山ちゃんの食べもの考

 

 

その218
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【74】
『食は生命なり』と「新谷弘実」 その41
新谷弘実著 『病気にならない生き方』  若返り編 7
《心の若さとみずみずしい体を手に入れる法》
 
第3章 エンザイムパワーを高める方法 2
 
●腸にいい食べものは脳にもいい
 
以前日本で、脳によい食べものとして、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を多く含む魚の目や頭が注目されたことがありました。
 
たしかに魚油に含まれるDHAが、脳や人間の体によい影響を与えることは、さまざまな研究からも明らかになっています。
しかし、では魚ばかりたくさん食べればいいのかというと、決してそんなことはありません。
 
日本人は、何か一つのものが体にいいと聞くと、そればかりをたくさんとろうとする傾向がありますが、それは大きな間違いです。
 
人間の体は、何かよいものを一つ摂れば全体がよくなるというものではありません。
どんなによい食べ物でも、バランスを崩すほど食べ過ぎれば必ず健康被害をもたらします。
 
同じ動物食でも、牛や豚、鶏などの肉に比べれば、魚ははるかに胃腸に与える負担は少ないので、肉の代わりに魚を摂るのはよいのですが、人間が動物食として摂っていい「食事全体の15%」という枠以上に食べるのは、決してよいことではありません。
 
体に良い食べものを選ぶことはとても大切なことなのですが、それよりももっと大切なのは、食事全体のバランスをとることです。
 
現在、脳によいとされている食品は、魚油のほかにもいろいろあります。
まず、アジ、サバ、イワシなどの青魚。
大豆を原材料とする豆腐、納豆、味噌。
ビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜や海藻類。
穀物では米と麦がよいことが知られています。
 
私たち日本人にとっては、どれも珍しいものではなく、昔から食べてきたものばかりですが、海外の人たちが脳によいとして注目しているのは、じつはこうした食べものなのです。
 
日本食が世界中の人々から健康食として注目されるのは、日本食がこうしたよい食べものをバランスよく取れる食事だからなのです。
 
食べ物は、すべて口から入り、腸で吸収され、全身へと送られます。
脳の栄養もすべて腸によってまかなわれています。
 
何が脳にとっていいのかを考えるうえで、このことはとても大切です。
なぜなら、脳の栄養をまかなう腸に悪いものが、脳によい影響を与えるはずがないからです。
 
私は、胃腸内視鏡外科医としての経験から、長年にわたり、胃腸によい食事を追及してきました。
でもそれは、単に胃腸によいだけではなく、全身の健康にもよいものだということがわかりました。
ここでいう「全身」には、もちろん脳も含まれます。
 
腸によいものは脳にもよいということです。
逆に、腸に悪いものは、脳にも悪影響を及ぼします。
 
お酒もたばこも動物食の食べすぎも、腸相を悪くするものはすべて、脳にも悪影響を与えます。
 
胃腸の流れをよくするために大切な水の摂取も、じつは、脳にとって最も大切なことです。
 
人間の体は全部つながっています。
脳だけによいもの、胃腸にだけよいものというのは、基本的にはありません。
同様に、健康被害をもたらすものは、場所によって影響の大小はあったとしても、やはり全身に悪影響を及ぼすのです。
 
 
●カフェインの摂取は脳の貯金を減らしていく
第2章で、アルコールが、脳に深刻なダメージを与えることをお話しましたが、コーヒーやお茶に多く含まれるカフェインも、脳に大きなダメージを与えるので注意が必要です。
 
まず、カフェインにはアルコールと同じように利尿作用があるので、飲みすぎれば体を脱水させてしまいます。
 
しかし、カフェインが脳に与える影響は脱水だけではありません。
カフェインは、細胞内の情報伝達において、セカンドメッセンジャー(二次的な情報伝達物質)としての役割を果たすエンザイム「PDE(ホスホジエステラーゼ)」の働きを阻害してしまいます。
つまり、カフェインを多く含むものを摂ると、体内の情報伝達が阻害されてしまう危険があるのです。
 
しかもPDEは、体内の情報伝達の中でも、特に脳で行われる学習や記憶のプロセスに関与していることがわかっています。
脳の情報伝達をスムーズにするこのエンザイムは、脳の働きにゆとりをもたらす貯金のようなものですから、カフェインは脳の貯金を減らすといってもいいでしょう。
 
事実、最近の実験では、カフェインの摂取が生体の視覚と記憶分子にダメージを与えることがわかっています。
 
飲水療法を提唱しているバトマンゲリジ医師も、この実験結果を受けて、アルツハイマー患者や学習障害児がカフェインの多い飲み物を飲むことの危険性を強調しています。
 
アルコールは耐性に個人差があるので、まったく飲まないという人も多くいますが、コーヒーやお茶はほとんどの日本人が日常的に口にしています。
日本ではカフェインの毒性はほとんど認識されていませんが、アメリカなど海外の多くの国では、その危険性は広く認知されています。
 
アメリカへ旅行したことのある人はご存知だと思いますが、向こうではコーヒーを注文すると「キャフェ・オア・デキャフェ?」と聞かれます。
これは、カフェイン入りのコーヒーにするかカフェイン抜き(デッキャフェ)にするか確認しているのです。
 
カフェインに習慣性(中毒性)があることは日本人でも知っていますが、カフェインに致死量があることはあまり知られていないようです。
 
カフェインの半数致死量(ある物質をある状態の動物に与えたとき、その半数が死に至る量)は、約200mg/kg。
これは体重50〜60kgの成人が、10〜12gのカフェインを取るとその半数が死ぬ危険性があるということです。
 
コーヒー1杯に含まれるカフェインの量は、約100mgなので、コーヒーをたくさん飲んだからといって死ぬ危険性があるわけではありませんが、カフェインが体に何らかのダメージを与えることは避けられません。
 
コーヒーを常用している人は、どうしてもその刺激に鈍感になりますが、私のように普段ほとんどカフェインをとらない人間がたまに飲むと、体が変化するのが如実にわかります。
 
私の場合は、血圧や眼圧が上昇し、心拍数が上がり、不整脈が自覚できますが、そのほかにも中枢神経興奮作用(精神の高揚・眠気防止/不安・不眠)、筋肉の震え、胃液の分泌促進(消化促進/胃炎を悪化させる)、血中コレステロール(LDL、TC)の増加、大腸蠕動運動の亢進(下痢)などがカフェイン摂取によって引き起こされることが確認されています。
 
たばこやアルコールやカフェインを摂るということは、脳の恒常性を損なう行為なのです。
 
人は年を取ると、記憶力が低下したり、うまく言葉が出なかったり、体の反応が遅くなったりします。
これは情報伝達の機能が低下していることを意味しますが、これも脳の中で働く「脳内エンザイム」とでも言うべきものが不足するからだと考えられます。
 
大切なのは脳の貯金PDEを損なわないためにも、カフェインを含む飲み物、食べ物の摂取は控えめを心がけましょう。
 
では、逆に脳の働きを助ける飲み物はあるのでしょうか。
あります。それは何度も触れた「水」です。
いい水は、脳に潤いをもたらすだけでなく、「脳内エンザイム」の働きを助け、活性化させます。
 
仕事の合間にコーヒーを飲む人が多いのですが、できるだけ水を選ぶことをお勧めします。
どうしてもコーヒーを楽しみたいという人は、カフェイン抜きのものにするか、薄めのコーヒーをさらに2〜3倍に薄めたものにするとダメージが少なくすみます。
 
 
●老化はエンザイムパワーが衰えた証拠である
 
シワやシミ、白髪など老化の兆候が現れたとき、多くの人はその部分的なケアに力を注ぎます。
シミをレーザーで除去したり、シワにヒアルロン酸を注入したり、白髪を染めたりといった具合です。
 
でも、老化というのは、そうした局所だけで進行するものではありません。
見える場所に現れた老化現象を、いくら外側からケアしても、その効果は「焼け石に水」程度のものでしかありません。
 
老化とはすなわち細胞自体が老化していくことです。
そして細胞の老化は、体内が酸化することで進行しています。
 
ですから、最もよいアンチエンジング法は、体の中の抗酸化力、すなわち体内酵素の活性力を高め、体内の酸化を未然に防ぐことなのです。
 
私たちの体で最も抗酸化力が高い物質は「エンザイム」です。
いつまでも若々しいという人というのは、エンザイムの力「エンザイムパワー」が強い人だということができます。
 
これまで私は、ボディエンザイム(体内酵素)の保有量を高めることが、健康な体を維持するために大切だと述べ、いかにすればエンザイムの消耗を防ぐことができるか、ということをお話してきました。
 
しかし、エンザイムパワーは単にエンザイムの量だけで決まるものではありません。
そのエンザイムの質、つまり「活性度」がとても重要なのです。
 
「少数精鋭」という言葉がありますが、エンザイムも活性度がフルに高まっていれば、それだけ消耗するエンザイムの量も少なくてすむということです。
 
しかし、残念なことに、現代人の多くは、もてるエンザイムの能力を100%活用していません。
 
エンザイムの活性を妨げている要因はいろいろありますが、その最大のものは、「血行不良」です。
 
エンザイムが働くためには、ビタミン、ミネラルといったコエンザイム(補酵素)が必要不可欠です。
そうしたものを細胞まで運んでくれるのは血液に代表される体液なのです。
その体液がスムーズに流れないと、細胞の機能は著しく低下し、ひどいときには死滅してしまいます。
 
では、どうすれば血行をよくすることができるのでしょう。
もっとも効果的なのは、充分な量の「水」を飲むことです。
 
水の摂取が足りないと、その大切な体液の量が減り、ドロドロになって流れが悪くなります。
さらに水不足が進むと、細胞内に蓄えられている水分が供出されるので、細胞はさらに枯渇し、その機能を失っていきます。
 
よい水が充分に摂取されていれば、血液に含まれる水分量が安定し、血液がサラサラになるので、体液の流れは自然とよくなります。
血行不良の人やむくみのある人は、水分を控える傾向がありますが、逆に充分な量の水をとることが、血行をよくし、むくみも改善するということを覚えておいてください。
 
たばこやアルコールがよくないとされる理由も、血行を悪化させることにあります。
アルコールは脱水症状を促し、たばこは直接血管を収縮させます。
 
老化の象徴とされる白髪も、頭皮の血行不良が関係していることがわかっています。
 
白髪は頭皮の毛根部分でメラノサイトを生み出す幹細胞が死滅することで生じますが、血行不良が幹細胞の死滅を引き起こしていたのです。
 
1996年に「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表された、J・G・モーズリー主導の研究によると、喫煙者に早期の白髪が現れる確立は、非喫煙者の4倍にも上るとされています。
 
エンザイムパワーを低下させるもう一つの大きな要因は、体温の低下です。
エンザイムが最も活性化する温度は、37〜40度のあいだ。
 
私たちの体温は、普段は体温調節中枢によって一定に保たれていますが、病気になると、この体温調節中枢から発熱を促すシグナルが出されます。
これは、体温を高めることによってエンザイムの活性を促し、免疫力を上げようとしているのです。
 
体温が0.5℃下がると免疫力は35%も低下するといわれていますが、これは体温の低下によってエンザイムの活性が失われるからです。
最近の研究では、ガン細胞は体温が35℃代のときに最も活性化することが報告されています。
 
最近は平熱が35℃代という低体温の人が、若い女性を中心に増えています。
彼女らは自分たちの低体温をあまり気にしませんが、体温が低いと病気になりやすいだけでなく、老化が進むスピードも速くなってしまうと考えたほうがよいでしょう。
普段から自分の平熱を知り、低ければ高める努力をしてください。
 
低体温は、「正しい食事」と「充分な睡眠・休息」、「正しい呼吸」と「適度な運動」を行うことで改善できます。
年をとると、これらはどれも絶対量が少なくなります。
 
食事の量が少なくなったときにもっとも気をつけて欲しいのは、やはりバランスです。
どうせ少ししか食べないのだからと、好きなものばかり食べるのはよくありません。
少ないからこそ、穀物主体のバランスのよい植物食を心がけましょう。
 
長く眠れない人は、どうしてもエンザイムのリカバー力が低下するので、生活の中に仮眠や昼寝の習慣を取り入れ、こまめに休むようにしてください。
 
正しい呼吸は、鼻で行う腹式呼吸です。
深呼吸を行うと、体の中から体温が上がるように感じられますが、これは深い呼吸にとって多くの酸素が取り込まれ、代謝能力が向上するからです。
 
ただし、同じ腹式呼吸でも口を使ってしまうと、体内の水分の蒸発量が増えてよくないので、呼吸は普段から鼻で行うように心がけてください。
 
運動は、激しいものは帰ってエンザイムの消耗につながるので、軽めのものがよいでしょう。
体力のない人は散歩程度でよいので、毎日少しずつ行うことを習慣づけて下さい。
 
そうしてもう一つ、エンザイムを活性化させるのに欠かせないことがあります。
それは自分自身が幸福だと感じることです。
愛や感謝の念を持ち、自分自身を幸福だと感じると、エンザイムはとても活性化します。
 
このことについて、次章で詳しく述べますが、いつまでも若々しくありたいと望むなら、何ごともプラス思考で、積極的に自分を幸せにする努力を惜しんではいけません。
 
たしかに老化は細胞が酸化し、衰えることで生じますが、肉体のケアだけしていても、心がハッピーでなければ本当の意味での「健康」や「若々しさ」は得られません。
老化は酸化に対する「エンザイムパワーの衰え」です。
体と心をケアすることで、内側からエンザイムパワーを高めること、それが最高のアンチエイジング法なのです。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
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池田 優

 

 

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