身に悪く、反対に体のどこかによいことは全身に良いのです。
 
たとえば、たばこは肺に悪いといいますが、実際にはたばこによる被害は5つの流れを介し、全身に及んでいます。
逆に腸によいといわれる食物をとることは、腸相をよくするだけでなく、全身の健康に役立ちます。
 
あなたの体はあなたのものであると同時に、あなただけのものではありません。
あなたの「命」を守るために無数の命が協力していることを知ってください。
 
そして、体に、内臓に、一つ一つの細胞に、腸内で働く細菌にも、思いやりと感謝の心を持ってほしいのです。
そうすれば、おのずと体に悪いことは控えるようになるでしょう。
 
彼らはあなたがどんなに不摂生をしても、一言の文句も言わず、あなたの命を守るために常にベストをつくしてくれているのですから。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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