山ちゃんの食べもの考

 

 

その215
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【71】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その38
新谷弘実著 『病気にならない生き方』  若返り編 4
《心の若さとみずみずしい体を手に入れる法》
 
第2章 みずみずしい体を取り戻す方法  1
 
●多くのアンチエンジング法が見落としていること
 
私たちは、美しい張りを持った若々しい皮膚を「みずみずしい素肌」と表現し、新鮮な食べ物も「ジューシー(みずみずしい)」と感じます。
これは若く健康な細胞が多くの水を含んでいることを物語っています。
 
人間の体の60〜70%は水分だといわれています。
そして通常は、若い人ほど水分含有率が高く、年をとるほど細胞は水分を失っていきます。
 
人体における水分は、赤ちゃんのときで体重の70〜80%、成人で60〜70%、それが高齢者になると50〜60%まで減少してしまいます。
これは老化と細胞の保水量が密接に関係していることを示しています。
 
人間の胃腸が最も美しいのが赤ちゃんのときであるように、素肌も赤ちゃんのものが、張りもキメももっとも美しい状態にあります。
 
このうつくしい赤ちゃんの皮下組織の水分含有率は、何と88%もあるのです。
 
美しく見える20歳の人の皮下組織の水分含有率が約68%であることを考えると、赤ちゃんの素肌がいかに多くの水分を含んでいるかお分かりいただけるでしょう。
 
こうした皮膚の水分含有率は年とともに低下し、60歳を過ぎると40%以下になるといいます。
 
最近、ヒアルロンサンや成長ホルモンがアンチエイジングの世界で注目を集めているのも、それらが肌の保水力をアップさせるパワーを持っているからです。
ヒアルロンサンは肌の保水物質、成長ホルモンは、その保水物質に水分子を吸着させる作用を持った物質です。
 
多くのアンチエイジング法は、この成長ホルモンが、13〜17歳をピークに、25歳前後から減少していくことが「肌が衰えていく理由」だと考え、成長ホルモンを人工的に投与することで肌の若返りをはかろうとしているのですが、私はこの方法にリスクがあると考えています。
 
人間の体の仕組みには、まだまだわかっていないことがたくさんあります。
ある時期からホルモンの分泌に変化が生じるのも、その必要があるからそうなっているのだと思います。
成長ホルモンが10代にピークを迎えるのは、成長ホルモンという名の通り、身長を伸ばしたり、筋肉を増大させたり、体が大きくなっていく時期にたくさん必要だからです。
 
成長ホルモンは、代謝や免疫機能とも関わっているので、成長期よりは少なくなりますが、成人してからもきちんと分泌されています。
体は、必要な時期に必要な量のホルモンを分泌しているのです。
そうした自然な流れを無視し、中高年になってから、肌の保水効果を高めるから、という理由だけで特定のホルモンを投与してもいいものなのでしょうか。
 
たしかに、成長ホルモンの投与が肌の若返りに効果があることは実証されていますが、肌以外の部分に及ぼす影響については、もと長いスパンでの調査が必要だと思います。
 
ホルモンは私たちが生きるうえで重要な役割を果たしていますが、分泌量自体はとても微量なものです。
その微妙なバランスで成り立っているものを人工的に投与すれば、バランスを崩すことになるのですから、体によい影響があるとは、私には思えません。
それはある意味、自然を冒涜する行為ではないでしょうか。
 
健康で若々しい体を得るための必要なのは、人工的に何かを与えることではなく、体が本来持っている恒常性や治癒力、免疫力といったものを発揮できるように、体内環境を整えることだと私は思います。
そしてその方法も、食事、水、排泄、睡眠、呼吸、運動、心という、人間の自然な営みを正すことで行うべきです。
 
私のそうしたスタンスからいうと、多くのアンチエイジング法は、とても大切なことを見落としています。
 
それはもっとも基本的なこと、つまり充分な「水の補給」です。
いくら保水物質や保水力を高めるホルモンを投与したとしても、体の中の水分の絶対量が不足していたのでは、充分な保水は望めません。
 
何度もいいますが、人間の体の60〜70%は水分です。
これは私たちの体にとって、水が食事以上に大きな影響力を持っていることを物語っています。
まず、充分な水を体に与えてあげること。これなくして、肌の保水力アップを考えるのは間違っています。
 
 
●老化の最初の兆候が皮膚に表れるのはなぜか?
 
「水」は、私たちの体のあらゆる場所に存在しています。
乾いているように思われがちな爪でさえ、約15%もの水を含んでいます。
 
多くの人は、私たちが水を必要としているのは、必要な栄養素を選び、老廃物を排泄するためだと思っています。
もちろん、水が「運び屋」としての役目を果たしていることは事実ですが、水の役割はそれだけではありません。
 
まず、エンザイムの視点から見ると、水はエンザイムにとって、「コエンザイム(補酵素)」と同じくらい必須のものです。
水がなければエンザイムは働くことができません。
エンザイムパワーを充分に引き出すには、充分な量の水が必要なのです。
 
また、水の充分な摂取は、胃腸の流れを整え、毒素の排泄をスムーズにするので、腸内細菌のバランスを整え、エンザイムの生成にも貢献します。
 
免疫システムにおいて「水」は重要な役目を果たしています。
たとえば、気管が充分な水で潤っていないと、免疫細胞がきちんと働くことができなくなるため、菌やウイルスに対する抵抗力が低下してしまいます。
そのため風邪を引きやすく、咳が出たり、気管支炎や肺炎になりやすくなるのです。
さらに、気管のような粘膜に限らず、常に外気と接触している皮膚も、充分な潤いがないと、さまざまな雑菌に対する抵抗力が低下し、皮膚炎などの肌トラブルを起こしやすくなります。
些細な刺激で肌トラブルを起こしてしまう、いわゆる「敏感肌」と呼ばれる肌は、皮膚表面の角質層の水分量が低下してしまった肌なのです。
 
私たちの体を、見えないバリアで守ってくれているのが「水」なのです。
このように、私たちの体は、ありとあらゆる場所で「水」を必要としています。
 
しかし、いつも充分な水が供給されるとは限りません。
そこで体には、体内の水が不足したとき、どの部分に優先的に水を供給するかということが決められています。
 
もっとも優先的に水が供給されるのは、「脳」です。
脳は、神経細胞の塊ですが、その細胞は85%もの水を含んでいます。
脳は全身に張りめぐらされた神経を通して集められた情報を処理し、必要に応じて全身に指令を出す、いわば体の司令塔です。
 
その脳が、なぜこれほど多くの水を含んでいるのかというと、水が情報伝達の媒体として使われているからです。
神経細胞の中には微細な水路があり、脳で生産された神経伝達物質は、その水路を使って全身の末梢神経へ脳の命令を伝えています。
 
そのため、脳の水分が不足すると、脳の指令が正しく伝わらなかったり、情報を処理できなくなったりするなど、さまざまなトラブルが発生します。
症状としては、軽度であれば頭痛程度で済みますが、重度の水不足になると意識障害や記憶障害といった深刻な症状となり、熱中症のときに見られるような過度の脱水になると命の危険さえあります。
 
脳の次に水が優先されるのは「肺」です。
次に「肝臓」「腎臓」といった内分泌形の臓器が続き、比較的後回しのされてしまうのが、筋肉や骨。
そして、もっとも後回しにされてしまうのが、じつは「皮膚」なのです。
老化の最初の兆候が、皮膚に表れるのもこのためです。
 
 
●水を飲まないとガンになることもある
 
一般的な体格の成人が1日に必要とする水分量は、約1.5〜2リットルといわれています。
ということは、もしも1日に1リットルしか水を飲まなければ、30〜50%もの水が不足してしまうということです。
 
ここで知っていただきたいのは、30%の水が不足したとき、体中の臓器・細胞がすべて、もらえる水の量が平等に30%ずつ減るわけではないということです。
先ほども述べましたが、体は生命維持にとって重要な部分に優先的に水を配分します。
そのため、30%水が不足するということは、生命維持における重要度において、下位30%の細胞が水をもらえない状態になるということなのです。
 
極端な言い方をすれば、脳や心臓といったかけがえのない臓器に問題がおきれば、生命の危機の直結しますが、体の末端、腕や脚は一本失われても、すぐに死ぬことはありません。
そのため、体は、水不足になると末梢血管への血流を制限し、重要な部分に優先的に水を送るようにします。
同時にこれは、水不足で絶対量が減った血液でも、血圧を一定に保つという目的も含まれています。
 
血流が減るということは、細胞にとっては、栄養と酸素の供給が滞ると同時に、老廃物の排出もできなくなるということです。
 
人間の体は、水でも食べ物でも、ある程度の飢餓には耐えられる仕組みになっているので、多少水が不足したとしても、水が充分に供給されない部分の細胞がすぐに死んでしまうことはありません。
しかし、水不足の状態が長く続けば、細胞は正常な新陳代謝ができなくなるのはもちろん、きちんと働くことすらできなくなります。
 
毒素を排泄できず、酵素も充分に働くことができない細胞では、遺伝子が異常を起こしてガン細胞に変化する危険性さえあるのです。
 
水の摂取不足が原因で、ガンを発症する危険性があるなんて信じられないという方もいるでしょう。
しかしこれは事実です。
 
以前、ニューヨークの私のクリニックに、シカゴから医療相談に来た23歳の日本人男性がいました。
彼は食道と胃の間にガンができ、嚥下障害(食事がよく飲みこけない症状)で苦しんでいました。
 
経験から水不足を疑った私は、彼に「君は1日にどれくらい水を飲んでいる?」と聞きました。
すると、彼は「水分は人より取っています」と答えるのです。
しかし、肌はかさかさ、血行も悪く、内視鏡で見た所見も細胞が水不足を起こしているとしか思えないものでした。
 
そこで毎日何をどのくらい飲んでいるのかを詳しく聞くと、驚くべきことに、彼は一滴も水を飲んでいなかったのです。
彼が飲んでいたのは、ペットボトル入りの炭酸飲料、それも体から水分を奪う性質を持ったカフェインを多く含むコーラ類でした。
それを彼は、毎日7〜8本も飲み続けていたのです。
 
のちほど詳しく述べますが、「水」と「水分」は別のものとして、考えることが必要です。そして、体が必要としているのは、「水分」ではなく『水』なのです。
 
私が充分な水を摂ることの大切さを知ることができたのは、やはり食歴と病気の調査をしたおかげです。
がんを発症した人のほとんどは、充分な水を摂っていませんでした。
 
私は、がん患者を手術した場合、その後の再発を防ぐために、「7つの健康法」を実践するよう指導しますが、中でも水を多めに摂るよう強調しています。
 
健康な人の場合は、毎日1.5〜2リットルの水でいいのですが、ガン患者の場合は、腎臓に問題さえなければ、2〜3リットルの水を飲むよう指導します。
私の手術を受けた患者さんの、再発率が低いのは、こうした予後の指導のたまものだと思っています。
 
アメリカではさまざまな代替医療法が行われています。
私の提唱するエンザイム・セラピーもそのひとつですが、注目されている大体医療法の中には、水の摂取不足に注目し、充分な水を飲むことで病気を治療しようとする「飲水療法」というものもあります。
 
飲水療法を提唱したのは、アメリカを活動拠点としたイラン人医師バトマンゲリジ氏です。
彼は、人間の体にとって「水」がどれほど重要なものであるか、医学的に研究し、現代人が苦しむほとんどの病気の原因は、「体細胞の慢性的な水不足による代謝障害が原因だ」と主張しました。
 
彼の著書はアメリカで大ベストセラーとなり、慢性的な病気に苦しむ多くの人が、彼の飲水療法で救われたといいます。
 
私も彼の本を読みました。
細胞の水不足が体にさまざまな問題を起こしているという説には、深く共感しますが、病気の原因をすべて水不足に求めるという点には、同意しかねる部分もあります。
私は、健康を害したり、病気になったりする原因は、けっして一つではないと考えているからです。
 
私の健康法が「7つ」であることの意味もそこにあります。
食事、水、排泄、呼吸法、運動、睡眠、心の7つがすべて相互に関連しあうことで、私たちの健康は維持されます。
食事だけ、水だけで病気になったり健康になったりすると思い込むことは、ある意味、危険でさえあります。
 
いくらよい食べものをバランスよく摂っても、水が充分に摂れていなければ、その効果は充分なものにはなりません。
同様に、「7つの健康法」は、7つすべてを実行していただくことに大きな意味があるのです。
 
 
●体は常に「水」を欲している
 
あなたはどんなときに水を飲みますか?
答が「のどが渇いたとき」であれば、あなたの体は相当水不足の状態になっていると考えられます。
 
のどが乾いたと感じるのは、じつは体が発する水不足の最後の警告だからです。
では、最初の警告は難でしょう。
 
体の中で水不足の影響を最も早く受けるのは、血液とリンパ液です。
血液の主な役目が酸素やさまざまなエネルギー源を細胞へ運ぶことなのに対し、リンパ液は古い細胞や老廃物を運ぶので、血管とリンパ管は、たとえるなら体の上下水道のようなものといえます。
 
血液は血球と呼ばれる有形成分と、血漿という液体部分からなっていますが、血液の約60%を占める血漿の90%は水分です。
リンパ液は、毛細血管から出た血漿が細胞間を通りリンパ管に流れ込んだものなので、成分は血漿とほぼ同じで90%は水分です。
 
体が水不足の状態になるよ、血液・リンパ液の水分量も減少するので、血液濃度が濃くなります。
よく「ドロドロ血液」という言い方をしますが、水不足の最初のシグナルこそ、このドロドロ血液なのです。
 
血液がドロドロになると、流れが悪くなるので、体は血圧を上げたり、心拍数を上げたり、毛細血管を閉めるなどして大事な部分への血流を確保しようとします。
 
目に見える形での最初のシグナルは、やはり皮膚の衰えだと思います。
マッサージをすると皮膚はイキイキしてきますが、これは、刺激によって毛細血管に流れ込む血液が増えるからです。
 
血圧や皮膚に表れるのは、慢性的な水不足のシグナルですが、それ以外にも体はさまざまな方法で水が不足していることを知らせてくれます。
 
たとえば、私は講演などで長時間しゃべると声がかすれてくるのですが、これも水不足のシグナルです。
私は普段から充分な水を飲むことを心がけていますが、講演では、短時間のうちに呼気と汗によって大量の水分が失われます。
肺や気管は常に十分な水分を必要とする場所なので、優先的に水分が供給される半面、大量に失われると脱水症状も早く進んでしまいます。
 
話したり、歌ったりする機会の多い人は、のどが渇いていなくても、前後に約1リットル程度の水を飲むことをお勧めします。
 
最近は、仕事などでパソコンを使う機会が増えているため、ドライアイに苦しむ人が増えていますが、これも問題は目だけではなく、体の中の水分不足と考えるべきでしょう。
 
ドライアイになったら、コップ2〜3杯の水を飲み、しばらく目を閉じてください。
そのほうが、目薬を差すよりもはるかに安全で有効な対処法です。
でも、最もよいのは、定期的に水を飲み、体全体につねに十分な水分が供給される状態を作っておくことです。
 
また、皆さんのなかには、夜中に足がつり、痛さで目を覚ました経験のある人がいるのではないでしょうか。
じつは、これも水不足のシグナルの一つです。
 
足がつるのは、ふくらはぎの筋肉の収縮がうまくいかず痙攣を起こすためですが、そもそも収縮がなぜうまくいかなくなるかというと、血中の水分が減ることによってミネラルバランスが崩れるためなのです。
水泳やサッカーなど激しい運動をしている最中に足がつるのも、基本的には同じ理由です。
 
睡眠中は、水分が補給されないうえ、体温を調節するために、冬でもコップ1杯分程度の汗をかくので、脱水症状になりやすいのです。
就寝前に水を飲むのは、胃から食道への逆流の危険があるので避けなければなりませんが、寝る2時間ぐらい前に充分な水を取り、寝る直前に不要な水分を尿として排泄して寝るようにするといいでしょう。
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る