山ちゃんの食べもの考

 

 

その215
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【72】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その39
新谷弘実著 『病気にならない生き方』  若返り編 5
《心の若さとみずみずしい体を手に入れる法》
 
第2章 みずみずしい体を取り戻す方法  2
 
●花粉症やアトピーに悩む人は水を飲みなさい
 
学校や会社で行われる基本的な健康診断では、必ず尿検査が行われます。
このとき用いられるのは、朝起きてから最初に出た尿です。
なぜ朝一番に出た尿が用いられるかというと、それが一日のうちでもっとも濃い尿だからです。
 
体から排泄された尿には、体の中のことを知る手がかりがたくさん含まれています。
しかし、尿の水分は約90〜95%、検査にはできるだけ多くの情報が入っているほうが望ましいので、最も水分の少ない朝一番の「濃い尿」が使われるというわけです。
 
朝の尿が濃いことは、色を見ればすぐにわかります。
充分な量の水をとっている健康な人の尿の色は、透明感のあるごく淡い黄色です。
そうした日中の尿の色と比べると、朝の尿のほうが黄色みが強いはずです。
 
尿の色は、体内の水分量が減れが減るほど濃くなっていきます。
ですから、
尿の色が濃い人は、体が脱水している証拠なので、
すぐに水を飲むようにしてください。
 
また、体内保水量の少ないお年寄りや、多くの水分を必要とする赤ちゃんは、成人よりも早く脱水症状になりやすいので、こまめな水分補給が必要です。
 
大人は体内の水分量が少なくなると血管を収縮させたり、尿の量を減らすことで体内の水分量を調節します。
だから尿の色が顕著に変化するのですが、赤ちゃんはそうした機能が未熟なので、脱水してもあまり尿の色や量に変化が出ません。
何よりも、赤ちゃんは自分から「水が飲みたい」とはいえないので、気をつけてあげたいと思います。
 
おなかがいっぱいなはずなのに、どうも機嫌が悪く泣きやまないときは、脱水が考えられます。
とくに、母乳ではなく粉ミルクで授乳している赤ちゃんは、注意が必要です。
 
粉ミルクは母乳の成分に近くなるように作られてはいますが、そのベースは牛乳。
動物由来の食べ物は、どうしても体を酸性に傾けるので、脱水を促進させる傾向があります。
胃腸の弱い赤ちゃんだと、腸内で炎症を起こしたり、脱水による体ストレスからヒスタミンの分泌が多くなったりする危険性もあります。
そうしたトラブルを回避するためにも、とくに粉ミルクを授乳している赤ちゃんには、しっかりと水を飲ませることが必要だと思います。
 
ヒスタミンの話が出たので、脱水がアレルギーを悪化させていることについても、述べておきましょう。
「ヒスタミン」というのは、免疫系に関係する信号伝達物質で、体内にアレルゲンが侵入すると放出される物質です。つまり、体に入った悪いものを体外に出すためにヒスタミンが出されるのですが、過剰に放出されると、鼻水・初赤。かゆみ・浮腫・痛みといった、さまざまなアレルギー反応を引き起こしてしまいます。
たとえば、アレルギー鼻炎の人というのは、鼻の粘膜にアレルゲンである花粉が侵入したとき、必要以上にヒスタミンが出てしまう田、鼻水やクシャミが大量に出る人のことです。
こうした仕組みは、アトピー性皮膚炎もゼンソクも基本的には同じです。ですから、アレルギー症状のひどい人というのは、それだけヒスタミンが多く放出されている人ということです。
ヒスタミンは、免疫系の物質なので、過剰に放出されることさえなければ、体にとっては有用なものです。
 
では、なぜヒスタミンが過剰に生産されてしまうのでしょう。
現在に医学では、この答は出ていません。アレルギーに遺伝性が見られることから、遺伝子の問題ではないかと考えられ、現在研究が進められていますが、まだはっきりとした答は出ていないのです。
 
ところが、動物実験では、飲料水を増やすにつれて、ヒスタミンの生産が低下することが、確かめられているのです。
 
そして、「飲水療法」を提唱している前出のバトマンゲリジ医師は、その著書の中で、アレルギーに苦しむ患者に毎日の飲料水を少しずつ増やすよう指示したところ、驚くほど症状が出なくなったと報告しています。
 
なぜ飲料水を増やすことによって、ヒスタミンの生産が抑えられるのか、私にも正確なことはわかりませんが、おそらく、細胞に充分な水が行き渡ることによって、粘膜や細胞そのものの「バリア機能」が正常に働くようになり、アレルギー物質に対する拒絶反応そのものが抑えられるためではないかと考えています。
 
花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎などの症状に苦しんでいる方は、毎日の飲水量を少しずつ増やし、自分でその効果をぜひ確かめてください。
 
 
●お酒を飲んだ翌朝の脳は驚くほど萎縮している
 
お酒を飲んだ翌朝、強烈なのどの渇きを感じたことのある人は多いでしょう。
これは、アルコールによって、体が極度の脱水症状になるためです。
 
まず、最初に水分を奪うのは、アルコールがもつ利尿作用です。
とくにカリウムを多く含むビールは強い利尿作用を持っています。
 
ビールばかり飲む人は、驚くほど多くのビールを飲むことがありますが、あれほど多くのビールを飲むことができるのは、ビールによって摂取する水分量より、尿として奪われる水分量のほうがはるかに多いからなのです。
 
利尿作用に加え、アルコールの分解過程で発生した毒素を中和・排泄するためにも、体の水分が使われます。
体はできるだけ早く毒素を体外に出そうとするので、ここでも尿の量が増え、多くの水が失われます。
 
さらにアルコールを飲むと、呼気に含まれるアルコールによって、呼吸のたびにのどや鼻の粘膜から蒸発する水分量が多くなります。
これは、アルコールのもつ、熱を奪ったり、水分を蒸発させたりする作用によるものです。
同時に、アルコールを摂取した直後は、血管が広がり、血流が活発になるので、心拍数が上昇し、それに伴って呼吸回数も増えます。
呼吸回数が増えれば、気管から失われる水分量はさらに多くなります。
そして、血流が活発になると、体温が上昇するので、体温調節のために皮膚から出る汗の量も増えます。
 
こうして体の中の水が大量に失われ、脱水が進みます。
脱水症状がある程度進むと、今度は活発になっていた血流にリバウンド現象が置きます。
 
つまり、急激に進んだ脱水症状から体を守るために、血管が一気に収縮し、血流を制限するようになるのです。
 
血管が収縮し、毛細血管への血流が滞ると、多くの細胞が水不足による機能低下を起こします。
そして、こうしたアルコールによる脱水は、多くの水を含む脳にも及びます。
 
アルコールをたくさん飲んだ翌日の、二日酔いの不快な症状は、主に体内に残った分解し切れていないアセトアルデヒドによるものですが、いつまでも残る「頭が割れるような痛み」は、実は脳細胞の脱水によって脳が萎縮してしまうことが原因です。
 
「たまの深酒」程度なら、充分な水を飲むことで脳の萎縮は解消されますが、ひんぱんにお酒を飲み脳の萎縮を繰り返すと、少しずつ回復力が失われ、ついには戻らなくなってしまいます。
アルコール依存症患者の脳は萎縮してしまっていることがよく知られていますが、これは、恒常的な飲酒による脱水の結果です。
 
アルコールは、分解過程で大量のエンザイムを消耗してしまうので、飲まないようにすることが望ましいのですが、どうしても飲みたいときは、お酒を飲む前後に、充分な量の水を飲み、脱水を防ぐことが大切です。
 
逆に最悪なのが、お酒を飲みながらの喫煙です。
たばこそのものには利尿作用や発汗作用はありませんが、たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させてしまうので、お酒による血管の収縮をさらに促進してしまいます。
 
タバコを吸う人の肌には、特有の色黒さとたるみが見られますが、これは慢性的な脱水によって表皮の老化が進んでいることを示しています。
 
 
●コーヒーのカフェインが老化を促進する
 
私たちの体の中の水分、つまり「体液」には、「細胞内液」と「細胞外液」の2種類があります。
 
細胞内液というのは、文字通り細胞の中にある水分、細胞外液というのは、細胞の外に存在している水分、具体的にいうと、血液やリンパ液、細胞と細胞の間に存在している細胞間液のことです。
 
先に私たちの体の60〜70%が水分だというお話をしましたが、その内訳は、約40%が細胞内液、残りの約20%は細胞外液として存在しています。
 
一口に「体が脱水症状になる」といってきましたが、体に入ってくる水の量が不足したり、大量の水分が失われたりすると、最初に失われるのは血液やリンパ液といった細胞外液です。
 
細胞外液が減少すると、体は細胞外液の約2倍の量を持つ細胞内液に水分を供出させ、血液の減少を食い止めようとします。
こうした細胞外液への水分供出によって、細胞内液は正常時の保水量の約65%まで落ち込むといわれています。
 
細胞内液が減少するということは、その細胞は正常な働きができなくなるということです。
細胞内で作られるエンザイムの生成量が低下し、少ししかないエンザイムの活性度も低下します。
エンザイムの量と活性が失われるということは、酸化に対抗するエンザイムパワーが失われるということです。
脱水が細胞の老化を促進するのは、水不足によって、エンザイムパワーが低下するからなのです。
 
ですから、いつまでも若々しくあるためには、体が脱水しないように、充分な水分を補給するとともに、脱水を招く要因を排除することがとても大切です。
 
これまでにアルコールと喫煙が脱水を招くことを述べましたが、もう一つ摂取をできるだけひかえて欲しいものがあります。
 
それはカフェインです。
カフェインには非常に強い利尿作用があるので、水分補給のつもりでカフェインの多いお茶やコーヒーを大量に飲むと、かえって深刻な脱水を招くことになります。
 
コーヒーを好む人は、コーヒーを飲んだときに得られる覚醒作用を求めているようですが、これにもリスクがあります。
 
コーヒーを飲むと眠気が飛ぶといいますが、これはカフェインに中枢神経を興奮させる作用があるからです。
しかしこの興奮は、生態のエネルギー生成回路に必要以上に刺激を与えてしまうため、一時的には元気が出たような気になるのですが、心臓の筋肉などに、負荷をもたらすため、不整脈の原因になったりします。
またエネルギーを過剰に生産してしまうので、興奮が冷めると強い疲労感に襲われることになります。
 
しかし、エネルギーの過剰生産の最大の問題は、それ自体がエンザイムの浪費だということです。
 
脱水によるエンザイムパワーの低下と、エネルギー過剰生産によるエンザイムの浪費。この2点を考えれば、カフェインが老化を促進させるものであることがお分かりいただけると思います。
 
カフェインを多く含む飲み物は、1日に2、3倍以上飲まないようにしたほうが賢明です。
 
 
●運動時にスポーツドリンクを飲むのは考えもの
 
脱水は体に深刻なダメージを与えます。
そのため体は、つねに「水」を欲しています。
先に述べたように、のどが渇いたと感じるのは、体内の水が減少したことを知らせる最初のシグナルではなく、脱水という危険な状態にあることを知らせる緊急警報なのです。
 
植物を育てている方はご存知だと思いますが、水はしおれる前に定期的に与えることが大切です。
しおれてからでも水を与えれば、植物は元気を取り戻しますが、しおれなければ水を与えないということを繰り返していると、植物は弱って枯れてしまいます。
 
人間の体も同じです。
アルコール依存症患者の萎縮した脳が、水を飲んでも回復できなくなるように、細胞も、何度も何度も細胞内液を細胞外液へ供出させることを繰り返すと、やがてもとの健康な状態には戻れなくなります。
 
近年、夏になると熱中症によってなくなる方が増えていますが、これも以前より慢性的な水不足の人が増えていることを暗示しているのだと思います。
 
体が充分な量の水分を有していれば、炎天下の運動など、よほど激しいことをしないかぎり、命を落とすほどの脱水症状を起こすことはまずありません。
 
長生きするためには、病気を治療することより、病気にならないように予防することが大切なように、水分も、のどが渇いてから摂るよりも、のどが渇かないようにすることのほうがはるかに大切です。
 
夏場に運動する場合でも、運動の前に充分な量の水を飲んでいれば、熱中症や脱水のリスクを回避することができます。
 
アマチュアゴルファーの中には、のどが渇ききってからのむビールが最高なんだといって、わざとプレー中の飲水を控える人がいますが、非常に危険なので、絶対にやめるようにしてください。
ましてや、渇ききったところで、利尿作用の高いビールを飲むなど、私に言わせれば自殺行為です。
どうしてもビールが飲みたいなら、ビールを飲む前に500ミリリットル程度の水を飲むようにしましょう。
 
どうせ体の中に入るのだからと、ビールを飲んでから水を飲むという人がいますが、それでは意味がありません。
ビールのあとに水を飲んでも、それはビールの利尿作用によって、ほとんど吸収されることなく排泄されてしまうからです。
先に「水」を飲むことに大きな意味があるのです。
 
そもそも運動の効用は、筋肉を刺激し体液の流れをよくすることにあります。
でも、体に充分な水分がなく、肝心の血液がドロドロの状態では、いくら運動しても体液の流れはよくなりません。
 
また、運動をしてもすぐに疲れてしまうという人も、ほぼ間違いなく水分が不足していると考えられます。
水分不足によって、充分な栄養と酸素が供給されないため、筋肉や細胞が充分に働けず、すぐに疲労してしまうのです。
疲労を感じたときは、水を飲んで、少し体を横たえて休むようにしましょう。
水が細胞に行き渡るとともにエンザイムパワーもアップするので、疲労感をすばやく取り除くことができます。
 
このように、運動の前、食事の前、アルコールを取る前、そして何よりものどが渇く前に「水」を飲むことが大切です。
 
運動字は汗をかくので、ただの水よりスポーツドリンクを飲むほうがよいという人もいますが、私はこれには反対です。
 
たしかに汗をかくと、水分だけでなくミネラルも奪われるので、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどミネラルを補給することはとても大切です。
 
私がスポーツドリンクを否定するのは、ミネラルも含まれていますが、それ以上に大量の糖分を含んでいるからです。
 
一般的な500ミリリットルのペットボトル入り清涼飲料水に含まれる糖分の量は約30〜50グラムですが、スポーツドリンクには、運動時の疲労回復効果をねらって、それ以上の糖分が含まれている商品もあります。
 
アスリートが激しい練習中に、エネルギー補給の意味も兼ねて飲むのならともかく、一般の人が、ゴルフやジョギングのような軽い運動をするときに、水分補給のために飲むにはリスクが大きすぎます。
 
ペットボトル入りの清涼飲料水の飲みすぎが、「ペットボトル症候群」と称される急性の糖尿病の原因になることはよく知られています。
スポーツドリンクは、吸収されやすいように、体液に近い浸透圧になっているため、糖分もいち早く吸収され、血糖値を急激に上昇させてしまいます。
それだけ、他の清涼飲料水より糖尿病になるリスクが高いのです。
 
汗によって失われたミネラル分を補う最もよい方法は、水を飲むときに、良質の塩を一緒にとることです。
それも、そんなに多くとる必要はありません。
コップ1〜2杯の水を飲むときに、指先にちょっと塩をつけてなめれば、それで充分です。
 
 
●水と水分、塩と塩分の違いを理解する
 
あなたは毎日どのくらいに「水」を飲んでいますか?
ここで知っていただきたいのは、「水」と「水分」とは別物だということです。
 
コーヒーやお茶、ジュースなどの飲み物は、「水分」を含んでいますが、「水」ではありません。
このことを頭にしっかり入れて、もう一度考えてください。
 
あなたは毎日どのくらいの水を飲んでいますか?
いかがですか、意外と「水」を飲んでいなかった人も多かったのではないでしょうか。
 
私なところに来た患者さんの中にも、清涼飲料水やジュース、コーヒーはたくさん飲んでいるけれど、水はあまり飲んでいないという人がたくさんいました。
ほとんど、あるいはまったく水を飲んでいないという人もいます。
そういう人は、例外なく体が脱水し、細胞の老化が進んでいます。
中には、ガンのような深刻な病気を発症してしまっているケースさえあります。
 
先ほどスポーツドリンクのもつリスクについて述べましたが、基本的に、「水」以外のものは、どれほどたくさん飲んでも細胞の渇きを癒すことはできないと考えてください。
 
お茶やコーヒーは、たしかに多くの水分を含んでいますが、同時に多くの自然の化学物質も含んでいます。
コーヒーにはだいたい27種類くらい、お茶にはおよそ25種類の自然の化学物質が含まれているそうです。
そのため、体が必要な水分を得るためには、そうした不純物を濾過し、毒性のあるものは解毒することが必要になるので、多くのエンザイムが消費されてしまいます。
 
コーヒーやお茶類、コーラなどには利尿作用のあるカフェインが含まれているので、せっかく濾過して得た水も、利尿作用によって、その多くが失われてしまうのです。
 
工場で作られる濃縮還元ジュースや他のジュース類は、熱処理によってエンザイムが破壊され、ビタミンなども大部分が壊されているので、健康にはほとんど役に立たない飲み物です。
また、砂糖や甘味料などの添加物がたくさん入っているものもあるので、頻繁にとると高血糖・低血糖が起こり、糖尿病や低血糖症を発症する危険があります。
 
自家製のジュースなら、ビタミンも豊富だし、渇きを癒すのによいと思っている人がいますが、ジュースも水の代わりにするには糖分が高すぎます。
果物はあくまでも果物として取り、水分摂取とは分けて考えてください。
 
それに、果物には、カリウムやクエン酸といった利尿作用の高い物質を多く含むものが多いので、ジュースの摂りすぎはかえって体から水分を奪う結果につながります。
 
果物は非常に良質のエンザイムを含む食べ物なので、積極的にとっていただきたいのですが、そのためにも充分な水の摂取は必要不可欠なのです。
 
また、私に「7つの健康法」では、果物は食後のデザートではなく、食前にとるように指導しているのですが、
水は必ず果物を食べる前に飲むようにしてください。
つまり、「水→果物→食事」の順で取るということです。
これは脱水とエンザイムの消耗を防ぐ大切なポイントなので、ぜひ覚えて実践してください。
 
こうした順番を守るためにも、私は1日3回、決まった時間に水を飲むことを習慣にしています。
○朝 起床直後     500〜750ミリリットル
○昼 昼食1時間前  500〜750ミリリットル
○夕 夕食1時間前  500〜750ミリリットル
 
これだけで1・5リットルから2リットルの水を無理なく摂ることができます。
 
一度にまとめて飲めないという人は、一回300ミリリットルぐらいからはじめて、体調に合わせて徐々に増やしていくようにするといいでしょう。
 
もちろんこの3回以外にも、運動の前後や、講演の前後、汗をかくような暑い日は、できるだけ水を飲むようにしています。
 
水分の摂り過ぎはよくないという人がいます。
たしかにコーヒーやお茶、ジュースや清涼飲料水といった「水分」の摂り過ぎには注意が必要ですが、「水」であれば、腎臓機能に問題がないかぎり、飲めるだけ飲んでも問題はないと私は考えています。
体にとっていちばんよい利尿剤は水です。
 
ただし、先ほども少し触れましたが、体内のミネラルバランスを保つためには、良質な塩を適量とることが必要です。
 
水がなかなか飲めないという人は、体内のミネラルが不足していることが考えられるので、塩をいっしょに摂るようにしてみてください。
そのとき、注意してほしいのは、精製塩は絶対に摂ってはいけないということです。
 
水と水分が異なるように、「塩」と「塩分」も違います。
一般に「食塩」と呼ばれている精製塩は、その99.5%が純粋な「NaCl」、つまり塩化ナトリウムです。
自然塩の主な成分が塩化ナトリウムであることは事実ですが、体が必要としているミネラルは塩化ナトリウムだけではありません。
その点、良質な自然塩には、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ヨウ素、鉄といった体に必要なミネラルが、約15%ほどバランスよく含まれています。
とくに、海水から水分だけを蒸発させた自然海塩は、ミネラルが豊富で体にとてもいい塩です。
 
塩については、前著『病気にならない生き方A実践偏』の156〜160ページにかけて詳しく説明しているので、そちらも参考にして安全で体に良い塩を摂るようにしてください。
 
 
●純粋や蒸留水は不自然と考えよ
 
コーヒーやお茶、ジュースといった余分なものを含んでいる「水分」が水分補給に適していないのなら、最も体によいのは、不純物も何も含まない水、つまり「蒸流水」や「純水」ではないか、と思われた方もいるでしょう。
 
実際、アメリカでも日本でも、日本でも、家庭用飲料水として、純粋や蒸留水を利用している人はたくさんいます。
 
純粋や蒸留水を好んで飲む人は、不純物やミネラルが含んでいない分、体内の余分なミネラルや有害物を排出するのに適しているというのですが、私には疑問です。
 
人間の体内の水分には、電解質(水に溶けて電気をよく通すミネラルのイオン)が存在しています。
この体液中の電解質の濃度は、つねに一定に保たれるようになっています。
水分量が減り、血液中の電解質濃度が高くなれば、のどの渇きによって水分摂取を促したり、体から排泄される尿の量を制限したりして、水分の量を増やします。
逆に血中の電解質濃度が低下すると、尿や汗の量を増やすことで濃度を保ちます。
 
純水や蒸留水が、不純物を含まないからという理由で、余分なミネラルや有害物質を排出できるといいますが、通常のミネラルウォータより、純水や蒸留水のほうが体液のミネラルバランスとの落差が大きい分、体にかかる負担は大きくなるのではないでしょうか。
 
それに、考えてみてください。
純水や蒸留水の中で生きられる生物はいません。
つまり、それは不自然な水ということです。
 
地球上の生命は、海の中で生まれたといいます。
人間もその変化の過程をずっとさかのぼっていくと、海の中の生物に行きつくといわれています。
なのに、魚も生きられないような水が、本当に人間にとってよいものなのでしょうか。
私は、やはり人間の体に最もよいのは、自然が作り出したきれいな水だと思います。
 
自然の湧き水には「水齢」というものがあります。
水冷というのは、大地に水が浸み込んだときを基点に、土壌や岩盤を通り、地下水脈を通り、ふたたび大地から湧き水として生まれ出るまでの時間のことです。
 
世界中で愛される「名水」は、どれも何百年という長い水齢の水ばかりです。
 
自然の水は、長い時間をかけて大地を通り抜ける間に、汚れが取り除かれるとともに、生物が必要とするミネラルを取り込みます。
地上に存在する自然の水の中に、ミネラルを含まない水はありません。
 
私たち人間も自然の一部なのですから、自然の水を飲むべきだと私は思います。
とはいえ、安心して飲めるような自然の水は、皆無に近い状態になりつつあります。
それゆえ私は浄水器・整水器を使用し、より理想に近い水を飲むことを実践しています。
 
水道水には、殺菌のため塩素が入れられているので、そのまま飲むのはお勧めできません。
でも、取り除くのは、人間が加えたものだけで充分です。
自然が与えたミネラルまで取り除くのは、ある意味、自然への冒涜ではないでしょうか。
 
「身土不二」という言葉が表すように、人間にとって住んでいる場所と体は切っても切れない関係にあります。
ですから、体に最もよいのは、生活している土地で取れたものを、鮮度のよいうちに食べることです。
そしてこの「土地で採れたもの」の中には、「水」も含まれていると私は考えています。
水は大地が生み出してくれるものだからです。
 
住んでいる土地が汚染されれば、そこから取れる作物も水もすべて汚染されます。
ですから、本当に体に良い水を飲むためには、自分たちの住む土地を美しく保つことが必要です。
 
住んでいる土地と私たちの体が一体であることを示す「身土不二」という言葉。
その語源は、
「自分のしてきた行為の結果は、
自分が身をおいている環境と分かちがたい関係にある」
という事を教える仏教用語だそうです。
この言葉の意味を、環境汚染に苦しめられている私たちは、もっと真摯に受け取るべきだと思います。
 
地球が病気になるような生き方や暮らし方をしていて、本当にいいのか。
このことについて、私たちは真剣に、自らに問うべきではないでしょうか。
 
子々孫々のためにも、私たちは「地球が病気にならない生き方」をしていかなければならないのです。
 
本当によい水、本当によい食べ物は、美しい自然環境によってもたらされるものであるということを、改めて心に刻んでほしいと思います。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
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池田 優

 

 

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