山ちゃんの食べもの考

 

 

その226
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)
『食は生命なり』 【84】
 
南清貴著   講談社インターナショナル刊
『究極の食』  より その6
 
 
第1章 体の良くできたシステム  の5
――本能を呼び覚ませ
 
 
● サプリメントで補う愚
 
とは言っても、サプリメントに頼って食の環境を変えるというのは、賢明な方法ではありません。恒常性維持機能によって、身体は不必要な栄養素は吸収せずにある程度は捨てています。
ただし、そういうことが出来るのは、自然な食べ物から栄養を摂取した場合に限るのです。
 
サプリメントというのは、物質の中からある特定の栄養素だけを取り出してきて、その栄養素の単体になってしまっているものです。
これを摂ると、身体にとって不必要でも吸収されてしまうのです。
 
ですので、身体に絶対に絶対に害がなくて効果的だということが明らかなとき意外は、サプリメントを摂るべきではないというのが私の持論です。
自分の食事はこういう栄養素が足りないからと、恒常的に特定のさぷりめんとをとるのはいいことではありません。
 
例として、野菜不足を解消するためにサプリメントでビタミンAを補給したとします。
ビタミンAは、だいたいベータカロチンという形でサプリメントになっています。
足りないものを補うのですからいいようなものですけれども、どのくらい補うのか、その適正な量というのはわからないのです。
 
ビタミンCのように水溶性なら余分でも身体から排泄することが可能なので、まだ危険性は低いかもしれません。
が、ビタミンAのように油溶性のものは摂ってしまうとなかなか外に排泄することが出来ません。
 
私達の身体はまだまだ太古のままですから、栄養不足への対処法としてはいろいろなシステムを持っていますが、過剰な栄養に対しては、あまりシステムが整っていません。
ビタミンAだけを突出して摂るということも今までなかった状況です。
身体が予期していなかったことですから、過剰な栄養に対して適正なシステムが働かないのです。
 
サプリメントを摂るというのは、そのようにして身体を困らせているということです。
最も負担が大きいのは、マルチビタミンとか、マルチミネラルといわれるものです。
マルチビタミンミネラルというものもあります。
こういうものを摂ってしまうと、身体は取り込んだものに対してどうしていいのかわからなくなってしまうのです。
 
で、けっきょくは、そんなにたくさん入ってくるならば、もう摂取しなくてもいいのだ、と判断してしまう。
怠けだすということです。
それは食べものの分解、消化、吸収、すべてのレベルでそういうことが起きます。
 
食事が自然なものであれば、よしんばその中に含まれている栄養の含有量が低かったとしても、その条件下で最大限に必要なものを引き出そうとするものなのですが、少ないからといってサプリメントで補ってしまうと、怠ける身体になって行きます。
 
もちろんこれは個人の選択のことですから、それでいいというならそれはそれでかまいません。
ただ、長期間にわたって特定のサプリメントを摂り続けると、必ず弊害が出てくるというのが私の意見です。
 
整体の観点から言うと、サプリメントで過剰な栄養を摂っている人はだいたい背骨が鈍ってくる。
背骨は上から7個の頚椎、12の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で形成されています。
 
このうち特に胸椎9番、場合によっては胸椎8番が鈍る。
これはどちらも肝臓の働きに関連する骨で、この2つが鈍るということは肝臓の働きもペースダウンするということなのです。
次に影響を受けるのは胸椎の10番、これは腎臓の働きに関連しています。
 
サプリメントを摂っていると、独特の体臭がしますのですぐにわかります。
ブルーベリーエキスみたいなものはわかりませんが、ビタミン系とかミネラル系のサプリメントをとっている人はわかります。
 
疾病からの回復期には、サプリメントをとることが有効な場合もありますから、そういう場合にうまく利用するのはいいと思います。
抗生物質のようなものは使いたくない、食事とサプリメントで完全な回復を図りたいと思ったときに、特定の栄養素をこのくらいの間隔を置いて、これだけの量を摂ればよいという正確な判断をしてくれる医師がいればよいのです。
 
ただ、どこまでいってもサプリメントには命がないということをきちんと知って置く知っておくべきだと思います。
 
これも繰り返しになりますが、我々が食べるものは命がそこにあることが基本中の基本です。
その命をいただいているのです。
命を自分の命に変換するという作業が食事だということが、とても重要なところなのです。
どんなに高度に分析できるようになったとしても、サプリメントには命がありません。
 
加えて、サプリメントは物質から取り出した単一の栄養素ですから、非常に不安定で、それを安定させるために化学薬品が使われています。
液体や粉ではとりにくいこともあるので、錠剤のように固めているケースが多く、そのために使われる凝固剤には毒性の高いものがあります。
 
それから、すべてではないですが、カプセルの原料には疑わしいものがかなりあります。
表示されていないケースがたくさんあるようで、大変心配なところです。
製造過程で使われる薬品などは身体には不必要なものですし、その毒性の危険度のほうがサプリメントの効果より高いということもありうるのです。
 
サプリメントの有効性というのは多くは動物実験で確認されていますが、ネガティブな意味でも、ポジティブな意味でも、動物実験の結果がそのまま人間に当てはまるわけがないので、サプリメントの適正な量を判断するのは難しいということをまず理解すべきです。
 
だからと言って、何もかもだめだと神経質に否定しているのではなく、必要なものは必要な時に必要なだけきちんと摂ればいいと思っています。
相当の注意をして、また相当の知識を持って利用すればいいのではないでしょうか。
 
サプリメントとは違いますけれども、最近はスポーツドリンク的な栄養ドリンクが大流行りで、少し前までは一般の商店ではとても売られなかったようなものがコンビニで売られています。
こうした栄養剤には困ったもので、完全に栄養過多になります。
 
 
 
第2章 食べることで身体を壊す現代人
より その1
 
● 不健康な長生きの国
 
社会的なシステムも整ってきた現代では、多くの人が健康診断を受けるようになっています。
でも、嘆かわしいことに、その中で「異常なし」とされる人は11%に過ぎません。
 
一方で、日本人は世界一の長寿を誇っています。
2007年の日本人の平均寿命は女性が85.99歳、男性が79.19歳。
女性は23年連続して世界一の長寿を保っており、男性も第3位ではありますが、それでも上位です。
 
そんな長寿世界一の国民のうち健康な人は10人に一人。
日本は不健康な長生きの国だということです。
これから病人ばかりの年寄り国家になるのです。
 
もし、医学の発達が我々の健康に本当に寄与しているのであれば、こんな数字が出てくること自体おかしくないでしょうか。
結局、健康でいようと思うの思うのだったら、医学に頼っていてはだめなのです。
 
私の親友の医者も言っていますけれども、医者は病気のことは勉強しますが、健康については勉強しません。
つまり、健康は健康の専門家に習うしかなく、自分で探し出すしかありません。
 
一番よい先生は、実は自分です。
自分の健康は自分が一番知っているのです。
 
長寿ではあっても、必ずしも幸福とは言い切れないところに今の問題があります。
とにかく長生きが出来れば、病気でも寝たきりでも何でもいいということではないはずです。
 
やはり元気でいることが大前提。
だとすると、究極のところ、「食」に行き着かざるを得ないのです。
 
第一章で見てきたとおり、私達の身体は、食べたもので作られています。
ということは、食べるものの質によって私達の身体の質が左右される、とも言えるのです。
だからこそ、食べることで身体を壊すという事態が起こるのです。
 
感染症の病気で死に至ることがほとんどなくなった今、死因のトップに躍り出ているのは生活習慣病といわれているものです。
これは「食源病」とも言われていて、食べているものが原因でわれわれの身体が壊れているということなのです。
 
過食も病気になる原因のランキング上位ですから、そこを改めるだけでも相当の部分が変わってきますが、まずは自分が普段食べているものの質を見直す必要があります。
そのための指針を、これからいくつか挙げてみたいと思います。
 
 
 
● 糖尿病の脅威と要因
 
今日本では、驚くなかれ6人に1人が糖尿病、又はその予備軍といわれています。
これは大変な数です。
 
世界で見ていくと、糖尿病の患者数は2億4600万にもいる。
2006年に発表された国際糖尿病連合の統計による予測では、今後20年でその患者数は3億8000万人を突破、10年後には糖尿病関連で死亡する人が25%上昇するだろうといわれているのです。
 
糖尿病は余病を併発しますので、現在でも糖尿病関連で毎年380万人が死んでいます。
これは10秒に1人以上、糖尿病で死んでいるという統計です。
 
380万人というのは、エイズで亡くなる人数とほぼ同数、エイズは注目されてセンセーショナルに取り扱われてしていますけれども、糖尿病はそこまで深刻とは受け止められていないようです。
でも、本当に身近に糖尿病はあるのです。
 
糖尿病というと、一昔前は贅沢病のようなイメージがあったと思うのです。
ところが、統計を調べていくと今は貧困者層に多い。
世界では、発展途上国に患者が相当数いるということです。
このまま放置すると、糖尿病が発展途上国の健全な経済発展を押しとどめる要因になるとさえ推測されています。
 
そこに深刻さがありますし、どうしてこういうことが全世界的に起こっているのか、ということを考えなくてはならないのです。
糖尿病の問題は、糖尿病になった患者ではなく、健全な私達が解決しないことには、ただただ高額な医療費の負担を強いられることになるだけです。
 
実は極めて深刻な、政治的な問題なのですが、ここでは、我々の日常の「食」にフォーカスした形で糖尿病の問題を語っておきたいと思います。
そして、食生活を変えてください、という強烈なメッセージを受け取っていただきたい。
 
糖尿病の要因は、砂糖だけではありません。
糖尿病患者の食生活を克明に調べてみると、食物繊維の摂取量が極端に少ないことがわかるのです。
食物繊維の不足が糖尿病の一つの大きな要因ということです。
野菜不足は言うに及ばず、穀物でも精製したものばかりを食べているということです。
 
食物繊維がたっぷりとられていると、食物が腸を流れていく間に少しずつブドウ糖が吸収されので、血糖値が上がる速度を緩やかにしてくれます。
いい状態で血糖値を維持できるのです。
 
血糖値が緩やかに上がって、上がった位置をしばらくキープして緩やかに下がっていく理想的な形をプラトー(=台地)といっていますが、プラトーを実現してくれるのが食物繊維。
 
そう意味もあって私は私は穀物を精製しないでとることを勧めています。
精製しない穀物には、食物繊維だけでなく、様々なビタミンやミネラルなどもたっぷり含まれています。
 
ここで必須ミネラルのクロムという物質について少し触れておきます。
クロムは我々の体内でインスリンと結合して、糖をうまくエネルギー化するのに役立ってくれるミネラルです。
 
クロムを上手に取り込めないと、炭水化物をブドウ糖にする段階で滞りが起きてしまいます。
つまり、クロム不足では糖をエネルギー化することが出来ない、というところが重要な部分です。
ですから、クロムを取らないでウエイトロスをするのはとても難しいのです。
 
クロムを取り込むのには、穀物を精製しないで食べるのが一番手っ取り早い。
玄米にはもちろん、私が推奨している3分搗きの米にも欠落せずにクロムは含まれています。
白米、胚芽米、7分搗きぐらいになるとクロムはかなり落ちて、ほとんど糠のほうに含まれてしまいます。
 
もちろん穀物以外にも食物繊維をとる方法はたくさんあって、野菜、豆類、海藻類、それからキノコ、果物にも大量に含まれています。
果物は特に皮ごと食べると良質の食物繊維を多く摂ることができます。
 
糖尿病のもう一つの大きな要因としては、飽和脂肪の摂取量が多いことも上げられます。
肉を食べ過ぎているということです。
 
バターや、牛肉、豚肉、その他の獣肉、こういうものを食べると必然的に飽和脂肪を摂ることになってしまう。
 
脂肪の量なんて大したことないじゃないかと思うかもしれませんけれども、サーロインステーキを食べて摂取してしまう飽和脂肪の量は、身体にとっては多過ぎなのです。
 
飽和脂肪酸が血中に過剰になるとそれを脂肪組織に取り込む作業が優先されますので、糖があふれていてもその処理が後回しにされ、糖尿病に近付いてしまいます。
 
そして、要因としてはこれが最も重要かと思われますが、トランス型脂肪酸の問題があります。
トランス型脂肪酸の摂取量が多いと糖尿病になるのです。
飽和でも不飽和でも、天然に存在する脂肪酸は基本的にシス型です。
 
トランス脂肪酸というのは、シス型脂肪酸と対比されるもので、マーガリンやショートニングなどに大量に含まれています。
ラードは動物性の飽和脂肪ですけれども、ショートニングは植物性のもので、安物のお菓子やパンを作るときに使われる固形の油です。
 
植物性の油は基本的には不飽和ですから、室温では液体で存在しているのですが、それでは使いづらい部分もあり、酸化しやすいという欠点もあります。
ところが、不飽和脂肪酸に工業的に水素原子を1つ、圧力をかけて添加すると安定的になり、酸化もしにくくなるのです。
 
このように便利さのために工業的に作られた固形の油が、トランス型脂肪なのです。
組成がプラスチックに似ていることからアメリカでは「プラスチック食品」と呼ばれます。
 
トランス型脂肪酸を体内に取り込むと、悪玉といわれているLDLコレステロール値を高くし、同時に善玉と呼ばれるHDLコレステロールの値を下げてしまいます。
トランス型脂肪酸をとっただけでこの現象が起きます。
 
コレステロールというのは身体に必要なものですが、善玉のコレステロール値が高くて悪玉が低いというのがよい状態。
それを逆転させてしまうのです。
これがトランス型脂肪酸による弊害のまず一つ。
 
もう一つは、心筋梗塞、あるいは脳卒中といった、血液が塊を作ってしまうことによって起きる疾病へのリスクを非常に高めます。
トランス型脂肪酸は血液の粘度を高める作業をするのです。
 
これは確実に証明されていることで、アメリカのニューヨーク市では、2006年の12月から、飲食店でトランス脂肪酸を含む食用油を使用することが禁止されているくらいです。
 
でも、日本では、トランス型脂肪酸の摂取量がアメリカよりも低いから安全圏、という愚かな論法によって、規制の必要はないとされてしまっています。
科学的にトランス型脂肪酸の害がこれだけ明確になってきているにもかかわらず、何の規制措置も行われない。
 
政治運動にする必要はありませんが、懸命な消費者としては、トランス型脂肪酸を摂らない、買わないという行動で自衛するべきでしょう。
マーガリンを食べなければ死んでしまうということはないのですから。
逆に、トランス型脂肪酸を摂取するかぎり、健康のために他にどんな努力をしても無駄です。
 
なぜ無駄か。
第一章の「脂肪の働き」のところでも触れましたが、我々の身体は60兆個の細胞で構成されており、その細胞膜のひとつひとつが油で作られています。
さらに、この細胞膜では常に細胞の外側の溶液から内部の溶液に栄養素を移し変える作業をしています。
それが繰り返されなかったら栄養素が枯渇してしまうので細胞は死んでしまいます。
 
でも、細胞の中に何でもかんでも無尽蔵に受け入れるわけではありません。
必要な栄養素を、必要だと細胞が判断してから中に取り込むのです。
 
栄養素を細胞内に取り込む仕組みには多様なものがあるのですが、その一つの典型的なスタイルはレセプター(受容体)と呼ばれるものを解したやり方です。
レセプターには対象とする物質に対する特異性があって、カチンとはまり込んだ物質だけを内側に取り込むという仕組みになっています。
 
そのレセプターも含めて細胞膜を介した物質や信号の輸送・伝達を直接担っているのはさまざまなたんぱく質なのですが、このたんぱく質が正常に働くために、リン脂質(脂肪にリン酸が結合したもの)が重要な役割を果たしていることがわかってきました。
 
ところが、オメガ3やオメガ6脂肪酸が足りないところに(オメガ3はほとんどの人が足りていないはずです)トランス型脂肪酸が大量に取り込まれると、一部がトランス脂肪酸で代行されてしまうのです。
 
身体としては本望ではないのですが、細胞が栄養素を補給できない、あるいは作られない(=複製が出来ていかない)ということは、最悪の事態、つまり生命が途絶えることに?がります。
 
身体はどこまでも生命を維持する方向に動きますから、トランス型脂肪酸でも、やむをえず細胞の一部に使われてしまうことがあるのです。
 
しかしその場合、トランス型脂肪酸は自然界のものではないので、例えば糖を摂り込もうとしたときに、ブドウ糖を細胞内に輸送するシステムがうまく作動しません。
細胞の中に取り込まれないので、やがてブドウ糖は離れていきます。
そこで、血液中にブドウ糖がダブつくという状態が起きてしまうのです。
これが糖尿病の大きな原因です。
 
ですから、トランス型脂肪酸は糖ではないのだから糖尿病とは関係ないだろう、と言っていられないのです。
トランス型脂肪酸を摂り続けていると、血液中に糖がダブつくだけでなく、ブドウ糖が取り込めないため、エネルギー不足で細胞がどんどん死んでいくという恐ろしいことが起きてしまいます。
 
少量だったら何とか処理をして体外に排泄されますが、毎朝マーガリンを食べている、スーパー等で売られている安手のサラダ油をつかっている、菓子類をよく食べている、外食の揚げ物をよく食べている、といった場合は、継続的に大量のトランス型脂肪酸を体内に取り入れていることになりますので、危険度が高いことを自覚したほうがよいのです。
 
付け加えますと、トランス型脂肪酸は糖尿病の隠れた原因になるだけでなく、妊婦が摂取する低体重児が生まれる可能性が高くなります。
赤ちゃんは、一つの細胞(受精卵)から分裂が始まって、どんどん驚異的な速度で成長していきます。
 
細胞膜を作っているのは油ですから、その油がトランス型脂肪では細胞の成育がうまくいかず、低体重児になってしまうのです。
今現在、妊娠していないからいい、というレベルの話しではありませんので、毎日摂取しているなら今すぐにでもやめなければ危険です。
 
 
 
● プロテインリンケージ
 
摂り過ぎた糖が、トランス型脂肪酸の働きで血液中にダブついてしまうと、その後はどうなるのでしょうか。
ただ糖がダブついているだけならいいのですけれども、そうは行かない。
アミノ酸の繋がりであるたんぱく質同士を、粘つきを持っている糖がくっつけてしまうのです。
 
たんぱく質というのはアミノ酸が?がってある立体構造を形成しているものですから、これには秩序があります。
ところが、たんぱく質の分子がやたらと大きくなるとその秩序を保てなくなってしまう。
そうすると、たんぱく質本来の働きが出来なくなってしまうのです。
 
これをプロテインリンケージと呼んでいます。
又はたんぱく質の糖化とも言います。
糖化のことをグリケーションという言い方をする場合もあります。
要は、糖を介在物としてたんぱく質がくっついてしまい、分子構造が大きくなることによって代謝が落ちてしまうのです。
 
加えて、代謝機能が低下すると細胞に栄養がうまく運ばれないという現象が起こり、細胞機能まで低下してしまう場合があります。
これが老化現象なのです。
私達の身体の中では今、不必要に早い老化が起きているのです。
 
トランス型脂肪酸を摂り込まないためには、巷で売られているほとんどの加工食品はやめたほうがよい。
外で売っている揚げ物などは、トランス脂肪酸の塊と思ったほうがよいのです。
情報として申し上げますと、サラダ油というのもわけのわからない油です。
正直言って何を原材料にしているのかわかりません。
 
もちろん、キャノーラとか、なたねとか、原材料を明記してあるものもありますけれども、そういうものばかりではありません。
一斗缶に入っている業務用の揚げ油には、ほとんどのものにバーム湯が入っています。
家庭用のサラダ油にもバーム油はかなり含まれています。
 
バーム油というのは概ね油椰子というものを原材料にしていますけれども、油椰子を高温処理したり、固形にしたり、使いやすい形にする段階で、トランス型脂肪酸が生まれてしまうのです。
バーム油は、一昔前まではグリースに使われていました。
歯車などを回すための潤滑油で、食用ではなかったのです。
 
ところが、これを食用として使えるようにする技術が発明されたがゆえに、先進国を中心に世界中で使われるようになったのです。
ファーストフードに使われている油の大半は、このバーム油由来のトランス型脂肪酸たっぷりのものです。
ファーストフードを食べてはいけないと、言っているのはそういうことです。
 
十数年前からトランス型脂肪酸の害をことあるごとに説いてきましたきれども、相変わらず世の中は無関心です。
あなたの身体はあなたのものだからもう関与しないよ、といいたいところですが、増加する一方の患者達が使う医療費は誰が負担することになるのでしょうか。
 
バーム油の販路を広げていくために、いわゆる発展途上の国々に食材として持ち込んでいる商社がたくさんあります。
糖尿病の患者数が貧困層、特に開発途上の国々に増えているのは、そういう背景があってのことです。
 
ともかく、糖尿病の予防には、精製しない穀物に含まれる食物繊維を大いに摂ること、飽和脂肪酸を多く含む肉を食べ過ぎないこと、トランス型脂肪酸をとらないこと。
この3つの要素をきちんと満足させた食生活を続ける人が多くなればなるほど、社会全体として、国レベル、世界レベルで糖尿病の問題から遠ざかっていくことが出来ます。
 
本格的にそういう食事の方法論が定着するのには何十年、何百年単位の計画が必要になるかもしれませんが、少なくとも気づいた人たちから食生活を変えていただきたいですし、それが自分自身を守ることに?がるのです。
 
 
 
 
 

 

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池田 優

 

 

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