山ちゃんの食べもの考

 

 

その231
 



食は生命なり
「生命なきは食にあらず」とも云われますが、
人は多くの生命を頂く事で生かされている。
植物の生命も動物の生命も微生物の生命も、
土の生命も水の生命も空気の生命も、
すべての生命がつながって生かされている。
そんな「共生」の世界で生かされている。
「人は何を食べるのかによって決まる」とも云う。
肉体的な健康、長寿のみならず、
知性、思想、性格までをも決すると。
その食べ物の作り方、その食べ物の商いほう、
その食べ物の選び方、買い方、食べ方は、
その人の生き方、その考え方そのものであると。

                                   
(山ちゃん)

『食は生命なり』 【88】
 
南清貴著   講談社インターナショナル刊
『究極の食』  より その10
 
 
第3章 効率一辺倒の「食」の危険性 の3
 
 
● 経皮毒の脅威
 
食べものではないのですけれど、私達の健康に大きな影響を与える要素として、経皮毒を取り上げたいと思います。
まだこの世に生まれてきていない未来の子供達の命にも大変な危険が及んでいることを知識として知っておいていただきたいと思ったからです。
 
皮膚を経由して身体の中に入ってしまう毒のことを経皮毒といい、具体的には環境ホルモンのような物質を指しています。
特に石油を精製して作り出した化学物質に有毒なものが多いのですが、ほとんどすべての化粧品には石油由来の有毒物質が含まれています。
 
洗剤などの界面活性剤や漂白剤も身体に入ると毒性を発揮します。
全部を避けることはできないとしても、化粧品などは自分の意思で替えることが可能ですし、洗った衣服が真っ白に見える必要が本当にあるのか、と問い直すことも可能です。
 
テレビのコマーシャルであれだけ真っ白の洗濯物をパーッと並べられたりすると、自宅でもあのようにしなければならないと思わされるかもしれませんけれど、よくよく考えてみれば普段着など真っ白である必要はないのです。
石鹸で汚れが落ちる程度でよいのではないでしょうか。
 
そんなに必死で洗わなくたって人間の身体はそこまで汚くはありませんし、人前で下着姿になるわけではないですから、少々黄ばんでいて何がいけないのでしょう。
各々のライフスタイルとも関わる問題でしょうけれど、その程度の考え方は持っていただきたいのです。
 
いくら食生活をベストに整えても、どうもいっこうに体調がよくならないとか、まだ問題が横たわっているというときに、経皮毒を疑ってみてもらいたいのです。
とは言っても、経皮毒は意識的に避ける、という以外に手がありませんし、避けてもゼロにはなりません。
「避けられるものは避けよう」というぐらいのスタンスでいるのが望ましいと思います。
 
食品メーカーでも化粧品メーカーでも、そもそも会社というのは株主の利益のためにあるものですから、身体によくない商品でも平然と売ります。
会社は消費者のために存在しているのではないということをまず認識して、私達は正しい選択眼を持って主体的に商品を選ばなければなりません。
 
普段あまり意識されることのない皮膚ですが、整体では呼吸器として捕らえています。
呼吸器が体外に出たものとして扱うのです。
もっとも、考えてみれば肺も身体の外なのです。
皮膚も肺と同じく、呼吸を繰り返しながら体外のものをじんわり呼吸しているのだということを認識していただきたいのです。
 
ただし皮膚は気体状の物質だけではなく、表面に付着した毒物も取り込んでしまいます。
この呼吸力は相当なものです。
インドの伝承医学・アーユルベーダでは、この力を利用して、皮膚から油の有効成分を吸収させることで治療に導く方法をとるくらいです。
 
身体に入れてはいけないものを防ぐため、きちんと皮膚の表面には脂が張ってあります。
それが皮脂です。
 
石鹸程度でしたらまだ大丈夫ですけれども、界面活性剤が入った洗剤で皮膚を洗ってしまうと、皮脂が全部落ちてしまいます。
ちなみに私はお風呂に入っても石鹸は使いませんし、家族にも使うなといってあります。
 
ただし、こういう食べ物の仕事をしていますので、きちんと清潔にはしています。
石鹸を使ってゴシゴシ洗うのが清潔なのかというと、そうではありませんから、シャンプーも、界面活性剤が入ったものは一切使わずに、オイルを使ったシャンプーを使っていますが、それで汚れは十分きれいに落ちます。
 
人間の身体の皮脂というのは、一番表面の部分は摂氏42度で溶け落ちます。
汚れは皮脂の上に付くものですから、皮脂が流れ落ちればそのまま必然的に汚れも流れ落ちます。
ですから、42度以上のお湯に一瞬つかれば大概の汚れは落ちてしまうのです。
それ以上ゴシゴシ洗う必要はない。
 
適温のお風呂に入って上がり、スーと拭くと、その段階で不必要な角質化した皮膚も垢となって全部落ちてしまいます。
石鹸を使う必要もないのに、ましてや強い界面活性剤、化学合成物質が入った洗剤を身体に塗りたくって、自分を守るために張られた皮脂をなぜわざわざ洗い流す必要があるのでしょうか。
 
皮膚は、外気の温度や湿度に合わせて微妙に開いたり閉じたりしてくれています。
それは、表面を皮膚が覆っていることで総合的に成り立っている、身体の働きなのです。
その皮脂を洗い落としてしまっては、何が身体を守るのでしょう。
 
また、大切な皮脂を洗い流してしまったところに、化学物質がたくさん入った洗剤で洗濯したものを身に着けると、化学物質を直接吸収してしまいます。
そのように吸収された物質は、少しずつ身体の中に溜まっていきますが、その過程では何の信号も発しません。
 
ところがある日突然、化学物質の影響は出てくるのです。
よくアレルギーと勘違いされることもあるようですけれど、急に肌がガサガサになってしまったりする。
でも、突然起きているわけではないのです。
身体の中に蓄積した物質が自分の許容量を超えてしまったときに急に外に吹く出してくるだけなのです。
 
最も影響が大きいのが合成界面活性剤と呼ばれる物質ですが、物質の名前で言うと、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどです。
プロピレングリコールは、化粧品の中に保湿剤とか乳化剤のような形で皮膚をしっとりさせる成分として入っています。
ラウリル硫酸ナトリウムは洗剤やシャンプーに、発泡剤として入っています。
よく泡が立つようにする薬剤なのです。
 
ラウリル硫酸ナトリウムには、皮脂の下にある角質細胞の細胞膜を破壊する働きがあります。
ということはつまり、角質細胞が壊れて流れ落ちてしまうのですけれど、そこから化学物質を直接吸収してしまいます。
 
化粧品には、猛烈な発ガン性があるタール色素の脅威もあり、ラウリル硫酸ナトリウムでどんな物質も吸収しやすい状態になっているところへ、強い発ガン物質が合わさるわけで、どんどんじかに猛毒を吸収することのなっているのです。
ラウリル硫酸ナトリウムは、洗剤やシャンプーだけではなく、入浴剤、歯磨き剤にも発泡剤として入っています。
 
歯磨き剤は、化学物質が舌の上の味蕾細胞を破壊してしまいますので、特に子どもには使わせないでいただきたいものです。
 
口の中には皮膚の角質膜というのがそもそもなく、いきなり粘膜ですから、化学物質もすぐに吸収してしまいますし、細胞にじかに当りますので味蕾細胞が破壊されてしまうのです。
 
最近増えている味覚障害は、不足すると味蕾細胞が働かなくなる重要なミネラル分の亜鉛が、食事で摂れなくなっていることが原因の一つですが、もう一つの大きな原因は、歯磨き財なのです。
味蕾細胞が破壊されて味が分らなくなると強い味を求めるようになりますので、それがファーストフードの人気を支えてもいるのでしょう。
 
経皮毒が深刻なのは、女性の身体を直接汚染するため、未来の悲劇に繋がりやすいことです。
化学物質は血液に混入していますから、女性の場合、月経が近付くと経血と一緒に外に出そうという排泄の欲求の高まりとともに、化学物質も子宮の内側に溜まっていきます。
 
外に出せるだけ、男性よりも女性のほうが有利といえますが、ある量を超えてしまうと、月経が始まるまでの何日間か、子宮内膜の内側に化学物質の毒がいつもある状態となり、その間に子宮内膜が傷つけられてしまうのです。
それで子宮の内側にへんなものができるようなことが増えている。
当然、子宮とつながっている卵巣にも影響が行きます。
 
婦人科系の病気が増えている背景には、それだけとは言わないまでも、経皮毒の影響が相当あると思わないといけないでしょう。
 
最近では、出産して羊水が泡立っていたという大変な現象も起きているそうです。
それほど、化学合成物質が体内に残留したまま妊娠してしまう母体が多くなっているのですが、量が多ければ多いほど、残留化学物質は胎児に引き継がれてしまいます。
 
かつては、胎盤が毒物を通さないので子どもは守られているといわれていましたが、そうでなかったことは水俣病が証明してしまいました。
 
水俣病は非常に特殊な例で、不幸な事件ではありますけれども、同様なことが少しずつ自分の身体でも起きていることに気づいていただきたいのです。
 
厚生労働省が出している人口動態統計で年間の出生数を見ますと、2007年は109万人。
それに対し死産が約3万件あります。
 
妊娠13週以降に死児として生まれてくるのが死産なのですが、毎日100件近くが死産なのです。これはもうとんでもない数です。
医学が発達したとはいえ、これだけの数の子どもがまともには生まれてこないという現実が一方ではある。
 
さらに、生まれてきた子供達の臍の緒(臍帯)を分析すると、考えられないほどおびただしい量の化学物質が検出されるのです。
 
母体から子どもに化学物質が移行していることはこれでもわかるのですが、臍帯血からそれだけの化学物質が出てくるというのは、自然な状態ではあり得ないことだそうです。
あり得ないことがもう起きているのです。
 
今アレルギーがこんなに増えているというのも、食べものに一番大きな原因があるのは確かですが、どう考えてもそれだけではない。
経皮毒を知らずにいてはどこかで行き詰まってしまうと思いました。
 
特に赤ちゃんには気をつけていただきたいのです。
月齢で20ヶ月ぐらいまでの新生児、乳幼児というのは、角質層自体がまだまだ未発達で肌が完璧には出来上がっていません。
そんな肌に化学物質を付けたら、どんどん吸収してしまいます。
まったく無防備な、バリアがない状態なのですから。
 
こういう化学物質の多くは、脂溶性、あるいは油溶性ともいいますが、油に溶けやすい性質があります。
化学物質が油に溶けた状態で身体の隅々に行き渡るということです。
 
ここで注意しなくてはならないのは、脳細胞の60%が脂質でできていることです。
脳は油の塊なのです。
ちなみに、その内訳を栄養学的に見ると、オメガ3とオメガ6の割合が一対一なのだそうで、それを根拠に食事からの摂取率も一対一が望ましいとする学者もあります。
 
それはともかく、千数百億個ある脳細胞を形作る60%の脂質に化学物質が溶け込んでいると考えると恐ろしくはないでしょうか。
 
 
 
● 子供たちに起こっている異変
 
LD(学習障害)、ADHD(注意血管・多動性障害)について厚生労働省が2002年に公表した研究資料では、小学生の20人に1人がLD、40人に1人がADHDとありました。
クラスに1人はこういう子がいる時代だということです。
 
手近な食や経皮毒について、大人も危ないのですが、本当に影響が大きいのは子どもたちだというところを、私たちは考えなくてはならないのです。
要するに子供達にそういう危険なものを食べさせたり使わせてはいけないということです。
 
現代の子どもたちの身体に起こっている異常は、様々な形で現われてきていますが、LDもADHDもその一つだと思います。
その前段階として、低血糖の問題があるのです。
低血糖を解決しないと、子供達の身体の異常は収まりが付きません。
 
低血糖というのは、文字通り血糖値が低くなってしまうことです。
普通に食事をすれば、血糖値は高くなっても低くならないのではないかと思われがちですが、さにあらず、我々の身体は生きていますから、あることが起きるとそれに必ず反応するようにできているのです。
 
今の私達の食生活では、ペットボトルのドリンク類、スナック菓子、ファーストフード、インスタント食品などから、炭水化物にしても砂糖にしても、精製度が高い状態のものを相当量とっています。
精製度が高いと、急激に糖が体内に吸収されてしまい、血中の糖の濃度が突然上がります。
 
血糖値が上がった状態というのは、血中にだぶついた糖が酸化して身体が腐った状態になる可能性もあるため、私達の身体にとっては非常に危険な、ともかく避けたい状態なのです。
 
ところが、人類誕生以来、私達は一度としてこれほど豊かに食べものがある時期を迎えたことがありません。
よって、身体は基本的に飢餓時モードにセットされていて、糖が余った状態になるなど想定していないのです。
ですからいざそんな状態になっても血糖値を下げるための機能がなく、反応ができない。
 
唯一あるのは、膵臓で作られるインスリンというホルモンを血液中に出す方法ですが、これも応急処置的なシステムでしかなく、完璧ではないため適量が分らない。
危険だというと、猛烈な速度で膵臓がインスリンを作って限度を知らず、とにかく大量にインスリンを出してしまうのです。
すると、ぐっと上がった血糖値が、今度は急に落ちてしまうのです。
 
我々の脳のエネルギーになっているのはブドウ糖だけです。
血糖値が下がるというのは、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の、血中での値が下がるということで、エネルギーがなくなって脳が働かない状態になるのです。
 
低血糖になると、まず判断力が鈍ります。
その状態が続くと意識障害が起き、やがて心臓も停止してしまう、というように、血糖値が下がり過ぎるのもこれまた危険な状態なので、身体は猛烈な逆反応をします。
どうなるかというと、アドレナリンやノルアルドレナリンというホルモンを、大量に出してくるのです。
 
アドレナリンというのは攻撃ホルモンと呼ばれていて、これが出ると、否応なしにイライラし、怒りっぽくなり、無意味に敵意のような感情や、暴力的な反応を呼び起こします。
もともと、身に迫る危険に対応するためのホルモンですから、これが出てしまったら仕方がない。攻撃的な性格になるのです。
 
ノルアドレナリンのほうは、不安感や恐怖感、強迫観念、それから自殺願望、こういったものを呼び起こします。
同時に記憶力低下も引き起こす。
 
低血糖になってしまうとホルモンを出して何とか正常を保とうとするのですが、要するに、もうその時点で正常ではないのです。
動物に襲われる危険など、現代ではほとんどないのですから。
でも、低血糖になると恒常的な身体の反応としてアドレナリンが出るということです。
 
さらに、脳下垂体から出たアドレナリンは、血液中に入ると酸素と化合して酸化。
すると、幻覚を引き起こしたり、知覚障害を起こしたりする物質に変化します。
そういう恐ろしいことが子どもたちの身体の中でも起きているのです。
 
低血糖は子供達だけでなく、当然大人達にも起こっています。
低血糖の症状が重くなると、精神障害とあまり区別がつきません。
年中低血糖の状態になっている人は、鬱病と勘違いされることがままあるのです。
 
めまいや不整脈が起きたりしますし、不安感、焦燥感というような強い感情に襲われますので、おかしいと思って病院に行くと、たいがい鬱病と診断されて精神科に回されるのです。
精神科に回されると間違いなく精神安定剤を投与され、投薬治療が行われます。
そうして、結果的に本当の精神障害になっていくのです。
 
厚生労働省が2002年に出したデータでは、日本の精神病患者の数は258万人でした。
それが2005年には303万人。3年で17%の増加率です。
鬱病の潜在人口、医者にはかかっていないけれど鬱病傾向のある人が600万人という民間の研究もあります。
 
不幸にして起きている凶悪な犯罪にも、低血糖が影響しているのではないかと私はにらんでいます。
ストレスが強すぎる現代社会状況、教育システム、家庭の崩壊などが原因としてよく取り沙汰されていますが、食べものは見過ごされがちです。
 
ですが、食べものの質の低下がダイレクトに人間の質に反映していると考えたほうが、生体の成り立ちからすると自然でわかりやすいのではないでしょうか。
 
 

 

ごらんいただいたことを大変ありがたく感謝します。

 

生命の農と食を考える
L A F 健農健食研究所 ラフ
L ife A griculture F oods

FAX :076-223-2005
mail :m.ikeda@ninus.ocn.ne.jp

池田 優

 

 

◎ ご意見、ご教示はこちらまで    掲示板も御座います。是非ご利用下さい。→ 掲示板

最新号へ戻る